いぬいとみこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
考えなければならないことがいくつかある。反戦文学であることは間違いない。なぜ、小人の子たちはアマノジャキと暮らすこと選んだのか。親はなぜ保守的で追従的な生を歩むのか。77日の試練は何だったのか。小人は良心の象徴のようだが、一日も休むことのできない具体的関わりでもある。その家族がなぜ進んで別れ別れになるのか。では、アマノジャキとは。なぜ小人は西洋由来なのか。謎というよりも、そこを掘っていくことで豊かな水源を探り当てることができると思うからだ。
子どもは自立。天の邪気は守る守られる関係でなく、友人。その程度の読みでいいのだろうか。ゆりの葛藤、弱さ、ひたむきさもこの物語の白眉だろう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ子供の頃に読んだ本を再読。
明治の頃に日本に渡ってきたイギリスの小人夫婦と日本で生まれた子供たちのお話。
小人たちは人間たちが空いろのコップにそそぐ一日一杯のミルクで生きている。
戦争が始まって、ただの食糧ではなく小人たちが大切にされていることの証でもあるそのミルクを確保し続けることが難しくなっていく。
大事なのに、大事にすることが難しい。
日本の、しかも大戦期を舞台にして戦争について描きながら、しっかりファンタジーとして面白い。
「物語の前に」は全然覚えていなかった。きっと大人視点だから。
大人が読ませたい部分と子供が読みたい部分は違うんだろうな。
(作者の意図は別として、この本を大人が -
Posted by ブクログ
うわあ・・超いい本><
おすすめされて読んだんですが
「ながいながいペンギンの話」のいぬいさんで小人ものだから
面白いにちがいないと思ったら
大当たりでした。
小人もので、戦争もの
ちょー泣けました。
小人たちの、滅びゆく種族(アリエッティっぽい)とか
外の世界がどうとか
小さいひとたちの暮らしとか、
保守的な両親と、活動的なこどもたちとか
そういう面白さと
戦争の悲惨さ、辛さ、家族と離れて暮らすさみしさ
やりきれなさとか
そういう悲しさが入り混じって
どんどこ読めました。
おもしろかったなー
アマノジャキかわいいな~
えらい人や学校が「お国のために」って教育して、
戦地に行く -
Posted by ブクログ
最初の雪嵐の中、じっと腹這いになって卵を温める、おとうさんペンギンに対して、「しっかりして」と卵の中から励ます、子どもたちの場面から、そのほのぼのとした優しい雰囲気に引き込まれて、本書を書いている、いぬいとみこさんに好感を持つ。
南極を舞台に、そうした経緯で誕生した、二羽のアデリーペンギンの男の子、「ルル」と「キキ」は、冒険心溢れた前向きすぎるお兄ちゃんと、ちょっと引っ込み思案な弟といった間柄も微笑ましい二羽の、ひよっこから大人のペンギンへと成長を遂げていく過程を、親しみやすさに満ちた筆致で瑞々しく描いており、そのあまりの読みやすさに、まるで人間の物語とも感じられたくらい、特に男の子を持