綿野恵太のレビュー一覧

  • 「逆張り」の研究

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    政治系の話かな?とおもって少し読むのを躊躇っていたんだけど、著者が自分の過去について語り出したあたりからスラスラ読めた。馴染みのない単語も調べながら読んだので頭には入ってる…はず!
    今までネットで散見してた冷笑主義や逆張りおじさんについて改めて考え直させられる一冊だった。ネットって匿名性が高いからどうしても強い言葉が出がちだし、それに嫌な思いをすることも多かったけど、そういった批判や誹謗中傷をする人の背景について向き合うことで、その嫌な思いが少し軽減されるのかな〜って感じた。自分の心を守るためにも読んで損はないかも。

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    2025年01月31日
  • 「逆張り」の研究

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    物事を敢えて違う角度で見る癖をつけることがいかに大切か…

    なんて本では全く無く、相対主義と絶対主義、リベラルとアンチリベラル、シンパシーとエンパシー、メタとベタなど飛び交う言葉はまるで哲学の韻踏合組合

    二極化、分断を産むSNSにおける逆張り(少数派)側の生態をタイトルどおり研究した一冊

    自分もひねくれ者で自称隠れコミュ症なので著者のアンチ側への歪んだ愛情が共感出来てなんとも愛おしい

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    2023年12月30日
  • 「逆張り」の研究

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    タイトルを見た時は「逆張り批判」の本かと思ったが、「逆張りする人」と「『逆張り』だとレッテルを貼る人」の立場を両方分解していて、解像度が高かった。
    著者がまだ35歳と若く、SNSの動向に精通していたため、強い実感をもち議論を受け入れることができた。
    逆張り≒逆張り冷笑おじさん→冷笑→笑い、という流れで、笑いとリベラルの相性の悪さが論じられていて、「『笑い』は(笑われている)他者と自分を切り離さないと成立しないものであるから、弱者と寄り添うリベラルと相性が悪い」という主張はストンと腹に落ちた。
    (茶化しの笑いと自然に出る笑いは少し毛色が違うという気はする)

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    2023年08月12日
  • 「差別はいけない」とみんないうけれど。

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    最初は理解が追いつかないところがあったけれど、自分も意外と凝り固まった考え方をしていることに気がつかされた。

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    2022年10月15日
  • みんな政治でバカになる

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    とても面白い。
    認知のバイアスも克服して、市民にならなければならないと思っていだけれども、それは時代遅れだったことを知らなかった。
    でも、どうすればいいのかはわからない。ディストピアな印象が残った。

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    2022年05月02日
  • 「差別はいけない」とみんないうけれど。

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    問題を訴えることが盛んな時代だ。問題が問題だけど、問題だ、の問題もあるのだろう。僕はしばらく読書は数だったけど、一つの本を何度も読むことも両立していくことにした。数を読むのは自分の拾えるところを拾う傾向になる。知らないことを埋めるのにはいい。ただ、思い込みを壊すのには一つの本を読むといい。ある種、勘違い、汚れの自覚というかそういう修行みたいなことは必要だ。

    前書きである店のデモを思い出した。このひと時代で、時代の空気に乗るのが商売のようなった。乗ってはまずい時代の空気もあるのを誰もが忘れてしまっているのではないかと思う。平成期の歴史も知っておかないと考えられないこともたくさんある。社会の問題

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    2022年02月13日
  • 「差別はいけない」とみんないうけれど。

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    最近、Twitterをちらほら見初めて、セクハラ・差別などについての意識が高くて感心したが、徐々に違和感を感じ、うっとおしくなってきた。
    本書はポリティカル・コレクトネスを巡る、その違和感を言語化するものだった。タイトルの「けれど。」がその感じを出している。
    「差別主義者も反差別主義者もみずからを『足の痛み』を抱えた『弱者』だと相手に提示して、『責任』=『負債』を他者に負わせようとしている、といえる。ポリティカル・コレクトネスが社会を覆う状況にだれもが息苦しさを覚えるのは、『とんでもない責任のインフレ』=『無限の負債』を感じるためである。そのうっとおしさから逃れようと、すべての『負債』を肩代わ

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    2020年06月27日
  • 「差別はいけない」とみんないうけれど。

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    差別問題(及びPC問題)をこれほど総合的・多角的に論じた本は今までなかったのではないか。引用された本も片っ端から読みたくなる。

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    2020年02月21日
  • みんな政治でバカになる

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    タイトルが聞き捨てならない。例えば、兵庫県知事選やトランプ再選のことか、または最近は結構廃れたTwitter動員みたいなことかと連想する。
    この字面だけで感情を煽られて反感をもったり少しイライラした感じになるのが直感システムである。誰しもが直感システムによる認知バイアスをもっているため、バカになってしまう。(タイトル及び著者の煽りの意図への反感で数年この本を買わなかった。)
    これに対して、直感に任せずに一旦立ち止まり、理性を働かせて言語・論理によって考えるのが推論システムだ。しかし、推論システムが万能かといえば、もはや理性を働かせて熟議をしたところで、同じ意見の人が集まるだけの部族主義に陥って

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    2025年05月26日
  • 「差別はいけない」とみんないうけれど。

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    基本的にはロールズの正議論に則り、「正体が無知のヴェールに包まれた状態」におけるものに立脚していたいものの、生得的な違いなどにより、平等ではない事実(女性のほうが感情的だったりすることを裏付けるデータだったり、人種によってIQ平均値の統計的な差異が認められていることなど)により、それが上っ面な正義でしかないことが明らかになってきた。また、女性の平等を求めたとしても、それに見合う効能とコストがあるのかと指摘し、棄却するような功利主義(それぞれの正義や道徳の対立を効能とコストの観点から回避する)も台頭している。また、過剰に平等を求めた先に、自分の内在する暴力性(Aを言うなら、BはどうやとかA’のこ

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    2023年12月13日
  • 「逆張り」の研究

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    逆張りについて解像度高く解説してくれており、著者の特性か現在のSNSなどの注意経済についても具体例を出しながら説明している本。
    逆張りや、空気を読むなど、何となく自分たちの周りに存在している風潮について明確に言語化していて、事例も豊富で面白い

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    2023年09月21日
  • 「逆張り」の研究

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    逆張りとは投資用語で、将来を見越して相場の逆を売買する手法のことであるが、多数派の逆をいく、という意味でネットなどでマジョリティの逆の言説や態度をとることを指すようになった。そして2010年代になって「あえて逆をいく」という逆説的な意見が、いまの常識を疑い、絶対的な価値観を相対化させ、よりよい未来を探すという目的を失い手段化され、単に敵対する勢力へのアンチだったり、そのアンチに対するアンチ・アンチだったり、注意をひきつける炎上商法だったり、いま相手に優越できさえすればいいという現状になっているのではないか、という著者の考察集である。一つの論を述べたと思ったら、こういう考え方もある、という具合に

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    2023年08月12日
  • 「逆張り」の研究

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    基本的に「絶対化vs相対化」の話であった。それらが逆張りの真理であり、昨今の社会を表している構図だなと思った。
    この本は作者が作者だから好き嫌い分かれるだろう。しかし、私は「あえて」好きと言っておく。メタ視点に立ちたいからね。

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    2023年07月11日
  • 「差別はいけない」とみんないうけれど。

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    まず筆者の年齢が自分とほぼ同世代(綿野が一つ上)というのに驚いた。同世代が評論家として本を出版するような歳になったということか、、、
    それはさておき本書はタイトルの通り、なかなか表立っては言いにくい、それこそポリコレに反するような事柄について、懇切丁寧に説明を加えようとするものである。アイデンティティとシティズンシップの対比、それはすなわち民主主義と自由主義の関係につながっている。本書はそれらの対立やねじれについて、極めてクリアカットに解説してみせる。そしてそれらの言説は非常に説得的である。かといってそれらの一見説得的な言説・分類が、実社会における差別問題に対して、実際に有効に機能しうるかは、

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    2021年01月03日
  • 「差別はいけない」とみんないうけれど。

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    差別はなくならない。
    そのことを認識することから始まるってこと。

    「不快」な感情が他者への無意味な自己責任論になる前に、その「不快」さをまず言語化してみよ。

    という本かな。難しかったけど面白かった。再読して良かった。

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    2020年10月10日
  • 「差別はいけない」とみんないうけれど。

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    めちゃ面白かったーーーー。取り扱ってる幅が広い
    人種、フェミニズムは成る程という感じ、慰安婦、天皇は知らなかったな〜という感じ
    ここから、読みたい本を調べていこうと思う
    ポリコレはブルジョワのものかー。

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    2020年06月19日
  • 「差別はいけない」とみんないうけれど。

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    差別を批判するロジックを「アイデンティティ」「シティズンシップ」に整理し、その変遷と現状を説明している。文章は分かりやすく、代表的思想と人物を紹介するにも読者が辿りやすく工夫した説明なので、ここをもっと知りたかったらこれを読めばいいわけね、というのが一目でわかる。差別だポリコレだ、というその時その時の風潮になんとなく流されるんじゃなくて、ちゃんと考えてその行きつく先の話をしていきませんかという意図が伝わる。おもしろい。
    思想や立ち位置というものをきっちり整理して示してくれるので、自分の考え方がどのあたりにあるのか、ということも分かって良かった。近年のいろいろなポリコレ騒動にも触れられていて、こ

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    2020年06月01日
  • 「差別はいけない」とみんないうけれど。

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    タイトルから興味が湧き、何気なく読んでみたが、非常に骨太な内容で難しくビックリした(笑)人間の多種多様さは大きな強みである。しかし、その多様さが幾つもの異なる集団を生み出し、「ウチ」を贔屓し、「ソト」を蔑ろにすることで、集団間の差別を生み出してしまう。人間は生まれながらに矛盾している生き物であると改めて実感させられた。

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    2020年03月06日
  • 「差別はいけない」とみんないうけれど。

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    民主主義(アイデンティティポリティクス)と自由主義(シティズンシップ)という概念がそもそも「対立する」ことすら知らなかった身としては目から鱗だった。差別(ハラスメントなども含む)は、人が多様であるが故にいかに避け難いか、そしてポリコレを大義と出来るか否か、についての論考。現在の「分断」の深淵を垣間見ることが出来る一冊だと思う。と同時にこの本は自らを「左派」と自認する人々にとって踏み絵のようなものでもある。人間も世界も恐ろしく複雑だ。

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    2020年02月10日
  • 「差別はいけない」とみんないうけれど。

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    日経9月7日書評に掲載の本。

    ポリコレをめぐる言説の考察。

    「ポリティカル・コレクトネス」とは、人種・宗教・性別などの違いによる偏見・差別を含まない、中立的な表現や用語を用いること。しばしば、「うざい」とか「うんざり」とか否定的な意味合いを込められる。

    差別はしてはいけないこと。
    だけど、無自覚に差別をしてしまう自分は絶対的に存在する。
    そんな自分を認めつつも、人の尊厳を傷つけず、人を思いやれる人になりたい、と思う。
    だから、ポリコレ的視点で、自分の言動を常に見つめることは必要だな、と思う。

    いっぽうで、行動経済学が示しているとおり、人間は常に賢い行動をとるわけではない。また、厄介なの

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    2019年12月06日