松家仁之のレビュー一覧

  • 泡

    私の好きなテイストの小説。何か劇的なことが起きるでもなく、うまくまとめて大団円でもなく、これからうまく行かないこともありそうだけど、大叔父のもとで過ごした2ヶ月が主人公の転機になることには変わりないと思う。タイトルの泡はあ、そっちの泡ね!と。こんな雰囲気の店行ってみたいな。兼定大叔父のパートもヘヴィ...続きを読む
  • 光の犬
    <poka>
    歩が亡くなることはかなり最初ほのほうで示唆されていたが、亡くなる場面以降、冷静に読み進められなくなってしまった。落ち着いてから気を取り直して読み終えました。
  • 火山のふもとで
    <poka>
    坂西と雪子が夜の暗い道をホタルを見ながら歩く場面が好きです。
    読み終えるのがもったいなくて、2回読みました。
  • 光の犬
    北海道の小さな町に生きた三世代の家族と、ともに生きた北海道犬の話。寒い土地を舞台にした静謐な物語。マクラウドの短編を思い出した。家族の分かり合えなさ。
  • 火山のふもとで
    こういう仕事がしたいと思った。
    こういう人たちに囲まれて、教えてもらいたいと思った。
    穏やかに優しく正しくまっすぐに紡ぐ言葉たちにハッとさせられた
    最近読んだ小説の中でも、1番好きだった。
    また読み返す本
  • 火山のふもとで
    過去の本の雑誌で書評されていてずっと気になっていたが、これまでノーマークだったのが恥ずかしほどの実力ある作家。1958生まれで早稲田一文卒だから坪ちゃんと同じ。元新潮社で「考える人」編集長だから接点もあったのではないかな。
    ・静謐で削ぎ落とされた文体は、常に“死“を感じさせる緊張感に溢れている。かと...続きを読む
  • 火山のふもとで
    とても良い本と出会えた。静かで、穏やかで、少しの孤独を含んだ、独特の本の世界だった。先生の話す言葉は、印象に残るものがたくさんあった。
  • 光の犬
    文体がさほど難しいわけではなく読みやすいのだけれど、物語が一つの家族の何世代に渡った時代のエピソードをちりばめながら進んでいくので、サーと読み流すことができず、じっくりゆっくり読み進んでいきました。ここまで作者によって計算された事なのでしょうね。久しぶりに読み応えがある本、しっかりと満足感のある本で...続きを読む
  • 光の犬
    約110年!の物語。場所も時間軸も前後左右、自在にwarpします。が、惹き付けられてどの細部も素晴らしい。『沈むフランシス』表紙写真の犬、参考までに。
  • 光の犬
    デビュー作「火山のふもとで」は格調高い文学作品で、ブルジョア臭がプンプンしつつもそこがまた悪くない佳作でした。デビュー作でこれかよと目を見張りましたが、そもそも編集者な上に大昔に一度文学賞受賞歴があったようです。

    本作は4作目にあたるようですが、今作もまた重厚な作品で、面白いとか楽しいとか、悲惨と...続きを読む
  • 火山のふもとで
    静かで丁寧で美しい描写にため息が出ました。
    淡々と進んでいきますが、過ぎ去った過去を懐かしむ、ということなら納得です。
    建築には詳しくありませんが、作中に出てくる建物のモデルがあるならぜひ足を運んでみたい。特に飛鳥山教会は、見たこともない建物なのにすっかり気に入ってしまいました。
  • 光の犬
    添島始に関わる人々の人生を描いた壮大な物語だが,北海道の枝留がベースとなっている.助産婦だった祖母のよねの話から始まるが,一枝,眞二郎,恵美子,智世が生まれ,眞二郎と登代子が結婚し歩と始が誕生する.歩はよねが取り上げだ.姉の歩は牧師の息子の工藤一惟と仲良しになったが,札幌の大学に進学した.歩は癌で若...続きを読む
  • 光の犬
    良質な本に出会えた時の幸福感を味わう事ができる本だった、読んで良かった。

    静かな文体で淡々としているものの、一家3世代のそれぞれの人物の視点から描かれ、時空も切り替わるのでどんどんこの本の世界に入れる。登場人物達ゆえか、それから熱を感じない文体からか、とても冷え冷えとした空気が物語から流れて来て、...続きを読む
  • 光の犬
    小説を読んだ充実感が得られた。
    好きな感じの小説だなととてものんびり読み進めていたが、歩の病気以降、一気に読んだ。
    歩の死がとても悲しかった。一惟との関係は美しかった。あり得ないような、割とあるかもしれないような。
    充実した生を、一緒に生きてるような感じで読んでたのが、こんなところで終わるのかい、え...続きを読む
  • 光の犬
    読み始めるといつも脳裏に映像が浮かんだ。
    キャストは不明だが、画面の中で静かに登場人物が動き始める。
    ときに言葉でなければ表現できない「風景」にも出会うのは、文学の醍醐味。
    まるで一人の一生を書いた長い文章がハサミで切られたように分断され、他の人物のそれと無作為ににつなげたように思える構成。しばらく...続きを読む
  • 沈むフランシス
    ただただ美しい。その一点に尽きる大人の恋愛小説。仕事を辞め、中学生の一時期暮らしたことのある北海道の安地内村に東京から引っ越し、非正規で郵便配達人とて暮らし始めた三十代半ばの桂子は配達を通して知り合った少しミステリアスな和彦と恋仲となる。小さな村のこと、桂子は和彦の不穏な噂を耳にして心を騒つかせる。...続きを読む
  • 光の犬
    人と人の繋がりは、たとえそれが血縁関係に基づくものであったとしも、存外容易に失われてしまうもの、とそんな事をふつふつと思う。その切っ掛けは距離であるかも知れないし、交わす言葉の密度や量の低下かも知れない。断片的に切り取られた複数の登場人物の生涯を通して、関係性の危うさに真っ先に思いが向かう。そこに過...続きを読む
  • 火山のふもとで
    美しい自然描写と確固たるものへの眼差し,色々な建築への言及,しみじみと心に染み入りました.恋愛とも言えないような心の揺らぎや,先生を取り巻く人々の優しいあり方が,この作品の雰囲気を高雅なものにしていて,極上の読書時間を過ごしました.
  • 沈むフランシス
    「枝留」「安地内村」という道東にある架空の場所で、東京から来て、郵便配達を始めた桂子と、「枝留」から来た和彦が出会い、逢瀬を重ねていた。村人の噂や心配。揺らぐ心。それでも桂子は和彦から離れがたい。そしてある夜の出来事で、物語は終わりを迎える。

    フランシスという犬が、なぜか沈んでしまうかわいそうな物...続きを読む
  • 光の犬
    松家さんの火山のふもとで、沈むフランシスにつぐ3作目
    前2作ともとても好きなので、だいぶ前に購入していたのだけど
    静かに、落ち着いて読む気持ちになかなかなれず
    5日頃からやっと読み始めて、少しずつ読み続け、幸せな時間を過ごした
    ハッピーエンドとか、推理小説とか、全然そういうことはなく
    淡々と家族それ...続きを読む