かげはら史帆のレビュー一覧
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ベートーヴェンの「秘書」だったアントン・フェリクス・シンドラー。あれこれ奔走して第九の初演を成功に導く手助けをするなど、本人はめいっぱいベートーヴェンに尽くしているつもりなのだが、当のベートーヴェンからはウザいやつだと思われていて、演奏会の収益を着服した、などといういいがかりとともに追い出されてしまう。追い打ちをかけるようにベートーヴェンから届く非難の手紙。しかし、その末尾には、次回公演の根回しのため、警察にポスターを届けてくれまいか、と依頼の言葉が。ここまで読んで思わず「えーっ!」と声に出して言ってしまった。さらに、その依頼を受け入れるシンドラー。「えーっ、えーっ!」。少し先には「あんな言葉
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タイトルが重いのに文体が軽い!読みやすいけれど、初めの方はちょっと心配になった。ベートーヴェンに興味がある人には一読の価値がある。ベートーヴェン周辺の人たちについて詳しく紹介されているので。セイヤーの伝記も読んでみたい。
それにしても著名人が亡くなった後に出てくる「内縁の妻」系は、いつの時代にいるもの。近年でも、やしきたかじんの妻、高倉健の養女、西村賢太の元カノ…。強い光には闇がつきまとうのかな。
シンドラーの動機も解明されていないし、されないのだろうけれど自らの功名心は1つの理由として間違いないだろう。年金をもらうことになるし、金銭的な理由もあるかもしれない。
その根底には、ベートーヴェ -
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ネタバレ修士論文がベースになっているとのことで、小説と論説の中間のような不思議な語り口(だからこそ、とても読みやすい)作品。
シンドラーという人物を知れたことが大収穫。
しかしベートーヴェンは「会話帳」があったからこそ「露呈」したが、ほかの偉人たち、芸能界のスターたちだって、多かれ少なかれ周囲のだれかのフィルターによって、その人物像は「捏造」されていると思う。
そう思うと、なんともいえぬ普遍性もある。
屈折した承認欲求って、面白い、だけど狂気。
論説や考察などはなしに、さらにシンドラーの感情や狂気に大胆に肉迫し、どっぷり没入できるような重厚かつリアルな本格小説が、今後発売されたら読んでみたい。 -
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映画化されたので読んでみました!
「ベートーヴェンのイメージって、そもそも作られたものだったの?」という切り口が面白かったです!
偉大な作曲家の「人物像」や「物語」が、どのように後世の人に脚色されて広まっていったのかが丁寧に描かれていて、歴史そのものを読む楽しさがありました。ベートーヴェンの実像よりも「こうあってほしい英雄像」が優先されてきたのかと思うと、人は無意識に“物語”を信じちゃうんだなあと実感。日本の歴史上の人物も、もしかしたら全然違うんじゃ…なんて想像もしてしまいました。
研究書っぽい堅さはなく、クラシックに詳しくなくても「え、そうなの!?」と驚いたり、思わずクスっとしたりで読み -
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これが実写映画になる、という情報をネットで見かけて手に取った本。バカリズム脚本、ベートーヴェン役は古田新太。何をどうするおつもりで…?
タイトルの「名プロデューサー」とは、一時期ベートーヴェンの付き人的なことをしていたアントン・フェリックス・シンドラー。巨匠への激重の愛と崇拝(そして自己愛)が捏造の動機。
とりあえず手口に品がない。ベートーヴェンが生前使っていた会話帳(耳疾患があるため筆談用)の内容をねじ曲げて、自分は上げ、都合の悪い人間を下げ、ベートーヴェンの欠点は抹消。そして、美化エピソードでコテコテに盛った伝記を書き上げた。
一方、ベートーヴェンの方もまあまあヤバい。シンドラーの美 -
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ピアノを習ってます。11月中旬ぐらいに先生と「今度はベートーヴェンのピアノソナタを弾くか。」という会話をした直後に本屋でこの本を見かけ、買ってしまった。今読まなくていつ読むの?てな感じで。
『第一幕 現実』を読んでる時は楽しかった。シンドラーという秘書が捏造していくんだけど、このシンドラーとベートーヴェンのやり取りが面白い。2人とも一癖も二癖もある。ベートーヴェンはとっても面倒くさいおじさん。シンドラーは勘違い野郎で鬱陶しい性格。この2人が合うはずもなく、コントを見てるみたいだった。でも、考え方によっては実は最強のコンビかも。大きな事業を成功させてるし。
『第二幕 嘘』からは本当にイライラ