ケイト・クインのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
第一次世界大戦のスパイ小説?とナメた姿勢で読むと本作はヤバい!
「第一次大戦時のスパイ活動」と「行方不明の従姉妹を探す旅」の2つの物語が同時進行するスパイ歴史小説。
「妊娠中の女子大生」「アルコール依存症の女の元スパイ」「キレやすい元兵士」3人のロードムービーの中に、大戦中の事実・理不尽が明らかになっていく過程が面白い!
緊迫の情報収集、吐き気を催す拷問、そして、戦争犯罪を糾弾されずに巧妙に逃げ回った悪党、読むほどに謎が結びつき、読者を腹落ちさせるのが堪らない。
フェミニズムの目覚めも教える。
登場人物は、解説によると日本では無名だが実在の人物らしい。本作は考えさせる歴史小説なのだ。
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Posted by ブクログ
1947年、戦中に行方不明になったいとこを探すためにロンドンへ渡ったシャーリーとそこで出会ったイヴという女性。1915年第一次大戦のなかにいるイヴ。この2つの時代の物語。戦中、戦後の時代は違うけれど厳しい日々を生きている2人。シャーリーとイヴの目的。1915年からイヴに何があったのか。そして1947年に行動を共にする2人。戦争の恐怖、スパイとしての日々、死がすぐ近くにあること。イヴの過ごしてきた戦中の悲惨さが描かれている。スパイ活動の緊張感、シャーリーとイヴの間に芽生えてくる友情のようなもの。復讐を果たすことで救いはあるのか。色々なことを問いかけてくる。600ページを超える物語だけれど長さが気
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Posted by ブクログ
第二次大戦中、イギリスにおいてナチス・ドイツの暗号解読の研究を行っていたブレッチリーパーク。
ここを舞台に、その才能や、戦争の早期終結のために国に奉仕するという意思を買われて暗号解読に加わった三人の女性、オスラ・ケンドル、マブ・チャート、ベス・フィンチの活躍を描く小説。
物語の進行は、二つの異なる時点が、交互に語られる。
一つは大戦初期、三人が出会い、ブレッチリー・パークで働き始め、戦況と暗号解読の進行が語られる。
もう一つは、戦後数年が経っていて、オスラとマブの三人は別の人生を歩んでおり、ベス・フィンチはどうやら心を病んで、病院で拘束されているが、そのベスが送ったメッセージがオスラに届くと -
Posted by ブクログ
やっとケイト・クインが読めました
前々から気になる作家さんでしたがなかなか機会がなくってね〜
はい、本作は誰もが知ってる第二次世界大戦下のソ連軍の伝説の女性狙撃手リュドミラ・パヴリチェンコを主人公に据え、その半生をケイト・クインの空想力を爆発させたフィクションで描くというものです
もちろん実際の出来事や人物が土台となっています
うーん、なかなか難しいのよね
面白かったんだけどね
すごーく面白かったんだけど
やっぱり全編通して違和感がつきまとっちゃうのよね
えーそんなわけないじゃんってなるのよ
年寄りは頭固いんだわ
フィクションや!言うとるやん最初から
そんなわけないじゃんを書いてます -
Posted by ブクログ
第二次世界大戦中に行方知れずになったいとこを探す、19歳のアメリカ人大学生、シャーリー。
彼女が情報を求めて出会ったのは、ロンドンに住む、第一次世界大戦中に活躍した女スパイのイヴだった。
ストーリーは1947年のシャーリーと、1915年のイヴの物語が交互に語られます。
本の帯に「実話に基づく傑作歴史ミステリー」とあります。
傑作かどうかは個人の判断によると思いますが、かなりの部分が実話に基づいているのは確かなようです。
著者あとがきを読むところによると、イヴのスパイの物語は、実話を使いすぎるくらい使っています。
でも、それと本のおもしろさは別物。
冒険譚であり、ラブストーリーであり、戦争で -
Posted by ブクログ
第一次世界大戦中、ドイツ占領下のフランスで連合国のためにスパイ活動をしていた女性たち<アリス・ネットワーク>に迫る物語。
スパイ物ということで、ものすごくシリアスで陰鬱とした、それでいてハードな物語を想像して読み始めたのだが、読み終えてみれば意外な読後感と結末だった。
<アリス・ネットワーク>の一員として活動していた若き日のイヴの物語と、第二次世界大戦中に行方不明になった従姉をイヴと共に探すシャーリーの旅が並行して描かれる。
1917年の、青い情熱を燃やし厳しい任務に没頭するイヴが、1947年には変わり果てた姿になっているのを見ると、1917年の物語の結末が過酷なものであることが想像出来て