松家仁之のレビュー一覧

  • 沈むフランシス
    情景が浮かぶ文章を楽しませてもらった。ストーリーは思ったよりシンプルで、終わり方も良かった。短編小説を読んだような軽い感覚。少し物足りないので、次作は長編を期待します。
  • 沈むフランシス
    北海道が舞台。美しい風景が目に浮かぶ。
    出てくる食べ物がおいしそうで。

    こういう生活が気負いなくできたら、最高だなぁ。
  • 火山のふもとで
    1982年、大学を卒業した僕(主人公)は北青山の小さな設計事務所に入所し、その夏から秋を浅間山の麓にある事務所の「夏の家」で働き、様々な経験をし、「先生」や「麻里子」をはじめとする周囲の人々と濃密な時間を過ごす…
    建築の専門用語や文化に関する言葉が頻出するせいもあるが、これほど余白が少なく描写の多い...続きを読む
  • 沈むフランシス
    ただただ、水に流される景色。その音、色、速度が語られる冒頭そのままに、一組の男女の時間が流れていきます。


    非正規雇用で貯金を切り崩しながら懐かしの地で暮らす女性と、時間も収入も余裕のある男性。
    一見真逆のように見える二人ですが、しかし自分の希望する時間(スタイル)を生きているという意味では同じだ...続きを読む
  • 沈むフランシス
    「いつのまにかたどりついたところに、人は立ってるの」
    目の見えない老婦人から、北海道に帰った桂子に掛けられた言葉。
    自分の気持ちに正直な恋は時に辛い。
    ラスト「沈むフランシス」とは・・なるほど、そういう事か。
    綴られた言葉がしんしんと静かに降り積もるようで
    品が良く素敵な小説。
  • 沈むフランシス
    北海道東部を舞台にした大人の恋愛小説。
    東京の商社を退職し北海道で郵便配達員となった桂子。
    川のほとりに一人住んでいる和彦と出会い、二人は恋に落ちる。
    田舎特有の周囲の目や、それぞれが抱える事情などを乗り越えて二人はどうなるのか。恋は成就するのか。

    前作同様、何よりも自然描写が美しい。
    真っ暗な闇...続きを読む
  • 沈むフランシス
    沈むフランシスというどこか不安な気持ちにさせるタイトルと、
    同じく不穏な空気をはらむ冒頭のシーン。
    けれど読み始めてみれば淡々と静かに物語りは進んでいく。
    広大な北海道の道東地方らしい地域が舞台になっていて、
    そこの空気がうまく伝わってくる文章だった。
    とくに秋から冬にかけての描写はとてもよかった。...続きを読む
  • 沈むフランシス
    『火山のふもとで』がよかったのとかわいらしい犬の表紙に惹かれて手に取る。結局、犬は出てこず、北海道犬の鼻先を思い出すシーンからのデザインだった。表現も描く世界も美しい。
  • 火山のふもとで
    夏になると軽井沢の別荘地に事務所機能を移転する、ある設計事務所に入所した「ぼく」の視点から語られる一夏の物語。
    建築には興味がなかったけど、住む人・使う人の心地好さを最優先にする村井先生の静かな情熱はすごく良く理解できて、読んで良かったと思えました
  • 泡

    みんな真面目だ(゜゜;)薫、兼定、岡田、違う年代を生きてきた男性三人のそれぞれのひとなつ…(*´-`)3人で積極的に悩みや思いを語り合うような事はなく淡々と過ぎていく…まるで泡のような…
  • 泡

    人の言葉や行動で心が軽くなったり、穏やかになったりすることはある
    それは本当に大切なことであるのは、それはそう
    まじで
    ただ、何かを変えるためには結局自分が行動するしかないのよね〜というのを思いました

    と、いいつつ、民宿のおばさんがあったかく接してくれるシーンとか、あとは大叔父と岡田のそれぞれへの...続きを読む
  • 沈むフランシス
    もう男と暮らすなんて二度とゴメンだ、仕事も辞めて離婚もする、私のことを誰も知らない北海道の小さな村で暫くは一人で生きてゆく、と心に決めて実際に行動した35才のバツイチ女性。非正規の郵便配達員として小包を届けた先の男とすぐにベッドインする?
    カラダから始まる恋もあると言うが、撫養桂子さんの押しかけに冒...続きを読む
  • 沈むフランシス
    なぜこの本を読もうと思っていたのか忘れており、タイトルにも?となっていたが、そのフランシスと判り納得。そりゃ読まないとね。
    物語の視点も描写も嫌いではないが、何かが物足りなかった。
  • 優雅なのかどうか、わからない
    「火山のふもとで」「光の犬」がすごく好きで、以来少しずつ読んでいる作家さん。

    40代後半での離婚。井の頭公園近くの古い一軒家を借り受け、思い通りに手を加えていく主人公。
    インテリアを初め、物へのこだわりが半端じゃなく、まあ裕福なのねと少々鼻白む。それでいて「優雅なのかどうか、わからない」って、十分...続きを読む
  • 光の犬
    三代に渡る添島家の家族、そしてその周辺の人々の話。話の視点が複雑に入れ替わり、時間軸もあっちへ行ったりこっちへ行ったりでこちらも探りさぐりの読書を強いられる(そういう効果を意識してのことだろうが…)。
    関係者を含め、みんな性格は違えどもどこか心の底で醒めているような節があり、お互いに踏み込んで関係を...続きを読む
  • 泡

     絶妙なトリオによるJAM SESSION。
    「もはや『戦後』ではない」(昭和56年「経済白書」)以降の良き昭和の空気感が、戦後や60年安保の残り香を吹き払おうという時代を背景に、まだ何者でもない若き精神の迷いの日々を鮮やかに描いた著者の最新作。

     登校拒否の高2の薫と、シベリア復員兵の大叔父・兼...続きを読む
  • 泡

    パン焼き職人と一緒になった岡田が継いだ喫茶店に夏休みのバイトで通う大学生は誰だろう?、とこの本を読み終わって考える。
  • 優雅なのかどうか、わからない
    出版社に勤める匡は、離婚し井の頭公園近くの古民家に一人住まいを始めた。米国に住む息子と同居することになった女主人から、外観を変えなければリフォームしても良いし、リフォーム代は実費を出す。その代わり、自分が米国から帰ることになったら出ていってほしい、という条件で住み始める。匡は、古民家を自分の好みにリ...続きを読む
  • 泡

    今なんでここ(学校)にいるんだろうと漠然と窮屈に感じている高校生におすすめしたい。この本を読んで答えが見つかるわけではない。でも自分を信じてみようかと思える。
  • 泡

    高2の薫は、学校での日々に馴染めず学校に行けなくなった。薫は、夏休みを海辺の温泉地でジャズ喫茶をやっている大叔父の兼定の元で暮らすことにする。シベリア抑留体験のある兼定と店を手伝う岡田の元で、薫の夏休みが始まる。

    薫の感じる学校での違和感や店での兼定と岡田や客たちの章、兼定のシベリア体験と帰国後の...続きを読む