ケイト・クインのレビュー一覧

  • 戦場のアリス
    大学生のシャーリーは母親に連れられて墮胎手術を受ける旅行を抜け出し、戦時中に行方不明となったいとこのローズを探すたびに出た。彼女の働き口の報告書にあったイヴリンという名前を手がかりに彼女の家へと訪ねる。彼女は最初はシャーリーを追い払おうとしたがローズの働き口のレストランの名前を聞くと一緒に旅に出るこ...続きを読む
  • 狙撃手ミラの告白
     現在、現時点で、数少ない正統派冒険小説の担い手のトップ・ランナーは、間違いなくケイト・クインという女性作家である。印象的なヒロインと、緻密な考証に基づいて描かれるスケールの大きな戦争時代の冒険とロマン。かつての冒険小説のほとんどが男性作家であったことを思うと、今、この時代だからこそ、戦争の物語の渦...続きを読む
  • ローズ・コード
     この作品にはどこにもブレーキが付いていない。読み出したら止まることができない。約750ページに渡る長大な本なのに、どこにも。それだけでも凄いのだけど、この作家の歴史に材を取った取材能力も努力も凄い。あらゆる歴史的事実の上に重ねてゆく個の物語は、途轍もないエネルギーを持つ。それを抱えた主人公たちは、...続きを読む
  • 亡国のハントレス
    めちゃくちゃ良かった。

    ところで第二次大戦を舞台にした女性同性愛者の物語を2冊続けて読むことになったんだけど、偶然?今の流行?2冊とも想定していなかったからびっくりした。いい意味で。同性愛者の方は嬉しかったと思う。恋愛の一つとして、普通に描かれるのは素晴らしい。これまではなかったことにされてきたわ...続きを読む
  • ローズ・コード
    「戦場のアリス」の著者が描く、第二次世界大戦下のイギリスの暗号学校を舞台にした750ページ近い大作。平易で簡潔な文体と圧倒的にリアルな描写に最後までハラハラしながらも、あっという間に読み終えた。700ページ過ぎる辺りからは登場人物たちに会えなくなる寂しささえ感じた。ロマンスに裏切りに愛国心、友情とミ...続きを読む
  • 亡国のハントレス
    第二次世界大戦中に存在した「ザ・ハントレス」を追う英国人イアン。父の再婚相手に不信感を持つ米国人ジョーダン。シベリアバイカル湖で育ったロシア人ニーナ。それぞれの視点で描かれる物語は絡み合い1人の女へと辿り着く。……最高に面白い→

    歴史ミステリー、というにはミステリー弱めやけど、私は読んで良かった!...続きを読む
  • 亡国のハントレス
    実に750頁超え、本に手にした時は厚さにビビるが、読み始めたら止まらない。ジョーダン、ニーナ、イアンこの三人の名前の章が順繰りに進んでいくが、キャラクターが立っており、どの章の話も実に面白い。其々の支線が途中から交わって一つになるのもまた、ワクワクさせる。
  • 戦場のアリス
    熱く、強く、たくましく、ひたむきに生きた女性たち。平和な時代に生まれつき、自分のことさえ考えていれば生きていられることが、惨めにすら思える。生きる勇気が、強くなる勇気がわいてくる。素晴らしい作品。
  • 亡国のハントレス
     今年の後半は、第一次・第二次世界大戦の時代に展開した作品を、いつになく多く読んだ気がしている。しかも現在を描くものより、むしろ戦争を描く作品に良作が多いようにも思う。P・ルメートル、S・ハンターと続き、このケイト・クインがダメ押しであった。

     ケイト・クインは、前作も『戦場のアリス』で印象的な世...続きを読む
  • 亡国のハントレス
    第二次世界大戦でハントレスと呼ばれた殺人者を追う。戦闘機に乗る女性飛行士のニーナ、ハントレスに弟を殺害されたイアン、戦争から五年後にいるジョーダン。戦時から戦後へと時間を行き来しながらハントレスを追う物語。ニーナの戦闘機に乗る描写の迫力は読み応えがあるし、イアンのゲット立てる計画やジョーダンの恋や義...続きを読む
  • 戦場のアリス
    第一次世界大戦1914〜1918、
    死者1000万人以上
    第二次世界大戦1939〜1945、
    死者6000万人以上
    この二つの戦争が二十世紀前半に、
    嵐のように吹き荒れた。

    自暴自棄となりながらも、戦時中に行方不明になった従姉妹のローズを探すシャーリー。
    戦時中スパイだった、アル中の中年女性イヴ。...続きを読む
  • 戦場のアリス
    こちら「おすすめ文庫王国2020」の第1位。
    それを見た時からずっと読もうと思っていたのだけれど、650余頁の厚さに躊躇したまま1年以上経ってしまった。
    買った後も暫く積読していたが、この前に読んだ「革命前夜」に触発されて、引続きヨーロッパの話にしてみる。

    1915年に始まるイブの話と1947年の...続きを読む
  • 戦場のアリス
    主要登場人物の多くが実在していたと訳者あとがきで知った。第一次世界大戦中のアリス・ネットワークと第二次世界大戦直後の世界が描かれる。
    シャーリー、イヴ、フィンの3人のキャラが堪らなくいい。安心して読めた。
  • 戦場のアリス
    好きなセリフ「飢えは思考を研ぎ澄ます」
    スパイの心意気がカッコいい。
    心を隠し演じて騙し、相手の表情の揺らぎを読む。スリル感はスパイ小説ならでは醍醐味。

    第一次世界大戦下フランスへ、ドイツ軍の情報を得るためにスパイとして派遣されたイヴ。イヴは、ドイツに協力する暴利商人ルネ・ボルデロンの元でウェイト...続きを読む
  • 戦場のアリス
     女同士の真の友情は無いとも言われるが、この小説の中では第一次世界大戦でフランス軍のスパイとして活躍したリリー、イブの真の友情と第一次世界大戦で全てを失ったイブと第二次世界大戦で大切な人二人を失ったシャーリーの間の真の友情、硬い絆が確かめられる。
     リリーとイブは、女性に能力などないと信じられている...続きを読む
  • 戦場のアリス
    1947年、戦争中に行方不明になったいとこを探すシャーリー。手がかりは一人の女性・イヴ。尋ねてみると、イブは酔いどれ、しかも指は潰れたいた。イヴは元スパイだった。第一次大戦中、ドイツ占領下のフランス北部へ潜入。凄腕のスパイ“アリス”が無数の情報源を統括していた。イヴの過去、いとこの運命は? 傑作長編...続きを読む
  • 戦場のアリス
    偶然にも似たような小説に連続して出会うことが時々あるのだが、今回もそう。
    こないだ「コードネーム・ヴァリティ」を読み終わった後すぐに本作である。

    女性主人公2人目線、主人公は女スパイ、舞台はヨーロッパ戦線。WW1とWW2の違いがあるとはいえ、敵役はドイツ(とそれに加担する組織や個人)

    読んでいけ...続きを読む
  • 戦場のアリス
    オススメ文庫王国から。2019年度第一位。同誌のチョイスはやっぱり間違いないよな、と思わされるに十分な高品質作品。実際の史実が絡むと、重要人物は登場させておかないと的意図が生じがちなのか、やたら出てくる人が多くなりがちな気がするけど、本作はギュッと絞られていて、非常に好感が持てる。更にはそのおかげで...続きを読む
  • 戦場のアリス
    「リリー」イヴは衝動的に尋ねていた。「怖いと思ったことはないんですか?」
     リリーが振り返る。傘の縁から滴る雨粒が、彼女とイヴのあいだに銀色の幕を張る。
    「あるわよ。誰だってそうでしょ。でも怖いと思うのは、危険が去ったあとーーー危険が迫っているときに怖いと思うのは、自分を甘やかすこと」彼女がイヴの肘...続きを読む
  • 戦場のアリス
    1947年、アメリカからシャーリーは戦時中に行方不明になったいとこのローズを探しにフランスにやって来た。手がかりを辿り、出会ったのは英国の元スパイのイヴだった。第一次世界大戦のとき、ドイツ占領下のフランスでスパイとして過ごしたイヴの壮絶な過去と、第二次世界大戦中の話が交互に描かれる。

    これは凄まじ...続きを読む