【感想・ネタバレ】オーラリメイカー〔完全版〕のレビュー

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Posted by ブクログ

・・・これは・・・オラフ・ステープルドン「スターメイカー」???・・・

と思ってしまうぐらいスケール極大な表題作をはじめとして、異星生物を主なテーマとしたハードSFの中編3編を収めた作品集。あのハル・クレメントをもじったペンネームを冠する作者ならではの、直球王道どストライク、本寸法のハードSFです
如何にも春暮氏らしいのは、異星生物の生態系や思考回路を冷静に丁寧に描き出すことによって、それに対峙する地球人類(ソラリアン)の問いや課題を引き出す、内省的な作風です。一言でいうと「エモい」です。

ただ、氏の前作「法治の獣」と比較すると、こちらの方がより「エモい」ですね。おそらく、設定上は前作よりもはるか未来の話で、水・炭素で構成される生物により結成される<連合>と人工知能を中心とする文明<知能流>との闘いという大きな物語を背景として、地球人類を含む全ての知性が<連合><知能流>どちらに属するか?そもそもどこから「知性」と定義するのか?という、根源的な問いをその世界観に内在するからでしょう。

ハードSF慣れしていないと、冒頭の表題作のあまりのスケール感についていけなくなるかもしれませんが、そんな時は後ろから順に読んでみてください(どこから読んでも支障ない構成になっています)。最後の作品「滅亡に至る病」が、一番エモいかも。「法治の獣」がイマイチしっくりこなかった方にも、全力でオススメします!

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2024年04月29日

Posted by ブクログ

 ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作の表題作と単行本収録の「虹色の蛇」を大幅に加筆修正したもの。加えての書下ろしの「滅亡に至る病」からなる。表題作は〔完全版〕をうたっている。

 いづれも、人類が太陽系外にその目と手を伸ばしていた未来の物語。作者命名の《系外進出》(インフレーション)シリーズに属する。人類は異星の知的種族と《連合》を作る。人類から独立した人工知能は、《知能流》というネットワークを作りだす。なぜか人工知能は人類から集団で離れていくのだが、他のSFでもこういう設定があったなあ。<ハイペリオン>とか<天冥の標とか>。まあ人類に公然と敵対されても困るが。

 解説の林譲治氏は、作品からペンネーム由来のハル・クレメントよりも、スタニスワフ・レムとの共通点を感じるという。確かに物語に「進化」というバックボーンを感じた。

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2023年09月04日

Posted by ブクログ

オーラリメイカーはいろいろな視点から話が進むのでちょっとわかりにくい。
一気に読めば良いのだろうけど。

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2023年11月03日

Posted by ブクログ

デビュー作の増補版。解説によると、発表順とは異なり「法治の獣」より、本書の方が後に執筆されたらしい。なるほどと思ってしまうのは、「法治の獣」はSFの読者には愉しい本だったけれど、所謂ヒューマンインタレストをほとんど欠いた作風は少しばかりガチすぎる感じで、娯楽読み物としてはさすがにキツいように思えたから。本書ではSFとしての強度はそのままに、それを人間ドラマと絡ませる作風に変わっている。好みはあるでしょうが、読み物として完成度は本作の方がずっと高いかなと。

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2023年07月27日

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