あらすじ
タイカレー、どこで食べたのか、憶えてる?
今読みたい、人気作家たちのベスト短編集
浮気を繰り返す男の前世とは? 未来の夢を見る少年とその一家、インストールされたAI探偵の存在意義は、貝殻から自分そっくりの人間が生まれたら? トー横カップルの哀しい道行き、村の忖度博物館をどうする? 8年前のガラケーに届いたメッセージ――2023年に発表された短篇から、日本文藝家協会の選考委員が独自にセレクト。今読まなければもったいない、人気作家たちによるベスト短編集最新版です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
何を混ぜてもカレーはカレー味になるように、純文学・エンタメ入り乱れる短編集だったけど、なんとなく全体的にまとまりもあったような気がした。
すごいのはハズレ作品が全くないこと。本当に全部面白い。ハイクオリティ。カレー食べたい。
特に好きだったのは、最も設定がバグってる澤西祐典さん『貝殻人間』。貝殻人間は海から貝殻とともに上陸し、生きている人間と瓜二つで、本人の生活を乗っ取ってしまう。そんな事件にあった八人が夜の海辺に集まり、キャンプファイヤーをしながらそれぞれの境遇を語り合う話。
貝殻人間に生活を乗っ取られて怒ったり、絶望したり、中には自分の人生を乗っ取ってくれてありがとうと感謝してる人も。感情の書き分けが面白かった。個人的な話が、後半社会性を帯びていくところも最高だった。
萩原浩さん『ああ美しき忖度の村』も面白い。忖度祭開催の会議の一部始終。本当にこれくらい進まない会議ありそう。笑った。
武石勝義さん『煙景の彼方』も面白かった。タバコの煙で作った輪のなかに、映像が見える話。なんとその映像、幻ではなく……。
Posted by ブクログ
今が旬の作家さん達の短編集です。9つです。どれもこれも世界に吸い込まれる感じがしました。とくに「夏のカレー」と「煙景の彼方」です。いずれも別れがたい人との別れにまつわる話です。しかも、短編ですが、長編を読んだような感じがしました。いろんな情景が浮かびました。じんわりきます。
「貝殻人間」「ジョンとジェーン」は、少し怖かったり、悲しかったりで、印象的でした。
「猪田って誰?」は、テンポが良く、落語をきいてるみたいな感じに思いました。
短編の良さが詰まった作品集でした。
Posted by ブクログ
この短編集読まないなんてもったいない!全人類に読んでほしいっていえる短編集。
いやーーー過去一の短編集。個人的には江國香織さん、山田詠美さん、萩原浩さん、原田ひ香さんの作品が特に好きだった。
短編だけのマイオールベストつくならはいる。間違いない。みんな読んで!
Posted by ブクログ
2024.09.14
短編集は、次の2つの理由で手に取ることが多い。
新たな作家との出会いを求めること
掲載された作品を読み比べて作家の力量を自分なりに比較すること
自分の作風の好みを知ること
この短編集には驚き。
テーマで絞らず、「良い」短編の集積なので、「うーん、この作品はパスかな」と思うものがなかった。
そして甲乙がつけ難い良作ばかりであった。
掲載順って案外評価に影響あると思うのですが、この掲載順にも唸らされた。
ということでめでたく星5つ。
Posted by ブクログ
カレーが直接出てくるお話は「夏のカレー」一編だけ。でも、この短編集に収録されているどの作品もスパイスがピリリと効いていおり、その意味ではこのアンソロジーの題名としては相応しいと言える。
表題作の「夏のカレー」は主人公が自分の世代と同時代を生きているので、感情的には没入できて、物語に入り込めた。ただ、あまりに偶然に出会いすぎるのが興を削いだ。
「ああ美しき忖度の村」はこのアンソロジーの中で一番コミカルで、この感じすごく分かると思わず忍び笑いをしてしまった。
山田詠美、武石勝義の作品はどちらも少し湿り気を帯びていて人生の厳しさや虚しさを感じさせるものとなっている。
お初の作家さんも何人かいたが、どの作品も面白く水準以上のアンソロジーであると感じた。
Posted by ブクログ
現代の短編小説ベストコレクション2024
初めて読む作家さんの作品も多く、他の作品も読んでみたいと思った。現実と近いような遠いような、それぞれの世界観に引き込まれる。
短編小説のスパイスが効いており、楽しめました。
Posted by ブクログ
夏をテーマにしたさわやかな短編集かなと勝手に思い込んでいたら全く違ってびっくりした。どこにもそんなこと書いてなかったけど、あまりにもタイトルと表紙が…
どれも面白く読んだけど、好きだったのは以下。
乙一/ AI Detective 探偵をインストールしました、
オチが秀逸。
小川哲/猪田って誰?、結局猪田は誰だったのか読む側も同じもやもやに付き合わされて終わってしまうなんて。
中島京子/シスターフッドと鼠坂、解説を読んで腑に落ちた、母に対するシスターフッドだったのか。
武石勝義/煙景の彼方、ハッピーエンドなの…?
Posted by ブクログ
どれも秀逸!
まさにタイトルのカレー通り、上手いだけではないピリッとスパイスを利かせたようなお話ばかりだった!
浮気性男とその家族を下北沢のランチを通して
カラッとした描いた『下北沢の昼下り』
奇妙な夢にまつわる家族を描いた『夢見る家族』
AIが殺人犯を追求する、
『AI detective 探偵をインストールしました』
自分とそっくりの人間が海から打ち上げられる
『貝殻人間』
トー横女子とホストの悲しい終焉を描く
『ジョン&ジェーン』
猪田という同級生が亡くなったらしい…
一体誰??『猪田って誰?』
実はおばあちゃんは違う人だった!
母の思い出話から実祖母の姿が思い浮かぶ
『シスターフッドと鼠坂』
忖度で溢れる村を変えられるのか!?
『ああ美しき忖度の村』
1番結婚したかったけど、できなかった人がいる。
その人が60歳にして自分に会いに来た…
『夏のカレー』
ガラケーを解約するのを忘れていた携帯のメールアプリを開くと、そこには同級生からメールが…
『ガラケーリクイエム』
吐き出した煙草の煙の輪の中に、不思議な光景を映し出す数奇な男の人生を描いた『煙景の彼方』
どれも好きだけど、特に好きな作品は…
『AI detective 探偵をインストールしました』
『猪田って誰?』
『夏のカレー』
かな!
豪華すぎるアンソロジーでした✎
Posted by ブクログ
江國香織さん、山田詠美さん目当てで手に取ったんだけど、思いの外原田ひ香さんの、この短編集の原題でもある夏のカレーがかなりよかった。最後、作者の意図通りびっくりした。全然展開読めてなかったよ…
Posted by ブクログ
両親が少年時代に離婚し、母親に引き取られた息子が 働いている母親の代わりに母方の祖父母に育てられ、そ の時祖父が煙草の煙で見たい光景を浮かばせていたのが、 きっかけで結婚して子供が出来た後も子供がぐずった時 に煙草の煙で見たい光景を見せてやると泣き止んだ事で 体に悪い事を知っていながら、吸い続けていたある日寝 煙草が原因で下の階からアパートが燃え、妻と娘を失い 途方に暮れていた時に煙草に火をつけた時、煙の中から 妻と娘が出て来てその煙の中に入っていくのが、いじら しい感じがしました。
Posted by ブクログ
「夏のカレー」というタイトルにひかれて手に取ると、原田ひ香さんの作品が入ってたので購入決定!
そのタイトル作をはじめ、良質の短編が集められています。ベストコレクションと銘打ってるのは伊達ではないですね。楽しめました。
Posted by ブクログ
いろんな小説家によるカレー小説だと思ってた(笑)。
三浦しをんさんと乙一さんの短編は不穏な感じがなんとも良い。宮島未奈さんの短編は、帰省した田舎で交流した人々のちょっとした感情のズレが絶妙。歳を重ねて変わってないもの、変わったものが浮き彫りになる。
今度こそカレー小説を読みたい!
Posted by ブクログ
こういうアンソロジーを読むのが好きだ。
普段、自分では本を選ばない作家との出会いがある。
そんな中で、好きな作家の作品はやはり好きだということに気づくし、初めて出会った作家の作品も意外と楽しく読めてしまう。
つくづく、本や個々の作家、作品とはは出会いなのだなと思う。
Posted by ブクログ
普段あまり読まない文芸ジャンル・初めましての作家さんも多いアンソロジーでしたが、いずれの作品も文章が巧みで読みやすく、それぞれに楽しめました。雰囲気はバラバラなので、読者によって好みはかなり分かれそうですね。以下、個人的お気に入りの作品をピックアップ。
【AI Detective 探偵をインストールしました】
SFらしい設定ながら、内容がしっかりミステリーで、意外な結末もきっちり用意されている完成度の高さに唸りました。本格ミステリとしてはトリックや理論展開がやや弱い印象ですが、SFとして読むなら十分に満足。
【猪田って誰?】
怒濤の地の文が面白くて最高でした。ささやかな日常のやりとりがリアルすぎる……。謎は最後まで謎のままですが、それでいい、それがいい。
【夏のカレー】
ストーリーそのものも面白く読めたのですが、オチの鮮やかさが群を抜いていました……!
【煙景の彼方】
一番のお気に入り。煙の輪の中に「一番求めているものを視る」ファンタジックな設定をフルに活かしての、切ないストーリー展開に没入しました。
Posted by ブクログ
メシばなアンソロジーというわけではないというのは分かっていたけど、ジャケ買い。
名を連ねる作家も、名前は知っているけど、読んだことがないorほとんど読んでいない人ばかり。でも、予想以上に楽しめた。
やはり出色は原田ひ香の表題作。初老の主人公が振り返る運命じゃなかったひととの思い出に胸を締め付けられ、鮮やかなサゲに涙。
この本きっかけに何人か気になる作家ができました。
Posted by ブクログ
山田詠美の「ジョン&ジェーン」、原田ひ香の「夏にカレー」が秀逸。
特に「夏のカレー」夏の夕暮れ時、昭和の家屋、台所、
昔縁のあったふたりの年老いてからの邂逅。
今は亡き高峰秀子と笠智衆(ちょっと高齢すぎ?)主演での映画化観てみたい。
Posted by ブクログ
色々や作家さんと出会えて楽しめた
良いなと思える話や
ちょっと自分には合わなかった話もありますが
まとめて読めてお得でした
他の作品も読んでみたいと思えた作家さんも
いて良かった
Posted by ブクログ
読んだことがなく、気になっていた作家さんの作品が読みたくて購入したのだったと思う。
澤西祐典さんの『貝殻人間』と萩原浩さんの『ああ美しき忖度の村』が好み。『忖度』は喜劇を見ているようで面白かった!
Posted by ブクログ
表題から、カレーのアンソロジーかと思いきや、違ってました。不思議な雰囲気の物語ばかり。終わり方もちょっと不穏な感じだったり、え?これで終わり?みたいなものもあった。夢見る家族、三浦しをんさんっぽくない気がした。怖い未来。貝殻人間も怖いです。澤西ゆうすけさんは初読でした。
Posted by ブクログ
ふしぎな短編。好きな作家さんが出ている。
なかなか良かった。
読んで少したったが、乙一の話と、煙の話が印象的。あと、貝殻人間。
貝殻人間強すぎる。怖すぎる。
どれも、気になるところで終わるものだから(それが短編の良さでもあるんだけど、)長編で読みたい。
Posted by ブクログ
カレー好きの私としてはそそられるタイトルだと思って手に取ったけど、夏のカレーは原田ひ香さんの物語のタイトルというだけ。
他はカレーとは全く関係なかった。
レビューを見たら、皆さん引っかかっていたようで…私だけじゃなかった。
特にテーマがあるわけじゃないみたいだけど、家族や友だちとの不思議な関係を描いたものが多かった。
特に好きだったのは2編。
三浦しをんさん「夢見る家族」
ネジのやり場のない気持ちがわかり過ぎて、一緒にモヤモヤ。
宮島未奈さん「ガラケーレクイエム」。
ガラケーの懐かしさと、実際に自分にもありそうな出来事に親近感を持った。
Posted by ブクログ
小川哲さん目当てで読んだが、意外にも他の作家の短編が気に入った。
特に表題作(著者:原田ひ香さん)。想い合いながらも結婚はせず、長らく会っていなかった女性との再会のシーンから物語が始まり、過去を思い出す構成になっている。
あと一言、互いに想いを告げていれば…と思うが、そう上手くいかないのが恋愛なんだろうな。冴子の葬式に参列していた帰りだったとは驚いた。一番言ってほしかったことを言ってもらうために冴子は現れたのだろうか。それとも自分を印象づけるために、一生忘れないでいてもらうためだったのだろうか。どちらにせよ、もう冴子のカレーを食べられないと思うと切ない。
宮島未奈さんの『ガラケーレクイエム』は、ただただ懐かしい。ガラケー、メールを受信すると折りたたんでいても点滅する等で一目で分かったのが便利だったな。誰からメールが来たのか毎回ちょっとわくわくしていた記憶がある。
主人公は、久しぶりに起動したガラケーに昔のクラスメイトからメールが来て、気になって仕方がなくなる。メールが来ていたのは2年前で、クラスメイトがそんなに前のメールの内容を覚えているのだろうか?と思ったが、一通のメールから途絶えていた友達との記憶が蘇るのは良いものだ。うらやましく思った。ガラケー、手元に残しておけばよかったな。
Posted by ブクログ
表題のカレーに纏わるアンソロジーかと思いきや、様々なジャンルの「ベストコレクション2024」であった。
江國さんの「下北沢の昼下り」がいちばん良かったかな。
「夢見る家族」はいつもの三浦さんとは違ったテイストで目新しい印象。
と、どれも秀逸な作品だ。