大内兵衛の一覧
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ユーザーレビュー
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社会主義、共産主義についての超有名な古典らしい。
当時の各国の政治、経済、社会情勢を知ってないと理解できないことが多いものの、ブルジョア階級とプロレタリア階級の間の闘争など、抽象的な記述については現代にも通ずるところがあるように思う。現代日本はどのような状態にあるのか、アメリカほとではないが格差が生
...続きを読むまれているということは自由資本主義の弊害であるのか。マルクス、レーニンの掲げた理想的な共産主義をもっと知りたいと思わせる一冊。
Posted by ブクログ
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題の通り、当時の共産主義の理論と実践が記述されている。現代で共産主義というとイデオロギー的な他意を含みがちであるが、本書ではその根幹を成すロジックに触れることができる。
ありがちな誤解として一切の財産の私有の廃棄というものがあるが、本書ではそれは明確に否定されている。本書で述べられているのはあくま
...続きを読むで生産手段たる資本の共有財産化であり、それはプロレタリアが元々所有していない、所有できないものを指している。また同時に、相続も資本の拡大と階級間の対立を助長するものにすぎないことから、これも否定している。
これらの原則は、突飛で理解に苦しむような類の思想というよりはむしろ、現代の価値観に照らしても妥当なもののようにも感じられる。多く働いた者、能力の高い者は社会への貢献も大きいことから高い報酬を得ることは正当化されるし、また同時に、この報酬が人々の社会貢献を動機づける。一方、多くの相続を受けた者はその財産の一部を資本として所有することで、働くこともなく資本が財を生み、報酬を受ける。この報酬を前者の報酬と比較すると、その正当性は低いように感じられる。労働とその成果こそが報酬を与えられるべきものであり、資本の所有に対する報酬は正当性に欠けることから、これを廃止し、資本を共有財産化する。それにより歴史上初めて階級間の対立を排除し、理想社会を実現できるのではないか。
一方で、現代の社会の観察を考察に含めると、本書の執筆当時と比べて二つの点で状況が異なっていることが分かる。1点目は、資本投資による生産性の向上である。資本主義社会では、資本家の資本投資により生産性が向上する。この生産性の向上こそが市場における競争の一つの恩恵である。競争がなければここまでの資本投資は実現しなかっただろうし、当時の社会では資本投資によって現代ほどの高い生産性が実現可能であるとも想像できなかったであろう。(本書執筆からの150年で生産性は100倍になったとも言われている。)2点目は、資本コストの低廉化である。当時想定していた資本というのは工場、機械、土地、といったものであり、それらは大きなコストを要求した。それ故、資本を持たぬ者たるプロレタリアには、労働による賃金を蓄積したところで資本の所有に到達することは不可能であるように思われた。(正確には、マルクスの資本論において労働賃金は労働の再生産費用に他ならないため、そもそも蓄積すること自体が不可能であるという理論であるが。) しかし、インターネットの到来以降資本の所有に必要なコストは下がり続け、現在では誰もが持つスマートフォン一つでもアプリケーション開発が可能となった。さらに、本書で述べられている生産諸関係も大きく変化した。当時は資本を持つブルジョワと資本を持たず労働で賃金を得るプロレタリアの関係構造であったが、現代では個人がブログ投稿やYoutube動画投稿によって広告収入を得られるようになり、その生産諸関係はより複雑化したと言える。
以上の考察より、本書の執筆当時と社会構造が変化していることは明らかであるが、それは決して本書が無意味な過去の産物と化したことは意味しない。本書内でも述べられている通り、社会の変化とともに本書内に時代と合致しない箇所が出現し、それらに改変が必要であるとしても、歴史的文書として本書を参照し理解することには大きな意味を持つと感じている。
そしてなにより、とても薄い!たった50頁ほどである!もちろんより深い理解のためには他書物の参照が不可欠であるため、この50頁で全てが分かるというわけではないが、一つの思想体系のエッセンスであることに違いはない。一度は自身で読んでみることを推奨したい。
Posted by ブクログ
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久しぶりに読んだなあ,マルクス・エンゲルスの文章。
いま,
内田樹✕石川康宏著『若者よ,マルクスを読もう 20歳代の模索と情熱』(かもがわ出版,2010年)
を読んでいる。高校生以上向きに書かれた本書は,二人の手紙のやりとりという形をとってマルクス・エンゲルスの著書を順に読み解いていく。二人の手
...続きを読む紙風の文章は,「簡潔!」とまではいかないけれど,これまで読んだどのマルクス解説書よりもわかりやすいし読みやすい。今の日本の社会で,ほとんど消えかかっているマルクス(の著作や思想)の現代的な意味を掘り起こしていこうという本だ。
その最初に取り上げられているのが『共産党宣言』である。『共産党宣言』には,なぜ共産党が生まれる必要があるのか,これまでの社会はどんな歴史をたどり,結果,今(1850年代ごろ)はどんな時代であり,このあとどのような社会をつくる必要があるのか,その歴史の流れを必然として描き出している。熱い思いは十分伝わってくる。ブルジョアジーやプロレタリアートなんて言葉は,若い子知っているのかな。高校生なら習っているか。
一箇所だけ引用。
そしてついに,(ブルジョアジーは)大工業と世界市場とがつくりだされてからは,近代の代議制国家において独占的な政治的支配をたたかいとった。近代の国家権力は,ブルジョアジー階級全体の共同事務を処理する委員会にすぎない。(下記著書のp.64)
今の日本で自民党を支持しているのは経団連など財界だ。まさにブルジョアジーが日本政府を圧力で指導している。
さて,わたしが読んだ「共産党宣言」は,岩波文庫版ではなく『マルクス=エンゲルス8巻選集』(大月書店刊)に収録されている文章である。この『8巻選集』は,40年前,学生時代に購入したモノだ。これをきっかけに,もう一度,パラパラと読んでみようと思う。1200円/冊✕8冊=9600円もしたんだな。
ちなみに『共産党宣言』は「第2巻」に掲載されている。
Posted by ブクログ
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これを読んだ当時はマルクスの慧眼に気付かなかったが、ブルデューなどの階級社会論を読んでから、なるほどと思った。かつてから階級社会では、上位の階級は国際的にラテン語でコミュニケーションを取り、さらに上位の王室では婚姻により女性を通じたコミュニケーションがあった。フランス革命時に対仏大同盟、対革命の連合
...続きを読むが出来たのはそのような横のつながりが、国を別にしても潜在的に存在していたからである。上位こそ横の連帯が強く、国際的に融通が利くが、末端に行くにつれ人々は分割され、いわゆる分割統治の形態がとられる。中間共同体を失った近代以降では、末端の人々をむずびつけるものは無きに等しい。国単位でみても、ウォーラーステインの世界システム論では、中核国家、覇権国家程横の融通が利く産業形態を持ち(金融など第三次産業)、周縁など末端に行くにつれて潰しの利かない(すぐに産業の転換が出来ない)モノカルチャー経済化して、結果的に分割統治の垂直的関係が存在していると紹介されていると私は思う。さて、そこでマルクスが放った大号令が共産党宣言―「労働者よ、団結せよ」―である。上位の横の連帯に対抗すべく、ブルジョワの欺瞞を打ち砕くべく、下位の労働者こそが団結する必要がある。そう言ったのである。共産党宣言にこんな歴史的意義があることを、もっと早く知りたかった。
Posted by ブクログ
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「今日までの歴史は階級闘争の歴史である」という有名なフレーズで始まる本書。あたかも、社会に支配者がいて被支配者を搾取しているという対立構造を設定して、いたずらに対立を煽っている扇動的な虚構理論。
古来、我が国は、農業集団、職工集団、芸能集団、治安集団(武士)、権威集団(朝廷)、などの各職能集団が調和
...続きを読むし、歴史を形成してきた。
ゆえにこれら集団が比較的分かりやすく分類されているため、対立軸を持ち出すとあたかも階級闘争が現実に存在すると錯覚してしまう。
我が国の諸集団は相互補完し、社会を循環させてきた。
一部のインテリ層はこれを悪用し先の大戦で我が国を「敗戦革命」に落とし入れようとした。
しかし、現代日本をみよ!彼らは決して主流ではないではないか。
我が国の国体に決してそぐわない、いや、ソ連崩壊に見られるように、人類にとっても虚構理論にすぎない本書は、暗躍する共産主義に対処するために必読でしょう。
Posted by ブクログ
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