綿野恵太のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
日経9月7日書評に掲載の本。
ポリコレをめぐる言説の考察。
「ポリティカル・コレクトネス」とは、人種・宗教・性別などの違いによる偏見・差別を含まない、中立的な表現や用語を用いること。しばしば、「うざい」とか「うんざり」とか否定的な意味合いを込められる。
差別はしてはいけないこと。
だけど、無自覚に差別をしてしまう自分は絶対的に存在する。
そんな自分を認めつつも、人の尊厳を傷つけず、人を思いやれる人になりたい、と思う。
だから、ポリコレ的視点で、自分の言動を常に見つめることは必要だな、と思う。
いっぽうで、行動経済学が示しているとおり、人間は常に賢い行動をとるわけではない。また、厄介なのは、差別する側にも一定の合理性があることだ。
本書の立場は、ポリコレへの反発から問題点をあぶり出し、それを乗り越えることを目指す。
民主主義は同質性を求めるので、異質な者を排除しようとすること、多様性を認める自由主義とは経済成長がないと折り合えないこと、など目を見開かせる記述が多い。
ただし、差別問題について、明確な結論まではたどり着けてない、かな。
差別はそれだけ根深い問題、ということ。
文字が大きくて1ページあたりの文字数が少ないので、サラッと読めるかと思ったが、読み進めるほどに難しくなり悪戦苦闘した。でも、さらにしっかり読み込んで、理解を深めたいと思った。 -
Posted by ブクログ
差別とは何か、今一度捉え直すための一冊です。
本書では「ポリティカル・コレクトネス」は反差別闘争に取り組む「新しい社会運動」(新左翼)が、階級闘争に忠実な古臭い左翼(前衛党)を揶揄するために使い始めた言葉としています。
現状では保守派が“ポリコレ”と全体主義のイメージを結びつけ、リベラルな価値観や教育を攻撃するために流用する道具になりつつあります。
差別主義者と反差別主義者を問わず、いまや 「差別における責任観」=「強い責任理論」が社会的な規準として採用され、「とんでもない責任のインフレ」が起こり、「どこにでも責任があるがゆえにどこにも責任がない、 無責任の体系」が広がってしまったことを本書は伝えています。 -
購入済み
難解な内容だが、幅が広く面白い
「差別はなぜ起こるのか」について、ポリティカルコレクトネスとシティズンシップ、自由主義と民主主義の概念をそれぞれ対比させながら説明を試みた本。
学校ではみんななんとなく「自由民主主義」と習うけれど、本当は自由主義と民主主義は対立する概念であること、そして自由主義と民主主義との共存は崩壊しつつあること。
この視点が面白かった。
内容が難しめなのですべてに共感することは難しいが、マルクス主義、経済、道徳、心理学、生物学、日韓関係から障害者まで非常に幅広い視点から差別にアプローチしているので、誰でもどこかしらに共感できる部分があるのではないか。