河岡義裕のレビュー一覧
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読むのに時間がとてもかかった。
もう若くないなーと痛感した一冊、もう少し若い頃ならばこれくらい興味深い内容ならば、一気読みも楽々出来たのに……
まあ、そんな愚痴は別として、これは素晴らしい良書だった。以前から見かけていて、一読したいなあと思っていた一冊だったわけだけれど、今回満を持す感じで読めました。科学の世界はどんどこ進んでいるので、ちょっと目を離すと新しい知見が出てくるわけですが、この本は特にそれを顕著に感じました。
20名の科学者が自分の研究を紹介していくという構成で、本文が約P300ですから、ざっとひとりあたり15頁前後の配分なのですけれども……それが、ものすごく濃い。
面白い!
発行が2021年なので、この本にある知見から更に進んだ知見が今はあるのだろうと思いつつも、この本の執筆者たちの活動はきっと変わらぬままで、彼らは新たな海辺に足を伸ばし手を広げているのだろうと確信出来る。
本物の科学者たちに、すっかり脱帽な一冊です。 -
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2009年のインフルエンザのパンデミックの恐れがあったときに出版された本。
当時多くの書籍が、インフルエンザウイルスを防ぐハウツーの本多かった中、本書はウイルスと免疫の関係、ウイルスの増殖やタミフルなどの薬の仕組みなお、ブルーバックスらしく原理等を明らかにして、対策を提示している。
今回のH1N1型、非常に怖いといわれている鳥インフルエンザのH5N1型などの違いや現在の医学の2009年時点での最前線がわかった。高校生物程度の基礎知識は必要だが、逆に言えば、基礎知識をもったうえで、ウイルスの原理原則がわかれば対策もとりやすいと思う。類書に比べて難しいが、読むことができれば非常に有益な本になると思う。 -
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[ 内容 ]
21世紀のパンデミック(世界的大流行)が突如発生、ウイルスは瞬く間に世界に伝播した。
はたして新型ウイルスは、人類を脅かす存在なのか。
ロベルト・コッホ賞を受賞した世界的権威らが、最新の研究成果をもとに、インフルエンザウイルスにまつわるさまざまなミステリーを解き明かす。
[ 目次 ]
第1章 パンデミック発生!
第2章 インフルエンザウイルスはどのように感染するのか?
第3章 「種の壁」を越えた感染はなぜ起きるのか?
第4章 ウイルスの病原性が突如強まるのはなぜか?
第5章 H5N1亜型ウイルスがパンデミックを起こす可能性はあるのか?
第6章 スペイン風邪は、なぜ史上最悪の被害をもたらしたのか?
第7章 ワクチン接種で感染を予防できるか?
第8章 抗インフルエンザ薬は感染拡大を食い止められるのか?
第9章 新型ウイルスは、人類を脅かす存在なのか?
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
シンパシーとは寄り添うこと、エンパシィは思いやり、他者の気持ちを推し量って配慮し行動すると言う意味、忖度、昨今先回り服従と言う悪いスティグマがついてしまった。
小説を読んで、主人公に共感しました、本当の読書とは言い難い。自分とは異なる立場の人の心情も理解できて初めて読書体験は豊かになる。
ジャックアタリ氏の利他の精神、エンパシィによる他者理解の精神、利他主義は合理的利己主義に他なりません。自らが感染の脅威にさらされないためには、他人の感染を確実に防ぐ必要がある。私はしばしば利己的でありながら利他的にもなれる、
合理的な利他主義、希望を持って最善を尽くして生きる。楽観主義ではなくポジティブに考えて生きよう。 -
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ネタバレ<目次>
まえがき
第1章 新型コロナウイルスの研究最前線
第2章 ウイルスと共に生きる
第3章 ウイルスと私
<内容>
世界的なウイルス学の権威、河岡先生の話を、ノンフィクションライター河合香織氏が聞き書きをしたもの。大変分かりやすく、コロナウイルスの何が怖く、何をしてはいけないのか、大変分かりやすい。その後の状況などから、「コロナウイルスが季節性があるかもしれない」などは、外れている可能性があるが(8月に第2波が来ているので)、第2章はよく参考になるし、マスコミのもしくはネット上の情報が、如何に杜撰かもよくわかるので、冷静になることができる。研究者なので、大胆な踏み込みはないが、コロナのポイントを押さえるなら、この本がよいだろう。 -
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新型インフルエンザの流行が懸念されるこの頃。
本書はインフルエンザ基礎研究の第一人者の一人が、一般向けに新型インフルエンザやインフルエンザ一般についてわかりやすくまとめたもの。
最新の研究結果も、理解しやすいストーリーとともに提供している。
Natureを初めとして、トップクラスの雑誌に多くの論文を発表し、多忙を極めているに違いない著者、河岡義裕氏。実際にまとめたのは、研究室の堀本研子氏であり、ブルーバックスの編集者であるとのことだが、「新型インフルエンザは季節性インフルエンザと同程度にしか怖くない」という世評に警鐘を鳴らそうとの本書の意図は意義深い。
図版も豊富だし、インフルエンザについての基礎を知るにはよい本だと思う。
新型インフルエンザに対して、決してパニックになることはないけれど、甘く見るのも禁物。
今後の報道で右往左往しないためにも、一読しておくのは損ではない。 -
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トランプ大統領の新型コロナウイルス感染症罹患のニュースはとても衝撃的だった。
一方、東京都の発表では、5月までに比べて6月以降の方が確実に死亡率は下がっているという。
今、新型コロナウイルス感染症がどのようなフェーズにあって、どう向き合っていけば良いのか難しいところだ。
確かな知識がほしい。
本書は、ウイルス学の世界的権威がコロナについて、これまでにわかって来たこと、分かっていないことを比較的冷静に伝える内容。
ほんとは、「正しい知識を身につけて、恐れることなくウィズ・コロナを実践してほしい」と、言いたいところだけど、これから起こることが予測できないので、「恐れることなく」とは言えないそうだ。
・ウイルスはランダムに変化しているだけ。ウイルスが生き残るために選んだ手段ではない。遺伝子が複製されるときの間違い。ちゃんと複製できれば変異しない。ウイルスに生き残る戦略などない。
・ワクチンには①生ワクチン、②不活化ワクチン、③サブユニットワクチンと3種類あるが、これらの従来型とは別に注目を集めているのが、「遺伝子ワクチン」(DNAワクチンやmRNAワクチン)。コロナのワクチンとして開発を目指している。
・拙速なワクチンの実用化は弊害も大きく、望ましくない。安全性を厳重に確認したワクチンであっても、一定の割合で、必ず重篤な副反応がある。もし実用化を急ぐあまり安全性をしっかり確認できなかった場合は、のちのち人が苦しむことになりかねない。
・また、ワクチンを接種することでADE(抗体依存性感染増強)という、病気がより重篤化する現象が起きることも懸念される。
・新型コロナウイルスの研究では、中国が先頭を走っている。
・インフルエンザと異なり、ウイルスの量と重症度の相関はない。
・ハムスターなどを用いた動物実験で、コロナの抗体はワクチンや治療薬に有効であることがわかっている。
・ウイルスに感染すると、免疫細胞が活性化され、増殖する。異物であるウイルスの排除に関わり、その役目を果たした細胞は死に絶える。後に残るものを「記憶細胞」といって、2度目の感染の際にこれがたくさん増えて、効率よくウイルスを排除する。これが免疫を獲得したといわれる状態。
・欧米に比べて感染者数が少なく、死亡率も低いことを根拠に、日本は特別だと思う風潮が見受けられるが、とても危険。第二次大戦の初期の空気に似ている。
・2020年10月から2021年2月までは特に注意が必要。
・近い将来、効果の高い抗ウイルス薬が見つかると、重症化する数は減る。
・断続的な流行は2〜3年続くが、ワクチンが開発されたコントロールできるようになるだろう。
・しかし、集団免疫を獲得するまではかなりかかる。
・コロナウイルスは70〜80%のエタノールか0.05%の次亜塩素酸ナトリウム(次亜塩素酸水ではない)で失活する。
・皮膚からは感染しない。手に触れてもよく手洗いすれば良い。
・新型コロナウイルスが人為的に作られた可能性は極めて低い。
・重症化には、遺伝子が関わっている可能性がある。
・気が緩んでいるから感染するわけではない。
・ペットにもうつる。不顕性感染なのでわかりにくいので注意。イヌよりネコの方が感染しやすい。 -
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昨年のGW直前に新型インフルエンザ(当時は豚ンフルエンザ)が急にはやりだして、修学旅行や各種行事が中止になったのは記憶に新しいことですが、夏の間に猛威を奮ったインフルエンザが、冬になってそれほど騒がれていないのはなぜなのでしょうか。ワクチンが効いたから?皆の免疫ができたから?と思ったりするのですが、本当のところはどうなのでしょう。
この本ではインフルエンザを長年研究されてきた河岡氏が、インフルエンザの歴史を含め、今回のインフルエンザ対策も含めて解説しています。インフルエンザの予防には”うがい”よりも”アルコールによる手洗い”である(アルコールはウィルスの膜を壊す効果がある、p158)理由がわかったことは私のとっては良かったです。
以下は気になったポイントです。
・ウイルスとは、植物や動物の細胞機能を利用して子孫を増やしていく(複製をつくる)最小単位の生き物であり、細菌がそれ自体で増殖できる点や大きさが細菌よりも小さい点が異なる(p26、27)
・細菌の薬は、自ら増殖する機能に着目して細菌だけを攻撃する薬を作れば良いが、ウィルスを攻撃する薬は、宿主である細胞にも副作用がでるので難しい(p28)
・風邪の症状を引き起こす原因となるのは、80%がウイルス、残りの20%が細菌、原因となるウィルスは200種類以上ある(p53)
・最も古く大きな被害をだしたインフルエンザは、1918年から19年にかけて全世界で2000万人以上と言われる死者をだしたスペイン風邪、日本では2000万人以上(当時の人口:5500万人)が感染して38万人死亡(p54)
・アジア風邪は1957年にアジアで発生、日本では98万人以上が感染し7700人が死亡、1968年の香港風邪は、14万人罹患して死者は2000人(p56)
・毎年の季節性インフルエンザとして流行する「A香港型」は、香港風邪ウイルスの末裔(p56)
・新型インフルエンザが旧型インフルエンザを駆逐する、スペイン風邪ウイルスは1958年にはアジア風邪ウイルスに、同様に香港風邪ウイルスの出現により、アジア風邪ウイルスも駆逐された(p57)
・1977年に現れたAソ連型(H1N1)は、スペイン風邪ウイルスと同じ型であり復活したことになるが、ウイルス学では絶対に起こりえない、インフルエンザは少しずつ変化をしていくものだから、この理由としては「人為的な理由によるもの」と思われている(p59)
・鳥インフルエンザウイルスは、41度という温度のもとで活発に増殖するウイルスなので、33度と温度の低い人間の上部気道ではうまく増殖できない、喉より温度の高い深部の気道で増殖する(p76)
・日本の場合、季節性インフルエンザに100万人程度かかることがあり、多い年は1000人以上が死亡している、実際の感染者は医療機関からの正式報告値なので、実際はその10倍(1000万人)とも推測される(p148)
・日本の大半の医療機関では、インフルエンザ診断キット、抗インフルエンザ薬があるが、アメリカはそれば保険でカバーされないし、ヨーロッパでも日本比較で体制が整っているとは言えない、これが患者数で差がでる原因(p151)
・2009年5月に関西地方で感染が確認されたときに、兵庫県と大阪府で4800校の学校閉鎖、各種イベントの中止により感染拡大をかなり抑えることができた(p153)
・手洗いにより手についたウィルスをかなり減らすことが可能、石鹸・アルコールによりウイルス膜が壊れてウイルスが死滅するから、インフルエンザ対策として”うがい”を推奨している国は少ない(p158)
・インフルエンザと疑われる症状(急な高熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、とくに後者の2つ)がでたら、すぐに病院で検査を受けることが大事(p175)