【感想・ネタバレ】批評の教室 ──チョウのように読み、ハチのように書くのレビュー

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Posted by ブクログ 2023年05月01日

批評をしたいというわけではないが、ただ面白いというところから一歩進んで、どんなところに着目すればより作品を楽しめるか、というヒントを求めて読みました。

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Posted by ブクログ 2022年11月27日

「批評」という言葉を聞いて、なにそれ最高!という印象を持つ人は少ないと思う。
どちらかと言えばなんか映画や文学作品にあれこれと口を出す人、偉そうにジャッジする人というイメージを持つ人が多いのではないかと思う。
「批評」とは本来どういうものか、何のためにあるのか。それらを説明してくれる本だった。

1...続きを読む冊を通して批評に必要なことやしてはならないことなどを丁寧に説明してくれているけど、著者の北村紗衣先生の言葉のチョイスがおもしろくて楽しく読めた。
こういう新書系って当然と言えば当然なのだけど、小説と違ってエモさはあまりない。
人間の感情の揺らぎとかって書かれないし。いや書いてあったらそれはそれでまずいんだろうけど。
説明を読む感じで活字欲は満たされるけど、あまりおもしろいとかは思えない。
でもこの本は北村先生の言葉がおもしろくて、今までの新書系とは違った読書体験ができた。
一番おもしろかったのは第一章に書かれている精読のためにすべきではないことのところだ。
前提として北村先生は批評のためには精読が必要だと説いてくれている。精読とは以下のように本書で定義づけられている。

【こういう、対象をものすごくじっくり細かいところにまで気を配って読むやり方を「精読(クロース・リーディング)」と呼び、あらゆる批評の基本とされています。】『批評の教室』p21

そしてこれ以降の箇所で精読のためにすべきこと、すべきではないことを書いてくれていますがそのなかの精読のためにすべきではないことに書いてあるひとつが「ええ!?」と声を出してしまいそうなほど、なかなか見ない一文でした。

【とりあえず作者には死んでもらおう】『批評の教室』p59

これは精読をする際に作者は何を伝えたかったのかを考える人たちがいるが、そもそも古い作品は作者が不明だったり手を加えられていることもある。
また批評の対象は詩や小説だけではなく劇や映画などもあるが、そういった場合は監督や演出家、脚本家などのスタッフと意見を合わせて作っていくものでもあるし、詩や小説だって商業的な作品は出版者の編集者などが必ずあいだに入る。
「作者」という言葉のイメージから、孤独な天才という像と結び付けられがちだが、作品が世に出るまで複数名が関わっていることが多く、作者が何を伝えたいのかというテーマ設定は適切ではないとのことだ。
『とりあえず作者には死んでもらおう』という文字の並びを読んで、どういうこと!?と思ったけれど、こう書かれているとそれはそうだな…と納得してしまう。
たぶんこれは国語で再三「作者の気持ちを考えましょう」的な指導を受けるからだと思う。
あなたはどう考えた?みたいな問いかけをされることってあんまりないよなー。それこそ大学ぐらいまで。
何となく受けが良い答えというか暗黙の了解的なものがあって、こんな感じの答えなら教師からいい評価がもらえるみたいなのって薄っすらあるよねえ。読書感想文とか。
まあ読書感想文は感想文だから批評は違うのだろうけど。
でもアニメや漫画や小説でも、何かを解釈するときに自分の解釈が合ってるかどうかを気にする人って本当に多いなとSNSを見ていて思う。あと二次創作。
二次創作でもって自分の解釈が正しいということを評価という数字で欲しがる。自分の解釈って自分だけのものなのにね。
また精読のためにすべきことではこんなことが書かれている。

【自分に邪な性欲があることを自覚しよう】『批評の教室』p43

これ、けっこうぎょっとしませんか?
でもこれも読んでみると納得する。これは自分の性的な趣味や嗜好を理解することが、いわゆるバイアスに関わってくるということ。
バイアスがあると何でもそうだけど冷静さが失われる。バイアスによって評価が高くなったり低くなったりする。批評に不要に影響を与えることになる。
しかし北村先生によるとこれも自分の性的な好みなどを把握し、自覚しておくことで批評に有利に使うこともできると書いてる。
好きな俳優さんが出てるからよかったとか、めちゃくちゃあるあるですよね。

この本は批評を実際にするかどうかに限らず、あふれるコンテンツをしっかりと噛み砕き、自分のなかに還元するための助けになる。
だから読書や観劇や鑑賞の体験をもっと深くしたいと思う人にはとても有用なんじゃないかなと思います。いつもただ読んだだけ、観ただけになっていて自分のものになっている気がしない…という方はぜひに。

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Posted by ブクログ 2022年04月17日

批評・レビューの書き方について解説、批評入門書。
この著者の考え方とかは結構好きなんだが、映画や小説、音楽の作品の好みが全く合わず、本作に登場する作品の中で私が実際に見たり読んだりしたことがあるのは、『華麗なるギャッツビー』だけであった……。

非常に興味深かったのは、「作者の考え」「作者が伝えたい...続きを読むこと」は批評の対象から外す、ということ。

「やたらと作者が何を伝えたかったのかを問おうとする学生がけっこういます。作者が作品をコントロールしているという幻想は広く存在しているのですが、冷静に考えるとそうではないことがわかります。」(P.59)

これは、特に中学までの国語のテストで、「この作品で作者は何を伝えたかったのか、以下の選択肢から選べ」「この作品で作者が伝えたいことが書かれている一文を抜き出して書け」みたいな問題が多いためだと思う。
日本の国語教育の根本を否定しているwと思って笑ってしまう一方で目から鱗であった。

野坂昭如が娘から『火垂るの墓』を書いた時の気持ちを聞かれて、娘が国語のテストでその通り書いたら×をもらった、という逸話もあるし……(野坂氏の娘によると事実無根らしいが)。

確かに本書にある通り、作者自身も当時の社会情勢や周りの家族・友人の言動から影響を受けるし、編集者の助言もあるし、脚本ならキャストの意見も反映されたりする。
古典文学の場合、作者が複数人の共作であることが後世になって判明することもある。

冷静に考えれば「作者が伝えたいこと」を問うのは愚問である。

終盤にある、著者と著者の教え子が同じ作品をそれぞれ批評し、それについて対談するというのも面白かった。
同じ作品でもここまで着眼点が違うものなのか。

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Posted by ブクログ 2023年04月03日

なぜこの本を読み始めたのかは忘れた。
映画や小説など人の作品を「批評する」ことは自分にはあまり興味のないことと思って読み進めていったが、批評という一つの文学(?)のジャンルについて分かりやすく説明されていた。
最後の著者と教え子による2本の映画の実践批評の比較はおもしろかった。

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