【感想・ネタバレ】みんな政治でバカになるのレビュー

あらすじ

バカ(認知バイアス)とバカ(政治的無知)の「バカの二乗」によってこんな世界ができあがった。私もあなたもみんなバカなら、いったいどうすればいいのか?
──橘玲

怒りは必要だが、それだけでは誤る。本書はいま、「理性」のありかを問う。
──千葉雅也

分断・ヘイト・陰謀論が絶えないのはなぜか?
進化心理学、認知科学から導かれる、道徳感情をめぐる考察。

トランプ当選をいまだに信じるひとに、Qアノン信者。世界を操るのはディープステートで、コロナワクチンにはマイクロチップが……。なぜかくもフェイクニュースや陰謀論が後を絶たないのか? それは私たちが「バカ」だから! 人間の脳内には「直観システム」と「推論システム」という異なる認知システムがある。この認知科学の「二重過程理論」をもとに、今世界で起きている政治的な分断と対立と混乱の図式を描き出す。我々が囚われている「バカの連鎖」から抜け出すにはどうしたらよいのか? 最新の進化心理学、認知科学の知見に基づいてその脱出口を探る長編評論。新しい人間像を構築せよ!

本書のタイトルは「みんな政治でバカになる」である。「バカなんて許せない!」とイラッとした人も多いかもしれない。しかし、ちょっと待って欲しい。本は読まれなければ、意味がない。人間は「理性」よりもまず「感情」が反応することがわかっている。「バカ」という乱暴な物言いで、あなたの「道徳感情」に訴えかけて、本書を手に取ってもらったわけである。(……)私たちは人間本性上バカな言動をとってしまう。くわえて、ほとんどの人が政治について無知=バカである。いわば、「人間本性による」バカ(認知バイアス)と「環境による」バカ(政治的無知)とがかけ合わさった「バカの二乗」である。これがフェイクニュースや陰謀論が後を絶たない理由である。(「はじめに」より)

第1章・大衆は直観や感情で反応する
第2章・幸福をあたえる管理監視社会
第3章・よき市民の討議はすでに腐敗している
第4章・ポピュリズムは道徳感情を動員する
第5章・もはや勉強しない亜インテリ
第6章・部族から自由になるために

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Posted by ブクログ

とても面白い。
認知のバイアスも克服して、市民にならなければならないと思っていだけれども、それは時代遅れだったことを知らなかった。
でも、どうすればいいのかはわからない。ディストピアな印象が残った。

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2022年05月02日

Posted by ブクログ

タイトルが聞き捨てならない。例えば、兵庫県知事選やトランプ再選のことか、または最近は結構廃れたTwitter動員みたいなことかと連想する。
この字面だけで感情を煽られて反感をもったり少しイライラした感じになるのが直感システムである。誰しもが直感システムによる認知バイアスをもっているため、バカになってしまう。(タイトル及び著者の煽りの意図への反感で数年この本を買わなかった。)
これに対して、直感に任せずに一旦立ち止まり、理性を働かせて言語・論理によって考えるのが推論システムだ。しかし、推論システムが万能かといえば、もはや理性を働かせて熟議をしたところで、同じ意見の人が集まるだけの部族主義に陥ってしまう。みんな自分の生活にしか関心がなく、投票したところで変化がないから本気で勉強しない点で政治的に無関心で、その点でもバカである。
最近の人文書の動向を踏まえてこの辺の議論をよく整理している点で面白い。でも新しい左派の指針になってはいないように思う。「ドヂ」や「ダメ連の一般化」の部分が触れられてるだけで、どういうことかよくわからなかった。

0
2025年05月26日

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