日本文藝家協会のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
どれも秀逸!
まさにタイトルのカレー通り、上手いだけではないピリッとスパイスを利かせたようなお話ばかりだった!
浮気性男とその家族を下北沢のランチを通して
カラッとした描いた『下北沢の昼下り』
奇妙な夢にまつわる家族を描いた『夢見る家族』
AIが殺人犯を追求する、
『AI detective 探偵をインストールしました』
自分とそっくりの人間が海から打ち上げられる
『貝殻人間』
トー横女子とホストの悲しい終焉を描く
『ジョン&ジェーン』
猪田という同級生が亡くなったらしい…
一体誰??『猪田って誰?』
実はおばあちゃんは違う人だった!
母の思い出話から実祖母の姿が思い浮かぶ
『シスターフッドと鼠坂』
忖度で溢れる村を変えられるのか!?
『ああ美しき忖度の村』
1番結婚したかったけど、できなかった人がいる。
その人が60歳にして自分に会いに来た…
『夏のカレー』
ガラケーを解約するのを忘れていた携帯のメールアプリを開くと、そこには同級生からメールが…
『ガラケーリクイエム』
吐き出した煙草の煙の輪の中に、不思議な光景を映し出す数奇な男の人生を描いた『煙景の彼方』
どれも好きだけど、特に好きな作品は…
『AI detective 探偵をインストールしました』
『猪田って誰?』
『夏のカレー』
かな!
豪華すぎるアンソロジーでした✎
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Posted by ブクログ
ネタバレ普段あまり読まない文芸ジャンル・初めましての作家さんも多いアンソロジーでしたが、いずれの作品も文章が巧みで読みやすく、それぞれに楽しめました。雰囲気はバラバラなので、読者によって好みはかなり分かれそうですね。以下、個人的お気に入りの作品をピックアップ。
【AI Detective 探偵をインストールしました】
SFらしい設定ながら、内容がしっかりミステリーで、意外な結末もきっちり用意されている完成度の高さに唸りました。本格ミステリとしてはトリックや理論展開がやや弱い印象ですが、SFとして読むなら十分に満足。
【猪田って誰?】
怒濤の地の文が面白くて最高でした。ささやかな日常のやりとりがリアルすぎる……。謎は最後まで謎のままですが、それでいい、それがいい。
【夏のカレー】
ストーリーそのものも面白く読めたのですが、オチの鮮やかさが群を抜いていました……!
【煙景の彼方】
一番のお気に入り。煙の輪の中に「一番求めているものを視る」ファンタジックな設定をフルに活かしての、切ないストーリー展開に没入しました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ旅のお供として。「現代の短篇小説ベストセレクション2023」ということで、12篇も入ってるアンソロジー。一つ見開きで終わるのもあったけど。普段はミステリーのアンソロジーをよく読むけど、これはそういうくくりではないので、初読みの作家さんも多かった。基本的にほとんど面白かったけど、斜線堂有起「妹の夫」は最後涙が出た。宇宙とワープってことでこれもSFに分類されるのか?でもこれは荒城とドニの友情の物語だ。あるいは職業倫理の。感動。あと荒木あかね「同行のSHE」もちょっとステレオタイプではあるけど面白かった。さすが『此の世の果ての殺人』の作者。あと逸木裕「陸橋の向こう側」は流行りのどんでん返しな感じ。おなじみのサカキ・エージェンシーのみどりが主人公。これは単行本化されたらまた読むだろう。佐原ひかり「一角獣の背に乗って」も初読みの作家さんだったけど面白かった。一角獣を捕まえるアルバイトの件はほんと反吐が出る感じだった。くそおやじ達め、って感じ。
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Posted by ブクログ
ネタバレ読みたいやつだけ選んで読んだ。
〇富士山(平野啓一郎)
・新幹線からみえる富士山にこだわる相手に対して、こだわらない私。こういう違いって絶対生まれることだけど、それが結婚を考える恋人だった場合、どこまで許容すべきかって難しい。
○おろか(村田沙耶香)
・やばい、これまたやばい作品。
妹を展示作品として育てる話。
村田沙耶香の作品は、人が日常の中で一瞬危険な思考になる時の思考、を拾い上げて、それがもし現実だったら?と
子供が嬉しいとか、悲しいとかを覚えるのって、最初は親が、嬉しいことがあったら嬉しいねと言う、形で、子供はこういう感情を言葉では嬉しいと表現するのだ、と認識するんだと思う。
これがもし間違った風に教えていたら。その子はどんな風な人間になるのだろう。
○パンケーキ2.0(本谷有希子)
・こっちもやばいし、気持ち悪い。
イソギンチャクの描写がすごく気持ち悪くて、最高にいい。風刺画とかにありそう。 -
Posted by ブクログ
2024年に文芸誌に載った短編、十四編。よかったのをいくつか。
『煙』滝口悠生
長男、長女、次女、次男、三女、三男の六人兄妹。視点は三女の息子(二十代独身)。長男、深志おじさんを介護施設に入れるのに、兄弟が勢ぞろいし、三女の息子はその運転手をする。深志おじさんは、しばらく行方知れずで、路上生活もしていたらしいが、そのことを伝えるのに重さ暗さはない。どこにでもある一家の、これから減っていく人たちの描写。書かれていることはどうということもないのに、読ませるのは、人の営みの愛しさを感じるからか。
『三影電気工業株式会社社員寮しらかば』今村夏子
仕事を辞め、遠距離恋愛用マチアプで知り合った恋愛関係にある男の家に越すことにしたが、リフォーム中だからと断られ、その近くの工場の寮に入ることになった二十八歳。十八で実家を出てから、恋人や友人の家に同居を繰り返してきた彼女。仕事の覚えが悪く、共同生活にも向いていない、どこまでも孤独という、今村さんの小説といえばこれという、社会の常識から落っこちた女の子。妻子があるに決まってる男のことを丸ごと信じる。けなげというのか、寄る辺ないというのか、ピュアすぎるバカ? でもあんがい芯は強くて、真面目に毎日を積み重ねていく。工場に居ついてしまったよ。困った。切ない。
『こんぺいとうを拾う』市川沙央
主人公の尖った性格と、こんぺいとうのとげとげと。さらには、オルゴールのとげとげも。宝塚をくさし、ジブリをくさし、エスカレータを歩く人を認めない(そのために大怪我を追い、無職になった)。自分を性格が悪いと認識している主人公。かつて、千羽鶴とともに入院している同級生へ送った寄せ書きへの痛烈な批判(健康で壊されることのない日常を送っているものからの、治ることがない病気を患ったものへの白々しい空疎なエール)はもっともだが、そこにさらに性格の悪い一言を付け加えてしまう。ずばずばと、共通認識とされているものを斬る知的な文章が気持ちいい。
『わたしたちのドア』川上未映子
今にも崩れそうなアパートに住む老いた女が、隣人に思いを馳せる。「人生がひとりでに折り畳まれてゆく頃になって」という表現がよかった。
『星ひとつ』角田光代
父親が戦後始めた定食屋を継いだ二代目が、定食屋と日本の歴史を振り返る。頑固おやじの店として持ち上げられたこともあった。遠方から来る客で、行列ができたことも。今は閑古鳥が鳴いている。食レポサイトに酷評が書き込まれたからで、しかし、そうなる以前から、客は少なくなっていった。子供は巣立ち、妻が先に逝ってしまった今、店で一人、子供が小さかった頃、店の帰りに三人で見上げた一番星のことを思い出している。
『スノードームの捨て方』くどうれいん
婚約破棄された友人を慰めるべく集まった、高校時代の友人三人組。年は三十。それぞれ、美容師、看護師、会社員で、既婚子あり、婚活中、未婚のままでもいい、と仕事もスタンスもばらばら。夜、酔った勢いで、公園に穴を掘りにいく。どの仕事が立派とかない、とか、結婚と独身が同程度に幸せとか、とてもやさしくて、気負っていない。若い人の感覚だなー、羨ましいなーと思った。 -
Posted by ブクログ
今村夏子「三影電機工業株式会社社員寮しらかば」
今村夏子さんが描くイマイチ掴めない人物像の主人公が大好き。今回も相変わらず影が薄くて、基本静かなのにいきなりたくさん喋り始めるところとか、謎めいてる感じが好きだった。遠距離恋愛を希望する人同士のマッチングアプリという時点でアウトでしょと思ったけど、最初からリフォームの話は嘘だったのか明確に明かされないまま終わったからモヤモヤした。社員寮での他人との関わりや、共有スペースでの描写が良かった。短いお話だから物足りなくて、もっと読みたかった。
山下紘加「わたしは、」
全部わかったときは、すごい忙しかったじゃんと思った。「わたしは他人と出会いたいというより、「自分」と出会いたかった。自己愛に近いのかもしれない。誰かと出会うことで、「自分」から派生して枝分かれした、自分A、自分B、自分Cなるものに触れたかった。」という文章で一気に種明かしされた。同級生の遠藤が不憫。
くどうれいん「スノードームの捨てかた」
3人の友情の距離感がいい意味で大人で、サッパリしていながらも、それぞれが心の拠り所にしている感じが良かった。題名の通り、スノードームの捨て方について触れてる部分もあった。雪だけが舞うスノードームを気に入る2人は結婚するべきだという言葉に魅了された。