北村紗衣のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
北村さんはTwitterで時々お見かけしていたものの書籍は初めて読んだが書きっぷりが非常に面白かった。とても聡明で深く思考する方なのだろうということが文章から感じられた(学者なので当たり前か)。本書は文芸、映画にまつわるエッセイのような感じで、知らなかった作品も半分以上あったが見てみたい・読んでみたいと思った。ウィキペディアの男子文化の話はさもありなん。ロミジュリをジュリエットの名誉の観点で読むのはなるほどと思ったし、その流れでヴィクトリア朝文学のハッピーエンドとしての結婚を、なんとかヒロインにとっての抑圧的要素を取り除こうとしていると言う話も言われてみれば確かにと思った。物語をただ受容するだ
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Posted by ブクログ
ネタバレ「批評」という言葉を聞いて、なにそれ最高!という印象を持つ人は少ないと思う。
どちらかと言えばなんか映画や文学作品にあれこれと口を出す人、偉そうにジャッジする人というイメージを持つ人が多いのではないかと思う。
「批評」とは本来どういうものか、何のためにあるのか。それらを説明してくれる本だった。
1冊を通して批評に必要なことやしてはならないことなどを丁寧に説明してくれているけど、著者の北村紗衣先生の言葉のチョイスがおもしろくて楽しく読めた。
こういう新書系って当然と言えば当然なのだけど、小説と違ってエモさはあまりない。
人間の感情の揺らぎとかって書かれないし。いや書いてあったらそれはそれでまず -
Posted by ブクログ
ネタバレ本を読んだ後に感想以上のものを残せない人間なので、批評や考察するにはそもそもどうすればいいんだろう?と思って人に薦めてもらって読んだ。
そもそも批評と考察が全く同じテーブルのものではないことに気付き、確かに今のSNS社会で「考察」は数あれど、「批評」ってなかなか見ないというか、わざわざ叩かれる可能性あるものを公開する人あんまりいないよな〜と。だからこそ今ちゃんと批評できる人って実は少ないのかも。
ただ、批評するならやはり作品への愛が必要で、好きな作品を何度も楽しみつつ気になったことを深掘りしてみる、ってのは確かにやったらハマりそうだけど、私はどちらかというと死ぬほどつまらなかった作品につい -
Posted by ブクログ
著者が商業誌やウェブメディア、映画や舞台のプログラム、文庫や海外文学翻訳書の解説など様々な媒体に寄稿した批評をテーマ毎にまとめたもの。
著者が自分で述べているように、収録されている論考は全てフェミニスト批評がベースとなっているが、各論考は短めなので気軽に読むことができる。
取り上げる題材は映画や音楽、文学など多岐にわたるが、やはり著者の専門分野であるシェークスピアが一番面白かった。
パンチライン
「音楽の才能がないレッド・ツェッペリン」
なるほどサイアクだ。
追記
取り上げられていた『アナと雪の女王2』と『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』を観た。『アナ雪2』に対する著者の「(この結末が) -
Posted by ブクログ
シェイクスピアの研究者であり、フェミニズムの視点に立って映画などの批評活動をおこなっている著者が、作品の批評をおこなうための具体的な方法を解説している本です。
ロラン・バルトの「作者の死」などの概念について紹介する、批評理論についての解説書とかさなる内容もふくんでいるのですが、より実践的な指南書としての側面をもっているのが本書の特徴といえるように思います。著者自身が授業で学生を指導してきた経験が活かされているようで、小説や映画を鑑賞するさいに留意するべきことや、批評を書くための具体的なテクニックなどを知ることができました。
批評をおこなうにさいして、「自分の性的な嗜好が評価に影響を及ぼす可 -
Posted by ブクログ
世間では好評のようだが自分にはちょっと難しすぎる。
参考文献もしっかりしているが自分にはピンとくるものがない。
精読
作品内の事実を認定し、しかし語り手を含めた人物を信用しないこと。
一般的に「語り手=作者の意向の反映」や「この作品のメッセージは何か?」といったような捉え方をしたくなるが、
作者の作品に対する支配性を排除することで、読者は自由な読解が可能になる。
本書では「とりあえず作者には死んでもらおう」といった言い方がなされており、
自分なりに受容することで先入観にとらわれない読解ができる。
分析
時系列、人物相関図に書き起こす。物語を要素に分解する(構造分析)。
「仲間」の作品を見つ