松家仁之のレビュー一覧

  • 光の犬
    ストーリーは複雑ではないが、場面場面の切り替えも多く、やや専門的な説明が多方面にわたっているので、初めは戸惑う。しかし、誠実な文章が盛りだくさんな内容にもかかわらず読みやすく、初めての作家だったけど好感がもてた。

    行きつ戻りつが最初面食らったが、読み進むうちに慣れ、例えば父親の釣りの趣味、北海道犬...続きを読む
  • 光の犬
    北海道に住む3世代の家族を描く群像劇。
    薄荷工場の役員だった祖父と家族の世話より助産婦の仕事に励む祖母。
    小心者の父親と小さな不満に満ちた専業主婦の母、そして隣接する家に住む三人の個性的な叔母たち。
    利発で美人の姉、そして人に対して消極的な弟。
    そしてその家に飼われる4代の北海道犬。
    それぞれの個が...続きを読む
  • 光の犬
    北海道に暮らす添島家、一族三代の物語。
    一番若い世代の歩と始、姉弟の父親が飼う北海道犬のエピソードも読みどころのひとつ。
    歩の同級生で父親が牧師の工藤一惟と
    彼の友人・石川毅も優しく照らし
    物語をより奥深いものにしている。
    歩と一惟の恋愛は、好きとか嫌いなどの
    範疇を超え、神々しささえ感じる。
    二人...続きを読む
  • 光の犬
    北海道,枝留,産婆の祖母,薄荷工場の役員の祖父,独身の叔母3人,北海道犬を育てるのが生きがいの父,専業主婦の母,真っ直ぐな姉歩と家族の最後を看るために戻った始.一族の三代にわたる歴史をあちこち寄リ道したり,忘れていたことを手繰り寄せたり,また語り手を変えて想いを伝えたりと,大河がたゆたうようなおおら...続きを読む
  • 光の犬
    名作「火山のふもとで」の著者による。

    ケレン味は全くなく、静かに物語が紡がれていく。

    小説とは本来こういうものなのではないかと思わせる。
  • 光の犬
    様々な人物の恋や老いや祈りや諦めのエピソードが、時間軸にとらわれずランダムに綴られる。胸がつぶれそうになる場面の後に、その人の青春時代の煌めくひとコマが現れた時、嬉しいや悲しいが散りばめられた人生の眩しさを俯瞰できた。それは、別れも出会いも等しく遠ざかったかつての思い出がいつも美しいのとよく似ていま...続きを読む
  • 光の犬
    北海道東部の架空の町枝留(えだる)。そこに根付いた添島家親子孫三代の、明治期から現在にいたるまでのそれぞれの人生の断片を描き出す物語。

    章の途中でも語りの目線が変わったり、時代も行きつ戻りつで慣れるまでなかなか大変だった。大きな事件が起こるでもなく、貫くテーマがあるわけでもない。
    でも、結局人生っ...続きを読む
  • 光の犬
    北海道の東部、サロマ湖や網走で知られる道東の小さな町、枝留(えだる)が舞台。そこに暮らす添島家三代の年代記である。その中には共に暮らす北海道犬も含まれる。ただ、犬の方は血筋は一つではない。一族が北海道に渡ったのは関東大震災に見舞われた夫婦に、よねの師匠の産科医が枝留行きを勧めたからだった。枝留は薄荷...続きを読む
  • 沈むフランシス
    北海道の田舎というと、なんだかすごく特別な感じがする。もちろん全くの偏見なんだろうし、まぁ良い意味でだけど、ある意味思い込み。でも実際のところどこも一緒なんだよなぁ、と。何もなくてやることないんだから、そうすっと本能的に人間がやりたいことって話になって、もう世界どこ行っても田舎なら文化の違いとかなく...続きを読む
  • 火山のふもとで
    軽井沢もライトの建築もロスコの絵画も。大好きなモノ盛り沢山で心地よい空気感のこのお話しの中に入り込みたい気分。せめて村井設計事務所に勤めたい。なんて言ったら、建築学科を出ている同僚に給料安いよ!と夢を壊されました。うん、やっぱり夢のような世界。小説で浸りましょう。
  • 新しい須賀敦子
    確かに、何度も読みたくなる文章というのはあんまりないし、それが ”いい文章” ということだと思う。

    須賀敦子の文章は、時々読み返したくなるし、何度でも読みたくなる。
  • 火山のふもとで
    やっと手に入れた一冊、読めて良かった!。流れる時の中のひと夏…"夏の家"での出来事をクローズアップしながらも、村井設計事務所で働く人々の人生観・価値観を粛々と完結させる。とにかく、閑寂の上に上品で美しい描写と表現。煌めく一語一語がしっとりと沁み入ってくる♪。
  • 新しい須賀敦子
    須賀さんの魅力がぎっしり詰まった本書は、2014年に神奈川近代文学館で開催された
    「須賀敦子の世界展」に付随するかたちで行なわれた対談や講演を軸にまとめられたもの。
    文章を書くためには「ある種の力が湧いてくるまで」ひとりで考えること。それがはやくから分かっていた須賀敦子さんだったからこそ、執筆にとり...続きを読む
  • 火山のふもとで
    また全般的におしゃれすぎ!80年代にそんな食にこだわっている人おらんて、トツッコミいれながらも楽しんだ。
  • 火山のふもとで
    浅間山の見える信州で毎年夏を過ごす自分にとっては最適な読み物でした。
    食べ物、夏の家の様子、浅間山すべてをイメージしながら読みました。
    読後の清涼感、上質な本を読んだ気分です。
  • 優雅なのかどうか、わからない
    離婚して古い一軒家を条件付きで借りることになり、
    自分好みにリフォームを進めるなかで、既婚時代に付き合っていた佳奈が近所に住んでいる事実がわかった。

    アメリカに留学中の手のかからないできた息子には、同性の恋人がいて、
    佳奈の父の手術後の認知症が進行するのを見守り手伝いながら
    気ままな野良猫のふみの...続きを読む
  • 優雅なのかどうか、わからない
    2作目同様、中編くらいの軽い小説なので、やはり物足りなさを感じる。ストーリーはやや妄想に近いけど、文章が巧いので今回も楽しめた。村上春樹のように比喩が独特で、料理を作って食べたくなる(笑)
    2作目のレビューでも書いたけど、次作こそ長編を期待しています。
  • 優雅なのかどうか、わからない
    40代男の悶々とした日常。そこが丁寧に綴られていてイイ!登場する女性陣に言われる様々な事にまたまた悶々とする描写が良かった。
  • 優雅なのかどうか、わからない
    おしゃれで、結局は優雅なんじゃないの!とやっかみ感を残すような作品かと思ったが、様々なことが起き、テンポの良い展開で一気に読めた。が、結局は不景気といえども高給取りの悠々自適な生活じゃないと思ったり。
    不倫の恋に終わりを告げ30半ばで父親と二人暮らしを選択した
  • 優雅なのかどうか、わからない
    離婚からマンションを出て古い一軒家へ移り住む。
    上司から「気ままなひとり暮らし。これを優雅と言わずしてなんと言う」と言われる。
    かっての恋人、佳奈との再会。
    どう向き合えば良いのか。48歳の現実がそこにはある。
    日々の暮らしが静かに、そして丁寧に描かれる。
    優しい文章の中に男臭さが感じられる時もあり...続きを読む