春暮康一のレビュー一覧

  • 一億年のテレスコープ

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    宇宙の広さとそこに飛び出していくコストがおそらく割に合わないっていう問題と意識の移転が曲がりなりにも実現可能になった場合、生身の人類より、そちらで行く事になるよねって面をちゃんと考えて書いてある感じ。確かに売り文句通り、ファーストコンタクトの軽やかな更新というか技術発展受けての今わかってきてる事含めて書いたSFの更新ではあると思う

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    2025年05月10日
  • 一億年のテレスコープ

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    ネタバレ

    電波望遠鏡の仕組み自体は単純で、実際現代でも普通に使われているくらいなのだけど、その数と配置を工夫することでどんな遠くまでも見に行ける…というのは素晴らしいアイディアだね。複数のドローンを使って空に映像を浮かべるショーに似ている。まさに数は力なり、というわけだ。

    宇宙全体を変えた主人公の始まりが、父親から語れた名付けの(もしかしたら与太話かもしれない)由来というエッセンスがよかった。
    坂を転がるボールのように、行くべき道が偶然でも決まっていく。
    時間も空間も因果も飛び越えて、未知を見つめる少年のお話。SFというよりは冒険譚にちょっと近いかな。

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    2025年05月03日
  • 法治の獣

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    久々のSF。初読み作家さん。

    ファーストコンタクトものということで読んだんだけれど、そもそも地球外生命、いえ地球外の環境にコンタクトを取ること、干渉することの善悪を問われるような内容だった。

    収録されている三篇のうち、最後の「方舟は荒野を渡る」が一番好きかな。まだ希望がある気がする終わり方で、前二篇との繋がりきちんとあって連作中編なんだなーと分かる感じがいい。

    割と翻訳ものっぽさを意識している文体なのかな?と感じた。この辺は読む人の好みだと思うけれど私は割と好きな文体でしたよ。

    少しネタバレ。
    「方舟は荒野を渡る」の大きな知的生命の中に小さな知的生命が息づいているという構造が好きだった

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    2025年04月02日
  • 一億年のテレスコープ

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    「SFが読みたい」国内部門第1位とのこと。
    地球外知的生命体との邂逅がリアルに、鮮やかに描かれる。遥か遠くを見たい、知りたいと願う主人公が、異文明との接触の果てに行き着く選択とは。#プロジェクト・ヘイル・メアリー とも #三体 とも一味違う、#SETI の物語。

    #読書好きな人と繋がりたい

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    2025年03月11日
  • 一億年のテレスコープ

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    2025-02-03
    小さな、今まさにどこかでなされているかもしれない希望に満ちた妄想が、遠大な時空を超えて実現する物語。物語の構成上、ラストシーンは十分予想できるものだったが、そこまでの過程が目眩がするほど芳醇。
    いい物語です。

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    2025年02月03日
  • 法治の獣

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    「一億年のテレスコープ」で衝撃受けて、遡って3中篇からなるこちらを。3作品とも太陽系外に居場所を求め調査に乗り出した地球人が、生命に遭遇したそれぞれのケースを描いている。この作品でも驚かされるのは、作者の発想で、思いもよらなかった視点を得て、なんだけ得した気分になれた。

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    2024年11月04日
  • 一億年のテレスコープ

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    ネタバレ

    現在 過去 未来 3つの時間軸により、物語は展開されていく。
    望 新 縁の3人が夢見た遠くを見に行くという情熱は冷めることなく、宇宙探査は続いていく。探査の中で様々な生命体と邂逅し、交流を深めていく様は読んでいてワクワクさせてくれた。また、探査を続けていると既に絶滅した(厳密には保護されている)文明の残骸なども荒廃的な世界観があってとても良かった。
    締めの8~9部は望がブラックホールの特異点の先にあるものを見に行くということで、今までとてつもない時間を旅した仲間との別れなどが描かれており、この先どのような結末が待っているのかと読み進む手が止まらなかった。
    望が見てきた一億年と共に仲間と

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    2024年10月29日
  • 法治の獣

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    中編3編収録。それぞれ時間も空間も登場人物も異なる話だけど、共通の世界線での出来事。また違うストーリーも追っかけていきたい。

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    2024年09月26日
  • オーラリメイカー〔完全版〕

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    宇宙は厳しく希薄で寂しい。星系を自己の生存のために作り替える宇宙生物を描いた超スケールの表題作を含む珠玉の中編集。生命・生態・知性・機械・自我とは何か。創造力と知見に富んだハードSFでありながら、繊細かつ的確で、時に詩的な文章表現によって綴られる存在の営み。大幅に加筆されたとは言えこれがデビュー作。今最も読むべき作家。

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    2024年09月22日
  • 一億年のテレスコープ

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    『三体』が前提とする宇宙観が、私はどうにも許せなかった。
    「許せない」と言うのは「正しくないと思っている」とは違う。
    正しい正しくないはこの際議論すまい。
    ただただ許せなかったのだ。


    三体の宇宙観は、
    ‪”‬宇宙で、ある程度の安定した存在は自身の再生産を目指す。再生産を目指すものしか宇宙では安定しえない。再生産するためには資源が必要となり、しかし無限の安定性を目指す存在に対して資源は有限である。そういった前提のあるが故に宇宙とは闘争か逃走の舞台である‪”‬
    だ。

    本作はそういった宇宙観とまったく異なる宇宙を提示する。
    『三体』は揺らぎようのない確固たる前提を暴き出しその上に楼閣を築いた。

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    2024年09月01日
  • オーラリメイカー

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    このジャンル、ハードSFというのか。知らなかったー。読み始めてしばらくは状況を掴めなくてあわあわしちゃった。とはいえ、三体ほどの壮麗さやスケール感はないけど、面白かった。同じ作者の別の作品も読んでみたい。

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    2024年08月26日
  • オーラリメイカー〔完全版〕

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    「宇宙を描くよりも変な生物を描きたい。それは地球では難しいので必然的に宇宙を舞台にすることになる」という作者の言葉通り、変な生物を期待して世界観に巻き込まれていくのが楽しい作品群。ただ、解説にもある通り、それだけではなく現代人類に内省を促す内容なのがにくい。『知性とはきっと、何かと?がり合わずにはいられないものなのだ。自分の種族と。他の種族と。自ら生んだ幻想と。あるいは、まだ理解さえできないものと』(オーラリメイカー)

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    2024年07月15日
  • 法治の獣

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    中編3篇からなる。どれも異星の生物とのコンタクトをテーマとしており、筆者の並はずれたアイデアによるファーストコンタクト事例集としておもしろい。中でもシンプルながら新鮮な展開がある「主観者」がよかった。「法治の獣」もアイデアはおもしろいが、設定が混み入りすぎた感があった。「方舟は荒野をわたる」は、方舟の設定はメチャクチャ好みだったのだが、ミズグモ以降の展開がちょっとご都合主義的だったな。終盤の地球人の在り方の考察はワクワクした。ほかの系外進出シリーズも読んでみたい。

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    2024年07月15日
  • 法治の獣

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    ネタバレ

    これは純文学では。。。?とくに【主観者】
    国語の教科書にでてきそう。

    この本の収録作は3つとも共通の世界が舞台になっていて、人類は太陽系外に生命や知性の存在を求め、たまには移住先を求めて、各地に調査の手を伸ばしている。

    とはいうものの、探索にあたってのモラルと言うか考え方はいろいろあって、基本的に客観者として他の生態系に大きく影響を与えないというのが大前提となっている。(今の考え方と近い)

    しかし、人間は好奇心に抗えず、そんな前提を無視して度々問題を起こしてきている。そんなどうしようもない人間について3章では
    "私達は与えるものも持たずに何かを見つけては、与える代わりに奪ってい

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    2024年06月13日
  • 法治の獣

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    ネタバレ

    全体として、SFを基にした科学技術検討に使えそうなお話。異星生物へのコンタクト方法 知りたいという好奇心と他の種族に危害を与えることは避けたいという自制心を どうやって折り合わせるかを考え抜いている(本作品の検討結果は当分の間は使われることはないだろうが)。作者はとっても頭の良い人だと思います。

    主観者:サトラレを元ネタに、種族全体として集合的精神を持つ生き物ルミナスを発見した宇宙探査計画アルゴの調査隊の失敗のお話。失敗の過程が良く考えられている。見られてもダメなんだ!
    法治の獣:不快衰弱というルールのもと繁栄しているシエジーの種としてのルールを人類のスペースコロニーがマネしているという設定

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    2024年02月03日
  • オーラリメイカー〔完全版〕

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    オーラリメイカーはいろいろな視点から話が進むのでちょっとわかりにくい。
    一気に読めば良いのだろうけど。

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    2023年11月03日
  • 法治の獣

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    「主観者」「法治の獣」「方舟は荒野を渡る」の3作品収録のSF中篇集。
    未知との遭遇が基本におかれた3作品です。

    ファーストコンタクトの際、無意識下にあるコンタクトした側のマウントが何をもたらすのか、ということを書き出したかったのかなと思います。
    蟻の行列をいじくりまわす子供のような振る舞いをしないようにと戒めているのですが、結果としていじくり回すことになってしまう「主観者」と「方舟は荒野を渡る」。
    対象の観察から何かを学ぶことができる、と考えるがゆえに、いつの間にか依存してしまって崩壊してゆく「法治の獣」。
    本能と知性という相反する存在が、実は繋がっていて連動しているということへの気づき、を

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    2023年08月14日
  • オーラリメイカー〔完全版〕

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    デビュー作の増補版。解説によると、発表順とは異なり「法治の獣」より、本書の方が後に執筆されたらしい。なるほどと思ってしまうのは、「法治の獣」はSFの読者には愉しい本だったけれど、所謂ヒューマンインタレストをほとんど欠いた作風は少しばかりガチすぎる感じで、娯楽読み物としてはさすがにキツいように思えたから。本書ではSFとしての強度はそのままに、それを人間ドラマと絡ませる作風に変わっている。好みはあるでしょうが、読み物として完成度は本作の方がずっと高いかなと。

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    2023年07月27日
  • オーラリメイカー

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    オ―ラリメイカー:壮大なスケールで物語が展開され、最初は理解するのに精一杯だったが、最後は何とかなった。星系のスケールで播種をめざす生命体のアイデアは昔からあるが、本能で播種を行う生命体とそれを観察する知性体というのは面白い。惑星間航行を容易にする惑星エレベータとか、恒星系を丸ごと船にするというアイデアは初めて知った。太陽系惑星まで、銀河系内、他の銀河で宇宙旅行の難易度は大きく違うのですね。ヤマトだとワープがあれば同じなのですが・・・
    虹色の蛇:稲妻の惑星での生意気な少年と外交官の話。誘雷樹と彩雲が見えるよう。短編アニメ向きのおはなし。
    文庫本では改訂されているらしい。読まねば。

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    2023年07月12日
  • 法治の獣

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    ファーストコンタクトにおける常識を問うような展開が面白い!そうですよね、SF作品では当たり前になっているからスルーしてしまいますけど、冷静に考えれば地球外生命体が二足歩行したり、話しかけてきたりと、こちらの常識で計り知れる存在であると信じてしまうことがおかしいんです。そんなことに気づかせてくれたことが衝撃でした。

    そして、こちらの常識を疑うような生物(特に「方舟は荒野をわたる」に出てくるまさに方舟と呼ぶしかない生物群)に対する考察の深さや、コミュニケーションの是非を問うような物語の展開がとてもユニークで、非常に面白かったです。

    総評として、三体にまったく引けを取らない読み応えの生物学メイン

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    2023年03月11日