エンゲルスのレビュー一覧
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「そして貨幣はあたかも人間や商品の価値を決定する神のようにふるまい始める」
貨幣の成り立ち、資本主義が生み出す経済的格差、経済発展、商品付加価値の向上および景気サイクル。
このような金と資本主義の原点を見直す事が出来る一冊。
漫画と侮るなかれ、だと思う。
資産バブルとは違う、実態経済の過熱を資本主義が引き起こすということは致し方ないことであり、逆回転後の批判もあるかとは思うが、その競争課程で生まれた商品の高付加価値化を無視しての主張は受け入れがたい。
公平だとか維持だとかそんな「安定」はあり得ないと思う。
参加者は「人間」なのだから。
個性があるかぎりそれを理想として動くのは無理がある。
本書はシンプルなだけに、ポストサブプライムを生きる上で非常に考えさせる一冊。 -
Posted by ブクログ
前作よりは解説面で一歩踏み込んだ内容に。なんとなく感じてはいたけど、漫画じゃなかったら手に取らなかったと思う。
【概要】
資本主義社会とは、「資本」が利益を生み出すシステムのこと。利益=「剰余価値」、つまり労働力から生み出される付加価値のこと。(10万円で15万円分の価値を生み出したりね。)
資本家は剰余価値をより多く得ることを目的とする。
企業はより多くの剰余価値を生むため、技術革新を進めるが、ここに矛盾点が存在する。
剰余価値は機械からは生まれない。不変資本である機械は投資額以上の価値を生み出せない。可変資本である労働力からしか生み出せない。
それでも企業は競争に勝つために機械を増やす→労働者の負担が減る→人件費が減る→(資本家の利益は増す)→更なる技術革新に充てる→労働力の価値は更に減少→… -
Posted by ブクログ
『共産党宣言』は、人類の歴史を支配階級と被支配階級との階級闘争の歴史として捉えた書物である。マルクスは、封建社会から資本主義社会への移行によって経済は発展した一方、生産手段を所有する資本家と、それを持たない労働者との間に搾取の構造が存在すると分析した。そして、その原因を生産手段の私的所有に求め、これを廃して階級のない社会を実現すべきだと主張した。これが本書の核心である。
では、なぜマルクスが描いた共産主義社会は実現されなかったのか。その理由は、大きく二つある。一つは、資本主義が労働運動や民主化の進展を受け、労働環境の改善や社会保障制度の整備などを進めたことだ。その結果、資本主義はマルクスが想定した19世紀の姿から変化し、革命を求める機運が弱まっていった。
もう一つは、社会主義国家の実践において、マルクスが想定した労働者階級による社会運営が行われなかったことだ。実際には共産党官僚に権力が集中し、新たな支配階級が形成された。特にソ連では、この権力集中により、マルクスが理想とした共産主義社会には到達しなかった。
しかし、資本主義にも多くの課題が残されている。資本主義は経済成長を通じて社会の発展をもたらしてきた一方で、資源や環境に限界がある現代社会では、そのあり方や持続可能性が問われている。近年、SDGsや脱成長といった考え方が注目されている。本書は、資本主義の問題点を指摘するだけでなく、より良い社会のあり方について考えるきっかけを与えてくれると感じた。 -
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-資本主義的蓄積は、その不変資本(生産設備等)と可変資本(労働)への分配を恣意的にすることによって、ますます支配する資本家と支配される労働者の立場を固定する(人件費削減)
-労働者の生み出す剰余価値は、富として資本家に蓄積され、また地代や租税として地主や国家に吸い上げられる、という三層構造である
-資本主義的生産の歴史は、宗教改革による教会所領の掠奪、封建社会の終焉、自由農民層の崩壊と都市工業への賃金労働者としての供給、という仮定で築かれた。
-帝国主義は、自国内で国民から土地を奪い、植民地では現地人から土地を奪って、さらに保護貿易によって利殖する
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第三分冊は、内容が加速して盛り沢山であるが、ざっくりとまとめると上記の内容である。
この巻の中ほどは、イギリスの賃金労働者層の窮状の細かな描写に紙幅が割かれ、当時の様子が手に取るように分かる。
同時に、当時の実地の経済データの膨大な提示から、マルクスが決して純粋に理論のためにこの『資本論』を書いたのではないことがよくわかる。
「資本論は“経済学批判”の書であり、そこから何故マルクス経済“学”が生まれたのかは、歴史の謎」という、熊野純彦氏の言葉に至極納得する。
産業構造の変化や資本家間での競争原理は決して個々の資本家の選択ではなく、
むしろ資本家も、やがて資本家同士の掠奪により、さらに少数に絞り込まれ他は滅ぼされる。
第二分冊でも感じたが、マルクスは資本家も、労働者を支配する側として批判するよりむしろ、自身の欲望から救われるべき存在としているように見えることもある。
ということは、帝国主義的国家の批判へと展開するのだろうか。
ますます盛り上がってきた。 -
Posted by ブクログ
第二分冊。
手工業の機械化、労働及び機械の資本化、労働の単純化、という過程の中、
資本家は、剰余価値を吸い上げるため、絶え間なく労働の時間若しくは強度の増加を迫る。
その中で労働者の保護と待遇改善を目的としたはずの工場法だが、図らずもさらなる機械化と労働者の雇用数減を推進し、小規模工場を駆逐して大規模工場資本の独占的支配権を高める。
要約すると、以上の過程をこの第二分冊で説明している。
産業革命による動力および手工業の機械化と、機会の資本化が、労働者を労働に留まらせて奴隷化する、という構図がわかりやすい。
詳細な論述の合間に、当時の主にイギリスにおける統計や、古代~中世の哲学も挟んでいるので、重厚かつ長大であるが、第一分冊に引き続き議論は明確でわかりやすい。
例として挙げられる産業が、繊維被服や家具などシンプルなものであるのは当時を思わせる。
消費財を購入するために消費財を生産して財貨を稼ぐ、という労働者のサイクルが手に取るように分かった。
機械化が労働者の負担軽減や危険除去のために使われるなら素晴らしいが、残念ながら実際は、労働者を駆逐してコストダウンすることの方がより強い動機となってしまう。
人間はテクノロジーを使うのではなくテクノロジーに
使われるもの、と言うのは、いつの時代も変わらない。
「以前のすべての生産様式の技術的基礎は、本質的に保守的だったのであるが、近代工業の技術的基礎は革命的である」(p506)
とおっしゃるとおり。
・労働者にとって労働時間は、マルクスが言うほど完全な不幸なのか?
・機械化や近代化がもたらした大量生産と物質的窮乏からの脱却は、資本というより市場の要求の面が強いのでは?
・資本主義が引き起こす農村と都市の対立を議論しても、近現代より中世的な生活の方が良かった、とは決して言えないのでは?
など、疑問も色々湧いてくる。
今後の展開を楽しみに見ていきたい。 -
Posted by ブクログ
大学生になりたての時分、君たちは資本主義社会に生きながら資本論も読んでないなんて!と教授に焚きつけられてはや十年あまり、労働者としての経験を積んで中間管理職となり、いよいよこれは読まないとまずいぞと思い手にとる。これだけ記号消費の時代にあっていまやマルクスの論だけで全てを説明できようとは思わないけれど、生産に費やされた労働力が価値を決めるという考え方が、労働者の価値をその維持と再生産に必要なコストにもとめる考えに行き着くのはなんともいえない悲哀があってぐっとくる。交換価値と使用価値を区別したうえで、ではなぜ等価交換のなかから資産が生まれてくるのかという問いに展開していくのがたのしい。交換においては使用価値の点では双方に利得する、というのは忘れがち。熊野純彦が入門書でも強調していたように確かに空間と時間の話がかなり出てくるけれど、それに関してはやっぱりだからなんだと思うことしかできなかった。
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Posted by ブクログ
「経済学批判の書であるマルクスの『資本論』から、何故マルクス経済学が誕生したかは、歴史の謎です」
「天上の批判を経由し地上の批判を貫徹した結果、この地上になお天上の論理が働いていることを明らかにする、宗教批判の継続」
いつか読もうと思っていたマルクスの大著。
上述の熊野純彦氏の言葉を聞いてやっと読み始めた。
岩波文庫全9巻というボリュームは一年くらいかかると覚悟したが、思いのほか読みやすく、一年は要らなそう。
第一巻の読みどころ:
━私的労働の生産物は、それ自身独立したもののように見える。これを「物神崇拝」と名付ける
━交換の中で最初の価値を超えて与えられるものを「剰余価値」と呼ぶ
━使用価値と交換価値は別のもので、混同されてはならない
マルクスは詩人になりたかったそうだが、ところどころでその片鱗を見せる。
「鹿が新鮮な水辺をしたい鳴くように人は貨幣をもとめ叫ぶ」という比喩や、
交換過程の例の最後にいつも聖書を買うところなど、
くすりと笑ってしまった。 -
Posted by ブクログ
ドイツ語を直訳した本なので、とにかく文章が難解で読みづらい。資本論が要約されたり、解説本が出る意味がよくわかった。
自分で読むときに図にしたり、実際に要約して書くなど工夫することで理解を深めることができた。
一番考えさせられたのは労働についてである。普通に学校に行って、社会に出て働いてるだけでは考えられない、考えつくこともない境地がこの本にある。この社会で搾取され続けないためには、資本論を読み、自分たちの労働とは何か、企業はどのようにして利益を産んでいるのかを考えることが大事なのではないかと思った。
難しいけど、読む価値が大いにある。まさに価値そのものである。 -
Posted by ブクログ
9冊全部読み終えて感じるのは、これはただの経済書でない。哲学書、文学にもなる一挙両得の必読書。マルクスが残した資料から2巻以降親友のエンゲルスが編集して出版したのは凄い。当時若者が麻薬のように吸い付けられた異様な魅力を今も感じる。昔は本を読むのはファッションの要素もあったのだろう。補足の資料を読むのが面白い。スイスの時計産業の記載は特に面白い。子供が長時間働くのが資本主義では当然だったことを資料で分かる。ただ全部読むのは長いので読み切るための工夫が必要。いつも携帯できる文庫はありがたい。これ読める人は根気と得体の知れないものを知りたい人向き。ロシアがソビエトになったきっかけの本。国を作った実行の思想と考えると、当時の抑圧されていた若者が狂ったように取り憑かれた発刊禁止の書は魅力的なファッションとも言えるパッションの書です。
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Posted by ブクログ
共産党宣言
著:K・マルクス
著:フリードリヒ・エンゲルス
訳:大内 兵衛
岩波文庫 白124-5
1848年フランスの2月革命、オーストリア、プロイセンの3月革命をはじめ、ヨーロッパは諸国民の春と呼ばれる、「1848年革命」という転機を迎えていた それは、ヨーロッパをナポレオン以前に戻そうとする、ウィーン体制が崩壊した年でもあった。
2人のドイツ人である、マルクスとエンゲルスが、同年に発したのが、本書である、「共産党宣言」である
当時も産業革命を背景として、強欲な資本主義があって、その対極に、共産主義という概念が生じた
いわゆる二元論的な世界である
これまでは、ブルジョアが握っていた、社会資本を、共有化して、貧富のない世界にするというのが、本旨である そして、そのために、ブルジョアから政権を、プロレタリアが奪還するという革命の宣言なのである
気になったのは、以下です
■ブルジョアとプロレタリア
・今日までのあらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史である
・ブルジョア社会はいきなりできたのではない
・農奴⇒城外市民⇒大航海時代⇒マニファクチャラー⇒近代ブルジョア社会
・近代ブルジョアとは、封建社会の崩壊と産業革命が生み出した新しい支配層であることをいっている
・封建社会においては、圧迫された身分であり、自由都市にあっては、武装し、自治をもった組合をなした
・独立した都市共和国は、農村を取り込んで巨大化し、近代的代議士制国家を築く
・近代的国家権力とは、全ブルジョア階級の共通の事務をつかさどる委員会にすぎないといっている
・ブルジョアは、医師、法律家、僧侶らを特権階級から単なる賃金労働者に変えた
・これまでは変わることがなかった社会について、生産のたえまない変革、あらゆる社会状態のやむことのない動揺 永遠の不安定と運動が、ブルジョア社会の特徴である
・ブルジョア階級は封建制を打ち倒すのに用いた武器は、いまやブルジョア階級自身に向けられる
・それは、近代労働者の階級をいう
・機械の拡張、分業などで、労働者にとって機械の単なる付属物となったといっている 単純で、単調な、だれでも習得できるこつを要求されるだけになった
・全国に分散されている労働者が結集したものがプロレタリアである
・プロレタリアは、ブルジョアに対立する、ほんとうに革命的な階級である
■プロレタリアと共産主義者
・共産主義者の目的とは
①プロレタリア階級の形成
②プルジョア支配の打倒
③プロレタリア階級による政治権力の奪取
・私有財産の廃止をしようとするも、10人に9人については、既に廃止されているのだ
・個人的財産がブロジョア的資産に転化し得なくなる瞬間から、個人が廃止されたとみなされる
・労働者革命の第1歩は、プロレタリア階級を支配階級まで高めること、民主主義を闘いとること
・変革への手段
①土地収用を収奪し、地代を国家支出に振り分ける
②強度の累進税
③相続税の廃止
④すべての亡命者および反逆者の財産の没収
⑤国家資本および排他的独占をもつ国立銀行によって、信用を国家の手に集中する
⑥すべての運輸機関を国家の手に集中する
⑦国有工場、生産用具の増加、共同計画による土地の耕地化と改良
⑧すべての人々に対する平等な労働強制、産業軍の編成
⑨農業と工業の経営を結合し、都市と農村との対立を次第に除く
⑩すべての自動の公共的無償教育、児童の工場労働の撤廃
■社会主義的及び共産主義的文献
・封建的社会主義
・小市民的社会主義 小市民層 プロレタリアとブルジョアの間の階級層
・ドイツの社会主義、または、「真正」社会主義 フランス人の主張の下に哲学的空語をさしこむこと
・保守的社会主義 ブルジョアによる改良
・批判的・空想的社会主義 プロレタリア階級未発達時に現れる
■種々の反対党に対する共産主義者の立場
・共産主義者は、労働者階級の直接当面する目的や利益を達成するために闘う
フランス 保守的、急進的ブルジョア階級に反対して、社会主義、民主党に結びついている
スイス 急進派を支持する
ポーランド 農業革命こそ、国民的解放の条件
ドイツ ブルジョア階級が革命的に振舞うかぎり、共同して、絶対王制、封建的土地所有、小市民派と闘う
・共産主義者は、どこにおいても、現存の社会的ならびに政治的状態に反対するあらゆる革命運動を支持する
・これまでのいっさいの社会秩序を強力的に転覆することによってのみ、自己の目的が達成される
結論 万国のプロレタリア団結せよ
目次
ドイツ語版への序文
一八七二年(マルクス・エンゲルス)
一八八三年(エンゲルス)
一八九〇年(エンゲルス)—— 一八八二年ロシア語版への序文(マルクス・エンゲルス)を含む
英語版への序文(一八八八年 エンゲルス)
ポーランド語版への序文(一八九二年 エンゲルス)
イタリー語版への序文(一八九三年 エンゲルス)
共産党宣言
第一章 ブルジョアとプロレタリア
第二章 プロレタリアと共産主義者
第三章 社会主義的および共産主義的文献
第四章 種々の反対党に対する共産主義者の立場
校 註
一八八八年英語版との対照
解 説
ISBN:9784003412459
出版社:岩波書店
判型:文庫
ページ数:116ページ
定価:570円(本体)
1951年12月10日第1刷
2007年04月05日第86刷改版発行 -
Posted by ブクログ
本書を読むと、資本主義社会は人の欲望を悉く見える化し、それにより社会の変化や発展を急激に加速させたのだということがよく分かる。この分冊では、(主に工場における)劣悪な環境を生々しく描くことにより、資本の持つ残虐さを自分たちに伝えてくる。(もちろんそれは、急激な変化に対して試行錯誤する社会、という一面もあり、全てが全て資本のせいだとは言えないのだけども。)
本分冊を読んで最も感じたのは「技術の発展・機械の導入によって、自分達の仕事がどんどんなくなっていく」という認識は誤りだということだ。本書を読んで、仕事はなくなっていくのではなく「誰でもできるもの」になってしまったのだと分かった。つまり、機械の導入は私達の仕事を減らすのではなく、その姿を変え、敷居を下げ、私達でない誰かに仕事の主体を移すに過ぎないということだ。
現代社会でいえば、その「誰か」は最早人ではなく、AIということになってくるのだろうか。そしてそんな社会が完成したとき、自分達はAIに情報を垂れ流すだけの、個と乖離した1つの「データ」にすぎなくなってしまうのだろうか。資本論が描いたものと違う時代にあるとはいえ、その変わらない性格が現代社会にどう作用していくのだろう、ということはこれから勉強していきたいし、考えながら生きていきたい。 -
Posted by ブクログ
読みたいと思いながら長年躊躇してきた資本論をついに読んだ。まだ1巻だけで、9巻もあると思うと心が折れそうだが、時間をかけても読破したいと思う。
正直もっと硬い本だと身構えていて、確かに古い訳でもあってかなり硬いのだが、資本主義について、マルクスおじさんが分析したことを熱く語っている、その語り口調はなんとなく面白くてばーっと読むことができた。マルクスおじの言っていることはいま読んでもかなり正しいと思える。これだけ資本主義の現実というもの、資本家優位でそれに労働者が鞭打たれている現状を淡々と語られると、これに影響されて社会主義活動を進めた人たちの気持ちがよく分かる。(マルクスおじさんは決して資本主義を倒して社会主義を推し進めろと言っている訳じゃなく、純粋な資本主義の分析をしていただけだそうだが)
そもそも人間社会の営みというものは、全て神話から成り立っている。虚構を信じるという能力はサピエンスのみが得られた能力であり、それがなければ150人までしか社会を形成できないそうだ。(サピエンス全史より)
古来から、ギリシャ神話を信じて協力したり、キリスト教、儒教、仏教、ブシドー、ロマン主義、律法、そして国の発行する貨幣を信じた資本主義経済を信じて人々は協力しあって社会を形成している。いずれも自然界に実存する制度ではなく、人間が作り出した虚構で神話である。そして、いずれにも格差が生じ、甘い蜜を吸う人間が現れる。それでも人々が協力し合うのは、その神話を信じているからであり、誰も信じなくなって仕舞えば人間は協力することができなくなる。しかしいまさら土人に帰ることは不可能なので、別の神話に取って代わられることになる。資本主義という神話の虚構、その洗脳を完全に解いてしまったのがマルクスだった。そのせいで協力できなくなった人間たちが別のイデオロギーを掲げたが、資本主義社会の強大さには勝てなかった。人間には何らかの神話が必要なんだなぁ。 -
Posted by ブクログ
資本主義社会の分析を目指し、その最も根本的な要素である「商品」や「価値」についての考察がされている。
私のような、マルクスの考え方に慣れていない人間にとっては、理解に時間がかかると思うが、根本的であるが故に、「よく考えたら当たり前じゃん!確かにそうだ!」となる内容が多い。マルクスの熱い表現(小説のような、あるいは、居酒屋でくだをまくオッチャンのような)は好き嫌いが分かれると思う。
本の内容については、この後の2分冊目以降を読めば理解が深まる(と思いたい)が、私がこの本から得た視点を感じたことがあった。
この本を読んだ直後、ある政治家の「同性愛者は生産性がない」という発言が物議を醸したのだが、これはマルクス的にいえば人を再生産前提の「労働力」として見たときの「交換価値」にのみ着目したときの考え方だなぁ、と感じた。現実には、人にはそれ以外の側面がたくさんあるはずなのだが、マルクスが資本に感じている冷血的な視点で見たからこそ出てしまった発言なのかな、と捉えることができた。