あらすじ
「その人オリジナルの仕事をつくり上げている人たちですから、話には自然と思想や哲学のようなものが含まれます。だからわたしはこの本で、彼らの声を一本の糸のように縒り合わせるだけでよかった」
荻窪に新刊書店「Title」を開いて8年。ふと自分の仕事がわからなくなり、全国にいる仲間のもとを訪ねると、消費されず、健やかに生きるヒントが見えてきた――。
読み終えるころにはきっと元気がでる、少し偏屈、でも愛すべき本屋を訪ねる旅。
「いまは、都会も田舎もそうなんだけど、コミュニケーションを欲している人たちに溢れている。本屋はそういう人たちの受け皿になれるんじゃないかなという思いでやっています」……高久書店 高木久直さん
「合理的であるほどスマートでカッコいいというイメージをみんなが持っている。しかしそれによって自分が職を失ったり、仕事からやりがいがなくなるということについてはみな無自覚ですよね」……誠光社 堀部篤史さん
「俺は“東京に色目を使う新潟”というのがよくわからなくて、あるときから東京の反対を向いたんです」……北書店 佐藤雄一さん
【目次】
はじめに
1 気がつけば、自分の仕事がわからなくなっていた
2 もう生活そのものがどっぷりと本屋/走る本屋さん 高久書店・高木久直さん
3 自分の椅子を見つけた人/市場の古本屋ウララ・宇田智子さん
4 ほっとけないみのるさん/長谷川書店・長谷川 稔さん
コラム・旅の合間に1
5 「あまのじゃく」の真意/誠光社・堀部篤史さん
6 ふたりの、独立という旗/ON READING・黒田義隆さん、杏子さん
7 本の未来が長野にあった?/ブック・コーディネーター・内沼晋太郎さん
コラム・旅の合間に2
8 「鈍」で「素人」な四十三年/定有堂書店・奈良敏行さん
コラム・旅の合間に3
9 生きるかなしみ―そしてよろこび/北書店・佐藤雄一さん
おわりに
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
定員25人だけで開催された青山ゆみこさんの『ほんのちょっと当事者』発売記念のトークイベントのために一度だけ(憧れの)titleに行ったことがある。その時のおふたりの話しかた、絶妙な間合いが印象的で忘れられないのだが、本書のどの対談からも、じっくり考えて言葉を選ぶ落ち着いたそれぞれの店主の声が聞こえてきそうだった。コロナ禍を経て、書店のイベントはもっぱら配信ばかりになってしまったけど、またtitleの本棚を眺めに行きたいし、近くにもきっとあるはずのしぶとい本屋さんを探さなくちゃ。
Posted by ブクログ
本屋の店主から聞く働き方、お店の苦労、そして本屋の未来。1人ひとりの言葉はどれもまっすぐで飾りはない。だから読んでいてとてもすっきりする。新潟の北書店が最後を飾る。本屋に行きたいと思わせる本だ。
Posted by ブクログ
荻窪の本屋Titleの店主が各地の本屋を営む方達との対談。誠光社を訪れた時にも感じたのは「本屋」の定義が変わってきているということ。少なくとも「本を売る場所」だけではなくなっていて、タイトルの「しぶとい」とリンクする様々な「本屋」のあり方が綴られている。「続けるためにしていること」と「本当はそうしたかったこと」がごちゃごちゃしてきたときにまた読みたくなる1冊。
Posted by ブクログ
自分の信念を持ち、足元をきちんと見つめながら、生きる手応えのある仕事ができるなんて、羨ましい限り。もちろん、商売なのだから経済的にも自活できている必要があるからこその『しぶとい』なのだろう。頑張ろうと勇気をもらった。
Posted by ブクログ
昔、新卒で入った会社を六年で辞めようと思ったとき、本屋に勤めたいとは思ったが本屋をやりたいとは思えなかった。それからはや約30年、自分にとって本屋は、自分に返らせてくれる場所なあんてカッコいいことは言えないが、あいも変わらず落ち着いていられる場所ではあるが、やろうと思える場所ではなかったなあ。いや、やろうと思わなかっただけだから、これから本気で考えたらできるんじゃないのかな、なんていうことを、この本を読んでいる間考えていた。
でもな、ここで訪ねた九人の本屋は、恐らくみんな坪数の少ないお店ばかりだろうから、自分がそういうところ行くのが苦手なのに、自分がやれるとはやっぱ思えないな…
でも、兎にも角にもこの人たちのことは本当に羨ましい限りなんだよな…
Posted by ブクログ
当たり前だけど、人によって考え方が全然違っておもしろい。
文脈棚が楽しくてすき。
よく手入れされた棚かどうか、素人目ながら少し気にするようになった。
Posted by ブクログ
2024年12作目
個人書店を営む皆さんの本が大好きだ
残念ながら自分の住む地域には大型書店しかなく、休日にしか足を運べないが、店主の個性や想いみたいなものが店内の全てから伝わってくる感覚は特別なものだと思う
本書を読んでいると、まだまだ本屋は無くならなそうだと安堵できたし、本を読むことの尊さを感じられた
Posted by ブクログ
個人事業主ではないし出版業界のことはわからないので「そうなのか!」な事が沢山あった。出版特に紙媒体は厳しいのだろうが、まだまだ本屋さんが頑張っていると感じた。