長友恵子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ロシア民話「バーバ・ヤーガ」をモチーフにしたファンタジー。
いっしょに暮らすバーバは死人を門から星へ還す『ヤーガ』という門の番人をしている。マリンカも将来番人になることを運命づけられている。
意思を持っていて走って移動する家というのがまず面白い。
自分の定められた運命に抗う強い意志を持つマリンカは自分勝手に思えて最初は好きになれなかった。
マリンカが周りの人々や家との関係性で後悔と気付きながら成長していく姿を見て、最後には可能性は自分次第で広がると教えてもらえるこの物語の力強さを感じた。
イラストやカバーを外したデザインが可愛い凝った作りの本。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ凄惨ないじめを受けていた兄。
それゆえ、事件を起こしてしまった兄。
事件の加害者であり、いじめの被害者でもある兄。
自分を責め、悲しむ家族。
家族がわかっていること、兄はプロレスが好きで、家族が好きで、クイズ番組が好きで、優しく、弟思いだったこと。
家族はそれを思い出し、みんなで話すことが、自分達の悲しみを、兄への悔恨の念を、すこし和らげることだと、気付かされる。
そして、自分を信じ、味方でいてくれる友達の有り難み。
日記形式で書かれているため、少し読みにくかった。
でも残された家族の苦悩と葛藤を読むことができて、勉強になった。
-
Posted by ブクログ
ロシア民話バーバヤーガのお話をベースにしている。主人公は12歳の女の子マリンカでお婆ちゃんのバーバと暮らしている。バーバの仕事は死んだ人をあの夜に導くことで、住んでいる家も変わっていて、足が生えていて動けるし、意志があってマリンカと遊んでくれたりする。
マリンカは生きている人と交流できない今の状況に不満があるが、外に行けない。中盤過ぎまでマリンカがずっと後ろ向きなので、そこは少し読みにくい(あとがきにも同じような記述あり)。しかし、死者を迎える話や、人を寄せ付けないための骨の柵など、子どもが惹かれるネタが随所にあり、中学年くらいから読める本ではしっかりできていると思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ表紙の絵の少年から受ける印象とは裏腹に、かなり重いテーマを扱った物語だ。
実際にアメリカの高校であった銃の乱射事件をきっかけに、作者が書かなければと思い至って執筆したという。
舞台はカナダ。
父親の猟銃を持ち出した主人公の兄ジェシーは、同級生を撃った後、自分自身も引き金を引いて自殺した。
加害者のジェシーは学校で、悲惨としか言いようのない過酷ないじめにあっていた。被害者はそのいじめの首謀者。
そして被害者の妹と加害者の弟は親友同士。
事件の後、加害者の家族は住む町を追われ、父と母は別居。主人公の少年・弟のヘンリーは父と共に都会の町へ移り住む。
新しい学校に通いながら、カウンセリングを受けるヘンリー。こんなことやってても意味がないよ…と思いながらもカウンセラーに勧めらて日記をつけ始める。
苦しいことがいっぱいで、キャパオーバーになってしまうとロボットボイスになってしまうヘンリー。
お父さんもお母さんも元のようには戻れない。
それでも、新しい学校の仲間、同じアパートに住む人々に少しずつ心を開いて歩みだすヘンリー。
若い読者は、おそらく前半のストーリーがつらくて読むのをやめたくなってしまうと思うが、後半に明かりが見えてくるので、最後まで読んでほしい。
2021.4.5 -
Posted by ブクログ
ネタバレ鳥の足が生えた家に住む少女、マリンカの成長物語。
マリンカと祖母のバーバは、この家で「死者を見送る」ことを生業としている。あの世とこの世の境目で、その門の番人として生きる少女の、葛藤と決意が描かれる。
運命に逆らいたい、自分のことは自分で決めたい、
という普通の少女の思いが苦しくて、感情移入すると苦しくなる。それを見守るバーバの気持ちも、「家」の気持ちも、考えるほど苦しい。
そう、この話では家が感情を持っているんです。
感情豊かなおうちがとても可愛かった。
家も傷つき、ケンカをする。
登場人物も家もみんな、マリンカが好きで、マリンカのことを愛おしく思ってくれているところがよかった。
みんな、愛情を受けて育っていくんだよね。
バーバとの別れだけが悲しくて、救いがほしかったな。
ロシア民話のバーバ・ヤーガを読みたくなりました。
ロシア民話集探してみよう。 -
Posted by ブクログ
コピー、ペーパーシリーズで名前をきく、スタンプブックスをはじめて手に取る。
欧米のYA小説が今でも好物なので、またスタンプブックスを読んでいきたいと思う。
読んですぐに、うわーやばいものを読み始めてしまった、と思った。
自分の長男次男とほぼ雰囲気が同じだったから。
長男はasdやADHDのわかりやすい子で、次男もグレー。私も夫もオタク気質でコミュ障家族だ。
次男(主人公)が、過去を回想して、このときはじめて僕は兄を恥ずかしいと思った。兄はみんなと違うと気づいた。というところで涙が止まらない。数年後、うちもこうなる可能性は大きい。
いじめの悲惨さは、日本もカナダも変わるところがない。
(スポーツ系の生徒がオタク隠キャを虐待してもよい風土があるのは同じだ。嫌すぎる。)
これを主人公が何度も何度も中断を重ねながら、やっと日記に記すところでまた涙。辛かったし、辛い記憶を書くことで呼び覚まされる苦しみと、少しの心の整理があったはず。よく頑張ったね。
カレンのところで泣くところで、もうこっちはティッシュ箱を抱えて読んだ。
苦しい。大人を頼ってくれたら、もっと早く助けてあげられたかもしれない。大人を頼っていいよ、ともっとメッセージを送っていないといけない。
過去を受け止め、自分と周囲を理解しながら、前を向くことのなんと難しいことだろう。
父も母も、新しい友達も、祖父母も、セラピストも、近所の人も、そして親しかったいじめ加害者の妹も。
いじめ加害者が妹には優しかった、という事実も。
誰もが苦しい中をなんとか生きている。
救いのあるラストが嬉しい。
元どおりにはならない。取り返しはつかない。
それでもみんなが主人公を助けてくれた。
残念ながら、日本ではこうはいかないだろう、とラストまで読んで、暗い気持ちにもなった。
加害者家族へのバッシングはこの比じゃないだろうし、日本の学校ではいじめの加害者を転校させる措置ではなく、いじめの被害者や家族が「くうきをよんで」転校していくのが実情じゃないだろうか。
いじめ、即、警察&弁護士!というアドバイスも聞くし、大人が大人として、悪いことはやめろ、と言える社会になりたい。
モデルとなったコロンバイン高校の銃乱射事件で加害者の母が本を書き、その本が広く受け入れられているアメリカは凄い。日本ならやはりバッシングの嵐で、そもそも出版できないだろう。伝統的な家族観にとらわれ、子供のことを監督できない親のくせに被害者ぶるな、と言われてしまうのを想像して私はまたお腹が痛くなりそう。あとさ、やっぱり、銃は良いことないね。こんな悲惨な事件が、しかもちょくちょく起きているというアメリカで早く銃を規制してほしいし、学校以外の選択肢も増えてほしい。いじめ野郎には大人から制裁や適切な教育が施されるのを祈る。 -
Posted by ブクログ
Reluctant = しぶしぶの、いやいやながらの
カナダはバンクーバー島の田舎町にくらしていたヘンリーの家族。
まだ、彼は12歳のちっぽけな弟だった。
兄さんが、自殺した。
ある事件と共に。
田舎町では噂がすぐに広まり、一家は嫌がらせにあい、都会へと越していく。
その上、母さんも、父さんも、ヘンリー自身も、みな追い詰められ、精神を病んでしまう。
母さんは実家の近くの精神病棟に入院。家族みんなが、兄さんの死を、誰かのせいだと理由を付けながら、それぞれに自分を責め続けている。。
ヘンリーは家族とも他人ともうまく言葉をかわすことができずに、ロボットボイスで話すようになり、セシル先生のカウンセリングを受けることになった。そしてこの奇妙なポニーテールの医師セシルから、日記を書いてみないかとノートを渡される。
それがこの、しぶしぶ日記だ。自分だけの思いをぶちまけている。
今日あったこと、過去に起きたことが、少しずつ記され、読者は事件のことを知る。
また、安アパートの風変わりな住人たちと、新しい学校のクイズオタクの友人たちと、少しずつ心を交わしてゆく事で、ヘンリーは思い出したくなかった兄さんとのことを日記に書けるようになり、少しづつ誰かに打ち明けはじめるのだ。
どんな事件を起こした加害者にも、家族があり、幼い兄弟がいる。また被害者でもあるのだ。
そんな重いテーマを、ヘンリーの好きなプロレスやクイズ、おかしな仲間たちとの生活と共に描かれている。
子どもたちの文学には、どんな辛いことがあっても、ユーモアと救い、両親以外の素敵な大人の存在があると、とてもいい。
素敵な日記だった。
-
Posted by ブクログ
ヘンリーの兄ジェシーは、父親の猟銃で自分を執拗にいじめていたスコットを撃ち殺し、自分も同じ銃で自殺した。残された家族は、地域の人たちから嫌がらせを受け、母親は精神科に入院、ヘンリーと父親は事件が知られていない町へ引っ越した。
ヘンリーはカウンセラーのセシルから、見せなくてもいいから日記を書くように勧められ、日記帳をもらう。新しい学校でヘンリーは友達を作らないと決めた。が、ちょっとオタクっぽいファーリーにクイズ研究会に連れていかれる。兄の事件を隠しながら、新しい学校での生活が始まる。
舞台はカナダだが、米国の高校の銃乱射事件を思い起こさせる。撃たれた方でなく、撃った方と残された家族。そして、その原因となるいじめ。思春期の男子の壮絶ないじめ。兄のジェシーもヘンリーも、最後に仕返しをすることになってしまうのだが、その状況は大きく違っていた。
衝撃的な事件の残された家族に目を向けた重たい話になりそうなところを、個性的な登場人物とユーモアで最後まで引っ張っていく。それでも、読み終わったときは涙と希望でいっぱいだった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレうーん。難民の話なので、楽しくはない。そして、私には読み難かった。2人の主人公、イギリス人のナタリーとアフリカのエトルリアから脱出したサミーの話が交互に描かれるのだが、構成が凝りすぎ?ていて、誰これ?これどっちの話?からスタートしてしまうため、なかなか入り込めず。そして小見出しの「⚪︎⚪︎日前」が表すゴールが、私の想像よりシビアだったので、ガッカリ。これが現実なんだろうね。
イギリス人の方がよっぽど暮らしが楽かと思いきやそうではないし、難民の人々が他国へ辿り着くまでのあまりにも壮絶な経験や、母を亡くしたナタリーと父を亡くしたサミーの肉親への思いなど、わかるんだけど、これでもかと描かれるとだんだん辛くなってきて、ため息。
印象には残る物語。世界には北朝鮮のような国がいくつも存在する事に暗澹とした。そしてそれを助けようとする人々がたくさんいる事にも感動した。どこの国にも外国人をバッシングする人々はいる事もよくわかった。