ベルンハルト・シュリンクのレビュー一覧

  • 朗読者(新潮文庫)

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    読み終えて思うのは、悲しみでもなく、怒りでもなく、もちろん感動でもなく、この複雑な気持ちをどう表現したら良いのか困っています。やはりこれは個人の意思ではどうすることもできなかった過去の戦争犯罪に巻き込まれてしまった個人が、その人生を狂わされてしまった悲劇の小説だと思います。

    物語の前半は、15歳の主人公ミヒャエル・バーグが、ある出来事をきっかけに、母親と言ってもおかしくないほど年上の独身女性36歳のハンナ・シュミッツと出会い、彼女に恋愛感情を抱いて彼女の家を訪ねては男女の関係を重ねる様子が描かれます。

    ミヒャエルにとっては思春期の男子ゆえ、異性に対して心が惹かれるというよりも身体の欲求が先

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    2025年11月11日
  • 朗読者(新潮文庫)

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    朗読者を読んだ、泣いた。ハンナの心は永遠に分からない、私たちは戦争を経験したことがない。他人の命を無関心に見たことがない、ホロコーストに賛成したことがない、時代を感じていない。でも愛することは間違いだったんだろうか?どうしたらよかったのか?あなただったらどうした?

    ハンナが裁判で、「私はジーメンスに転職を申し出ないほうがよかったの?」と自問する
    彼女の文盲を隠すための逃避が恐ろしい、直面しなくていい地獄まで通じているなんて誰もわからなかったでしょう

    主人公も手紙を書いてあげればよかった。
    でも書けなかった。愛する人が戦争犯罪者だと、自分は断罪者であり受刑者になるから

    もう一度読みたい

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    2024年12月01日
  • 朗読者(新潮文庫)

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    是非オススメしたい本です。(私の1番大好きな本)

    ◆ホロコースト時代の「ドイツ人」と「ユダヤ人」の禁断の悲劇の恋愛物語  

    【あらすじ】
    15歳のドイツ人少年のミハイルが帰宅途中嘔吐してしまい、そこに現れたユダヤ人ハンナが助けたことで、2人が出会った。最初は、お礼の挨拶をするためにお家に行くが、訪問回数を重ねるごとに恋愛へ発展する。ハンナには誰にも言えない『秘密』があり、その『秘密』が2人の関係、人生を大きく動かすことになる。

    【ポイント】
    1.なぜ、ハンナはミハイルに『本を読んでほしかったのか』
    2.なぜ『秘密』を打ち明かすことが出来なかったのか
    3.もしあなたがハンナなら/ミハイルな

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    2023年11月25日
  • 朗読者(新潮文庫)

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    親子ほど歳の離れた2人の恋愛を描き、戦争で分断された世代間の闘争(ナチスに加担したかどうか)が浮き彫りになる、、

    ハンナアーレントの「悪の陳腐さ」とは、実は当事者も苦しむものだったのだ!と思わされた

    だからこそ、人間の悪とは陳腐なのかも。

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    2023年07月09日
  • 朗読者(新潮文庫)

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    ネタバレ

    薦められて読んだ本ですが、本当に読んで良かったと思える1冊でした。

    「あなたならどうしましたか?」という言葉が本全体にかかってくるようで重い。
    この言葉が苦しいのは、ハンナは裁判長をせめるつもりもなく、本当に分からなかったから何でも知ってそうな人に教えてほしかっただけで... という...
    裁判長が作中でこの問いに答えられないのも、著者自身が答えをだせなかったからなのか、読者に答えを委ねたからなのか
    簡単に答えがほしいと願う読者に対して、そうそう容易く答えなんか得ようとするなと言われているようで。

    「僕たち後にくる世代が恥と知と罪のなかで押し黙る ─それが求めていた結果だったのだろうか

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    2023年05月28日
  • 朗読者(新潮文庫)

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    ネタバレ

    文盲であることの恥と苦しみはどれほどのものだろう。それを知られるくらいなら、戦犯として裁かれ服役することを選んだハンナ。
    文字を学び、本を読んだことで初めて自らの罪の重さを知った時、、、
    どうしようもなく切なく胸を打つラストでした。

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    2023年05月12日
  • 朗読者(新潮文庫)

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    めちゃくちゃ深い本でした。
    序盤の恋愛話からの急展開、、最後の結末!へと続くストーリーにハマり、先が気になって、一気読みしてしましました。
    再読したくなる深い本でした!!
    ぜひぜひ読んでみて下さい。

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    2023年02月08日
  • 朗読者(新潮文庫)

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    個人的に推しているイラストレーターさんが、この作品から着想を得て漫画を描いたと言っていたのを見て、気になって軽い気持ちで手に取ってみたのだけど、
    朝の通勤電車や会社のお昼休憩や、家で寝る前のベッドの上で、何度涙を堪えながら読んだことか。

    【いつか終わりが来る】と心のどこかで気づいていても、その人を愛さずにはいられない。
    そんな無防備で、無垢で、純真そのものだった恋心を丸ごと想起させられ、
    自分の中に仕舞い込んでいた過去の苦い体験が、感情ごと引っ張り上げられてきてしまう。
    それだけではなく、ここで扱われているユダヤ人迫害の歴史やその事実の悲惨さに、心が耐えられず潰されそうになる。
    まさに感情

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    2022年12月12日
  • 朗読者(新潮文庫)

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    年上の恋人が突然いなくなり、その後戦争犯罪の被告として裁判に登場する、という様な話なのですが。とにかく人間描写が見事。「人生においてぼくはもう充分すぎるほど、決断しなかったことを実行に移してしまい、決断したことを実行に移さなかった。」

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    2022年09月07日
  • 朗読者(新潮文庫)

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    25年ぶりくらいの再読
    当時に比べて細かい所の
    描写に気づいたり
    理解出来たり
    読みなおしして良かった
    恋愛小説?みたいな扱いを
    受けてる時があるけど
    もっと深い物語だと思う
    一二三館書店にて購入

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    2022年08月17日
  • オルガ

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    小説としては3部構成で面白い。最初はオルガと恋人のヘルベルトの話。次はフェルディナントがオルガを見ている話、最後がオルガの手紙である。
     ドイツの歴史を少し学べる。

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    2022年03月05日
  • 朗読者(新潮文庫)

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    「ぼくたちの逢瀬も、記憶の中ではただ一度の長い逢い引きだったように思える。」美しくも実に刹那い。

    映画『愛を読むひと』の原作

    シャワーを浴びてベットに入るまで、少年は彼女に本の読み聞かせをする。

    それを愛と呼びたい。時代背景が憎い。

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    2021年10月28日
  • オルガ

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    愛のそばには必ず喪失があるのだろうか、と考えずにはいられなかった。そして人を存分に愛するのに、なんて人生は短いのだろうと、我が身を振り返ってしまった。人生の秋を感じさせる物語。『朗読者』も大好きだが、この作品も大好きだ。

    帝国主義のもと男たちが振りまわされる大義名分や歴史的偉業。それらは人間としてみな平等に享受すべきささやかな幸福と真反対の方向にあるのを、一人の女性オルガは見抜いている。彼女は両親、恋人、声を失う。でもとても豊かな人。
    私の祖母くらいの女の人に、きっと「オルガ」は多かっただろう。

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    2021年09月14日
  • 朗読者(新潮文庫)

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    何年ぶりかに再読。
    なぜか何度も読み返したくなる好きな本です。

    ハンナの
    「……あなただったら何をしましたか?」
    この真剣な問いに自信を持って答えれる人はなんて答えるのだろう?
    裁判長
    「この世には、関わり合いになってはいけない事柄があり、命の危険がない限り、遠ざけておくべき事柄もあるのです」



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    2021年08月05日
  • 朗読者(新潮文庫)

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    本を好きな方、読まない方、朗読をする人、朗読が好きな人、老若男女。
    誰もが1度読んで欲しい!20年前の作品ですが、古さを感じません。
    ただ、面白いとか、いい話とか、単純か言葉が当てはまらない本だと思う。
    なんとも言えない読書感。後半は涙なしでは、読めませんでした。

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    2021年04月19日
  • オルガ

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    『オルガは一九五〇年代の初めにあちこち走り回って、失われた書類や破壊された記録を見つ出し、プロイセンでかつて勤めた国民学校教師として、自分に権利のあったちょっとした年金をもらえるようになった。それからは、ぼくたちの家でだけ、縫い物をするようになった』―『第一部』

    ドイツの起こした戦争を背景に物語を描くベルンハルト・シュリンクは多くを語らないことで善悪の色彩を物語に鮮明に付さないままに描く。戦争の悲惨さを敢えて正面から描写しないことは、市井の人々にとっての戦争が如何なるものであったかを深く語り得る大きな力なのだが、時として戦争そのものを直視するのを避けるように描かれるのには何か良からぬ思想を肯

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    2021年03月10日
  • オルガ

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    ネタバレ

    19世期から20世紀の激動のドイツを生きたひとりの女性オルガ。
    身分や性別、戦争によって翻弄されながらも常に姿勢を正して毅然と生きる彼女の半生が淡々と語られる第一部。
    中年になった彼女が裁縫師として雇われた牧師一家の末息子「ぼく」によって、晩年のオルガについて語られる第二部。
    そして第三部は書簡小説。1913年から1971年までにオルガが書き残した手紙によって全てが明かされて行く。

    私のうすっぺらな言語能力ではこの物語の素晴らしさは到底伝えきれないから、ひとつだけ。
    気丈で、賢く、自分を貫いて生きた強いオルガが望んでいた幸せのささやかさを知って胸が苦しかった。

    堪えきれず嗚咽した箇所を、外

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    2020年08月20日
  • オルガ

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    楽しみにしていた本作。

    他作にも通ずる、一人で生きざるを得なかった女性が身につけた強さ、裏にある葛藤が描かれていた。

    私のペラペラな感想なんてどうでもよいので、人類全員に読んでもらいたいと読後の余韻の中で思う。

    訳も良い。

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    2020年08月20日
  • オルガ

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    両親の死で祖母に愛なく育てられたオルガと金持ちの農場主の息子ヘルベルト.二人の友情が愛に育つ純愛と大きな物への果てしない欲望,探検,侵略,戦争.困難な時代を逞しく愛しながら生き抜いたオルガの記録.オルガの時代や流行にとらわれない真実を見つめて揺るがない生き方は素晴らしい.オルガから届くことのなかった手紙で構成された第3部によって露わになる真実に驚かされ,二人の間に流れていた珠玉の情愛に感動した.

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    2020年06月28日
  • オルガ

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    偉大なるドイツの幻影を追い求め、若くして北の果てに消えた恋人。彼を想い続けながら、激動の時代を力強く生き抜いた一人の女性。残された手紙が明らかにする彼女の秘められた激情、秘密、死の真相。ささやかな幸福を追い求めながらも男の従属物となることを拒み続けた彼女の心の叫びが静かに胸を打つ逸品。

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    2020年06月13日