湯澤規子のレビュー一覧

  • 焼き芋とドーナツ 日米シスターフッド交流秘史

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    『「おふくろの味」幻想~誰が郷愁の味をつくったのか』『胃袋の近代―食と人びとの日常史―』からの『焼き芋とドーナツ 日米シスターフッド交流秘史』。はっきり言って自分の中では湯澤規子ブームです。前著2冊での「家庭料理」「外食近代史」とテーマを変えながら今までの歴史に中では見過ごさされてきた個人的な「食べる物語」を繋げて生き生きと描かれる日常生活の近現代史に引き込まれてきました。今回は産業革命以降の工場労働者の「食」のストーリーということでは『胃袋の近代』に隣接していますが、テーマを「女性」にフォーカスしたことでまた新たな物語が浮かび上がっています。『胃袋の近代』でも取り上げられていた細井和喜蔵の『

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    2024年11月04日
  • 「おふくろの味」幻想~誰が郷愁の味をつくったのか~

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    食にまつわるビジネスをしている知り合いに「食べる」って観点で昭和・平成・令和の社会変化を研究している人っていない?と聞いたらすかさず推薦されたのがこの本の著者の湯澤規子教授でした。で、本書もめちゃ面白い、とおすすめされました。なので、即読み。あまりに面白かったので、すぐ「胃袋の近代」に手を伸ばして、こちらの新書の感想は後回しに。題名からうすうす感じていましたが、冒頭から『結論からいえば、古代、近世、近代、そして現代に至るまでずっと変わらず「お母さんがごはんをつくってきた」というのは実は誤った認識である。』とぶちかまされます。「おふくろの味」というキーワードがどうして生まれ、どう広がったか、とい

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    2024年11月03日
  • 「おふくろの味」幻想~誰が郷愁の味をつくったのか~

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    「おふくろの味」と聞いて思い浮かべる料理や
    定義は何でしょうか。

    「家庭料理」「家庭で作られる料理」と思われ
    るかもしれないです。

    でも家庭で作られたとしても、カレーライスや
    ハンバーグはちょっと違う気がします。やっぱ
    り「肉じゃが」かな。でも他に思い浮かばない
    人は多いのではないでしょうか。

    と言うのが現在の男性の意見かと思います。

    この本で考察されているのは実は時代によって
    「おふくろの味」から受けるイメージが異なっ
    ているのです。

    高度成長期には「故郷の味」、バブル期には漫
    画「美味しんぼ」で題材にあった「家庭の主婦
    が作る毎日食べても飽きのこない料理」、そし
    て令和の今では「

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    2024年08月04日
  • 焼き芋とドーナツ 日米シスターフッド交流秘史

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    ネタバレ

    赤毛のアンシリーズの割と後ろの方に、ボストンに行く話が出てくる。そのあたりの感覚なんだろうなと読み進めた。日本の話のほうは、晩年しばらくやっかいになった明治末生まれの大叔母大正デモクラシーの話や女子美ができたころの話(女子美西洋画の一期生だった)を思い出しながら読んだ。それより二回り位前の話になるのか。シスターフッドも日常茶飯も聞き書き運動も涙が出そうになった。

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    2023年10月23日
  • ウンコの教室 ――環境と社会の未来を考える

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    ネタバレ

     現代において、ウンコはトイレに流せば、目の前から見えなくなる存在である。
     この言葉は本書の中にあるが、まさにその通りである。幼稚園・小中学校の教育の中で「ウンコは毎日出た方がいい」「健康な証拠」などという事はあるが、一方でその処理の仕方にまでフォーカスしていくのは「タブー」視されている。
     我々が子供の頃には、学校のトイレは和式が多く、特に男子は個室に入ればその目的が分かるだけに茶化されるのではないか、という懸念があった。
     現在、私自身が教員として小学校に勤務している中で、男子が大便をしづらいということはないように感じる。結構、給食後に行っている男子は多い。自分自身は我慢をしていただけに

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    2023年09月18日
  • ウンコの教室 ――環境と社会の未来を考える

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    本来、人間が普通に生活するにあたって絶対に
    無視できないのが排泄、つまりウンコを出すこ
    とです。

    食と同じくらい、この最も身近な行為は、見て
    見ぬふりされていました(見てないか)。

    とは言っても子どもはウンコが大好きなのです。
    NHKのチコちゃんによると、子どもはウンコを
    自分の分身と考える傾向があるから好きなのだ
    とか。

    とにかくタブー視されているウンコを真面目に
    研究したのが本書です。

    最近見直しされつつある江戸時代の循環社会で
    ある、下肥(つまり堆肥ですね)にお言及して
    います。古くて新しいのです。

    個人的な感想ですが、本書の中でウンコを最初
    に扱った漫画のは、あの鳥山明氏の「

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    2022年10月16日
  • ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ──人糞地理学ことはじめ

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    下水道処理システムについて知りたくて手にしたけど、そんな専門的で視野狭窄なお話ではなく、ウンコ総論、そもそもウンコは汚いのか、汚いとはなんぞや、そしてウンコ史、世界のウンコ事情と、ウンコ話がてんこ盛り。我が人生においても、トイレも処理紙も大いなる変遷があった。大学受験で上京し、ホテルの洋式トイレに惑ってなかなか用が足せなかった友人がいた。郊外の畑には肥溜めがあり、漂う香りは田舎の香水と称していたっけ。忌避するのは仕方ないとして、改めて学ぶこと多し。椎名誠氏に世界のトイレ事情をまとめていただけば楽しそうだ。

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    2021年05月11日
  • 「おふくろの味」幻想~誰が郷愁の味をつくったのか~

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    ネタバレ

    おふくろの味はさも昔からあった母の味というようなイメージがあるが、母親がご飯を作るようになったのは高度経済成長を経てからである。郷土料理を後世に残すためにいいように[母の味]が使われた

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    2025年02月13日
  • ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ──人糞地理学ことはじめ

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    今まで特に意識したことのなかった、身近であるはずのウンコが人々の目につかないようになった背景、うんこに対する人々がもつイメージの変化が真剣に語られてておもろかった。1950年代になって初めて日本にバキュームカーが登場したが以前は汲み取りで行っていたとは思わなかったので面白かった。

    金を払ってまで百姓がウンコを欲しがるのは面白いと思った。

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    2024年11月09日
  • ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ──人糞地理学ことはじめ

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    肥料として集められ市場経済まで形成した糞が、いつ屎尿として処理されるに至ったか。化学肥料の普及のせいかな、と思ってたんだけど都市サイドの問題だったんだね。あと米国の占領と五輪。
    ウンコの話だから川崎も出てきた。トイレットペーパー以前に使われていた棒とか、バキュームカーなどは日本民家園で4年前に開催された「うんことくらし」展でも見ていたので良い復習になった。

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    2024年08月29日
  • 焼き芋とドーナツ 日米シスターフッド交流秘史

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     女性の近代史を、日常茶飯という観点から整理し、当時の女性の内面に迫った一冊、非常に面白かった。
     特に近代における、産業革命からの働き方の変わり方、これが日本とアメリカで意外な接点があり、パッチワークキルトのように全体像が浮かび上がってくる。自分で稼いだお金で、自分の欲求のために使う、というのがどれだけ重要な事であったか。
     骨太な一冊であるが、タイトルからは内容が想像しにくく、このタイトルにするのであれば、もっと間食に焦点を当てるべきで、結論も間食に持っていった方が良いのではないかとも思うが、この注目されない感じも、日常茶飯事なのだろう。

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    2024年06月10日
  • 焼き芋とドーナツ 日米シスターフッド交流秘史

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    テーマは「働く女性の日常茶飯 in 近代日米」(漢字多…)といったところか。
    有名無名問わず、歴史上語られてこなかった女性たち、”彼女たち”の生の声がいくつも取り上げられている。名前を再掲されたら何とか思い出せる程度であるが、取り上げる範囲が広すぎて把握するのに難儀した…というのが本音。
    でも歴史上スポットが当たらなかった…ではなく、当てられてこなかった事実なだけに、どの話も興味を掻き立てられた。

    第一部「日本の女性たち」
    『女工哀史』や米騒動で伝えられた女性たちの生き方が教わったものと違う。只々労働の辛さに打ちひしがれ、あるいはまるで本能のままに米問屋を襲撃したと言われる姿が1ミリも見当た

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    2023年12月03日
  • ウンコの教室 ――環境と社会の未来を考える

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    あまり表に出して議論することはないが、人間が生きていくのに不可欠な排泄の問題を真面目に取り上げた内容に感心した.下肥については小生の子供時代には、農家の人が貴重品のように回収に来ていたことを記憶している.だから、便所に妙なものを捨ててはいけないというのは常識だった.ヨーロッパで情報も新鮮だった.

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    2023年05月11日
  • ウンコの教室 ――環境と社会の未来を考える

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    ウンコに関するいろんな話、問題を楽しくわかりやすく紹介している。
    ウンコを自然の中で循環させることの大切さ、またそういう取り組みを進めている国もあること、日本は遅れていることなど、かなり問題意識を持って読んだ。

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    2023年03月11日
  • 「おふくろの味」幻想~誰が郷愁の味をつくったのか~

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    このタイトルを見た時に、「なんて著者は冷たい人なのだろう…。この人の真意はなんだ?見てみよう!」と思い、この本を手に取りました。

    しかし、この本を読み進めると、「おふくろの味」を解明する中で、日本における食事の価値や家族のあり方、さらにはその背景にある社会情勢を感じとることができ、「おふくろの味」という言葉から壮大な世界に連れて行かれた気がしました。

    特に印象に残ったのは、私たちが食べ物をいったいどこで食べているのかについて、
    “つまり、戦前期と戦後すぐの時代はとにかく空腹を満たすために「胃袋」で食べ、次に戦後になって美味しさを味わう余裕が出てくると「舌」で食べ、さらに見たmの美しさや珍し

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    2023年02月28日
  • ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ──人糞地理学ことはじめ

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    ネタバレ

    ウンコが現代人にとって忌避すべき存在であるが、それが忌避されるべき存在になったのかを歴史資料や文学資料、マンガまでを駆使してまとめている。

    特に江戸時代は肥料として、お金を払って取引されていたが、屎尿として処理されるまでの経緯を丁寧に辿っていく研究が、彼女の本来の研究分野であるが、一番面白かった。都市化と衛生という概念が、糞尿を屎尿にしていくのは近代化の象徴でもあるし、それが今の世界中の共通認識になりつつある姿を見ると、失ってきたものの大きさを感じない訳にはいかない。

    著者自身のトイレ体験から書き起こしているが、私自身、汲み取りも水洗も、また糞尿の肥料として使うのも経験していたので、この5

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    2023年02月23日
  • ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ──人糞地理学ことはじめ

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    ウンコのことをこれだけ真面目に調査した本は初めてで面白かった。
    江戸時代にはウンコが売買されていたとか、武家のウンコは高値で、長屋の便所は大家さんの貴重な収入源になっていたと言う話は興味深かった。

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    2021年12月30日
  • ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ──人糞地理学ことはじめ

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    「うんこは汚いか?」
    ウンコを肥料として使っていた時代までは、ウンコは汚いものではなかった。肥料として金銭で取引されたものだった。
    しかし第二次大戦後、アメリカやヨーロッパから見るとウンコは寄生虫の心配のある汚物であること、人口集中で肥料としても使いきれない量が出ることなどからだんだんウンコは捨てる物となり、汚いものと扱われるようになっていった。
    その変化が分析されていて面白かった。

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    2021年12月04日
  • ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ──人糞地理学ことはじめ

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    ウンコという言葉をこの本以上に目にすることはないだろう。
    そして、冒頭からいきなり、「はたしてウンコは『汚い』のだろうか」(13頁)と聞かれることも、またないだろう。
    ウンコは汚いか?と問われれば、「そりゃそうでしょ」と答える人がほとんどだろう。
    しかし、まずその常識を疑うのが学問である。

    ウンコは汚いのだろうか?
    さっきまで体内にあったものが排泄行為によって出た瞬間から気持ちの悪いもの、関係のないもの、となる。
    それは、抜けた髪や切った爪、身体中から出る垢も同じだ。
    もちろん感染症に敏感になっている今は、感染対策を取らなければならないものもあるだろうが、単純に不思議な気がする。
    さっきまで

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    2021年03月21日
  • ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ──人糞地理学ことはじめ

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    下水処理後の汚泥は、肥料として使えないだろうかと思っていたのだが、さまざまな化学物質などが混ざってしまい、難しいとのことは知らなかった。生命の循環の輪が人間によって断ち切られてしまうとは、人間の罪深さはこんなところにまで及んでいるのかとガックリさせられる。
    人間は自然から切り離されようとしているように見える。自然から離れては人間は生きてはいけなくなる日が来るのではないかと、排泄の問題だけ見ただけでも大きな問題提起をされたようだ。

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    2021年01月19日