難波優輝のレビュー一覧
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新進気鋭の美学者が、社会に浸透する物語化へ無文別な態度対する疑問を呈する。
登場する用語は、情動、陰謀論、考察、推し活、MBTI、SNSなど昨今様々な形で論考の題材となっているものである。現代重要ワードの詰め合わせである。これらの用語の解釈を経て、人生を自分ごととして取り戻す契機として、「おもちゃ」遊びへと到達する。
私の人生はどのタイプなのだろうと思い返してみる。個人的には意外であったが、「ギャンブル」が当てはまるのではと本書による解釈を得る。
若い時分は人生に意味や目的を持たずただ惰性で過ごしていた、何かを発散するわけでもなく昨日と同じ今日が無意味に繰り返されることにちょっとした絶望を -
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「性的なもの」にフォーカスした第一章は、街中の性的な広告についての論争を軸に、なるべく客観的に論点を整理する内容。一方「えっちなもの」についての第二章は、えっちなものを2つに分類分けした上で考察や展望(?)を述べていくという筆者の主観寄りな内容になっているので、読んでいる中で切り替えないと混乱しちゃうかも。
タイトルのユーモラスさに惹かれてこの本を手に取った私としては、第二章のほうが新鮮な感覚もあり、筆者もノリノリで書いているように感じて楽しめた。
個人的な話、車がグシャグシャになる動画を「えっちだ…」と思ってしまう自分の感性に、以前から疑問を抱いていたのだけれど、これって「崇高のえっち -
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カオスで単一の生活があるはずもない世界を物語の力で平面化することの危うさを論じた本。おもろかった!
何らかのフィルターを通して世界を解釈・整理しようとする試みは強制的に世界の「次元」を下げて単純化することに他ならない、という主張。この本では「物語」がメインで語られるフィルターとして取り上げられているけれど、きっとどのフィルターであっても同じことが起きるだろう。
単一のフィルターを通した世界にとどまり、その短所を意識せずに過ごすのではなく、いくつもの世界を渡り歩いてそれぞれの世界の軋轢の様子を楽しんだり、創造的に世界自体を破壊してリビルドすることで複雑な世界を生きてゆこう、という考えはそうだなと -
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先日これを家内に読んでいるところを見つかり、不必要なほどにこれが知的に面白い本であることをアピールしてしまったが、そのような気まずさがなぜどのような事情で生じるかを改めて知ることができる本。どうしても下世話な内容を連想させるテーマだが、気取ったり奇を衒ったりするところのない誠実な語り口が心地良く、作者の主張がすんなりと頭に入ってくる。
なぜ性的な概念はこれほどまでに気まずさを呼び起こすのか?筆者は、人が自らの手の届かない領域の「向こう側」に抱く憧憬と同化の欲求が美的判断である「えっちさ」の根幹を成すとし、巷間言われるような生物的な性欲が文化的な「えっちさ」を規定したのではなく、逆に「えっち -
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近年、(主に米国の)先端産業の経営者がSF作品のファンであることにも起因して、SFというジャンルが注目されているようだ。
そこで、SFを積極的に経営に活かしていこう、というムーブメントが生まれ、これがSFプロトタイピングとして市民権を得たものであろうと思う。
「ドラえもん」、星新一から始まり、フランク・ハーバート、アイザック・アシモフ、神林長平、ウィリアム・ギブスン、士郎正宗、ダン・シモンズ、伊藤計劃などを濫読してきた身としては喜ばしいことだ。
実は私が1990年代に所属していたSFコミュニティでは、「SFの終わり」が語られていた。
もはや現実がSFに追いついたというのである。
もちろん、現実 -
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ナラティブ…難しいな、物語化ってなに?
読み終わったとき、私は正直「おもしろいけどよくわからんな、哲学書ってむずかしい!」でした。
自分に当てはまるとしたらパズルかなー、パズル好きだし、ミステリーも好き。なんかカチッとハマる瞬間に視界が開ける感じいいよね、っていうのは分かった。だから読み終わったときはなんというか、「陰謀論ハマらないように気を付けよ~」くらいしか思っていませんでした。
が、ある日。私はあるサークル活動的なところで、代表的なものにならないかと打診され、ちゃんと断ったのにも関わらず「まあまあ」と押し切られそうになってしまったのです。
いや無理だから~と言っているけど相手も引かず -
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ネタバレ★4.5
ラランドのニシダさんが最近面白かった本に挙げてたので気になって購入。
インザメガチャーチ然り、最近の本は感動ストーリーや這い上がった─みたいな物語化を美化していることに警鐘を鳴らしている本が多い気がする。この本もその1つかな?
前半はその問題点の言語化と後半はそれに対してどういう風に向き合うかというのをある種身近な題材(ゲーム、パズル、ギャンブル、おもちゃ)を上げて哲学的にどういう解釈をしているかわかりやすく記述してあって面白かった。特にギャンブルとおもちゃの部分はそんな考え方したらおもしろいなと非常に楽しめた。
部分部分難解なところがあるが、頑張って読んで読み飛ばすぐらいの認 -
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マスタープロット、結婚をして子供を産む、マジョリティの生き方だったり就職のために面接で嘘ついて自分を語って、っていう常識に違和感を抱いていたな。自分は、学生の頃からすぐに部活を辞めたり、サークルも掛け持ちしたり、バイトもすぐやめるし、転職で仕事も転々としていて留学して外国人と話したりして、、って物語化させるにはどうしようもない人間なんだけども、この本でカテゴライズするとしたらおもちゃ的な人間でもあるのかもしれない。一貫性がないといけないな、、と思って辛い時もあったけど、この本は一貫性なんていらないんだよという優しさを感じた。
特にMBTIの批判は面白かった。人は何かカテゴライズして、無理やり -
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物語や役割によって自己が形成される、規定されるという話が面白かった(mbtiの例がわかりやすい)
物語ることにおいて、過去の事実は事実そのものとして認識されず、現在の視点から意味が与えられる。また、現在の自分も物語の最中にあると考えることで、挫折や失敗をそれ自体としてではなく、過程の一要素としか捉えられなくなるかもしれない
そのため、自己を物語ることによって、自分で自分を固定してしまうことになる
これは他者理解においても同様で、物語を用いることで他者にステレオタイプを抱いたり押し付けたりする可能性がある
私自身、自分を形成するために物語を使ったり憧れている人物のあり方を自身に投影したり -
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「物語」の持つ力の功罪について関心があったので発売当初から気になっていた本。ちょっと遅れましたがやっと読みました。
前半の物語篇は大枠として私も共通した問題意識や関心を持っていて、とはいえ私は考えていなかったような領域の話も含めて論点をうまく整理してくれた感覚が強い。
後半のゲーム・パズル・ギャンブル・おもちゃについてはなかなか面白い問題提起だなと思ったけど、物語の持つ力の功罪に直接つなげる形で考えた方が良いテーマなのかはちょっとまだ保留。今後それぞれのテーマを深堀りしていくとのことなので楽しみにしたい。
仕事柄「物語」を活用することは少なくない。傷ついた人や迷い悩む人が物語ることや物語を参 -
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「何者かになりたい」は呪いだというタイトルに惹かれて読みました。
内容は、想像していたものよりも恐ろしいと感じました。
今の自分って本当は何者なのか?と考えさせられました。
自分は、どのような人物かを説明する就職活動の面接で語る内容は、面接用(合格するためのきれいな)の自分を作り上げていく。
これについて本の中で話は進められていく。
今思うと面接当時に作った自分を少しずつ修整してきて今の自分がある。
この自分は、本当に自分なのか?それともよそ向けの自分なのか?
深く考えたことがないテーマであり、とても面白かったです。
また、時間を空けて読むとまた違う面白さが出てくる本であると思