ダニエル・カザナヴのレビュー一覧
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ネタバレ漫画を読みなれていないので、けっこう読むのに時間がかかったけど、「サピエンス全史」のおさらいをするのにはとても良いです。「文明の正体」編では、最初の方は、人間が麦の奴隷になっていく過程が描かれる。
これは、原作を読んで衝撃を受ける人が多い部分で、非常におもしろい。狩猟・採集をして暮らす人々から見れば、朝から晩まで畑で働いて、農耕をする人々は、全く自由がなく、不幸そうに見えるが、麦を手なずけた人々は「我々は素晴らしいことを成し遂げた!これからは豊かになる!」と信じている。中盤から後半にかけては、人類が築いてきた虚構(フィクション)は、人類が作ったものであって、決して生物学的に決定されたものではない、ということが語られる。
インドのカーストや、白人が黒人を劣った存在とみなすこと、男性が女性を劣っているとみなすことは、「文化」として創られたものであり、決して決定事項ではない。遺伝的に優劣が決まっているわけではない。
うーん、とうならされるのは、世界中のあらゆる人間社会で、男性優位になっている理由が「わからない」とされていること。男性が肉体的に強いからというわけでも、社交性があり統率力があるからというわけでもない。子宮があり、子どもを産み育てる能力がある代わりに、妊娠・産後・子育て中に男に頼らざるを得なかったから…という説もあるけど、サルやゾウの社会では同じ状況でもメスが優位に立つ。
しかし、この100年で人間の社会にも革命がおき、女性の地位は劇的に変わってきた。
これから、新しい虚構を生み出して、社会が変わる可能性はある。ただし、いくつか考えられる虚構があるが、どれか一つが絶対に正しいということはなく、出来上がった虚構を大勢の人がまた信じなければならない。
とりあえず、これまで当然とされていた虚構のことを「これは虚構であって絶対的な真実ではない!」ということを多くの人が知ることだ! -
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今回は歴史の覇者はだれか、という話。
まず人類の歴史は果てしなく続く文明同士の対立だというクラッシュウーマン。しかし文明の対立は出会いでもある。こうして世の中はグローバルに発展してきた。
次はサイクル。しかし地球全体から見れば、1万年前には地球上に一万を超える別々の世界があったが、現在はほぼ1個になってしまった。サイクル説は視野が狭い。
そして帝国レディエンパイヤ。帝国主義は民族の一体化や壮大な文明の成立にも大きく関与し、現代の国家観を形成するうえで大きな効果を与えたことは否めない。史上大きな成功を収めた帝国は、多数の異なる文化を混ぜ合わせ、新しい文明を作ってきた。さらに民主主義・市場経済・人権ですら、たとえ軍事力を使っても全世界に広めることが、道義的義務だと考えられている。
それでももっと強大な力を持つのはキャプテンドルであろう。いかに対立する経済体制、宗教、思想であろうと$を手に入れたい。なぜなら貨幣は精神の革命で、全人類の共有された想像の中にしか存在しない。現在でも誰もが信頼している魔法だ。お金を信じることが出来る、この能力が人類の歴史の覇者。素晴らしい。そして最後には市場が世界を支配する不安もあるが、そうはならない。市場自体も道徳的価値観が頼りだからだ。
では宗教のスカイマン。日本では宗教はさほど重要視されていないと思う。これは神道が原始宗教のまま来ていることが大きいと考えるが、一時期はそうでなかった。日本は近代化を進めるにあたり、神道も作り替えた。国家主義的で人種主義的な思想と結びつけ、さらに仏教・儒教と武士の伝統的考え方を少しづつ放り込み、仕上げとして太陽神女神の直系子孫である天皇を採り入れた。これは魔法のように上手くいき、日本人は恐ろしいスピードで近代化を進めながらも、他の近代国家とは全く異なる独自性を保ち、しかも国家への狂信的忠誠心を持つことに成功した。そして近代的科学技術と猛烈な信仰心を組み合わせれば並外れて強力なカクテルが出来ることを世界に広めた。ロシア・ポーランド・イラン・サウジ・イスラエルそして北朝鮮など日本の例に倣ってきた政府が続出してしまったと書かれている。
世界では宗教というものが、かなり重要な位置を占めることは明らかだ。宗教とは人間を超えた秩序を信じることに基づく、人間の規則・規範・価値観の体系だ。
スカイマンもかなり強力だったが、次回科学革命のサイエンティフィック。この話に度肝を抜かれない人はいないと豪語する。何万年も続いてきた人類が、わずか500年で原子力・遺伝子工学・AIを進歩させたのか。
私たちは次にどこに向かうのか、次号期待大! -
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ホモサピエンスがどのように我々に変化していったのかを、描くサピエンス全史の漫画バージョン。今回は「歴史の覇者」編です。
歴史の方向性はどのように決まったのか?なぜ対立がずーとあるのか?誰かが言うように陰謀があるのか?裏で誰かが糸をひいいているのか。
なぜ、ホモサピエンスがその他の動物と違って今の隆盛を誇るようになったのかを色々な観点から考察していきます。なんか、堅苦しい感じがするが、漫画なので楽しいです。
歴史上バラバラだったホモサピエンスがどのように統一されてきたのか?
その有力な原動力として 帝国 貨幣 宗教 をあげて検証していきます。
はたして、どの要素が世界をわりと一つにしたのでしょうか?かんがえてみてください。 -
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何万年・何十万年前には、今の人類=ホモ・サピエンス以外にも、ホモ・エレクトス、ホモ・デニソワ、ホモ・フローレシスエンシス、ホモ・ネンデルターレンシスたちが存在して、生息していた。
火の使用は人類と他の動物を隔てる最初の大きな溝になった。
この力はいつどこで使うか選べるから、無数の仕事に利用することができた。
さらに重要なのは、肉体的な限界が関係ないってことだ。
火打ち石があれば、女性1人でも数時間で森を丸ごと焼き払うことだってできる。
火を手なずけたのは先触れだった。これが原子爆弾に到る最初の重要な一歩だったんだ・・・
7万年ぐらい前、サピエンスは急激に世界中に広がっていった。
でもアフリカを出たときには、ユーラシア大陸のいたるところに別種のそれらのヒトたちはどうなったのか。
交配説
ヨーロッパ~中東ではネアンデルタール人と、東アジアではその地域のエレクトスと交配した。
交替説
それらの種はまじりあうことなく、ネアンデルタール人が絶滅した(つまり皆殺しにされた)
交替説が正しければ、人種間の差異がないに等しいことになる。
しかし交配説が正しいとすれば、アフリカ人とヨーロッパ人とアジア人の間には、何十万年も前からの遺伝的な差異が存在する可能性がある。
2010年、ネアンデルタール人の骨からDNAを抽出することに成功。
現代のヨーロッパ人とアジア人のDNAのうち、2%はネアンデルタール人に由来することがわかった。割合としてはかなり低くても、間違いなく混じっている。
さらに現代のメラネシア人と、オーストラリアのアボリジニの場合、最高で6%のDNAがデニソワ人に由来していた。
だから、交替説と交配説のどちらとも言えない。
サピエンスは寛容ではない。現代でも、肌の色が違うとか言葉や宗教が違うというささいな理由で、別の集団を皆殺しにしたりしている。
大昔も寛容だったとは思えない。
サピエンスがネアンデルタール人と遭遇したとき、史上初にして最大規模の民族浄化作戦が始まったのかもしれない。
この3万年間、ホモ・サピエンスはずっとヒトの唯一の主だった。だからそれ以外の可能性は考えることすら難しい。同種の親戚がいないんだから、どうしても自分たち造化の頂点だと考えたくなる。動物界の他の動物たちとの間には、越えがたい断絶があるからね。
でもネアンデルタール人が生き残っていたら、人間は別格だとは考えにくかったんじゃないかな。サピエンスの先祖ネアンデルタール人をなかったことにしたのはそのせいだろう。無視するには似すぎているし、受け入れるには違いすぎたんだ。
フローレス島の小柄なヒトは5万年ほど前に消えた。ホモ・ルゾネシスはルソンから姿を消した。
昔の人類はチンパンジー たちにそっくりだった。
残念ながら今の人類も残念なぐらいチンパンジー たちに似ている。個人でも家族でも。
本当に違うのは大勢で協力できるって言うところ。
身体的な面では サピエンスの道具作りの能力は3万年前から大して変わってない。
だけど、大勢の他者と協力する能力は、劇的に向上してる。
7万年くらい前に 獲得した言語能力のコミュニケーション能力のおかげだ。
社会的に協力し合うことが生存と繁栄の鍵。
陰口をきくのは良くないことだし、意地悪な行動だけど、実は大人数で協力するのには必要不可欠。
言語能力を獲得したサピエンスは何時間も噂話ができるようになった。誰が信用できるかという確かな情報があれば、群れの規模を拡大できる。それでサピエンスはより緊密で高度な協力関係を築けるようになった。
現在でも人間のコミュニケーションのほとんどは 噂話。
人はごく自然に噂話を始めるからね。言語はそもそもそのために発達してきたんじゃないかと思うぐらい。
悪いことをすると人に噂されるから、噂は社会規範を強化したり、集団の結束を保つのに役立つんだ。
150人以上の相手と本当に親しく付き合うことはできない。150人はマジックナンバー、限界点。
サピエンスが世界を支配してるのは、自分で生み出した虚構を信じるなんて、そんな動物が他にいないから。みんなが同じ虚構を信じていれば同じ規則に従うことができる。
みんながその話を信じればみんなが同じ法や規則に従うから、全然知らない相手でも協力し合える。サピエンスだけが何百万人もの協力ができる。
法体系の根っこにあるのは法律にまつわる共通の神話。弁護士は見ず知らず 同士 協力しあって 赤の他人を弁護するまる。これは法や政治や人権やついでに報酬としてもらう現金の価値を信じているから。
未開部族はありもしない政令を信じることで社会秩序を保ってるって聞くと人はすぐに納得する。なのに、現在の社会体制もまったく同じだってことに気づかない。
現在の企業は昔の部族とそんなに違わない。起業家や法律家はいわば強力な呪術師。
7万年ほど前に登場した認知能力。これは認知革命。
言葉を紡いで想像上の現実を生み出す能力のおかげで人間は大勢の他人と協力してやっていける。
200万年前遺伝的変異によってホモエレクトという新種の人が生まれた。と同時に新しい石器が登場して今ではそれがこの種のエレクトスの目印になっている。
それ以上の遺伝的変異が起こらないうちは 接近 もほとんど変化がなかった…なんと200万年近く も!
認知革命以後のサピエンスは行動をパッと切り替えることができて、遺伝子や環境の変化がなくても次の世代に行動を伝えることができた。
サピエンスは数十人の集団で狩りをすることを学んだ。複数の集団がまとまって数百人になることもある。
認知革命以前 サピエンスは動物の一種でしかなかった。世界に属していたから、政治学の理論で理解することはできる。
しかし、認知革命以後のサピエンスは架空の物語 を次々に発明していき、奇妙な行動様式をいくつも生み出して今でいう「文化」を築きはじめた。
狩猟採集民は定住していませんでした。毎月どころか毎日移動することもあります。所持品は全て 担いで運んでいたわけです。引っ越し業者や荷車はもちろん駄獣すら存在しませんから。ですから 必要最低限でやっていくしかなかったんです。
つまり、宗教的情緒的社会的な活動にはほとんど 道具を使っていなかったと結論してよいのでしょうか。
現在は生きるのに必要な知識の大半を人は無自覚に他人に頼ってる。でもその他人の方だって自分の狭い専門分野のことしか知らない。集合的に見れば現代社会の知識量は石器時代の共同体を大きく凌駕しています。でも個人のレベルで言ったら歴史上一番知識や技能が豊かなのは昔の狩猟採集民なんです。
正直に言って、20世紀は史上最悪の戦争と民族条項から行われた時代だが、その20世紀ですら人間の暴力によって殺された人間はたった5%。
動物界が産んだ歴史上最悪の殺人犯。
猫が車が走ってくるのを見るとよく突っ立ったまま動かなくなる。あれはバカだからではなく車 という危険に適応する時間がなかったから。 -
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イラストがオシャレで可愛い。いかにして人種差別/男女差別が作られてきたか、社会的な構造に影響してきたかという部分を理論的に説明している。なんとなく学校や本でのざっくりとした歴史的人種差別(ジム・クロウ法やアパルトヘイト撤廃のくだり)については学んできたつもり、だった。実際は何十年ものの時間と共に偏見、経済的な負の連鎖、そしてそれを正当化する人々と文言が奴隷解放後も何百年も尾を引く結果を形作っていたのだ。
人種差別はいけない。多くの人がこれに賛同するはずだが、その"中身"をしっかり学ぶかそうでないかでその重みはずっしりとのしかかってくる。 -
Posted by ブクログ
本の最初にこんな言葉が。
「絶滅し、失われ、忘れられたものたちへ。
集まって形をなしたものは、いずれかならず崩れて塵と消える。」
ーユヴァル・ノア・ハラリ
これは過去形で書かれているが、
全ての存在に当てはまる普遍的なことなのでは?
ホモ・サピエンスだけがこの法則の例外・・・
なんていうことは考えられない。
「本の流れ」
600万年前
ヒトとチンパンジーの祖先が分かれる
250万年前
アフリカで人が出現。最古の石器
200万年前
ヒトがアフリカからユーラシアへ広がる
ヒトが複数の種に進化する
50万年前
ヨーロッパから中東でネアンデルタール人が出現
30万年前
火が日常的に使用される
20万年前
ホモ・サピエンスがアフリカに現れる
7万年前
認知革命。物語の発生。歴史の始まり。サピエンスがアフリカの外へ進出
5万年前
サピエンスがオーストラリアに移住。オーストラリアの大型動物相の絶滅
3万年前
ネアンデルタール人の絶滅。ホモ・サピエンスが唯一のヒトとなる
1万6000年前
サピエンスがアメリカに移住。アメリカの大型動物相の絶滅
1万2000年前
農業革命。栽培作物と家畜の誕生
5000年前
初の王国と文字と貨幣。多神教
4250年前
初の帝国ーサルゴンのアッカド帝国
2500年前
硬貨の発明ー普遍的な通貨
ペルシア帝国ー普遍的な政治秩序
インドの仏教ー普遍的な教義
2000年前
中国で漢帝国。地中海でローマ帝国。キリスト教
1400年前
イスラム教
500年前
科学革命。人類は自己の無知を認め未曾有のパワーを獲得し始める。
ヨーロッパ人がアメリカと大洋を征服し始める
地球全体が単一の歴史舞台になる。資本主義の台頭
200年前
産業革命。家族と共同体に代わるものとして国家と市場が登場。
動植物の大量絶滅
現在
人類が惑星・地球という限界を越える
核兵器が人類の存続を脅かす
生物が自然選択でなく知的設計によって生み出される割合が高まる
未来
知的設計が生命の基本原理になる?
初の非有機生命体?
人類が神になる? -
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猫に色々な種類がいるように、以前は人間にも多くの種類がいた。しかし現在地球上にいるのはそのうちのサピエンスだけだ。この謎と影響を教えてくれるサピエンス全史の漫画版。やはりビジュアルが有ると理解しやすい。
自然界は通常何万年もかけて変化に対応してきた。しかし、サピエンスは余りにも急速に世界中に進出・対応し、その為地球をがらりと変えてしまう事となった。
人間は当初サバンナの負け組であり、その為人間は今でも不安でいっぱいであり、いつでも自分の立場を気にしている。
こんな人間が生態系のトップに躍り出たため、人類は二倍も残酷で危険な生物になってしまった。戦争も生態系の破壊も、歴史上の大惨事は人類が急に頂点に飛び出したことが原因だという。
そんなサピエンスが世界を支配している理由は、「自分達で生み出した虚構」を信じることが出来る動物が他にいないから。神も国家も会社やお金も、全員がそれを信じていなければ成り立たない。十字軍に命を捧げたり、お金を貯めることに夢中になったりすることは虚構を信じた結果だ。昔の御神木に宿る精霊も、今の株式市場に宿る精霊にも、人間が抱く気持ちは何も変わっていないという事なのだ。
アフリカの片隅で生まれたホモ・サピエンスがユーラシアからアジア、太平洋、北アメリカから南アメリカまで全世界に進出したことで、哺乳類・鳥類をはじめ多くの種が絶滅した。ガラパゴス諸島は多様な生物が暮らしているが、これはたまたまこの島への人間の進出が遅かっただけの理由であり、他の全ての大陸や島ではガラパゴスとは異なる多様性が存在していたのだろう。
続編はこれほどの暴君ぶりを発揮したサピエンスが、小麦の奴隷となる歴史が描かれるらしい、楽しみである。 -
Posted by ブクログ
上下巻になってる本編の方も読んだけれど、
歴史が始まって人間の経済活動の記述もあったような。対してこちらは、ホモサピエンスが地球上に広がって…の方がウエイトが大きかった気がした。先に読んだ本編の方もまた読み直したくなったし、まぁ、とにかく幅広く楽しめてアカデミックな気持ちになれるし学んだなぁという自己満足が得られる。
あちらを読んだときにも感じたことだけれど欧米文化を中心としても描いてあり、(もちろんこちらもだけれど)違和感に気が付くかも。
マンガ形式だけれど読みにくい(それはコミックの文化の違いもあって)のだけれど、慎重にじっくり少しずつ読み進めて堪能できた。