山野辺太郎のレビュー一覧

  • 大観音の傾き

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    仙台の郊外に実在する高さ100mの白亜の大観音像。その像が傾いて危険だと騒ぐ住民と、事なかれ主義で対応する市役所の担当者と課長。最初の方を読んでいると、何だかあり得ない様な設定と、変なリアクションの登場人物に「何だこの作家は、ド素人か?」という印象。ところが、半ばあたりからガラッと変わります。
    バックに流れる3.11の記憶。声高に叫ぶわけでもなく、静かな諦念の中で語られる震災体験者たちの言葉は、穏やかながら非常に深く、心に染み込んできます。そして大観音が抱くの慙愧の念。
    シュールがリアルに、リアルがシュールに切り替わりながら進む物語は、この作家さんの特徴でしょうか。
    独特のユーモアをまとった、

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    2025年12月26日
  • 大観音の傾き

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    何をきっかけに手に取ったのか覚えていないが、新しい形の3,11小説だと思った。大観音が傾いてるのではという、真偽不明のアイディアが秀逸で、予想を裏切る展開に次ぐ展開で、最後まで興味深く読むことができた。セリフや描写もとてもよくできていて、震災を生きた人々の息吹が随所に感じられて、心が揺さぶられた。縁あって出会ってよかったと思える、とても素敵な小説だった。

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    2025年12月17日
  • 大観音の傾き

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    え、山野辺太郎さん、めっちゃ最高じゃないですか!?東北の丘の上にぽつんと建てられた巨大な大観音。傾いているのか傾いていないのか。観音様の心の声。傾きを治そうと日々台座の龍を押し続ける住民たち。役所の若者。書類上は存在しない街に一人暮らし続けるおじいさん。淡々と、ときにユーモラスに、感傷的になりすぎないけど心にぐっとくるお話。

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    2025年12月12日
  • 大観音の傾き

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    高さ百メートルにも及ぶ巨大な観音像が、仙台とおぼしき東北の街の丘に立っている。
    かつて震災が一帯を襲ったとき、大観音は遠くの海のほうに顔を向けたまま、そこに立ち尽くしていることしかできなかった。
    大観音が傾いている、と訴える人々が現れる。主人公の青年は、市役所の若手職員として訴えに向き合うことになる。
    それは物理的な現象だったのか、それとも心のなかの問題なのか。傾きをめぐる問いが息長く展開してゆく。

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    2025年11月24日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    これはSFなのか、はたまた壮大なコントなのか…

    いや、すごいわ。
    文章だけみれば、非常に真面目で熱いものがあり一見熱血サラリーマン小説を読んでいるのかと錯覚してしまいます。
    しかし根底にあるバカバカしさが常に脳裏を過ぎり、ワタシは一体何を読まされているのだろうと…。
    筆者のデビュー作とあるが、文章は非常に巧みで上手。が、その上手さがバカバカしさに一層の拍車をかけているのが余計にタチが悪いなと。
    しかし、何はともあれめちゃくちゃオモロいです。

    人を選ぶ小説だとは思いますが、普通の読書に飽きた方はぜひ一読あれ。唯一無二の読後感を味わえます。

    未曾有の読書体験をさせてくれた本書に感謝感謝。

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    2025年11月05日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    真面目に大バカをやって笑わせたかったんだと思うのだが成功していなかった
    真面目に読もうにも 細部の想像が甘くリアリティに欠けて強引
    クスっと笑おうにも くだらなさ、シュールさ、バカさが足りない
    せめて穴が何かのメタファーならば文学的に読めたけどただの穴だった
    オチで落とされる事を願いながら読んだが落とされなかった
    サバンナ八木のギャグを知っているので設定としてもすでに知っている
    アロンアルファで強引に繋げたような感じでその接合部がでこぼこして没入も難しかった
    残念無念

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    2025年09月20日
  • 孤島の飛来人

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    孤島の飛来人
    2025.08.06

    歴史ファンタジー?初めて読んだジャンル。歴史物が得意でない私にもかかわらず最後まで飽きずに読めた。ファンタジー要素が多いのに会社員の堅苦しい考え方もあって不思議な感覚。

    ここでは軽量化こそが至上命題だった。もっと軽く。極限まで追求が求められ、ついに風頼みの域にまで達した。すでに大航海時代には、人々は風の力で世界中を渡っていたのだ。

    この文章によって、吉田さんの風船での飛来という情けないことを実行している自分の部署に対し、虚しく思い馬鹿にするようなまたは嘲笑うような気持ちと誇りを持って取り組む気持ちの対立が表現されていて面白かった。
    そして、『時代は繰り

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    2025年08月06日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    奇想天外のお仕事小説。おバカ計画「日本ーブラジル間をつなぐ穴」のプロジェクトに挑む大人たち。「そんなん無理って小学生でもわかるやん!」なのだけれど、もし実現したらという世界線を極めて冷静に真摯に描き切ったのがこの作品。

    裏金とも言える予算をつけてもらい、極秘プロジェクトとして進められる計画。その広報係として、真面目に仕事に向き合う主人公・鈴木。

    極秘プロジェクトの広報係というのがポイントで、世間に発表できることが何もない。自分は果たして必要なのか。広報にすら知らされない進捗状況に頭を悩ませながら、穴まわりで起こる出来事や出会いを日記という形で文字に残し続ける。果たして勤勉だと言えるのか、仕

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    2025年04月27日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    ある1人の男性の半生を、いろんな目線で楽しめるお話だと感じました。

    所々で視点が変わり、一つの物語、一つの人生には様々な人の想いや考え、それこそ人生が関わっていて、読者である私もこの本の中で誰かとなって生きていたんだと読んだ後に何となく感じました。

    主人公のラストは衝撃的で、すんなりと納得がいくものではありませんでした。
    でも、ある意味それは人が生きてる上で、
    誰かの期待通りには進まなくて、終わらなくて、でもたまに好きな展開もあるけれど、終わりは期待を裏切られることもある。
    つまり、人(物語)の終わりには、その後の物語を自分なりに紡げるんじゃないかって考えたんです。

    その物語の続編が気に

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    2025年03月19日
  • こんとんの居場所

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    こんとんに向かっていくのが、自己から世界へと溶け込むのが、
    死ということではなくて、生きることの延長にあるのが素敵だとおもう。

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    2023年08月10日
  • こんとんの居場所

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    奇妙な三行広告の求人に応募した若者が、記者として採用され、船で南へと向かう。
    取材対象とされる「こんとん」とは、『荘子』の渾沌に由来して名づけられた不可思議な存在。
    若者はついに、こんとんの居場所へとたどり着く。そこでの体験は、生と死の境界を越えて凄絶なものだった。

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    2023年06月08日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    戦時下を生き延び、戦後に若手官僚となって大事業を発案する山本清晴。
    彼の遺志を受け継ぐように、建設会社の社員として事業の推移を記録する鈴木一夫。
    地球の裏側まで穴を掘るという壮大な営みが、勤め人の地道な日常によって支えられている。
    戦後史を貫いて事業は進み、ついに驚くべき結末へと猛スピードで突進する。

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    2022年11月13日
  • 孤島の飛来人

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    冒険的な風船飛行の果てにたどり着いた島。
    そこには知られざる国が存在し、背景には戦争の時代の傷あとがあった。
    奇想天外な出来事と、歴史的な現実の記憶が融合した小説。
    浜辺での出会いと星浴びの情景は魅惑的。

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    2022年09月27日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    ネタバレ

    誰もが一度は思う、ブラジルまで穴を掘っていけるのかと。そのバカバカしさを真面目に小説にした本書だが、最後の最後までその冗談めかしたトーンは続く。だが、穴を掘っていく過程の所々に散りばめられる実話っぽい挿話や情報。それは戦時中の人間魚雷や戦後の南米からの日系人出稼ぎの話であったり、中国からの研修生やはたまた東日本震災後の実情であったりと、必ずしも明るい話題ではないのだが、これらが事実に裏打ちされているだけに、バカバカしさが度を越さずに現実の範疇にとどまっていそうに思わせてくれる。
    それにしてもバカバカしいと思いながら読み進めさせてくれた愛すべき主人公の最後がこれって。いきなり虚無感に突き落とされ

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    2019年03月15日
  • 孤島の飛来人

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    ネタバレ

    良い。
    有り得ないけど有りそうなお話。北硫黄島。
    読んでて快適なのは何故か考えたら基本善人しか出てこないからだと思った。

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    2026年03月29日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    積読チャンネルで紹介されており気になって手に取ってみた1冊。

    地面を掘ってブラジルまで繋ぐという、現実ではありえない設定を、その一点を除き特段違和感なく書き遂げられている点にまず感心した。

    また、本作は穴を掘る話というよりも、仕事とは何なのか、を考えさせてくれる1冊であった。
    自分は会社員であるが、何のためにその仕事をしているかわからなくなることも多々ある。従前からそうだから、で回っている仕事があり、既に担当者がいない場合が多い。

    本作ではやり遂げる方向に進んだが、1度立ち止まることも大事だと改めて感じた。

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    2026年03月22日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    いやあ面白かった。ぶっ飛んだ物語のゴール設定と、それ以外は平凡で淡々とした語り口調とのコントラストで、脳が溶けそうになった。会社、国、親子関係、そして命。様々な普遍のテーマに代入できる物語で、ワクワクしながら、そして肝を冷やしながら読み進めた。最後は水泳の飛び込み、人間魚雷というこれまでに出てきたエピソードが合流していく。正しいとか合理性とかそういうものではなく、始まったからには止まることができずに流れていく、そんな恐ろしさと高揚感を感じた。

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    2026年01月31日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    不思議なお話。これは、戦争の話なのだろうか、それとも国家の陰謀の話?それとも、一人の男の淡い恋物語?どれも当てはまるだろう。
    戦争のエピソード、『俺は、間違いだったかどうかと訊いてるんだ』…あの時、あの、特攻に行かなければならなかった人々。もう二度とその様なことが起きてはならないとおもった。

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    2026年01月19日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    ネタバレ

    これは、単にトンデモ計画に振り回される人々の話として読むか、SFとして世界観を受け入れるかでかなり印象が変わる本だと思った。
    SFであると感じた理由として、作中に登場した登場人物は皆(基礎研究者ですら)、この計画は「原理的に無理」とは言わず、「やってみないとわからない」と考えているというところにある。もし通常の世界であれば、義務教育で地球に穴を開けられないことを理解できるだろうし、こんな計画もアイデアも、初期の段階で「〜だから無理」と1人でもいえば終わっていただろう。「上がやれと言ったから」という理由ができる前(計画が走る前)ですら誰もそれを指摘しなかったのは、もしかしたら本当にやってみないと

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    2025年10月05日
  • 孤島の飛来人

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    面白かったー!
    暗くない小説が読みたいと思い、そうだ穴を掘る物語の作者だ、と閃いた私を褒めたい。大当たり。

    この作者さんの著書はまだ2冊しかないが、頭の良い人程説明が上手なように、本当に読みやすい。
    そして何より真面目なのが良い。

    風船で横浜から父島を目指す。
    こんな設定なのに不思議な説得力。
    読んでいて何故アホらしくならないのだろう。何故夢中に一気読みしてしまうのだろう。
    細かいところはツッコむ気にもならない、ツッコまないで読み進めてしまう魅力がある。

    海亀と満天の星空。
    ひっそりと暮らす緊張感と同時に混在する安らぎ。
    戦争の続きを生きている小島で閉塞感に満ちているはずが、若者は伸びや

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    2025年09月05日