長友恵子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ電車で読んでたら、電車の中なのに泣いちゃった。
ラストでは大きな悲しみや、喪失感を受け止めたマリンカと家に
それ以上の希望や、可能性や、優しさが奇跡みたいに溢れてきてもう、最高でした。
じつは、ラストに行くまでは、何度も主人公のマリンカのことを、嫌いだなーと思っていました。
だからか、文字も目が滑って集中して読めなくて何度も何度ももどって読み返したりして。
わたしにはこの本、合わなかったかも。って思いながら読んでたんですけどね。
平和な日々の描写から、中盤あたりで、物語の殆どは大きな悲しみと喪失と、何をやってもうまくいかない苛立ちのシーンでね。
でも、途中でヤーガオババが出てきたあたりから物語がうんと優しくなる。初めてパーティにいくところくらいから、夢中でよめました。
終盤は結構没入していたとおもいます。
ベンジャミンもとてもいい子でよかった。
最後は、マリンカが望んでいた結末ではなかったけど幸せいっぱいの気持ちになれました。
生きている家族を失う時は必ず訪れますが、そのとき後悔しないように、大切にしたいなと思います。感謝忘れない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ凄く引き込まれて1日で一気読みしてしまった。加害者家族の苦悩や葛藤がよく描かれている作品でした。途中兄のジェシーがいじめに遭うシーンはリアリティがすごくて辛かったけど、だからこそその場面に居合わせながら何もできなかった弟のヘンリーの葛藤がより鮮明に描かれていたと思う。隣人や友人など皆、個性豊かなキャラクターが出てきて、それぞれの人がヘンリーに影響を与えていく様が心をほっこりとさせてくれた。涙なしには読みきれない作品だった。カナダに留学していたのでところどころでてくるお店やテレビ番組の名前が懐かしさも与えてくれて、読んでいて没入できた。
是非、ティーンだけでなくて、大人にもおすすめしたい一作です。 -
Posted by ブクログ
これほど読むのが辛かった本はなかったかも知れません。途中まではこの本を読み始めたこと、購入したこと、存在を知ったことを後悔しながら読んでいました。ですが、手に取った以上最後まで読むしかないという覚悟は消えませんでした。雰囲気が少し変わってきたのはカレンとのエレベーターの中での会話から。そして4月10日以降は涙なしには読むことが出来ませんでした。
いじめは犯罪です。加害者は処罰されて当然です。学校のいじめであれば、発覚したら有無を言わさず加害者を転校させるべきです。フランスでは既にそうなっていると聞きます。子供の命より教師の保身が優先する日本で教育を受けさせる事はリスクでしかありません。お子さんのいるご家庭は就学期間中日本を離れることも選択肢のひとつだと思います。 -
Posted by ブクログ
4ヶ月前に父と二人だけでバンクーバーに引っ越してきた13歳(8年生/中学1年)のヘンリー。赤毛にそばかすがあって、低身長で太めなことを気にしていた。学校ではオタクでいじめられている中国系のファーリーと親しくなっていったが、極力目立たないよう、いじめの標的にならないように気をつけていた。
ヘンリーには2つ半年上の兄ジェシーがいて、中学入学直後に悪目立ちしたことから2年間ずっとひどくいじめられていた。そして、ヘンリーも一緒にいたときひどいいじめに遭ったことを契機に、父親のライフルでいじめの首謀者を殺し、自殺してしまった。それ以来、被害者家族は加害者家族となり、関係者のみならず地域の人たちからも嫌がらせを受けるようになった。母方の祖父母の家に身を寄せているときに父親はバンクーバーへの引っ越しを決意し、母親は同行しないことを事を決め、精神病院に入院したのだ。
ヘンリーとファーリーは共通の関心事であるプロレスを見に行くために協力してお金を稼ぐことにした。ヘンリーはそのイベントに入院中の母親をサプライズで招待して、険悪になっていた両親の仲を取り持とうと考える。
ところが、母親はヘンリーたちのもとへ行くことを拒み、ファーリーは稼いだお金を奪われてしまった。
恐ろしい秘密が明かされることを恐れ、そのために人と馴染むことを避けていた家族が、周囲の人々を理解しながら、支え合い、癒やし合っていく過程を、ヘンリーの日記を通して描く物語。
******* ここからはネタバレ *******
意外と珍しい、カナダ人作家によるカナダを舞台にした物語です。
13歳のヘンリーはとてもたいへんな状況に置かれています。
いじめの被害者だった兄ジェシーがいじめっ子(ヘンリーの親友ジョディの兄)を殺して自殺してしまったために両親とともに、加害者家族としてひどい扱いを受けました。
これだけで充分耐え難いできごとなのに、両親の不仲と離別もついてきました。
母親は銃の持ち主だった父親を責め、精神を病んで入院してしまい、ヘンリーは父親とふたり、誰も知らないバンクーバーに引っ越します。
さらに、父親は同じアパートに住むカレンと親密になり秘密を明かしてしまいます。
転校先では極力目立たないように気をつけていましたが、オタクでいじめられっ子のファーリーが近づいてきてクイズ研究会のチームにしつこく勧誘して来ます。それを鬱陶しくも感じますが、ふたりともプロレス好きなこともあって親しくなっていきます。
学校のビン・カンゴミを収集して得たお金で母も一緒にプロレス観戦に行こうと計画していたのに、母親は動こうとしないし、お金もいじめっ子のトロイに奪われてしまいます。
「加害者家族」というだけで、周囲からすべての怒りの矛先を向けられた家族の苦悩。
でも結局癒やしも周囲からやってくるんです。
一見イケてないファーリーは、お金持ちでも実は寂しい生活を送っていて、友だち思いのとってもいいヤツでした。
おせっかいな隣人アタパトゥさんは、実はヘンリー家族の悲劇を知った上で陰ながら支援してくれていました。
ケバいカレンでさえ、同様の痛みを知っていて、それを分かち合おうとしてくれていました。
ジェシーが殺したスコットの妹、ヘンリーの親友ジョディも、ヘンリーのことをずっと気にかけていました。
自分は事件の被害者だと思っていたヘンリーが、ファーリーの家を訪れた際に自分の恵まれていることに気づいていく部分がとってもいいです。
それと、アタパトゥさんが地味にいい味出していますね。
ラストでヘンリーが暴行を受けたことによって、母も同居するようになり、アタパトゥさんがお金を出してくれてみんなでプロレスも見に行けて、事件がバレてもみんな徐々に理解を示して/無関心になってくれて、いじめっ子のトロイも転校させて……と、うまく行き過ぎ感もありますが、それまでの部分がたいへんすぎたのでいいんじゃないでしょうか。
厳しい内容と、性的表現ではないけどシモネタ用語が書かれているので、中学生以上におすすめします。 -
Posted by ブクログ
途中までは、まわりのあらゆるものに不満をぶつけ、送られている愛に気づかず、自分勝手にふるまう主人公のマリンカにだいぶイライラしながら読み進めていたのだけど、まあ、そうは言っても12歳だしなあ……自分の運命が決められていて、家からも出られないとなったらそりゃあ憤りも憤懣もたまるか、とも思い。
生と死のあわいにいるヤーガと、走る家の設定がユニーク。
境目が溶けていくことで、読者も、死に対しては心のなぐさめを感じ、生に対してはきらきらした喜びを感じとることができる。
そんなことがはっきりと言葉で(お説教っぽく)描かれているわけではなく、自然と伝わってくるのがすばらしいなと。
家もかわいいし、カラスのジャックやヒツジのベンジ、友だちのベンジャミンなど、周囲をとりまく人や動物たちもよかった。 -
Posted by ブクログ
13歳のヘンリーがカウンセラーにすすめられて
「しぶしぶ」書き始めた日記。
こんな日記に意味はない…。
ヘンリーはそう思いながらも、
嫌な日常を「ぶちまけ」ていく。
そうして物語は
ヘンリーの身の回りに何が「起こっているのか」
何が「起こった」のか、ヘンリーの心の変化を通して明かされていく。
ヘンリーには仲の良い兄、ジェシーがいた。
でもある時ジェシーが起こしが事件がきっかけで
家族はバラバラ。
ヘンリーは心の傷と過去に蓋をして
周囲をシャットダウンして生きていた。
ところが
新しい学校では無理やりサークルに誘われたり、
家ではご近所さんがおすそ分けや世話焼きをしてくれて、ヘンリーを一人にさせてはくれない。
カウンセラーは最悪だし
ご近所さんは鬱陶しいし
友達とも面倒なことで関わりたくない
嫌なことばかり
だけど
本当はクイズとプロレスが好き
友たちをちょっと可愛いと思ってる
自分のカウンセラーは他よりましかも
ご近所さんとの夕食は最高だった
一つ一つの人とのかかわりの中で
ヘンリーの心が少しずつ癒されていく。
日記で進んでいく物語は
まるで自分のことのように感じられ、
最後までヘンリーと共に
細やかに心を動かして読んでいった。
お母さんとの再会して最悪だった時の日記が
「一つ」「一つ」…と何とか書き記していたところ。
ファーリーとの関係性が変化いくところ。
ファーリーの家へ遊びに行ったあとやカレンの身の上話を聞いた後、ヘンリーの世界観がガラリと変わるところ。
とても細かいところだけれど、心の描かれ方が好きだった。
「今日はとてもいい一日だった。でも、明日はそれほどいい一日じゃないかもしれない。…でも、人生がこのまま続くってことも、ぼくはわかっている。…セシルから新しい日記帳をもらおう。」
胸が熱くなり、生きる力をもらった一冊。 -
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これ程重いテーマを、ユーモアを交えながら読ませてしまう描き方に感心した。
事件の加害者や自殺で残された家族の想いはどれ程のものか、至らない想像でさえ胸が張り裂けそうになる。
いじめから始まった出来事が、たくさんの人に傷を与え、人生を変えてしまう。
事件が起きた時、世論は被害者の家族の悲しみに寄り添うのと同じように、加害者の家族の悲しみに寄り添っているだろうか。たとえ子どもでも加害者の家族であれば、誹謗中傷の矢面に立たされてしまうのだ。
兄の起こした事件の後、13才のヘンリーと父親は、誰も知らない場所でひっそり暮らしている。
ヘンリーが綴る日記を通して、事件の真相が徐々に明らかになり、ヘンリーの心の傷が痛いほど伝わってくる。
悲しみだけでなく、兄に対する憎しみ、それを感じてしまう自分への憎しみも。「あなたのせいじゃない」と周りが言っても、自分で納得するまでには時間がかかるのだろう。
「抱えて生きていく方法を学ぶことはできる」そうアドバイスをしてくれた隣人。寄りによってくれた友だち。
人を傷つけるのも人だが、救うのも癒すのも人なのだと、ラストはしみじみ嬉しかった。 -
Posted by ブクログ
岩波YAシリーズ「STAMP BOOKS」の一冊。
前に読んだ『タフィー』と同じく横書きの詩形式で書かれています。キーワードを使い物語がクロスする手法に最初は戸惑いましたが、慣れると映像が目の前に浮かんできました。
難民支援のためドーバー海峡横断泳に挑むナタリーと、独裁国家エリトリアを逃れ、命がけでイギリスをめざすサミー。引き寄せ合う双子星のような二人がどうなるのか、最後まで目が離せませんでした。
ゴムボートに乗り何日も暗い海を漂う。
やっとたどり着いた収容施設の外でアルミシートにくるまれながら真っ黒な雲を見上げる。
難民の人たちの恐怖と不安は計り知れない。
もし、難民認定されなければ母国に強制送還されることもある。希望か絶望か…波のように揺れる心情が詩で見事に表現されていました。
「THE CROSSING」の日本語訳は、
「僕たちは星屑でできている」
同じ地球にサミーのような少年、少女たちがいることを忘れないで…と祈りのような思いが伝わってきました。
僕たちは星屑でできている
どんなに闇が深くなろうとも
空には星が輝いている
夜空の星を見上げよう
僕たちみんな つながっている
僕たちみんな 同じ星屑でできている
☆4.5
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Posted by ブクログ
翻訳者さんの朗読会に行く機会があり、購入&一気読み。
言葉の美しさがあり 朗読でここまで 生命力に溢れて物語が届けられるんだと感動した。
難民となった少年サミーの運命と、イギリスの高校生ナタリーの運命。
絶対的な生命の危機と尊厳の破壊に接しているサミーと、相対的なじりじりゆっくりと困窮や家族の危機に追い詰められるナタリー。
常に2人の状況は クロスしながら 読者に問いかける。
それぞれの苦しみがある。
サミーだけでは辛すぎる。クロスしながら、ナタリーの物語があることで、どこか苦しみ 一辺倒にならない物語がある。
難民の物語。その背景にある戦争や、理不尽な暴力やそこからもたらされる絶望は物語 であっても。 本来であれば、読むだけで 読者としても傷ついてしまうと思う。
しかしこのストーリーは、ナタリーの物語が 寄せては返す波のように 常にサミー の物語に寄り添っていることで読んでいてどこか慰められるような気持ちになる。
物語は クロスする。サミーの話は 別の世界の遠い世界のかわいそうな人の物語ではない。
世界はクロスしていて僕たちは同じ星の星屑で、互いの苦しみは 他人事ではなく。そのことがもたらすものの力をずっと考えさせられた。