松家仁之のレビュー一覧

  • 泡

    高2になって間もなく学校に行けなくなった薫は、太平洋を望む海辺の町でジャズ喫茶「オーブフ」を営む大叔父・兼定の元に身を寄せる。
    シベリア抑留の重い過去をもつ兼定、ふらりと現れオーブフにいついた何やら訳ありの青年・岡田、自分の居場所を模索する薫、無口な3人の2ヶ月の夏の日々。

    最初はコロコロと変わる...続きを読む
  • 泡

    高校2年で不登校になった薫と、夏休みの間彼を預かることになった大叔父の兼定。海辺の町でジャズ喫茶を経営する兼定と、無口な従業員・岡田と共に過ごした薫の成長が読みどころか。現代ならばなんらかの病名(精神的な)が与えられそうな薫の症状も呑気症だけで片付けられてしまう。薫の中に鬱積した思いや、兼定の戦争体...続きを読む
  • 泡

    高校生薫は学校に行けなくなった。大叔父兼定の営むジャズ喫茶で働くことになった。岡田も流れて兼定のもとに来た。兼定は戦争でシベリアに抑留される過去があった。

    作者の作品はすごく好きだったけれど、その中では、あまり心に響かなかった。

    私の調子が悪いのかな、、
  • 泡

    戦争のこと、学校のこと、その他、生きていくことの色んなこと。恋愛のこと。
    世代の異なる3人が、偶然みたいに一緒に過ごした海辺の町のジャズバー"オーブフ"での2ヵ月。
    視線が時代も人も飛び越えて変わるから、
    今までで1番日常的じゃない小説かな。
  • 火山のふもとで
    読み始め先日軽井沢に引っ越した、友人を思い出した(彼の父は家具屋)彼にプレゼントするのも良いかなと読み進める。
    有名建築士の事務所で働けることととなった主人公、夏の間は軽井沢で仕事することとなっており、軽井沢での仕事を始めるところから話は進む。
    設計事務所での仕事、職場の人間関係、軽井沢を舞台に話は...続きを読む
  • 沈むフランシス
    やっぱりこの人の文章には魔力がある。雄大な自然、そこに抱かれる小さな田舎村の人々と暮らしが匂いと音とを持って頭の中で易々と立ち上がる。私も田舎で育ったので、大小無数の星がまたたく(本当に絶え間なくパチパチとまたたくのだ)夜空を見たことがあって未だに脳裏に焼き付いているのだが、その光景がさっとよみがえ...続きを読む
  • 沈むフランシス
    『火山のふもとで』が圧倒的によかったので、期待しすぎたかな感。
    最後の絶望と希望の混ざり方に、非常に複雑な気持ちになった。

    あと、松家さんが描くセックスの女側の描写にあまり入り込めなかった。距離を感じた。笑
  • 沈むフランシス
    デビュー作「火山のふもとで」で美しい日本語使いと魅力的なキャラクター造形に感銘を受けた松家久之氏の第二作。前作との一番の違いは執拗なsex描写。舞台としての北海道の田舎町はとっても魅力的で共に一人暮らしの男女は見た目も考え方もえらく都合が良い。
    「やがて犬の鼻のようにおもっていたものにじかにふれる」...続きを読む
  • 優雅なのかどうか、わからない
    離婚をした。から始まる文章、妻の攻撃性をさりげなく強調していく感じ、その上で「そうは言っても、そもそもの非はこちらにあるのだ」ときて、ああ~不倫ね、不倫した側の人ってこういう話し方するよなあと白けた気分で読み始めた。……はずなのに、文章があまりに心地よいので引き込まれてしまう。
    古民家の改装は素直に...続きを読む
  • 火山のふもとで
    非常にゆっくりと物語が進んでいく。

    淡い色で人物やストーリーが書かれていて、心情を想像する力が求められる。

    建築のような専門的な分野の理解があると面白い。
    設計とか何か、建物とは何か考えさせられるはず。

    文章や言葉、行動の裏側にある心情を考えるのが趣深い作品
  • 優雅なのかどうか、わからない
    宇宙人の視点を気にしているところが二箇所ほどありなんか笑った。それにしても家の中をきれいにしているので少し自分の家もなんとかすべきだと反省した。このあとどうなるのだろうか。でもワタシ的には別棟で生活するのが理想かな。
  • 光の犬
    すごくみっしりと密度の高い詰まった作品という感じがした。少し読み辛いと感じながら読んだけれど、読み終わってみると、色々なシーンや印象が心の底に溜まっていて、これからふとした時に浮かんできそうだなと思う。
  • 光の犬
    北海道、枝留に生きた一家の3代に渡る記憶。
    同じ血を引き、同じ家に暮らしたのに
    まったく異なる8人。
  • 沈むフランシス
    北海道、枝留。
    黒曜石の埋まる、小麦と原生林と雪の村。
    水力発電機の純度の高い電気と音。

    目的地ではなかったはずの土地。
  • 火山のふもとで
    静かな小説。
    建築事務所が避暑に軽井沢の別荘でみんなで仕事をするという設定、しかも昭和の50年代。
    自分が学生時代の話だけれど、確かにテニスがブームになったりはあったけど、こんなに静かな世界だったのかな。
    特にクライマックスもなく、淡々とストーリーがすぎ、そして過去と流れていく。
    ゆったりと山の中を...続きを読む
  • 光の犬
    北海道・道東の薄荷産業で栄えた町・枝留に暮らす添島家。大正・昭和・平成の三代にわたる一家と、そこに関わる人々の「生」を描く。
    主たる軸は昭和の高度成長期に育つ姉の歩と弟の始。二人からすると祖父母・父母・伯母・叔母となる人々と、二人に関わる枝留の教会の息子。そして、添島家で飼われている北海道犬。時代や...続きを読む
  • 沈むフランシス
    東京から一人で、北海道の田舎街で郵便配達員として新しい生活をはじめた桂子。

    穏やかな風貌の和彦に惹かれて関係を持つまではあっという間で、
    次第に彼がなぜそこに一人で暮らしているのかが見えてくる。

    親が経営している電力会社が本社で
    発電所を気ままに管理して、別居している妻がいる。

    都会とは違う、...続きを読む
  • 沈むフランシス
    タッチはなんだか、無駄な形容を多用する村上春樹に似ているかな?
    読後の感想は、ふ~ん...。
    こんな感じの漂う感、北海道、小説としては無くもないかな。
  • 優雅なのかどうか、わからない
    松家さんの作品の三作目。
    これまでの作品の舞台が軽井沢、北海道ときていよいよ東京。
    舞台が東京に移っても今までの松家作品に共通する静謐さや美しい自然の描写などは変わることはない。
    武蔵野の空気に包まれて心地良い気分にさせられる。

    ただ、今回はちょっと主人公のこだわりが鼻についたかな。
    職業が編集者...続きを読む
  • 優雅なのかどうか、わからない
    趣味・嗜好性の強い主人公(48歳・離婚したばかり・一流出版社編集者)の独白小説。交際相手の女性も彼の趣味の一部のようで、それ以上の存在には感じられない。認知症介護の話もあるが、比較的あっさりとしているので悲壮感には至らない。江国香織から”血の熱さ”と”気だるさ”を除いた男性版のような印象を持った。