【感想・ネタバレ】批評の教室 ──チョウのように読み、ハチのように書くのレビュー

あらすじ

批評はなによりも、作品を楽しむためにあります。本書では、批評を「精読する」「分析する」「書く」の3つのステップに分けて、そのやり方を解説していきます。チョウのように軽いフットワークで作品を理解し、ハチのように鋭い視点で読み解く方法を身につけましょう。必要なのは、センスではなく調査力と注意深さ。そしていくつかのコツを飲み込めば、誰でも楽しく批評ができます。作品をより深く理解し、たくさんの人とシェアするための、批評の教室へようこそ。

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ネタバレ

非常に読みやすい作りになっていて、初心者にも批評のおもしろさと難しさがよくわかる内容になっていた。
批評としての作品への接し方を知り、鑑賞時の楽しみ方が増えた。実際に批評できるかは別として、作品を深く理解するために使えるテクニックがいくつもあったように思う。
優れた批評をするには膨大な知識が必要なことがわかってくる。そしてそれをひけらかすわけではなく、不必要ならば書かないことの大切さ。なかなか難しいことでもあるけれど、著者の批評はテーマが絞られていてスッキリと読みやすく理解しやすいことからも、その引き算がいかに重要なのかがわかる。
けっこう大事なポイントとして、著者の文章には公平性があり、ご自身の考えの傾向まできちんと説明してくれるので、読者に偏向が起こらないようにしてくれていると思う。またほかの著作も読みたい。

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2025年11月10日

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批評とはどのような行為かを知り、作品を分析的に見る方法を身につけ、実際に批評を書いて発表できるようやさしくガイドする入門書。


プロレベルの批評を書くには精読と参考資料集めが一番大変なはずだが、これはゼミなどで実践しないと身につかない。本書はそういうところをサラッと「大変ですよ」で流しているので(反復されるモチーフの書きだしなどヒントはだしているが)、本当の意味で実践的ではないのかもしれないが、とにかく「批評はこわくないよ」「作品を褒めようが貶そうが、あなたが楽しんでいればそれでいいんだよ」をくり返し伝えてくれる。どんなジャンルでも何かしら創作物を見聞きして感想を発信したり読んだりする人(つまりオタクのほとんど)は一読して損はない親切な一冊だ。
特に重要だと思ったのは、自分のなかに確実に存在するバイアスに気づき、意識することが大事だというくだり。著者はハッキリと「性欲」がバイアスを生むとしている。
これは性的指向とは別で、オタクが「性癖」と言い換えて自らの趣味嗜好を押しだした感想を出力するときにやっていることだと思う。好みが明確ならそれをオープンにして書くことも個性になりうるが、自覚せずあたかも中立的な意見のように言ってしまうと批評としてはアウトなのだ。
バイアスがあることではなく、バイアスがないかのように振舞うことが罪。これは差別的なことを書いていないか意識するためにも必須の視点だ。こういうふうに、批評の技術やテクニックよりも心得を丁寧に教えてくれるのが本書のよさである。
Web上に感想があふれる飽和時代、「批評」という言葉にはいつのまにかネガティブなイメージもついている。批判や非難と区別がついてない人もいるのだろう。しかし当たり前だが、オタクだからってポジティブな感想だけを拡散して作品の評判に貢献する広告塔にならなきゃいけないわけじゃない。いろんな角度から「ストーカー的に」作品をしゃぶりつくし、読み解いてくっちゃべること自体に楽しみがあるのだから大いに楽しもうじゃないか、とオタクたちを鼓舞する本書の姿勢に私も賛成である。

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2024年03月24日

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本でも映画でも、ここでのちょっとした”評”を書くような時にでも役に立つ、作品・あるいは人のコメントなどについてちゃんと受け取る時の作法全般に役に立つと思う。自分の最初の反応も大事だけど、それを掘り進めることで新たに見えてくるものがある。自分の中の"偏り"に自覚的になることは大事。

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2024年02月08日

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ただ漠然と楽しむ楽しみ方もあるし、こうやって意識的に楽しむ方法もある。批評的に楽しむ面白さを、まったく肩肘張らず、軽やかな語り口で教えていただきました。それをアウトプットできるかは置いておいて…。
自分の中で、本も、映画も、それから音楽も、いろんな角度からさらに楽しめるようになりそうだ、というわくわく感。

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2023年06月29日

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よくここまで書き方を知ろうとせず書評を書いてきてしまったなと、厚かましいとも苦々しいとも思ってしまう。本書は2022年新書大賞で11位。

スカッと腑に落ちる経験をさせてくれる批評が好きで、自分でもそういう経験を人に提供できれば楽しいだろうと思っていたところ本書に出会い、本や映画の批評の方法を大いに学べた。私が書評を書く主な目的は、一つに書評の上達で、もう一つに知識の蓄積だ。著者の北村紗衣氏は、専門はシェイクスピア、舞台芸術史、フェミニスト批評で映画や小説の批評の指導もされている。

本書は、四つの章、①精読する、②分析する、③書く、④コミュニティをつくる(実践する)、から構成されている。批評の役割は、作品の解釈と価値づけで、さらにその批評を他人と楽しくシェアすること。

①精読では、出てくる言葉の意味が全部わかっているのは最も基本的で、最も重要なこと。また読み終えた作品の数が増えると、自分独自の解釈を提示できるようになって、新しく読む作品が前より面白くなる。

②分析では、面白いか面白くないかをその根拠とともに他の人と共有するのは、重要で楽しい価値づけのプロセスである。作品の受け手が作品を見てどういう経験をするかは極めて重要であり、少なくとも自分が批評をする時はその話をしなければいけない。作品のコンセプトがどのくらい達成されているか、受け手がどういう経験をもらえるか、の2つのことは批評をする時には考えないといけないこと。とりあえずはたくさんの作品に触れて、要素を抽出し、ネットワーキングできるところまで持っていかなければならない。

③書く上では、まず作品情報で一段落、内容に関する説明で一段落。次に一つの切り口だけで書き、切り口に沿って要素を結びつけ、何を象徴しているのかとか、作中に出てきているこれはあれと類似するものと考えられるとか、そういうことを分析してまとめる。

「巨人の肩の上に立つ」はニュートンの言葉で、先行業績の積み重ねをふまえることで、ものがよく見え遠回りしないという意味。この表現を使って本書には「巨人の肩の上に立てる時は必ず立ちましょう。それにより、あなたにもアリストテレスを超えるチャンスが生まれるのです」。「巨人の肩になってくれるもののひとつが批評理論で、読み解きというゲームの勝ち方を探す戦略を決める理論」「クリエイターも批評家も、巨人の肩の上に立つ必要がある。」「既存の型を学び、たくさん練習、巨人の肩に乗れるくらいの訓練」と様々表現されている。このように、批評活動に含まれる、精読にも、分析にも、書いたり実践したりすることにも、全て巨人の肩の上に立つことが重要なのだ。現代自然と巨人の肩の上に立つような環境になっている状況は多いと思うけれども、巨人の肩の上に立つことにもっと意識的になってより遠くを見たい。

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2024年02月29日

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日本人総コメンテーター化しいる現代では、SNS
で誰もが作品への批評を発信することができます。

しかし「良かった」「感動した」だけでは誰も振
り向いてくれないのは、このブログ読者ならばご
理解いただけると思います。

独自の視点でオリジナリティのある「刺さる」コ
メントが必要とされるのです。

の本ではそんな手法を学ぶことができます。ま
さにアウトプットを意識した、インプットのプロ
セスを身に付けられる一冊です。

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2022年11月17日

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実は2回目。精読の段階で自分は甘かったのだと反省することが出来た。これからも論点設定に迷ったらここに戻りたいところだが、それに特化した本でもなさそうなので、書く直前までの手段を学ぶにはいいと思う。(私の言う「論点」とは、研究で先行研究と比較しながら言われてない点を攻めるもの。比較的、自由な批評ではない。)

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2022年09月21日

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どんどん批評しよう、ちゃんと批評して文化を育てよう!ってすごくポジティヴで楽しい入門書でした。

フットボールでよく言われる「良いDFがいるところには良いストライカーが育つ」(例イタリア)みたいに、良い批評があるところに良い作家や作品が育つ…と言えるかな。単にVS関係だけではないし基本的に同じ競技のプレイヤーだと思う。

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2022年05月27日

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著者の『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』を読み、批評とは「作品をもっと楽しむため」だと気付いてからは、読んだら感想メモを書くことを徹底したら、たしかに楽しさ倍増の実感あり。(わたし調べ)
本書はプロローグ
批評って何をするの?問いから始まり
第一章 精読する、第二章 分析する、第三章 書く、第四章 コミュニティをつくる(実践)
具体的でわかりやすい批評の入門書。
巻末に「もっと学びたい人のための読書案内」有り。

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2022年05月17日

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批評というと身構えてしまうが、
自分の視点を持ちながら
深く作品を理解し、
その知見を人と共有する楽しみを
教えてくれる。
サブタイトルのモハメドアリの
言葉を始め、引用されるコトバの
数々がシェークスピアから
ポップスの歌詞まで幅広くて楽しい。

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2022年04月30日

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入口として面白そうと思わせるには十分かな。批評理論の本とは違うので、こういう切り口はこうでああでというのとは少し違うけど、本を読み、客観的価値のある批評をする事の面白さを感じられる。
(私的な読みは個人的な読み方の度合いを理解した上でならそれはそれでよいと思う)

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2025年05月10日

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テクストをどう精読し、分析し、批評を書くかの入門書。やさしい言葉で書かれていてとても分かりやすかった。専門的な批評理論の詳細までは踏み込まず、代わりに巻末にブックガイドが掲載されている。後半、著者とゼミ生それぞれが書いた2本の映画についての批評が載っており、それに対するコメントやディスカッション含めて興味深く読んだ。自分の書いたものについて忌憚なくやりとり出来るコミュニティは貴重だと思う。ゼミっていいなぁ。

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2024年10月25日

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ネタバレ

この本を読んだのは、自分がずっとハマって読んでいた漫画の終わり方に納得がいかず、けれど周囲の人たちは大絶賛していて、自分が疑問に思った点を言うことを憚られたからだった。
好きなところは好き、でもこういうところはおかしいと思ったし好きではない、とどうやったらうまく言葉にできるのか。むしろしてもいいのかどうなのか。そういう疑問への答えが欲しくて読んでいたら、なんだかとってもすっきりした。一番嬉しかったのは「芸術作品というのは現実の世界と異なり、あらかじめ受け手によって探索され、理解されるためのものとして作られているからです」というフレーズ。美術にしろ文学にしろ、世の中に出たものが世の中の人によって議論されたがゆえに今に残っているものがたくさんある。当たり前だけど忘れがちで特にSNSの同調主義に屈しないために心にこの言葉を持っておきたい。
とりあえずその漫画の精読から始めようかなと思えたのが自分にとっての何よりの学び。

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2024年10月20日

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著者にはツイッタランドで燃えている可燃物のイメージしかなかったんだけど、文章の読み方伝え方を面倒見良く教えてくれる良い先生だった。
その上で、深く考えずに作品を見て楽しむのも十分価値ある体験で、優劣はつけられないとも言ってくれている。優しい

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2024年09月25日

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ネタバレ

批評をしたいというわけではないが、ただ面白いというところから一歩進んで、どんなところに着目すればより作品を楽しめるか、というヒントを求めて読みました。

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2023年05月01日

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ネタバレ

「批評」という言葉を聞いて、なにそれ最高!という印象を持つ人は少ないと思う。
どちらかと言えばなんか映画や文学作品にあれこれと口を出す人、偉そうにジャッジする人というイメージを持つ人が多いのではないかと思う。
「批評」とは本来どういうものか、何のためにあるのか。それらを説明してくれる本だった。

1冊を通して批評に必要なことやしてはならないことなどを丁寧に説明してくれているけど、著者の北村紗衣先生の言葉のチョイスがおもしろくて楽しく読めた。
こういう新書系って当然と言えば当然なのだけど、小説と違ってエモさはあまりない。
人間の感情の揺らぎとかって書かれないし。いや書いてあったらそれはそれでまずいんだろうけど。
説明を読む感じで活字欲は満たされるけど、あまりおもしろいとかは思えない。
でもこの本は北村先生の言葉がおもしろくて、今までの新書系とは違った読書体験ができた。
一番おもしろかったのは第一章に書かれている精読のためにすべきではないことのところだ。
前提として北村先生は批評のためには精読が必要だと説いてくれている。精読とは以下のように本書で定義づけられている。

【こういう、対象をものすごくじっくり細かいところにまで気を配って読むやり方を「精読(クロース・リーディング)」と呼び、あらゆる批評の基本とされています。】『批評の教室』p21

そしてこれ以降の箇所で精読のためにすべきこと、すべきではないことを書いてくれていますがそのなかの精読のためにすべきではないことに書いてあるひとつが「ええ!?」と声を出してしまいそうなほど、なかなか見ない一文でした。

【とりあえず作者には死んでもらおう】『批評の教室』p59

これは精読をする際に作者は何を伝えたかったのかを考える人たちがいるが、そもそも古い作品は作者が不明だったり手を加えられていることもある。
また批評の対象は詩や小説だけではなく劇や映画などもあるが、そういった場合は監督や演出家、脚本家などのスタッフと意見を合わせて作っていくものでもあるし、詩や小説だって商業的な作品は出版者の編集者などが必ずあいだに入る。
「作者」という言葉のイメージから、孤独な天才という像と結び付けられがちだが、作品が世に出るまで複数名が関わっていることが多く、作者が何を伝えたいのかというテーマ設定は適切ではないとのことだ。
『とりあえず作者には死んでもらおう』という文字の並びを読んで、どういうこと!?と思ったけれど、こう書かれているとそれはそうだな…と納得してしまう。
たぶんこれは国語で再三「作者の気持ちを考えましょう」的な指導を受けるからだと思う。
あなたはどう考えた?みたいな問いかけをされることってあんまりないよなー。それこそ大学ぐらいまで。
何となく受けが良い答えというか暗黙の了解的なものがあって、こんな感じの答えなら教師からいい評価がもらえるみたいなのって薄っすらあるよねえ。読書感想文とか。
まあ読書感想文は感想文だから批評は違うのだろうけど。
でもアニメや漫画や小説でも、何かを解釈するときに自分の解釈が合ってるかどうかを気にする人って本当に多いなとSNSを見ていて思う。あと二次創作。
二次創作でもって自分の解釈が正しいということを評価という数字で欲しがる。自分の解釈って自分だけのものなのにね。
また精読のためにすべきことではこんなことが書かれている。

【自分に邪な性欲があることを自覚しよう】『批評の教室』p43

これ、けっこうぎょっとしませんか?
でもこれも読んでみると納得する。これは自分の性的な趣味や嗜好を理解することが、いわゆるバイアスに関わってくるということ。
バイアスがあると何でもそうだけど冷静さが失われる。バイアスによって評価が高くなったり低くなったりする。批評に不要に影響を与えることになる。
しかし北村先生によるとこれも自分の性的な好みなどを把握し、自覚しておくことで批評に有利に使うこともできると書いてる。
好きな俳優さんが出てるからよかったとか、めちゃくちゃあるあるですよね。

この本は批評を実際にするかどうかに限らず、あふれるコンテンツをしっかりと噛み砕き、自分のなかに還元するための助けになる。
だから読書や観劇や鑑賞の体験をもっと深くしたいと思う人にはとても有用なんじゃないかなと思います。いつもただ読んだだけ、観ただけになっていて自分のものになっている気がしない…という方はぜひに。

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2022年11月27日

Posted by ブクログ

批評することをかなりラフで分かりやすい文章で書いてくれている正に入門書。
それでいてバランス感覚もあり陥りがちな罠にも注意してくれるところが良い。

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2022年08月08日

Posted by ブクログ

前半部分、精読や分析などの項目は興味深く読めた。後半の実践部分はやや薄く、精読する必要をあまり感じなかった。対象作品として小説よりも映画・音楽のほうに比重がかかっており、理論などについても網羅的ではないため、通読する教養書である。本格的に学ぶには、参考文献を辿ってさらに勉強する必要がある。

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2022年05月21日

購入済み

すらすらと

知ってる映画や本などの例も多く挙がってきて、とても読みやすかったです。構成も批評の準備段階そのやり方、そして、書くところまでのサポートがあるのは素敵に感じました。批評の入門として読みましたが、やってみよう、と思わせてくれる本でし。

#タメになる

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2021年10月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本を読んだ後に感想以上のものを残せない人間なので、批評や考察するにはそもそもどうすればいいんだろう?と思って人に薦めてもらって読んだ。

そもそも批評と考察が全く同じテーブルのものではないことに気付き、確かに今のSNS社会で「考察」は数あれど、「批評」ってなかなか見ないというか、わざわざ叩かれる可能性あるものを公開する人あんまりいないよな〜と。だからこそ今ちゃんと批評できる人って実は少ないのかも。

ただ、批評するならやはり作品への愛が必要で、好きな作品を何度も楽しみつつ気になったことを深掘りしてみる、ってのは確かにやったらハマりそうだけど、私はどちらかというと死ぬほどつまらなかった作品について「なんでこんなにつまらないのか」を分析してみたいと思ってしまった。ただ、その場合そこに愛がないので、批評として成り立たず、たぶんただ自分の意見を連ねるだけになって全然ダメなわけですね…

絶対一生観ないと決めてるけど、批評のためなら「耳をすませば」の実写版見てみるのもアリかもしれない…いや見ないが。

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2025年11月30日

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評論に関するhow-toな内容。
感想を文章に残す時に意識してみたりしている。
また、評論している文章を読むときに、その文に対しての読み方の補助になったりもしている。

読み物的というよりは実用的。

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2025年08月30日

Posted by ブクログ

批評のきっかけを少し掴めた気がした。
批評とまではいかなくても、映画のレビューを書く際に何にフォーカスして書けばいいのかに迷った結果、色々詰め込み過ぎてごちゃつくことがよくある。
ごちゃついている自覚はあるが、どこからテコ入れしていいかもわからなくて次第にレビューも書かなくなった現在。

この本を読むことによって、レビューを書く際のテーマ決めのきっかけをつかむ方法が少しだけわかった気がした。
今後のレビュー活動が少し楽しみになった。

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2025年01月16日

Posted by ブクログ

シェイクスピアの研究者であり、フェミニズムの視点に立って映画などの批評活動をおこなっている著者が、作品の批評をおこなうための具体的な方法を解説している本です。

ロラン・バルトの「作者の死」などの概念について紹介する、批評理論についての解説書とかさなる内容もふくんでいるのですが、より実践的な指南書としての側面をもっているのが本書の特徴といえるように思います。著者自身が授業で学生を指導してきた経験が活かされているようで、小説や映画を鑑賞するさいに留意するべきことや、批評を書くための具体的なテクニックなどを知ることができました。

批評をおこなうにさいして、「自分の性的な嗜好が評価に影響を及ぼす可能性がある」ということを自覚しておくことの必要性を指摘しているのは、ネット上で個人的な感想を書きつづっているわれわれにとって有益だと感じました。著者は映画『ジュピター』について、「子供が書いたみたいなメチャクチャな脚本で本当にひどい映画だと思いますが、女の子の夢を恥ずかしげもなくブチまけたみたいな展開やら、チャニング・テイタム演じる狼男っぽいボディガードやら、ジュピターがつけているとんでもなく派手なヘッドドレスやら、いろいろぐっとくる様子があって私にとっては嫌いになれない映画です」とコメントしています。作品に魅力を感じる理由をことばに表現することで、みずからのヴァイアスを自覚するとともに、その価値を語ることができると著者は述べ、そのうえで「このような場合は自分の愛がどこからくるのかを冷静に考えましょう」とアドヴァイスしています。

とくに身構えて批評という営みにとりかかろうとするひとでなくても、「おもしろかった」「つまらなかった」という感想で終わらないために、重要なアドヴァイスだと思います。

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2024年10月06日

Posted by ブクログ

何日か前に、はてブのトップに著者のブログがあった。その中身そのものは今の自分からは距離があったのでブックマークしていない。しかしながら論理展開が見事だったので、その著作を読んだ。批評をやるためというよりも、フィクション(舞台、映像、音楽、文学などなど)の鑑賞手法の入門みたいで面白く最後には批評を比べあうことまでやって読者サービスがとてもよい。

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2024年08月30日

Posted by ブクログ

世間では好評のようだが自分にはちょっと難しすぎる。
参考文献もしっかりしているが自分にはピンとくるものがない。

精読
作品内の事実を認定し、しかし語り手を含めた人物を信用しないこと。
一般的に「語り手=作者の意向の反映」や「この作品のメッセージは何か?」といったような捉え方をしたくなるが、
作者の作品に対する支配性を排除することで、読者は自由な読解が可能になる。
本書では「とりあえず作者には死んでもらおう」といった言い方がなされており、
自分なりに受容することで先入観にとらわれない読解ができる。

分析
時系列、人物相関図に書き起こす。物語を要素に分解する(構造分析)。
「仲間」の作品を見つけ、ネットワーキングする(インターテクスト化)。

書く
分析の切り口を決め、読者対象を想定する。
書く時には、内容が正確に伝わるように。
「誰からも好かれようと思うな」

共同体をつくる
批評が書けたら、それを基に議論をする。
人と意見を交換することで作品の周りにコミュニティができる。

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2024年05月15日

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批評の書き方について大学の授業を受けているような本。
勉強になった。大学生にはいい本だと思う。ブログなどでも応用できると思うがもっと気楽に書きたい気もする。

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2024年04月01日

Posted by ブクログ

 読み始めた当初はものすごく良い本かと思って読んでいたが、徐々に読む速度が落ち、ごく普通の本だという結論に落ち着いた。
第一章 精読する
第二章 分析する
までくらいは結構参考になった。

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2023年09月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なぜこの本を読み始めたのかは忘れた。
映画や小説など人の作品を「批評する」ことは自分にはあまり興味のないことと思って読み進めていったが、批評という一つの文学(?)のジャンルについて分かりやすく説明されていた。
最後の著者と教え子による2本の映画の実践批評の比較はおもしろかった。

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2023年04月03日

Posted by ブクログ

批評に関する入門書として面白かった。これまで批評というものを真剣に考えたことがなかったが、本書を読むことで批評家と呼ばれるような人たちが少しだけ身近になった気がする。

同時に、自分自身も自分の好きな作品について、しっかりと読み込んで批評なるものを書いてみたいと思うようになった。しかし、それはそれで、かなりの労力が必要になろうであることが本書を読んでよくわかった。
繰り返し読むことで本書の内容に対する理解を深めていきたいと思った。

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2023年01月08日

Posted by ブクログ

精読する

バイアス色眼鏡が入ってしまうことを認識して、注意深く事細かに見落としないように、観察し調べ上げる。当たり前といえば当たり前だが、あらためて突き付けられるとハットする。
小説に全く興味のない屑鉄汚ではあるが、絵画や映画や音楽や演劇などの鑑賞は好きなので、作者を「殺し」語り部の「ウソ」と「ヒント」を見抜く、というあたりはなかなか納得がいく。
正しい解釈は存在しないが、間違った解釈は存在する。
なるほどね。

分析する

伝記的批評ー古典的
ニュークリティシズムー現代的批評

ポストコロニアル批評(西洋帝国主義)
フェミニスト批評(性差別)
クィア批評(性的逸脱)
→社会が決めた条件付けに敏感な批評

要するに、いかなる視点で精読するか
その次に抽象化
数学の解析学のような微分積分

書く

書く、とは相手に読んでもらうために、書く、のであって、必然的にいろいろ注意点がある。
まあ、書くことで自分の思考を客観的に見つめるキッカケとなる。そのためにこのアプリを屑鉄汚も使い始めた。

コミュニティをつくる

表現すればみる人がいて、人は表現物を見れば何かしらの感想を放つ。ブラッシュアップの一番いい機会だ。

全体こんな感じだが、今の日本人、日本の教育にはハードルが高すぎる。
表現できない、周りを忖度して萎縮する、子供が多い。
批判を恐れて自分の意見を出すことができない。
いや、もっと言うと、批判批評を受け入れる方法を知らない。
批判批評は死後に対する否定、人格否定と考えているから子供たちは表現しない。
出る杭は打たれる日本文化が骨身に染み付いた島国根性の成れの果てと言っておきたい。まぁ、家庭の問題も大きいとは思うが。
丸ペケ100点は子供を馬鹿にしてしまう仕組みなのだ。



 

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2022年11月24日

Posted by ブクログ

レビューを自分の視点で魅力的に描けるようになりたいと思って読んだ。新書はやっぱり難しいけど、精読、分析、書くのステップが分かった。同時にまずは型にはまってみること、わからない単語は調べながらよむこと、切り口を絞ること、などできるところから取り組んでいきたい。レビューをかくことに行き詰まったら教科書的に持ち出して読み直したい。

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2022年05月15日

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