かげはら史帆のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ピアノを習ってます。11月中旬ぐらいに先生と「今度はベートーヴェンのピアノソナタを弾くか。」という会話をした直後に本屋でこの本を見かけ、買ってしまった。今読まなくていつ読むの?てな感じで。
『第一幕 現実』を読んでる時は楽しかった。シンドラーという秘書が捏造していくんだけど、このシンドラーとベートーヴェンのやり取りが面白い。2人とも一癖も二癖もある。ベートーヴェンはとっても面倒くさいおじさん。シンドラーは勘違い野郎で鬱陶しい性格。この2人が合うはずもなく、コントを見てるみたいだった。でも、考え方によっては実は最強のコンビかも。大きな事業を成功させてるし。
『第二幕 嘘』からは本当にイライラしっぱなし。ベートーヴェンの伝記を誰が書くのか?で争いが始まり、シンドラーの捏造が始まっていく。悪知恵が働くこととベートーヴェンを好き過ぎちゃったのが、いけなかったんだろうと思う。一回捏造が上手くいくともう罪悪感が吹っ飛んでしまい、あとは自分の思うままに。ベートーヴェンを守る目的だったけど、最終的には自分をよく見せたいだけだ。これは自己顕示欲が強いってことだと思うんだけど、ベートーヴェンに認めてもらってれば、少しは違ってたのかもしれない。
この本を読む楽しみの一つは、ベートーヴェンの弟子のチェルニーが登場する事。作中ではあまり登場しなかったけど、わたしはチェルニーに興味があった。なぜなら、このチェルニーさんが作った練習曲に悩まされてるから。子供の時も好きではなく、大人になってもやっぱり好きになれない。だって難しいから。ピアノをまた始めたきっかけはベートーヴェン。ベートーヴェンを弾けるようになりたくて。先生にそれを言ったら「ベートーヴェンを弾くなら弟子のチェルニーをまず弾けるようにならないと。」と言われ、正直「え〜⁈」だ。でも、チェルニーさんのおかげで今も指が動くのを実感してるから感謝。
チェルニーはリストの先生であり、その他のピアニストも育てた。教本も多数出していて、その一つは私もお世話になっている。この本を読んで初めて知りました。 -
Posted by ブクログ
「筆談の目的は、ベートーヴェンとのコミュニケーションだ。コミュニケーションを記録することではない。それにもかかわらず、紙という存在が偶然もっている特性ゆえに書きつけられた言葉は時間を超えて保存され続ける。何年も、場合によっては何十年何百年も。」(p.117)
昔から「紙に文字を記録する」ということへの偏執はひどいのだけど、それが「歴史を紡ぐ」こととほぼ同義なのだと認識を新たにする。正しかろうが、誤っていようが、それはそのまま、後世に託される。音声は形を持たないし、電子データは保存性、記録性という意味で非常に脆弱である一方、かさかさと乾いた紙に刻まれた文字は常に歴史の証人なのだ。
「あなたはこうあるべきだ」「こうでなければならない」というファナティックな姿、自他境界が曖昧な様というのは、滑稽にも映るけれど、それは現代の偶像(アイドル、あるいは推し)崇拝にとても似通っていて、いつまた同じ過ちが侵されるか分からない怖さがある。そもそも「過ち」でさえないのかもしれない。
時代の要請に従って、わたしたちは見たいように見たいものを見て、オセロの白石を黒石に替え、黒石をひっくり返し白石にする。「正しさ」は常に揺らぐのだということ。あなたはあなた、わたしはわたし、の線引きをしっかりすることの重要性を改めて肝に銘じる。 -
Posted by ブクログ
鬼滅の刃で盛り上がっている昨今。
私は、密かにベートーベン生誕250周年の記念イヤーで盛り上がっている。
現在、NHKのEテレで、さまざまな番組でベートーベンを取り上げている。
私はベートーベンが好きです。
一昨年、稲垣吾郎さんがベートーベンを演じた舞台「No9不滅の旋律」を観たことも大きい。
大好きな曲、沢山あるけれど、
「悲愴第二楽章」は本当に美しい曲。一番好きです。ピアノはまだ初心者だけど、以前、易しくアレンジされたバージョンを課題曲で練習しました。
ピアノソナタは全ていつか、オリジナルで弾いてみたい…。(テンペストは無理だな…)
そんな誰もが知る名曲を数多く残したベートーベンは、その個性的な人物像も有名。
神経質な性格。コーヒー豆はいつも60粒というこだわり気質。傍若無人で唯我独尊…
本著は、そんな彼に数年間秘書としてついて回ったシンドラーなる人物が、ベートーベンの伝記を「でっち上げた」ことをつまびらかにしていくという一冊。
ほぼ物語は当時のシンドラーの視点で進む。彼のことは知らなかったのだが、ベートーベンに疎まれ振り回されつつも彼の才能に惚れ込み付き合いを続けた人物。
ベートーベンは聴覚難に苦しみ、会話にはメモを使った。シンドラーはその会話帳をもとに伝記を書き記したという。
面白い題材だと思った。
ベートーベンとその音楽生活、友人や弟子、弟、そして自殺未遂を計った甥のカール。
断片的には知っているものの、秘書目線でそのエピソードを知っていくのも面白い。
チェルニーやフランツリストなど、有名な音楽家も登場し、天才たちの共演を想像し、ワクワクした。
小説も良いけど、たまにはこういった、自分の好きな人物の伝記を読み解いていくのも良いな。
ベートーベン、ますます知りたくなる人物だ。