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マルクスが自ら生涯の事業と呼んだ『資本論』。レーニンが“現世紀最大の政治経済学上の著作”と呼んだように、近代資本主義社会の経済的運動法則を徹底的に究明して、経済学を“革命”し、また人間社会に対する見解に完全な変革をもたらして、社会主義を科学的軌道に乗せた不朽の名著。ディーツ版による改訳。
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Posted by ブクログ
-資本主義的蓄積は、その不変資本(生産設備等)と可変資本(労働)への分配を恣意的にすることによって、ますます支配する資本家と支配される労働者の立場を固定する(人件費削減) -労働者の生み出す剰余価値は、富として資本家に蓄積され、また地代や租税として地主や国家に吸い上げられる、という三層構造である ...続きを読む -資本主義的生産の歴史は、宗教改革による教会所領の掠奪、封建社会の終焉、自由農民層の崩壊と都市工業への賃金労働者としての供給、という仮定で築かれた。 -帝国主義は、自国内で国民から土地を奪い、植民地では現地人から土地を奪って、さらに保護貿易によって利殖する --------------- 第三分冊は、内容が加速して盛り沢山であるが、ざっくりとまとめると上記の内容である。 この巻の中ほどは、イギリスの賃金労働者層の窮状の細かな描写に紙幅が割かれ、当時の様子が手に取るように分かる。 同時に、当時の実地の経済データの膨大な提示から、マルクスが決して純粋に理論のためにこの『資本論』を書いたのではないことがよくわかる。 「資本論は“経済学批判”の書であり、そこから何故マルクス経済“学”が生まれたのかは、歴史の謎」という、熊野純彦氏の言葉に至極納得する。 産業構造の変化や資本家間での競争原理は決して個々の資本家の選択ではなく、 むしろ資本家も、やがて資本家同士の掠奪により、さらに少数に絞り込まれ他は滅ぼされる。 第二分冊でも感じたが、マルクスは資本家も、労働者を支配する側として批判するよりむしろ、自身の欲望から救われるべき存在としているように見えることもある。 ということは、帝国主義的国家の批判へと展開するのだろうか。 ますます盛り上がってきた。
資本論 3/9 剰余価値とは何か、剰余価値を引き上げるものは何か が前半のポイント。 「剰余価値(増殖する資本)は 資本家が支払わない労賃」と定義。強い表現に感じる。資本主義システムの中に 剰余労働を じかに引き出すよう 組み込まれている 労働者だけでなく、国家をも 黙らせている という点で、...続きを読む資本主義システムの強大さ、労働者の無力さ に 驚く
剰余価値と労働力の価格の関係 労働賃金の決定法 剰余価値が資本に変換される過程 一般的な資本蓄積の法則 本源的蓄積の解説
資本論のつづき。マルクス自身が生前に発表した部分はこの巻でおわる。剰余価値の生産、労働賃金、資本の蓄積價値、資本主義的蓄積の一般的法則、本源的蓄積、近代植民理論が語られている。時間給と出来高賃金の併用や、資本家の節欲説に対する批判、資本主義的生産がつねにフリータなどの相対的過剰人口を生みだすこと。歴...続きを読む史上どのように資本家が登場し、アメリカやオーストラリアなどの植民地では、資本主義的生産が役に立たない状態であったかが説かれる。なかでも蓄積の一般的法則を地域別に例解した部分や、資本家をうみだした十五世紀以来の血の立法の部分、(とくに労働者の団結が重罪であったこと)などは大変リアルで興味深い。資本論は資本主義の分析をした書物であるが、第24章の最後には共産党宣言と共通する歴史の必然、「民衆による少数の簒奪者の収奪」が説かれており、マルクスと共産主義を明確に分離することはやはり難しいと思わせる。ともあれ、資本主義は恐ろしいシステムであり、「利潤が100%ならば、人間の定めた一切の法律を踏みにじり」「300%ならば、断頭台の危険を賭してでも、資本が冒険しない犯罪はない」(p412)ものである。したがって、資本については何らかの制御が必要なのであるが、人民の代表である政府が弱くなり、「小さな政府」となれば、資本がむちゃをするのは目に見えている。新保守主義の危険を認識する意味でも、資本論は今も意味をもつといえるだろう。資本はそんなにお人好しではないのである。
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