あらすじ
貞淑という悪徳、“不真面目な”ヒロインたち、
不条理にキラキラのポストモダン、
結婚というタフなビジネス……
「男らしさ」「女らしさ」の檻を解き放て!
注目の批評家が贈る〈新しい視界がひらける〉本
・ジュリエットがロミオにスピード婚を迫った訳とは?
・フェミニズムと優生思想が接近した危うい過去に学ぶ
・パク・チャヌク映画『お嬢さん』の一発逆転!〈翻案の効用〉とは
・『マッドマックス』の主人公がもつケアの力と癒やし
・「マンスプレイニング」という言葉はなぜ激烈な反応を引き起こすのか……etc.
閉塞する現代社会を解きほぐす、鮮烈な最新批評集!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
すごく良かったし、北村さんのファンになった。わたしは「ジェンダーよくわからん」みたいなタイプなのだが、本の中では専門用語あるけど喩えが上手くて、ジェンダー論がわかりやすく載ってた。
軒並み映画を題材にしてたので、映画をよく見る人はもっと楽しめそう(わたしは映画を全く見ないので)。
斯くいうわたしはフェミニストになるつもりはないけど、ジェンダーでの論点は知っといて損はないと思った。
Posted by ブクログ
著者とわたしの好きな映画とかはあまり重ならないと思うのだけれど、それでも、さまざまな映画について、フェミニズムやジェンダーの観点からの批評が丁寧にわかりやすく書かれていておもしろかった。
流行ってるのにわたしが興味もてなくてスルーしている映画でも、え、こんな内容なのか、こんな観点で見られるのか、やっぱり見てみなくては!?と思わされたり。(たとえば「マッドマックス怒りのデスロード」「ワンダーウーマン1984」「ハーレクインの華麗なる覚醒」「アナと雪の女王2」とか)。
あと、長々しいタイトルもおもしろい「レオナルド・ディカプリオとガス・ヴァン・サントのせいでグザヴィエ・ドランと私の人生はメチャクチャになった」と「私たちは帝国だったんだけど、とはいえ私はストームトルーパーにすらなれないかもしれない」の、ファン心理とかファンダムみたいな話がなぜかすごく興味深くておもしろかった。どちらもテーマとなっている映画をわたしは見たことはなく(スターウォーズさえ、大昔に1作くらい見ただけ)、だから具体的になにが書いてあるのかもよくわかってないかもしれないけど、それでも。なにかをものすごく好きっていう人や話が好きなので。このくらい、人生を狂わされるくらいなにかをものすごく本気で好き、っていう人が、著者のように研究者になれるんだろうなーと思う。わたしみたいに普通になにかが好き、とか、かなり好き、とか、ファン、くらいじゃ、そこまではいけないんだよねと少々悲しく思ったり。
Posted by ブクログ
映画や音楽をフェミニズム的に批評するとこんなにも新たな視点が得られる
好きなものは自分が選ぶわけじゃなく、自分がその対象から"選ばれた"のだ、という文章が印象的。この選ばれた責任感が全体に通底してて、作品への深い愛につながっている
Posted by ブクログ
北村さんはTwitterで時々お見かけしていたものの書籍は初めて読んだが書きっぷりが非常に面白かった。とても聡明で深く思考する方なのだろうということが文章から感じられた(学者なので当たり前か)。本書は文芸、映画にまつわるエッセイのような感じで、知らなかった作品も半分以上あったが見てみたい・読んでみたいと思った。ウィキペディアの男子文化の話はさもありなん。ロミジュリをジュリエットの名誉の観点で読むのはなるほどと思ったし、その流れでヴィクトリア朝文学のハッピーエンドとしての結婚を、なんとかヒロインにとっての抑圧的要素を取り除こうとしていると言う話も言われてみれば確かにと思った。物語をただ受容するだけで無く、こんな風に批評できたら面白いだろうな。もっといろいろ見て、読んで、感じて学びたいと思った。
Posted by ブクログ
映画、小説を批評したくなる。
ジェンダーやフェミニズムに関連する作品を観て、読み、深めるきっかけになる1冊。
ジェンダー・フェミニズム批評入門というタイトルをつけるなら、これらの批評方法についての解説が欲しかった。
Posted by ブクログ
著者が商業誌やウェブメディア、映画や舞台のプログラム、文庫や海外文学翻訳書の解説など様々な媒体に寄稿した批評をテーマ毎にまとめたもの。
著者が自分で述べているように、収録されている論考は全てフェミニスト批評がベースとなっているが、各論考は短めなので気軽に読むことができる。
取り上げる題材は映画や音楽、文学など多岐にわたるが、やはり著者の専門分野であるシェークスピアが一番面白かった。
パンチライン
「音楽の才能がないレッド・ツェッペリン」
なるほどサイアクだ。
追記
取り上げられていた『アナと雪の女王2』と『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』を観た。『アナ雪2』に対する著者の「(この結末が)本当に面白くてポジティブなのか」という問いには激しく同意。『ハーレイ』に関しては、「難しく考えずにただ楽しめば良いんじゃない?」と感じました。