松家仁之のレビュー一覧

  • 沈むフランシス(新潮文庫)

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    松家仁之『沈むフランシス』新潮文庫。

    デビュー作の『火山のふもとで』を皮切りに本作の『沈むフランシス』『光の犬』と、3ヶ月連続で新潮文庫から刊行されるようだ。

    タイトルの『フランシス』とは一体何か。表紙に犬かキツネのような生き物の顔の写真が掲載されているが、これが『フランシス』ではない。読んでみてのお楽しみなのだが『フランシス』とは全く予想外の意外なものだった。

    自然豊かな北海道の小さな村を舞台に描かれる男女の恋愛の物語。静謐な自然を背景に儚くも、綺麗ごとだけでは済まない恋愛の形が少しずつ明らかになっていく。

    他人との付き合いに煩わされることなく、自分のことなど誰も知らない自然豊かな田

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    2025年03月04日
  • 優雅なのかどうか、わからない

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    前に井の頭公園の近くに住んでいたこともあり、映画のように映像が浮かび上がってきたわたしはラッキー!
    松家さんの作品は3作目ですが、わたしの中での評価はこんな感じです。
    火山のふもとで>優雅なのかどうか、わからない>沈むフランシス

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    2021年02月04日
  • 新しい須賀敦子

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    確かに、何度も読みたくなる文章というのはあんまりないし、それが ”いい文章” ということだと思う。

    須賀敦子の文章は、時々読み返したくなるし、何度でも読みたくなる。

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    2016年05月18日
  • 新しい須賀敦子

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    須賀さんの魅力がぎっしり詰まった本書は、2014年に神奈川近代文学館で開催された
    「須賀敦子の世界展」に付随するかたちで行なわれた対談や講演を軸にまとめられたもの。
    文章を書くためには「ある種の力が湧いてくるまで」ひとりで考えること。それがはやくから分かっていた須賀敦子さんだったからこそ、執筆にとりかかるまでに時間が必要だったのかもしれないけど‥作品を通じてもっともっとお会いしたかったと思う。

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    2016年03月08日
  • 優雅なのかどうか、わからない

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    ネタバレ

    離婚して古い一軒家を条件付きで借りることになり、
    自分好みにリフォームを進めるなかで、既婚時代に付き合っていた佳奈が近所に住んでいる事実がわかった。

    アメリカに留学中の手のかからないできた息子には、同性の恋人がいて、
    佳奈の父の手術後の認知症が進行するのを見守り手伝いながら
    気ままな野良猫のふみの愛想の良さに和む日々。

    季節が変わる頃には、改装した一軒家も大家さんの都合で引き渡さなければならなくなり
    佳奈との関係も曖昧なまま、ふみとの別れ。

    一見優雅だろうけれど、孤独でもある。
    岡田氏が説明することにたいして、別れた妻がそんなに得意になって説明しなくていい、
    ってところがたしかに男の人っ

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    2015年07月07日
  • 優雅なのかどうか、わからない

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    2作目同様、中編くらいの軽い小説なので、やはり物足りなさを感じる。ストーリーはやや妄想に近いけど、文章が巧いので今回も楽しめた。村上春樹のように比喩が独特で、料理を作って食べたくなる(笑)
    2作目のレビューでも書いたけど、次作こそ長編を期待しています。

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    2015年04月20日
  • 優雅なのかどうか、わからない

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    40代男の悶々とした日常。そこが丁寧に綴られていてイイ!登場する女性陣に言われる様々な事にまたまた悶々とする描写が良かった。

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    2015年04月11日
  • 優雅なのかどうか、わからない

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    おしゃれで、結局は優雅なんじゃないの!とやっかみ感を残すような作品かと思ったが、様々なことが起き、テンポの良い展開で一気に読めた。が、結局は不景気といえども高給取りの悠々自適な生活じゃないと思ったり。
    不倫の恋に終わりを告げ30半ばで父親と二人暮らしを選択した

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    2015年03月03日
  • 優雅なのかどうか、わからない

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    離婚からマンションを出て古い一軒家へ移り住む。
    上司から「気ままなひとり暮らし。これを優雅と言わずしてなんと言う」と言われる。
    かっての恋人、佳奈との再会。
    どう向き合えば良いのか。48歳の現実がそこにはある。
    日々の暮らしが静かに、そして丁寧に描かれる。
    優しい文章の中に男臭さが感じられる時もありハッとさせられる。次回作がもう待ち遠しい。

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    2014年12月05日
  • 天使も踏むを畏れるところ 上

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    『火山のふもとで』がとてもよかったので、登場人物が被る分どうしても比較してしまう。皇室のことなど史実的な記述が多く、また新宮殿の建設がメインにある以上、建築の専門的な内容も多く、あまり興味が持てなかった。

    下巻、最後まで読み通せず。

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    2025年10月13日
  • 光の犬(新潮文庫)

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    北海道の地方の街を主な舞台として、3世代にわたる家族の日常を淡々と描いた物語。びっくりするような事件があるわけでもなく、人が生まれ、生き、出会い、別れ、老いて死んでいく様子が妙な飾りもなく進行する。この作者の本は建築や周囲の自然等も巧みに描かれていて、目に浮かぶというより匂ってくるかのような印象。ボリュームはあるけれど、読む方も力を入れずに読める不思議な一冊。

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    2025年09月22日
  • 天使も踏むを畏れるところ 下

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    侍従西尾氏ほかが殿下、妃殿下のことを語り合う場面でそれぞれ長男、お嬢さんと名付けるのが何ともよく、いっぽう美智子妃のご結婚以降の生活を思うに辛いものがある。

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    2025年07月28日
  • 火山のふもとで(新潮文庫)

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    ネタバレ

    すごく高尚な感じの小説でした。
    この作者は建築家なのか⁈ってぐらい建築に詳しい。
    専門的な話が多すぎて素人には難しかった。
    建築好きな人にはたまらない話だろうと思う。
    この作品にはモデルになった建築家がいると見たので
    どれぐらい実話に基づいてるのかは見てみたくなった。

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    2025年07月27日
  • 火山のふもとで(新潮文庫)

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    設計事務所で働く人々と、主人公の「夏の家」での思い出。
    北浅間の自然の中で、静かな時間が流れる。
    美しい文章と美しい物語に、心が洗われました。
    心のデトックス効果抜群の小説。
    避暑地に行きたくなります。

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    2025年07月15日
  • 沈むフランシス(新潮文庫)

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    タイトルと装丁から 動物絡みのサスペンスかな?と思ったわたしは いい感じで裏切られる。大人の恋の話じゃありませんか?恋愛小説だったんだぁ〜!筆致が大人。たまには こういうのもいいなと思う。途中収集された音の描写が これでもかというくらい繰り返されるのが 個人的に う〜ん の感じ。大人だからかほどほどの距離感で深まっていく関係…んなわけないじゃん!とツッコミいれながらも 大人だからねーで。桂子目線じゃなく和彦目線なら どんな話になるんだろう?と 余計なことを考えてしまいました。

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    2025年06月07日
  • 光の犬(新潮文庫)

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    架空の街に暮らす三世代を取り巻くストーリー。時系列に沿わずエピソードが展開されるので少しとっつきづらかったけど、リアリティある描写が多く小説を読むというより身近な方の話を聞いてるような感覚もあった。特に死に感するくだりは身につまされた。

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    2025年05月27日
  • 天使も踏むを畏れるところ 下

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    昭和の新宮殿は、設計者が降りるという事態になる。そういう事だったのか…。
    昭和の建築史と思って読んでいたのだけれど、昭和の皇室と宮内庁の歴史小説、という感じだった。
    現実の皇室は、次期天皇となるであろう方の大学進学で、女性週刊誌を中心にニギニギしくなっているけれど、少しづつ変わっていくのだろうか?

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    2025年05月03日
  • 天使も踏むを畏れるところ 上

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    空襲で焼けた宮殿を新しく建て直すことになった。それにかかわった人たちを通して、戦後日本の皇室を中心とした復興の過程を、建造物が造られていく事に主軸を置いて描くフィクション。
    上巻の初めは、宮内庁の技官として宮殿再建に関わる杉浦と、建築家村井の若い頃の姿を描く。中盤からは、時の政治家や宮内庁職員、侍従などが登場し、ほとんど昭和戦後史の様になっている。

    「火山のふもとで」を彷彿とさせる浅間山山麓の別荘なども登場する。東京オリンピック開催が決まり日本は高度成長期へと向かっていく

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    2025年04月30日
  • 光の犬(新潮文庫)

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    松家仁之『光の犬』新潮文庫。

    デビュー作の『火山のふもとで』を皮切りに『沈むフランシス』、本作『光の犬』と、3ヶ月連続で新潮文庫から刊行。

    明確な主人公が不在で次々と語り手の視点が変わることに戸惑うばかりの普通の家族の終焉が描かれる小説で面白味は感じられない。確かに家族と暮らした北海道犬は登場するものの、タイトルの『光の犬』から想像されるような物語ではない。

    3ヶ月連続刊行された中では、最初の『火山のふもとで』がしっかしりしたストーリーとメッセージを含んだ小説だったように思う。『沈むフランシス』や本作『光の犬』に至ると凡人の自分にはちんぷんかんぷんといったところだ。

    時代が進むにつれ、

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    2025年04月05日
  • 火山のふもとで(新潮文庫)

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    夏の間、避暑地の「夏の家」に事務所機能を移転させる建築事務所の人達を主軸に据えた小説。


    序盤〜中盤迄は小説のジャンルがよくわからず、情景描写が多い&細かい(建築がテーマなので仕方ないけれど)うえ、物語も平坦なので読み進めるのに苦労しました。
    中盤では男女描写が増え、優柔不断男の恋愛モノなのかな?、と勘違いしちょっと辟易してしまうという‥。

    しかし、後半から物語の重厚さを感じ始めて気付けば読み終えていた結果に。読んでよかったです。中々深く思いをはせることのない、建築士という人種の在り方を伝えてくれる良き人間ドラマを描いた小説でした。


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    2025年03月18日