池本幸生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1998年にノーベル経済学賞を受賞したインド人経済学者、アマルティア・セン氏の主唱している「ケイパビリティ・アプローチ」の概略が分かる本でした。センは人間の福祉の指標としてGDPや富、効用、幸福度を用いるよりも、各人のケイパビリティに着目するべきだと主張しているわけです。まずこれは訳者自身が冒頭および巻末に記載していますように、本書内で度々使われている「潜在能力」と「福祉」は、それぞれケイパビリティ、ウェルビーイング、と置き換えて読むと一層理解が深まります。逆に言うと潜在能力、福祉として読んでいると混乱することが多々あります。ケイパビリティは何かといえば、「~をすることができる能力(自由)」を
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Posted by ブクログ
第三世界の女性「開発」のために現在最も主流とされている(たぶん)、潜在能力アプローチ、について書かれた本。潜在能力(ケイパビリティ)アプローチについて学ぶためには、まず最初に読むべき本である。第三世界の貧しい女性達を開発していくために、彼女らの所得や効用(主観的な幸福度)ではなく、彼女は「何ができるか」「どんな状態になれるか」という、潜在性を、アプローチの評価変数として取り入れる方法である。著者は哲学が専門らしく、政治哲学的な内容となっている。もちろん、根源的に何が基準とされるかというと、評価者(西欧先進国)の「直観の定点」ではある。が、本書のあげるケイパビリティのリストは、より広範囲に人々
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Posted by ブクログ
コーヒーは、世界的な飲み物だからこそ、言葉は悪いけどただの飲み物でしかないコーヒーだけでSDGsが語れてしまうという影響力の大きさに終始驚いた。
特に、教育と貧困、ジェンダーなどの問題とは深く結びついてるんだと実感。私たち消費者もその問題に深く関わっているということを感じて、むやみやたらに安いものだけを求めてたらダメなんだっていう、考えてみれば当たり前のことを再認識。でも、コーヒー一杯って高いんだもん〜って思うけど、コーヒーの生産者の取り分は1%程度で、原価率も3%っていう数字を見て、コーヒー一杯500〜700円ってめちゃ安いじゃん、、、ってなった。
でもそこで、生産者のことを考えたコーヒーを -
Posted by ブクログ
毎日必ず飲まずにはいられない大好きなコーヒー。
そして、気になってはいるけれど具体的にどう関わっていけばいいのかよくわかっていなかったSDGs。
この本を読み、コーヒーを通してどうSDGsに意識的に目を向けていけるか、コーヒーが将来も美味しく飲み続けられるために何が必要か、がとてもよくわかりました。
「私たちは、私たちが『美味しい』と言って飲んでいるコーヒーが、コーヒー生産者の貧困や環境破壊という大きな犠牲の上に成り立っているかもしれないと知ったとき、それでも『美味しい』と満足していられるでしょうか。」
生産農家への支援となるような取り組みに協力していきたいし、コーヒーを飲む時にも意識して選 -
Posted by ブクログ
センのcapability approachに関して学ぶとするなら、最初の本になりうるかも。
"福祉の経済学"に比べて、数式はほぼない。
また、具体例が多い。
思想がよく伝わってくる。
なぜ?の部分が。
生み出した富の量の合計で国の豊かさを評価すると、
個人の差や、上位のお金持ちの富の和で打ち消されたその国のボトムにいる人たちの貧困や不平等が見えなくなってしまう。
なぜ豊かな国なのに貧しい人が存在するのか?。
インドでボロボロの服を着ていても困らないけれど、たとえば日本や豊かな国ではそんな服を着て行けるところはとても限られてしまう。
…たとえば。
スマホはお金がかかる -
Posted by ブクログ
貧困は人間の選択肢がはく奪されている状態。極度の貧困により、栄養状態が悪い。雨風をしのげる家がない。予防可能な病気にかかる。早死にする。読み書きができない。部族紛争で負傷して体が不自由(身体障がい)になる。財を活用して生活の質を高める力がなければ、財を平等に分配されたとしても、それを充分に活用できない。国家は人が自分の願望や目的を実現するための前提となる能力を保障すべき。市場でまともな経済競争をするための前提となる能力を保障すべき。アマルティア・センSen『不平等の再検討』1992
※エチオピアで飢餓。ハイレ=セラシエ皇帝「働いて努力しなければ富は得られない」と、国家による救済策をほとんどせず