春暮康一のレビュー一覧

  • 法治の獣

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    部分を切り取り、そこだけで評価する傲慢な人間という印象を受けました。
    また、海外や日本でも、人間にとって不都合な面がある動物を減らすためその動物の捕食者を恣意的に野生に放った結果、生態系が崩れ人間が暮らすのが困難な土地になったというニュースを思い出しました。

    「残念だけど、正しいかどうかは関係ないの。適応したものが広まるだけ。」

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    2022年12月19日
  • 法治の獣

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    ネタバレ

    むちゃくちゃおもしろいだけでなく、ミステリーの中核となるテーマがわたしの関心ごとにベストマッチしており、驚き満載だった。作者の年齢を見てまた驚き。

    「主観者」については、巻末ノートの内容もかなり興味深い。「そういうところから発想するんや〜」という驚き。ただ、光学的サトラレが単独で存在することは可能と思われる。言語の発生を研究している学者はこれに似たようなことを考えているらしく、“言語の出現“とは、話す能力が先か、聴く能力が先かというニワトリ卵問題があげられる。主流派?の見解では、「聴く能力が先に現れる」と考えられているらしい。なぜなら、他人の行動を観察して、「今あいつおなかすいてるな〜」と考

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    2022年07月20日
  • 法治の獣

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    ファーストコンタクトをテーマとした短編3篇。筆者のペンネームはあのハル・クレメントからいただいたそうで、異星人だけでなくその住む世界も丸ごと構築してスケールの大きいヴィジョンを描くのが得意だったハル・クレメントばりの、実に直球ストレートなSFです。清々しいですね。

    ただし、異星人と人類の交流を通して血湧き肉躍る冒険譚を繰り広げるハル・クレメントの作風とは、全く異なります。
    この短編集においても、異星生物と人類の接触は描かれますが、人類側は異星生物の生態環境に悪影響を与えないよう厳しいルールの下で異星生物との接触を慎重に行っており、それにも関わらず悲劇的な展開となる場面が描かれます。異星生物の

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    2022年06月18日
  • 法治の獣

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     作者のペンネームは、ハル・クレメントに由来するそうだ。短編2中編1からなる中短編集。ツボにはまれば、気に入るだろう。

     人類は太陽系外にその目と手を伸ばしていた未来の物語。作者命名の《系外進出》(インフレーション)シリーズ。
     異種生物への危害を禁ずる<人類の憲章>により異星の生物へのコンタクトは超限定的で、観察が主となっていた…

     本書の解説にもあるとおり、堀晃氏の作品を読んだ時と同じ印象を持った。ペンネームの由来からしても、ハードSF作家と呼んで差し支えないだろう。あ、この山岸真氏の解説は必読です。表紙カバーイラストが加藤直之氏なのも嬉しい。

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    2022年06月01日
  • オーラリメイカー

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    惑星軌道を操作するほどの知的生命体がいるはずなのに、肝心の生命体がまったく見あたらない。
    …というSFミステリかと思いきや、そこは意外にあっさり。
    主題は、生命が生まれながらにもつ利己的と言える力強さ。
    併録の短編も、広大な地平と鮮やかな彩雲がきらめく異星の情景描写がすてき。

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    2021年01月28日
  • 一億年のテレスコープ

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    時間的にも、空間的にも、とにかくデカい!

    気が遠くなるほど長い時間をかけて、壮大な宇宙を探索していく長編SF。
    細かな設定や専門用語については途中で理解を諦めたけど、その部分を差し引いてもサイエンス・フィクションって感じのSF。
    わりと重たい作品だったので、読むのに本腰を入れておいてよかった。

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    2025年11月08日
  • 一億年のテレスコープ

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    もともとSFに造詣が浅いので・・面白かったですけど難しかったです。SFというか天文学的なものも全然詳しくないので用語がいちいちわからない。一度説明されても忘れてしまうこともしばしば。それでも未踏破の宇宙探索とかは心躍るものがありましたし、文明との交流もとても興味深かった。
    ・・・でもなあ。多分自分の側にこういった作品を楽しめる土壌みたいなものが十分ではなかったんだろうな。なんか申し訳ない。

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    2025年08月12日
  • 一億年のテレスコープ

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    3.5 期待値を上げ過ぎた。もう少し主人公の生身の期間が長ければと思ったが、後半の展開を考えると仕方ないかも。星を継ぐものを超えるのはやっぱり難しいね。

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    2025年07月13日
  • 法治の獣

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    好奇心と自制心をどうやって折り合わせるか。私は終始どこか緊張しながら、もっともっと、と知的興奮を欲して読み進めていたので、前者を取る人間なのだなと思う。
    人類が宇宙に何かを、未知を求め、、ではなく与えることも考えられる時代を見てみたい。

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    2025年06月11日
  • 一億年のテレスコープ

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    タイトルに惹かれて。久々に自分の貧しい想像力を総動員して向き合ったハードSF、面白かった。壮大なスケールのファーストコンタクトもので、あの「三体」や「プロジェクト・ヘイル・メアリー」にも引けを取らないと思う。ひたすら「遠くを見るために遠くへ行く」望(の魂)が行き着く先は、半分予想通りだったが…遠過去、遠未来と繋がる終盤の仕掛けにカタルシスを感じた。専門的で難解な理論が展開される下りは流し読みでも問題なかった。

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    2025年06月01日
  • 一億年のテレスコープ

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    ネタバレ

    まず、この本を読むにあたって、あらすじから、宇宙を繋げていくという話のメインの軸を達成するために苦労する話だと思っていた。ところが、読み進めていくと文明間の交流がメインになっていた点が少し違うなと感じた。
    あとは、話の中に複数のテーマが入れ込まれていることで、話のインパクトが小さくなってしまっていると思う。もう一周読むとより愉しめるのかもしれない。

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    2025年05月06日
  • 一億年のテレスコープ

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    なんとか最後まで読み切った。

    SF初心者としてはかなりハードな内容でした。終盤までは退屈さを感じながら読んでいたので、読み終わった時には酷評してやろうと考えていました。だけど終盤につれてしっかりと引き込まれる物語にされていたので、全体としては良かったと思います。

    SF小説を紹介している雑誌でランキング1位になっていたので、試しに買ってみたものの自分の好みでは無かったと感じました。銀河系全体を股にかける壮大なスケールなので、ただただついていくので必死で物語に深く入り込めないのもきつかったです。

    まあ評価的には中間ってところです。誰にでもおすすめって感じではなくて、玄人好みではないかと思いま

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    2025年02月24日
  • 一億年のテレスコープ

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    ネタバレ

    観測できる世界は宇宙からまた違う果ての宇宙までどこまでも広がっていて、想像以上に多くの生命体が存在して、その生命体を観測することで社会を知り、また大きな別の生命体が存在することがわかったのならどうするか。地球人はちっぽけな情報体のひとつにすぎないし、宇宙旅行を安全なコースで行ったって新たに掴める情報は少ない。観測しなければ何も見つからないから、遠くへ行き観測をすることを繰り返す。主人公は望む、その名は遠くを見ることと親に与えられたとおりに。疲れるような長い話だが、望は情報の全てを使って延々と観測する。観測し終える日は来ないと理解して全てを注ぎ込んでいる。

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    2025年01月25日
  • オーラリメイカー

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    「一億年のテレスコープ」から「法治の獣」ときて、作者さん三作品めの「オーラリメイカー」。異星生物との接触など「法治の獣」収録作に繋がる記述もあり、大きく世界観としてはパラレルに繋がっている感もあり面白い。スケールは「一億年の〜」のように壮大で、章ごとにさまざまな視点で、時間軸を行ったり来たりするので、大枠が見えてくるまで、前のほうを見返しつつ読む必要があり時間がかかったが、後半はなるほどなるほどと一気にクリアに読むのが楽しくなるので、あまり深く考えずに読み進めるといいかも。

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    2024年12月03日
  • 法治の獣

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    少し硬いかな。ファーストコンタクトの短編集。20世紀のファーストコンタクトに比べると、生物がかなり凝っていて、コンタクトをとるルールが随分と科学であっても倫理的。

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    2023年07月22日
  • オーラリメイカー

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    2022-06-02
    「法治の獣」読んだ勢いでイッキ読み。
    表題作はステープルドン的な超広大超タイムスケールの力作。ここで描かれた《連合》の行き着く果てと同じくらい、《知能流》の行き着くところも読んでみたい。
    同時収録「虹色の蛇」は、ヴァーミリオンサンズを思わせる美しさが染みる。あれとは違って多分にウェットだけど。

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    2022年06月03日
  • 法治の獣

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    2022-05-27
    ファーストコンタクトしない短編集
    文化汚染の問題を見事に生体汚染にまで外抽した佳作。集合知性ってもうそれだけではアイデアにはならないネタを丁寧に積み上げている。
    思わずデビュー作「オーラリメイカー」ぽちっちゃったよ

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    2022年05月27日
  • 法治の獣

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    昔の宇宙ものでは、未知の惑星に降り立った宇宙船の乗組員が、「酸素がある」の一言で宇宙服まで脱いでしまうという描写が結構あった。今の感覚ではとんでもないが、映像系ではやっぱり宇宙服はジャマだ。というので「危険な微生物は存在しない」とエクスキューズを付け加える場合もあった。つまり此方が汚染する方は気にもしないというわけだ。元々ある種の宇宙SFが抱えていた植民地主義的な感覚がこの辺に表れてると、告発調で言ってもいいのかも知れない。この短編集に登場する科学者たちは、そうしたことに極めて自覚的で、細心の注意を払って、異性の生態系に接触する。それでも、ややこしいことは幾らでもおきてしまう、というお話が続く

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    2022年04月29日