貴戸湊太のレビュー一覧
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認知心理学を駆使して被疑者のウソを見破る検事・大神と、その下で働くことになった新人事務官・朝比奈が、様々な事件と被疑者に当たっていく連作短編集。
「相手のウソを見破る」というと、佐藤青南さんの「楯岡絵麻」シリーズと同じ感じかな?と最初は思っていたものの、そのアプローチ方法が全く違った。
楯岡絵麻はマイクロジェスチャーという、常人では察知できない動きを見る(ある種の超人的スキル)ことでウソを見破るのに対して、大神は心理学的手法を用いて、相手のウソを見破っていく。
ゆえに、心理学的な説明がちょこちょこ挟まれる。
もちろん話を理解するには必要とはいえ、下手をすると説明臭くなり、読むリズムが途切れてしまう恐れもある。
短編という形式も活かしてか、その部分が見事に解消されていて、読んでいてストレスがなかった。
貴戸さんの著書に、同じように心理学的手法がキーとなっている「有能助手は名探偵を操る」を先に読んだが、こちらは長編。
どちらも面白かったものの、比べると今回読んだ作品の方が個人的には良かった。
たぶん、作品のテーマ的に、長編より連作短編の形の方が向いているのかも?
続編の2作目もあるようなので、ぜひ読んでみたい。
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Posted by ブクログ
優秀な助手が主人公で、ポンコツの探偵をさりげなく解決へと導く、変わったバディの本格ミステリ。助手だけでなく、探偵のキャラクターも魅力があり、二人の関係性や、なぜ助手をしているのか。なども掘り下げられて納得できる絶対になっていた。
本編は過去に解決した事件を模倣する連続殺人犯を追いかける中、過去のとある事件がピックアップされ丸々紹介される。つまり、本作は①現在の連続殺人事件②過去に解決した事件③助手と探偵の過去。と3つの要素が含まれている。そして、それぞれが魅力的なものとなっており、非常に濃密な一冊になっている。
また、これらの要素だけでなく、ロジック面でも納得感のある仕上がりになっており、隙がない作品だった。 -
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個別指導塾・一番星学院桜台校(通称:バンボシ)のアルバイト講師、不破勇吾。実は、元刑事で頭の切れる不破だが、それを知らない塾生たちは不破の正体に興味津々。そんななか、塾生のひとりである梨央は、同級生の萌絵の様子がおかしいことに気付き、友人の龍也とともにその理由を探り出す…。
面白かった!
書店でたまたま手に取った本。
梨央と龍也(第二話からは萌絵も含めて)の中学生か、塾内やその周辺で起こる事件を探る…というところまではよくある青春ミステリーかとも思ったが、実は講師である不破(読者には第一話の初めらへんで元刑事であることが明かされるが、子どもたちにとっては正体不明のまま)がいち早く事件を解決へと持っていくという形になっているのが面白いなと思った。
今、ニュース等で話題になることも多い"教育虐待"も盛り込んであった。
第三話で、不破のよき相談相手だったかつての同僚・雪室が殺害されるという展開は、なかなか衝撃だった。 -
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塾講師と生徒のダブル探偵ミステリー
学校ではなく、塾が舞台という珍しい作品。
本作では二組の探偵が登場する。
塾生の中学生・梨央と龍也、そして塾講師の不破のそれぞれの視点で描かれる。
塾の付近で発生している通り魔事件を縦軸にして、塾の中で起こるいくつかの事件の解決に挑む。
なお、生徒にとっては謎の不破の正体は、読者にはすぐに明かされる。彼は元・刑事であり、持ち前の正義感から問題解決に臨む。取り調べのテクニックを駆使して、子どもや犯人から本音や真相を聞き出す様子はまさに刑事だ。
そして不破の成長物語でもある。刑事時代の名残りの厳しさがありながら、塾講師には生徒との信頼関係が重要だと気づき、接し方を徐々に変えていく。
一方の梨央と龍也は、探偵団を自称して塾内の事件に関わっていく。彼らは生徒という立場から、クラスメイトの人間関係や様子に探りを入れ、独自に推理を進める。
彼らに問題を解決できるほどの力はないものの、それは結果的に不破の推理の手助けとなり、不破は大人として問題の解決に取り組むことになる。
学校ではない、塾というシチュエーションがよく活きていると思う。自習室、授業のコマ、模試といった、塾らしい要素で物語が構成されているのが面白い。
また学校と異なり、塾講師は家庭や個人の問題には直接踏み込みづらい。そこを、不破が機転を利かせて解決に導く様子は気持ちがよかった。