辻山良雄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
昔、新卒で入った会社を六年で辞めようと思ったとき、本屋に勤めたいとは思ったが本屋をやりたいとは思えなかった。それからはや約30年、自分にとって本屋は、自分に返らせてくれる場所なあんてカッコいいことは言えないが、あいも変わらず落ち着いていられる場所ではあるが、やろうと思える場所ではなかったなあ。いや、やろうと思わなかっただけだから、これから本気で考えたらできるんじゃないのかな、なんていうことを、この本を読んでいる間考えていた。
でもな、ここで訪ねた九人の本屋は、恐らくみんな坪数の少ないお店ばかりだろうから、自分がそういうところ行くのが苦手なのに、自分がやれるとはやっぱ思えないな…
でも、兎にも角 -
Posted by ブクログ
ストーリー性がメインの小説ばかりではなく、たまにはまったりとエッセイもいい。肩肘張らずにリラックスして読めた。
本書は荻窪にある新刊書店「Title」の店主辻山さんのエッセイ。辻山さんは大手書店勤務ののち独立し、荻窪にお店を構えられた。
長く書店に携わってこられた方だけに、著者の書店に対する矜持が凄く感じられた。
「一冊ずつ手がかけられた書棚には光が宿る。それは本に託した、われわれ自身の小さな声だ。ただ本を売ることは誰にでもできるかもしれないが、書棚に光を宿すのは、思いの詰まった仕事にしかできないことかもしれない」
書店として在るべき理想の姿を、日々模索されている。本当に並々ならぬ思いで、 -
Posted by ブクログ
書店に勤めていた著者が、自らの店を持つまでのお話。店を出すと決断するまでの経緯や、決めてからの準備、開いてからの活動など、リアルに感じられる内容で面白かった。起業、開業など考えている人には参考になるのでは。衰退傾向にある書店を新たに始める著者ご自身の意義、目的、目指したい姿など。つまるところそこが大事なんだと感じさせてくれる。売ることだけに執着すれば他のアプローチもあるだろう。ただしそこはご自身の本に対する、あるいは書店に対する想いからがあるからこそ、踏み外さない理想の姿を追い求めて前に進んでいるように感じられる。店を通してセルフプロデュースがなされているのかもしれない。どんなところなのか興味
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Posted by ブクログ
福岡にリブロができて、書店の本を店内の椅子に座って読める事に驚き、嬉しくて、天神に行くたびに必ず通った日々を思い出した。
試し読めることをいい事に、あれこれ背伸びして名作を試し読みしたり、手持ちの予算でどちらを買うか悩んだり、自分自身で本を選ぶ経験をたくさん重ねて、自分の読書の土台のようなものができた時期だった。
その裏にはこんな方がいたんだなぁ。
巻末の企画書、事業計画と収支の項は目にする機会のない内容で、(企画書は作ってる人も少ないのだろうけど)後進のために詳らかにしてあげよう、という著者の気持ちと、『これくらいの実行力と実力が本屋には必要なのだ!』という気概のようなものを感じた。