松家仁之のレビュー一覧
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ネタバレ離婚して古い一軒家を条件付きで借りることになり、
自分好みにリフォームを進めるなかで、既婚時代に付き合っていた佳奈が近所に住んでいる事実がわかった。
アメリカに留学中の手のかからないできた息子には、同性の恋人がいて、
佳奈の父の手術後の認知症が進行するのを見守り手伝いながら
気ままな野良猫のふみの愛想の良さに和む日々。
季節が変わる頃には、改装した一軒家も大家さんの都合で引き渡さなければならなくなり
佳奈との関係も曖昧なまま、ふみとの別れ。
一見優雅だろうけれど、孤独でもある。
岡田氏が説明することにたいして、別れた妻がそんなに得意になって説明しなくていい、
ってところがたしかに男の人っ -
Posted by ブクログ
第二次世界大戦で焼け落ちた明治宮殿。戦後15年経った後にようやく新宮殿を造営することになり、それに関わった建築家の村井俊輔(吉村順三がモデル)とその周囲の人々を丁寧に描いた作品。
題材がとても興味深いのと、小説としても面白いには面白いのだが、描写が丁寧すぎて、退屈だなぁとどうしても思ってしまう部分も多い。
建築が好きな人にはおすすめ。吉村順三、東山魁夷、谷口吉郎、丹下健三等を明らかにモデルにした人物が出てくる。
ただ皇居の宮殿は一般人が入ったり近くで眺められるような種類の建物ではないため、小説にある設計の検討過程と実際に建築された建物との「答え合わせ」が読みながら出来ないのが、少し辛いなあ -
Posted by ブクログ
先の大戦後、新しい皇居=新宮殿がいかなる顛末で建てられたのか、建築家をはじめ宮内庁の職員、侍従など、その難事業に関わった様々な人々の生き様を交えながら、事実をベースにフィクションとして再構築して描く、なんとも濃厚な物語。
天皇家の面々の一般人には見えなかった姿も(それが事実かは別として)赤裸々に描かれていて、戦後新しい皇室を模索しながらも、“民間”ではない戦前の皇室と、“民間”を受け入れた戦後の皇室の軋轢などはさもありなんと思わされた(美智子様、雅子様の苦労よ。。)。
しかし、主要な人物の個人的な生き様まで詳細に記述されるため、あれ?これ新宮殿建てる話しだよな?と本題どこいった状態になりがち。 -
Posted by ブクログ
「軽井沢の山荘」で有名な建築家の吉村順三がこの本の「先生」のモデルになっている。
建築のディティールだけでなく、あらゆる描写が丁寧で、細かい。軽井沢の東京よりもひんやりとした澄んだ空気感、鳥の鳴き声や羽ばたき、建築素材の質感まで、頭の中で繊細に浮かび上がる。
小説として大きな展開はほとんどないが、偉大な建築家の先生の元で過ごした、駆け出し建築家の青春がぎゅっとつまっている。
個人の建築設計事務所ってめちゃくちゃブラックで多忙で薄給のイメージがあるのだが、こんなにホワイトな事務所があるのだろうか…?
年末で仕事が忙しかったこともあり、細かい描写が多くて、物語の起伏も少ない本だったので、読 -
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松家仁之『光の犬』新潮文庫。
デビュー作の『火山のふもとで』を皮切りに『沈むフランシス』、本作『光の犬』と、3ヶ月連続で新潮文庫から刊行。
明確な主人公が不在で次々と語り手の視点が変わることに戸惑うばかりの普通の家族の終焉が描かれる小説で面白味は感じられない。確かに家族と暮らした北海道犬は登場するものの、タイトルの『光の犬』から想像されるような物語ではない。
3ヶ月連続刊行された中では、最初の『火山のふもとで』がしっかしりしたストーリーとメッセージを含んだ小説だったように思う。『沈むフランシス』や本作『光の犬』に至ると凡人の自分にはちんぷんかんぷんといったところだ。
時代が進むにつれ、