マーク・チャンギージーのレビュー一覧
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こりゃあすごい本を読んじゃったな。ヒトの視覚認識に関する教科書が書き変わるような定石破りの仮説が目白押し。目のウロコは4枚落ち。開き両王手の飛車角取りだ。
著者は冒頭でこんな事を言う。ヒトの視覚は四つの超人的な能力を持っている。テレパシー、透視、未来予見、霊読(スピリットリーディング)の能力だ。人々は我々が持ち合わせるこれらの能力に気づいていない。と。胡散臭いなー。これを読んだ誰もが感じるだろう。だがこれは、著者の大袈裟にとぼけてみせる独特のユーモアだ。それどころか、まんざら大袈裟でもない。著者も最後に自ら言っている。「私は知識や考えを(そして、 -
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視覚に関するなぜ?を説明する本です。とても面白く、新しい発見に満ちています。
「どういう」仕組みか?に対する説明ではなく、「なぜ」そのような仕組みなのか?に対する説明がなされている点に、本書の特徴があります。
そしてその説明が軒並み突飛で、今まで学校で学んだことを覆すようなものなのです。
「なぜ人間の目は色が見えるのか?」に対しては、
「同族の感情を読むため」
「なぜ人間の目は前向きについているのか?」に対しては、
「障害物の向こうを透視するため」
「なぜ人間の目は錯視するのか?」に対しては、
「未来を見通すため」
「なぜ人間の目は文字を読めるのか?」に対しては、
「目が認識しやすい -
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ヒトの視覚について、発達した色覚、前方につく両眼、錯覚、表記の読み取りに着目し、従来の説を丸々ひっくり返す論で進化の駆動力を考察した本。
通説「色覚は果実を発見するのに優位」
→違う、「相手からの情報受信の高度化を目的に、肌の色をよく見るた目に発達した」
⇒なぜなら、ヒトの目は、肌色近辺のスペクトル感知に異常発達している
と言ったような、大展開を4つのトピックで行っていく。
論だけ抜き出すと「そんな突拍子もない…」と言いたくなるが、集めるデータとそのパラメーター整理が鮮やかで、強い説得力を持つのに感服せざるを得ない。
筆者の物事を巨視的に捉える力を根底とした発想力、論を強化するための構成力 -
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ネタバレ筆致が強くて若干引き気味になる部分もあったけど、今までなかった視点がふんだんにあってそれぞれに個性的なデータが示されていて面白かった。
人の色覚は人の体調や感情を肌の色から読み取れるよう進化した。平熱と微熱の一度の差を感じられるのと同様に、普段の肌の色を基準に僅かな差を読み取れる。黄/青(ヘモグロビン濃度高/低)・赤/緑(血中酸素飽和度高/低)が、人の色覚の四原色で、S/M/L錐状体はこれを感知できる設定の配置になっている。人の眼がこのような設定だから、人は今のように世界が見えている。決して正確な描写ではなく、自然淘汰でたまたま生き残った設定で脚色された世界を捉えている。
また、眼は左右の二 -
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ヒトの色覚はヒトの肌の色の変化をしっかりと見分けることを基準に定まった。であるから、それ以外の色の見え方は偶然の産物。りんごが赤く見えるのも、その色覚の進化の結果であるらしい(場合によれば黄や緑に見えるようになったかもしれない)。肌の色は血流量や酸素飽和度の変化により変わる。それが健康保持や生命保持に関わる人類生存のキーになるものであるので、色覚もそれが最優先され、それに連係して、他の物の色の見え方も決まっていった。肌の色の変化は人間が意識的に変えられる物ではなく(例えば怒りの感情が高まると血流量が増え、顔が赤くなるが、これは自分の意思ではコントロール出来ない。よく、感情が顔に現れるのは平然と
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ネタバレ『ヒトの目、驚異の進化 視覚革命が文明を生んだ』の作者による「音」と「言語」の話。
『ヒトの目…』で思ったんだけど、この作者は「ヒトが今使っている機能(文字を読むとか音楽を聞くとか)は、元々ある機能(敵を見つけるとか同族の状態を知るとか)を転用したもの」というスタンスでずっといる。
前作が「視覚」で、今作が「聴覚」かな。そう見るとスッキリした2冊目だと思う。
主題は2つで
①物理現象による音(”ぶつかる””すべる””鳴る”)を模倣することで、私達は言語を操っている
②音楽は私達の動作音(どこへ行くか、ドップラー効果など)を模倣/抽出/強調している
ってとこかな。
アリストテレスは「芸術は自然 -
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・人の眼は、人の肌の色の変化を捉えるように進化してきたか、なるほど。さすが社会的生物。
・顔の前に二つの目があるこの形態、立体視のためではなく、(目と目の間隔も小さい)障害物の向こうを透かしてみるために有利か、一理あるな。
・錯視は見て処理している間に過去になる現在(未来)を見るための情報処理(未来予見)の副作用。まあ、表現はともかく、ね。
・ただ、4勝の「霊読」とおどろおどろしい表現をしているが、文字を読む事については、「自然を視覚的に理解できるように進化した脳で文章(文字)をたやすく読めるのは、文字が数千年かけて自然に類似するように進化させられたからだ」
「眼のための文字」と「手のための -
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Posted by ブクログ
本書は、4つの超人的な「視覚」の能力、すなわち、①色覚、②両眼視、③動体視力、④物体認識、の正体を突き止めようとする試みである。
第1章では、なぜ人間は色覚を進化させたのかが論じられる。従来は、人間が食べ物を探しているときに葉の背景から果実を区別するため、あるいは食べられる若葉が見えるように進化してきたとの仮説が唱えられていた。それに対し著者は、肌の色の変化を見るために進化したのだと主張する。
第2章は、なぜ人間の両眼は前向きについているのか?が検討される。従来は立体視、奥行きを捉える能力に利点があると考えられてきた。著者は、障害物にさえぎられながらも、その向こうの知覚対象をみること -
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