春暮康一のレビュー一覧

  • 法治の獣

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    SFにはビックリドッキリ(宇宙)生物が出てくる話には枚挙がない。植物が異常進化しただの、タイヤ生物だの、血液が強酸になっているだの。
    この小説ではなんじゃそりゃという奇想と、進化学生態学的に納得できる(少なくとも一般人には)を両立した科学的に納得できるビックリドッキリ生物が出てくる。しかも、中編3編全部である。
    この宇宙生物の設定だけでも面白いが、そこから紡がれるストーリーの妙もまた素晴らしい。
    八方隙の無い生物SFなので読む以外の選択肢なぞない。

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    2023年05月05日
  • 法治の獣

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    春暮康一との出会い方は、最近出会った上田早夕里と全く同じだった。カバーの色も同じ青緑色。現在、この2人の過去の作品を順序だてて読む準備を進めている。これもアンソロジーに積極的に取り組んだ結果である。今後の読書生活に潤いを提供して戴き、本当に2人には感謝している。

    春暮康一といえば地球外生命とのファーストコンタクトのオーソリティー、しかもコンタクトに当たっては緻密で複雑な検討・思考実験を行っており、臆病なくらい相手の生命体の尊厳を考えているという設定。JAXAとは雲泥の差、爪の垢を煎じて濃縮して大量に飲んで欲しいものだ。リュウグウに剣を突き刺してサンプルを持ち帰るとは・・・微生物の親子が突然爆撃を受け、どちらが異星人に拉致されたかもしれないぞ。これは北朝鮮が行っている行為と何ら変わりがない。そこらへん、JAXAは全く配慮していない、研究のためなら、人間の単なる興味・知的満足のためなら、何をやっても許される団体なのだから。

    脱線はほどほどにして、各作品については最後に作品ノートがあり、作者の意図は明確に記載されているので、ここでは所感を述べるに留める。

    〇主観者
    遠く離れた宇宙でなくとも、身近な所と言った方が良いのか、深海に住む動物に対しても同じことが言える。外部からの光が殆ど無い世界で微弱な光を使って意思疎通をはかる動物に対して、突然強力なサーチライトを持った潜水艦がうろうろと調査するとどうなるのか。人間は深海生物の姿を捉えることができるが、深海生物の受光器はどうなるか?もしかしたら、その強力な光は深海生物のセンサーを破壊してしまうのではと考えた。サーチライトを当てられた深海生物はその後どうなったのか?今でも元気で深海をすいすいと泳いでいるのだろうか。

    〇法治の獣
    法律の自立性とは何だろうかと考えさせられる作品。日本国憲法、戦後アメリカによって作られたと言っても過言ではない現在の日本国憲法は改正することは至難の業だが、自民党の特にアベによって歪められた憲法の拡大解釈がすぐに頭をよぎった。アベというシエジーが自分の欲望のままに民意を意識もせず憲法の拡大解釈を繰り広げる。そして、その様な民意を蔑ろにしたウソツキキシダの勇み足国葬により日本国民が分断、Xデーには日比谷公園・国会議事堂前で暴動が起きるのか。日本の法律を政治家主導で改正するのは非常に危険だ。なぜなら、現在の政治家は常識が無さすぎる、この無能な政治家が日本を沈没させる。小松左京もビックリだな。

    〇方舟は荒野をわたる
    この方舟は地球のことだと考えた。今は人間が地球の代表者で、地球の命運を握っている。代表者の特権で人間にとって住みやすくするため炭酸ガスを極度に排出して地球温暖化を促進し、その結果特定の国家が消滅するのは小さい話、数多くの種が滅びる、そのうち人間自体も滅亡させる言わば自業自得との予測も立っている。早く人間に代わる高い知性を持ったミズグモが地球を統率する未来が来るのを願っている。そうなれば、地球外生命と建設的で素晴らしいコンタクトができるだろう。

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    2022年09月15日
  • 法治の獣

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    3.5より。設定は面白いし、著者が理系なだけあってSF描写は非常にリアリティがある。物語自体がやや弱いが、短編集なのであまり気にはならなかった。

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    2026年08月20日
  • 一億年のテレスコープ

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    ネタバレ

    ずんだ文芸部さんのYouTubeチャンネルでオススメされていて読んだ一冊。

    ファーストコンタクトもの、と伺っていたが、
    その中身はファーストだけでなく、
    あまねく全ての文明ー滅んでいった文明まで含めてーとのコンタクトを描き、その終着点まで描かれていて、
    読む前の印象と読んでからの印象がかなり変わった。

    かなり序盤で、目次番号の仕組みに気付き、
    あ、繋がるんだな、と思いながら読み進めたが、
    終盤の展開には熱くなった。
    正直、未来編や過去編は退屈に感じる部分もあったが、
    途中途中の現代編では、過去編や未来編に出てきていた名残りのようなところが見え、物語の順序性が巧みに感じた。

    難しい用語や想像が難しい描写はあったが、
    全体の構成、読後感、宇宙や時間や大きさのスケールの壮大さ、新文明とのコンタクトなど、
    深く考えられていて、非常に面白かった。

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    2026年04月10日
  • 一億年のテレスコープ

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    読み応えのあるSF小説でした。
    現代の学生・サークル活動から話が始まりますが、そこから未来技術が色々出てきて、時代も百年、千年単位で進むので、スピード感があります。
    途中、同じような展開になって中弛みに感じるところもありました。
    最後の展開も王道ではあるけど面白かった。

    あと特徴的だと思ったのは、第1章から現代・未来・過去の視点での話が同時並行で展開されることです。未来の話は何となく理解できるのだけど、過去の話は意味が分かりませんでした。だけど、最後の展開を知ってからもう一度読み直すと「なるほど、そういうことだったのか」と理解できるのが良かった。

    スケールの大きさを感じることができる、良いお話でした。

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    2026年03月21日
  • オーラリメイカー〔完全版〕

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    ネタバレ

    同じ世界観を共有する三篇。
    表題作が一番面白かった。恒星系全体を操作して繁殖するというスケールの大きさに惹きつけられる。ただ生存のために最適化された営みに、美や共感を覚えてしまう人間の知性の癖。作中ではそんな癖が太陽系人類の性質として自嘲気味かつどこか誇らしげに語られる。その知性が見出すのは厳しい宇宙に存在する生命体のコスモポリタニズム。

    時系列が一見複雑だが、読んでいくにつれてピースがはまっていく構成が気持ちよかった。

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    2026年02月25日
  • 一億年のテレスコープ

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    ザ・SFといってよいSF。若干のミステリ要素はあるものの、ほぼ純粋なSFを久しぶりに読めた。リアリティがあって、本当に宇宙人がいるのではないか?もしかしたら、今近い宇宙から、地球とコンタクトをとろうとしているのではないか?という気持ちにさせられた

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    2025年10月09日
  • 一億年のテレスコープ

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    ネタバレ

    壮大なスケールで、SFファンの間で評判が良いのも判る。過去・未来・現在の構成も巧みで、過去編、未来編をあとから読み返して悦に入れる。星5が妥当なのだが、展開が速すぎて感動する暇がない。2クールのアニメ化して感動エピソードをAIに書いてもらうのが良いのかも。次作は感動するエピソードがもっとあることを期待して星4つ。

    以下 ネタバレ
    男二人と女一人のジュビナイル小説かと思いきや・・・・
    第三部76頁で いきなり100歳超えて精神をアップロードされて、もうラブラブはない?望遠鏡を太陽系に作ってVLBIによるファーストコンタクト物語かと思えば、第四部で164頁で既にコンタクト終了。そのままセカンドコンタクト、サードコンタクトと異種文明との遭遇していき、その途中で謎の文明を発見して 今度こそ終了かと思えば、最後に向こうの世界へ旅立つ。壮大すぎて頭が付いていかなかったが、最後のネタはガンダムのゼクノバ?最終章で普通のSFに戻ったか。主人公が精神アップロードして何千年たったのかわからないほど精神的には歳をとっているはずなのに、仲間との会話は若い。歳をとっても仲間内では若いままという設定は、違和感ないと感じるのは自分も歳をとったせい?

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    2025年06月14日
  • 一億年のテレスコープ

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    宇宙の広さとそこに飛び出していくコストがおそらく割に合わないっていう問題と意識の移転が曲がりなりにも実現可能になった場合、生身の人類より、そちらで行く事になるよねって面をちゃんと考えて書いてある感じ。確かに売り文句通り、ファーストコンタクトの軽やかな更新というか技術発展受けての今わかってきてる事含めて書いたSFの更新ではあると思う

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    2025年05月10日
  • 一億年のテレスコープ

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    ネタバレ

    電波望遠鏡の仕組み自体は単純で、実際現代でも普通に使われているくらいなのだけど、その数と配置を工夫することでどんな遠くまでも見に行ける…というのは素晴らしいアイディアだね。複数のドローンを使って空に映像を浮かべるショーに似ている。まさに数は力なり、というわけだ。

    宇宙全体を変えた主人公の始まりが、父親から語れた名付けの(もしかしたら与太話かもしれない)由来というエッセンスがよかった。
    坂を転がるボールのように、行くべき道が偶然でも決まっていく。
    時間も空間も因果も飛び越えて、未知を見つめる少年のお話。SFというよりは冒険譚にちょっと近いかな。

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    2025年05月03日
  • 法治の獣

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    久々のSF。初読み作家さん。

    ファーストコンタクトものということで読んだんだけれど、そもそも地球外生命、いえ地球外の環境にコンタクトを取ること、干渉することの善悪を問われるような内容だった。

    収録されている三篇のうち、最後の「方舟は荒野を渡る」が一番好きかな。まだ希望がある気がする終わり方で、前二篇との繋がりきちんとあって連作中編なんだなーと分かる感じがいい。

    割と翻訳ものっぽさを意識している文体なのかな?と感じた。この辺は読む人の好みだと思うけれど私は割と好きな文体でしたよ。

    少しネタバレ。
    「方舟は荒野を渡る」の大きな知的生命の中に小さな知的生命が息づいているという構造が好きだったし、この物語は意外な展開が続いていくので惹きつけられた。

    どのお話もプロジェクトの黒幕の影が見えるような描写があって、宇宙開発ってけっきょく政治よね、と思うなどしました。

    久々にガッツリSFを読めて、頭の体操になってよかった!

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    2025年04月02日
  • 一億年のテレスコープ

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    「SFが読みたい」国内部門第1位とのこと。
    地球外知的生命体との邂逅がリアルに、鮮やかに描かれる。遥か遠くを見たい、知りたいと願う主人公が、異文明との接触の果てに行き着く選択とは。#プロジェクト・ヘイル・メアリー とも #三体 とも一味違う、#SETI の物語。

    #読書好きな人と繋がりたい

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    2025年03月11日
  • 一億年のテレスコープ

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    2025-02-03
    小さな、今まさにどこかでなされているかもしれない希望に満ちた妄想が、遠大な時空を超えて実現する物語。物語の構成上、ラストシーンは十分予想できるものだったが、そこまでの過程が目眩がするほど芳醇。
    いい物語です。

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    2025年02月03日
  • 法治の獣

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    「一億年のテレスコープ」で衝撃受けて、遡って3中篇からなるこちらを。3作品とも太陽系外に居場所を求め調査に乗り出した地球人が、生命に遭遇したそれぞれのケースを描いている。この作品でも驚かされるのは、作者の発想で、思いもよらなかった視点を得て、なんだけ得した気分になれた。

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    2024年11月04日
  • 一億年のテレスコープ

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    ネタバレ

    現在 過去 未来 3つの時間軸により、物語は展開されていく。
    望 新 縁の3人が夢見た遠くを見に行くという情熱は冷めることなく、宇宙探査は続いていく。探査の中で様々な生命体と邂逅し、交流を深めていく様は読んでいてワクワクさせてくれた。また、探査を続けていると既に絶滅した(厳密には保護されている)文明の残骸なども荒廃的な世界観があってとても良かった。
    締めの8~9部は望がブラックホールの特異点の先にあるものを見に行くということで、今までとてつもない時間を旅した仲間との別れなどが描かれており、この先どのような結末が待っているのかと読み進む手が止まらなかった。
    望が見てきた一億年と共に仲間との再会を果たし、どのような旅をするのか、想像を膨らませてくれる作品だった。
    宇宙は冷たく、虚無な空間ではなく、熱を持った希望のある空間であることを願わずにはいられない。

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    2024年10月29日
  • 法治の獣

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    中編3編収録。それぞれ時間も空間も登場人物も異なる話だけど、共通の世界線での出来事。また違うストーリーも追っかけていきたい。

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    2024年09月26日
  • オーラリメイカー〔完全版〕

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    宇宙は厳しく希薄で寂しい。星系を自己の生存のために作り替える宇宙生物を描いた超スケールの表題作を含む珠玉の中編集。生命・生態・知性・機械・自我とは何か。創造力と知見に富んだハードSFでありながら、繊細かつ的確で、時に詩的な文章表現によって綴られる存在の営み。大幅に加筆されたとは言えこれがデビュー作。今最も読むべき作家。

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    2024年09月22日
  • オーラリメイカー

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    このジャンル、ハードSFというのか。知らなかったー。読み始めてしばらくは状況を掴めなくてあわあわしちゃった。とはいえ、三体ほどの壮麗さやスケール感はないけど、面白かった。同じ作者の別の作品も読んでみたい。

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    2024年08月26日
  • 法治の獣

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    中編3篇からなる。どれも異星の生物とのコンタクトをテーマとしており、筆者の並はずれたアイデアによるファーストコンタクト事例集としておもしろい。中でもシンプルながら新鮮な展開がある「主観者」がよかった。「法治の獣」もアイデアはおもしろいが、設定が混み入りすぎた感があった。「方舟は荒野をわたる」は、方舟の設定はメチャクチャ好みだったのだが、ミズグモ以降の展開がちょっとご都合主義的だったな。終盤の地球人の在り方の考察はワクワクした。ほかの系外進出シリーズも読んでみたい。

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    2024年07月15日
  • オーラリメイカー〔完全版〕

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    「宇宙を描くよりも変な生物を描きたい。それは地球では難しいので必然的に宇宙を舞台にすることになる」という作者の言葉通り、変な生物を期待して世界観に巻き込まれていくのが楽しい作品群。ただ、解説にもある通り、それだけではなく現代人類に内省を促す内容なのがにくい。『知性とはきっと、何かと?がり合わずにはいられないものなのだ。自分の種族と。他の種族と。自ら生んだ幻想と。あるいは、まだ理解さえできないものと』(オーラリメイカー)

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    2024年07月15日