ベルンハルト・シュリンクのレビュー一覧

  • オルガ
    19世期から20世紀の激動のドイツを生きたひとりの女性オルガ。
    身分や性別、戦争によって翻弄されながらも常に姿勢を正して毅然と生きる彼女の半生が淡々と語られる第一部。
    中年になった彼女が裁縫師として雇われた牧師一家の末息子「ぼく」によって、晩年のオルガについて語られる第二部。
    そして第三部は書簡小説...続きを読む
  • オルガ
    楽しみにしていた本作。

    他作にも通ずる、一人で生きざるを得なかった女性が身につけた強さ、裏にある葛藤が描かれていた。

    私のペラペラな感想なんてどうでもよいので、人類全員に読んでもらいたいと読後の余韻の中で思う。

    訳も良い。
  • オルガ
    両親の死で祖母に愛なく育てられたオルガと金持ちの農場主の息子ヘルベルト.二人の友情が愛に育つ純愛と大きな物への果てしない欲望,探検,侵略,戦争.困難な時代を逞しく愛しながら生き抜いたオルガの記録.オルガの時代や流行にとらわれない真実を見つめて揺るがない生き方は素晴らしい.オルガから届くことのなかった...続きを読む
  • オルガ
    偉大なるドイツの幻影を追い求め、若くして北の果てに消えた恋人。彼を想い続けながら、激動の時代を力強く生き抜いた一人の女性。残された手紙が明らかにする彼女の秘められた激情、秘密、死の真相。ささやかな幸福を追い求めながらも男の従属物となることを拒み続けた彼女の心の叫びが静かに胸を打つ逸品。
  • 朗読者(新潮文庫)
    戦争を知らない世代にとって、かつて自国が戦争をしたということについてどう捉えるべきか考えさせる内容。また、自分のコンプレックスを乗り越えること、更生と再生などをテーマとして感じた。
  • 朗読者(新潮文庫)
    もっともっと早く読めば良かった。感動させたベストセラーだからと言うわけではなく、自分と彼女の関係、父との関係、友との関係、その関係性の中で何が正しく、何が違っているかを物語はあくまで読者に委ねている。自分はどう考えるか?ハンナが裁判で語ったようにあなたならどうしますか?心に突き刺さる。
  • 朗読者(新潮文庫)
    最初は単純な年下の男の子と年上の女性の恋物語かと読み進めていたが、中盤から物語がガラッと変化する。途中結構辛くなったけど最後は一気に読めた。ハンナは努力家の真っ直ぐな気質で女性で、それ故に許される自分のことが自分で許せなくなったのか。自分が同じ立場になったときにどう行動できるのか、反復して考えるため...続きを読む
  • 朗読者(新潮文庫)
    大学のドイツ語の先生に薦められて読みました。

    坊やの心情やハンナの裁判での葛藤が映画よりも細かく描かれていると感じました。
    特に、裁判でのハンナの一言が印象的です。

    そして、最後のハンナの選択には涙が止まりませんでした。
    さらに、最後の一文にも涙が溢れました。

    20代の私にはハンナの選択が理解...続きを読む
  • 朗読者(新潮文庫)
    私たちは「あの出来事」を、どう思い出すべきなのか。
    無機質を気取って、他者の過ちだと斬って捨てるのか、理解しようと努め、苦しみ続けるのか。
  • 朗読者(新潮文庫)
     ホロコーストに関連した小説ですが、ホロコーストに加担した者を一方的に断罪するような単純な作品ではありません。また、戦時の行為を特殊な状況下であったことを理由に安易に正当化しようとするものでもありません。いろんな理解の仕方があると思いますが、大きな不幸に不可抗力的に巻き込まれた人の悲劇、加害者の側に...続きを読む
  • 朗読者(新潮文庫)
    「あなただったら何をしましたか?」
    「あなただったらどうしましたか?」
    ハンナのこの問いかけに正々堂々と答えられる人間はいるのでしょうか。わたしには無理です。わからない。わからないのです。けれど、そんなわたしには考える時間というものが残されています。時間を有するものの使命として、わたしは過去からのこ...続きを読む
  • 朗読者(新潮文庫)
    最初は、少年と年上の女性の恋愛ストーリーで、いずれすれ違って別れるんだろうな、と思っていた。
    概ね合っていたけど、再会したところぐらいから、様相が違ってきた。
    重い話だったけど、いろいろ考えさせられる内容だった。
  • 朗読者(新潮文庫)
     この作品は、ナチスに加担し、ユダヤ人を虐待する立場に立った人に焦点を当てている。彼らはいかなる心境だったのだろうか?
     作者はそれを「麻痺」という言葉で端的に表している。戦争という強力かつ強制的な麻酔の為に、数々の残虐行為に何も感じなくなるが、その効き目が切れた後に、加害者側に立った人々はどうしよ...続きを読む
  • オルガ
    "墓地を歩くのが好きな理由は、ここではすべての人が対等だから、とのことだった。強者も弱者も、貧者も富者も、愛された者も心にかけてもらえなかった者も、成功した者も、破滅した者も。霊廟や天使の像や大きな墓石も関係ない。みんな同じように死んでいて、もはや偉大であることもできないし、偉大すぎることなんてぜん...続きを読む
  • 朗読者(新潮文庫)
    愛した女性を通じて、戦争犯罪者について考え苦悶する。

    法廷で、何故そうしたかを言わず、被害者の思い込みによる言葉を、事実のようにされても、反論せず、微動だにしない。

    文盲とは…。

    読んでて、息苦しくなる。
    読後も、重苦しい。

    でも、これが当時の史実でもあったのだろう。
  • オルガ
    遠く離れて時折にしか会えない人を、どうやって思い続け心を通い合わせることが出来るのだろう。そして会うことも叶わなくなった亡き人を。
    静かで強い。既読がつかなかったり返信がないだけで一喜一憂するような現代からは遠い強さ。多分、相手や相手との関係というより、自分自身の強さなのだろうな。

    オルガにも不安...続きを読む
  • オルガ
    格調高い文学の香りに包まれました。一生ヘルベルトへの愛を貫いたオルガは幸せですね。手紙一通一通から熱い思いが伝わります。腹を立て喧嘩するからこそパートナー、、オルガに教えられました。夫とはしっかりパートナーだったんだな。戦争を絡めて人の強い意志をあぶり出す、朗読者でも感じたことです。久しぶりにシュリ...続きを読む
  • オルガ
    個人の葛藤と世代的トラウマが折り重なる。

    苦痛と困難の時代。

    世界大戦、戦間期、再びの大戦、戦後。

    近代から現代へ急速な変貌、それはオルガにとっても、彼女の世代にとっても苦痛と喪失を伴うものだった。

    この物語に言うべき言葉はあまり見つからない。

    喪失を乗り越えるために必死に生き、届くはずの...続きを読む
  • 朗読者(新潮文庫)
    直接的に戦争の描写をするわけではないが、
    愛した女性を挟んで戦争をとらえることで、
    見えてくる世界があった。
    「あなただったら何をしましたか?」の言葉が重くのしかかる。
  • 朗読者(新潮文庫)
    余りに引力が強く、余りに哀しい物語だった。
    始終ストリングスが聴こえる様な静謐さに反し、激しい感情の起伏を強いられる箇所も屡々。

    舞台は戦時色が強く残るドイツ故に、社会的背景はとても陰鬱だ。
    只、それがこの美しきロマンスをよりドラマティックに仕立て上げ、読者の心を高揚させた事は否めない。
    ハンナの...続きを読む