泡

1,650円 (税込)

8pt

男子高の二年に上がってまもなく学校に行けなくなった薫は、夏のあいだ、大叔父・兼定のもとで過ごすことに。兼定は復員後、知り合いもいない土地にひとり移り住み、岡田という青年を雇いつつジャズ喫茶を経営していた。薫は店を手伝い、言い知れない「過去」を感じさせる大人たちとともに過ごすうち、一日一日を生きていくための何かを掴みはじめる――。思春期のままならない心と体を鮮やかに描きだす、『光の犬』から3年ぶりの新作にして、最初で最後の青春小説。

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泡 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2023年05月10日

    私の好きなテイストの小説。何か劇的なことが起きるでもなく、うまくまとめて大団円でもなく、これからうまく行かないこともありそうだけど、大叔父のもとで過ごした2ヶ月が主人公の転機になることには変わりないと思う。タイトルの泡はあ、そっちの泡ね!と。こんな雰囲気の店行ってみたいな。兼定大叔父のパートもヘヴィ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年02月28日

    毎日が同じことの繰り返しで、自分が機械の一部になったような気持ちになったことはありませんか?しかも、何かの権威に服従するような形で。思い返せば中学高校の生活は、そうなのかもしれません。みんなが慣れていく中、そして、それが大人になることと教えられる中、それに耐える日々は苦痛かもしれません。本書は、その...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年02月26日

    おもしろかったー。教科書で読んでその後全部自分で集めた辻邦生の小説を思い出した。タイトルとは別に、いろいろな「匂い」が思わせぶりに登場する。どんな匂いかは具体的には分からないけど。

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    Posted by ブクログ 2022年01月01日

    高校生を思い出す時、楽しかった記憶は少なく、ただ周りが期待する自分像を作って過ごしていた時期だった様に思う。
    お腹がよじれるほど笑っても、その内容は覚えていない。何を考えてどう行動したのか、誰が好きだったか、何に心を動かされたのかがすっかり抜け落ちてしまっている。
    一人集団を離れても良い、失敗したっ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2021年11月23日

    著者唯一の青春小説らしい。
    ジャズ喫茶オーブフで働く3人の目線で話が繋がれていく。ひと夏の物語。
    それぞれが言葉にできない思いを腹に飲み込んでる。
    スカッとした終わり方ではないし、これからも思い悩む日々が続くのだとは思うけれども、それでも新しい一歩を踏み出せたのだと思う。
    その後のマスターと岡田と薫...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2021年11月06日

    青春小説、登校できなくなった男子高校生が夏を大叔父のジャズ喫茶店で過ごして再生する話という感じの書評を読み、ワクワクして、手に取ったら、○○賞系の本だった。読み始めてしばらく時代が昭和設定だと気づけなかったし、屁・オナラという表現がするっと出てくるまでずいぶん長い。このオブラート感も有意なのかしら。...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2021年08月21日

    3.8

    何かにつけ生きにくさを感じる主人公・薫が、地方の温泉地でバーを営む叔父・兼定の元にひと夏の間身を寄せる。
    そこで巡り会う大人達の中で、少しずつ自分の居場所を見つけて行く物語。


    海辺での酔ったカオルとのシーン等は、尻のあたりがむず痒くなるような(笑)、まさに青春〇〇という感じなのだが…
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    Posted by ブクログ 2021年07月14日

    三人それぞれ飲み込んできた言葉たちがあって、語られるものも明かされないものも、その匙加減が独特のバランスだった。

    著者らしい静かな雰囲気の文章で描かれる、世代を超えたブラザーフッド的な話というのも新鮮。

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    Posted by ブクログ 2021年05月12日

    ここ3作ほど松家作品に入り込めなかったが、本作は久しぶりに、描かれる丁寧な生き方を堪能することができた。まだシベリア帰りの男が生きていた時代。彼と交差した、集団の中に適応できなかった若者、少年もその後どうなっていったのか。掌編であるが、その後に流れる時間にも思いを馳せることのできる作品だった。

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    Posted by ブクログ 2021年04月26日

    読み損ねてしまった。そんな感触です。
    本を読むうちに映像が頭に浮かぶ事はママありますが、松家さん凄さはそれが二次元では無くて三次元で、それも質量を伴って実体化する様に感じられる事です。特に何か大きな事件が起こる訳でもなく、数人の登場人物の日常が静かに淡々と綴られる物語。そういう意味では既読の『火山の...続きを読む

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