山野辺太郎のレビュー一覧

  • いつか深い穴に落ちるまで

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    <poka>
    なんともバカバカしいことを真剣に考えます。最後は泣かせます。
    <だいこんまる>
    日本の裏側は、正確にはブラジルではございません

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    2026年06月07日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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     日本からブラジルまでトンネルを掘る計画が秘密裏に実行されていて、その広報担当が記録した数十年を軸に描いた物語である。荒唐無稽な設定なのに、人と人との関わりや、会話の流れ、過去から現在まで続く人生の営みなどが妙にリアルで味わい深い。登場人物の造形がよくできており、その人物から出てくる言葉に重みがあるからだろう。今まで読んだ他のどの小説とも違う、全く予測がつかない展開で、ハッとするような人生の断片が描き出されているようで、最後まで惹きつけられた。

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    2026年05月19日
  • 大観音の傾き

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    仙台の郊外に実在する高さ100mの白亜の大観音像。その像が傾いて危険だと騒ぐ住民と、事なかれ主義で対応する市役所の担当者と課長。最初の方を読んでいると、何だかあり得ない様な設定と、変なリアクションの登場人物に「何だこの作家は、ド素人か?」という印象。ところが、半ばあたりからガラッと変わります。
    バックに流れる3.11の記憶。声高に叫ぶわけでもなく、静かな諦念の中で語られる震災体験者たちの言葉は、穏やかながら非常に深く、心に染み込んできます。そして大観音が抱くの慙愧の念。
    シュールがリアルに、リアルがシュールに切り替わりながら進む物語は、この作家さんの特徴でしょうか。
    独特のユーモアをまとった、なんだか不思議な、しかし良い物語でした。

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    2025年12月26日
  • 大観音の傾き

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    何をきっかけに手に取ったのか覚えていないが、新しい形の3,11小説だと思った。大観音が傾いてるのではという、真偽不明のアイディアが秀逸で、予想を裏切る展開に次ぐ展開で、最後まで興味深く読むことができた。セリフや描写もとてもよくできていて、震災を生きた人々の息吹が随所に感じられて、心が揺さぶられた。縁あって出会ってよかったと思える、とても素敵な小説だった。

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    2025年12月17日
  • 大観音の傾き

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    え、山野辺太郎さん、めっちゃ最高じゃないですか!?東北の丘の上にぽつんと建てられた巨大な大観音。傾いているのか傾いていないのか。観音様の心の声。傾きを治そうと日々台座の龍を押し続ける住民たち。役所の若者。書類上は存在しない街に一人暮らし続けるおじいさん。淡々と、ときにユーモラスに、感傷的になりすぎないけど心にぐっとくるお話。

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    2025年12月12日
  • 大観音の傾き

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    高さ百メートルにも及ぶ巨大な観音像が、仙台とおぼしき東北の街の丘に立っている。
    かつて震災が一帯を襲ったとき、大観音は遠くの海のほうに顔を向けたまま、そこに立ち尽くしていることしかできなかった。
    大観音が傾いている、と訴える人々が現れる。主人公の青年は、市役所の若手職員として訴えに向き合うことになる。
    それは物理的な現象だったのか、それとも心のなかの問題なのか。傾きをめぐる問いが息長く展開してゆく。

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    2025年11月24日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    これはSFなのか、はたまた壮大なコントなのか…

    いや、すごいわ。
    文章だけみれば、非常に真面目で熱いものがあり一見熱血サラリーマン小説を読んでいるのかと錯覚してしまいます。
    しかし根底にあるバカバカしさが常に脳裏を過ぎり、ワタシは一体何を読まされているのだろうと…。
    筆者のデビュー作とあるが、文章は非常に巧みで上手。が、その上手さがバカバカしさに一層の拍車をかけているのが余計にタチが悪いなと。
    しかし、何はともあれめちゃくちゃオモロいです。

    人を選ぶ小説だとは思いますが、普通の読書に飽きた方はぜひ一読あれ。唯一無二の読後感を味わえます。

    未曾有の読書体験をさせてくれた本書に感謝感謝。

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    2025年11月05日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    真面目に大バカをやって笑わせたかったんだと思うのだが成功していなかった
    真面目に読もうにも 細部の想像が甘くリアリティに欠けて強引
    クスっと笑おうにも くだらなさ、シュールさ、バカさが足りない
    せめて穴が何かのメタファーならば文学的に読めたけどただの穴だった
    オチで落とされる事を願いながら読んだが落とされなかった
    サバンナ八木のギャグを知っているので設定としてもすでに知っている
    アロンアルファで強引に繋げたような感じでその接合部がでこぼこして没入も難しかった
    残念無念

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    2025年09月20日
  • 孤島の飛来人

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    孤島の飛来人
    2025.08.06

    歴史ファンタジー?初めて読んだジャンル。歴史物が得意でない私にもかかわらず最後まで飽きずに読めた。ファンタジー要素が多いのに会社員の堅苦しい考え方もあって不思議な感覚。

    ここでは軽量化こそが至上命題だった。もっと軽く。極限まで追求が求められ、ついに風頼みの域にまで達した。すでに大航海時代には、人々は風の力で世界中を渡っていたのだ。

    この文章によって、吉田さんの風船での飛来という情けないことを実行している自分の部署に対し、虚しく思い馬鹿にするようなまたは嘲笑うような気持ちと誇りを持って取り組む気持ちの対立が表現されていて面白かった。
    そして、『時代は繰り返す』というが現実世界も色々な方向へ進んだ結果、最終的に人類の1番初めの状態が人間のあるべき姿であり、科学技術や情報の進化は結局いらなかったという世界が訪れるのではないかとも考えさせられた。

    全体的に表現が好き!
    星浴び(日光浴はあるけど星は考えたことなかった)
    は印象的だった。


    生還していないけれど実はどこかでこのような暮らしをしている人がいるのかもしれないと感じるような素敵なテーマだったけれど、単なる物語ではなく戦争や秘密というバックグラウンドが闇なのも読み応えがあってよかった。

    今日は広島に原爆の落とされた日。そこまで重くないけれど戦争について考えるきっかけとなる本なので現代の若者に歴史の導入としておすすめしたい小説である。

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    2025年08月06日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    奇想天外のお仕事小説。おバカ計画「日本ーブラジル間をつなぐ穴」のプロジェクトに挑む大人たち。「そんなん無理って小学生でもわかるやん!」なのだけれど、もし実現したらという世界線を極めて冷静に真摯に描き切ったのがこの作品。

    裏金とも言える予算をつけてもらい、極秘プロジェクトとして進められる計画。その広報係として、真面目に仕事に向き合う主人公・鈴木。

    極秘プロジェクトの広報係というのがポイントで、世間に発表できることが何もない。自分は果たして必要なのか。広報にすら知らされない進捗状況に頭を悩ませながら、穴まわりで起こる出来事や出会いを日記という形で文字に残し続ける。果たして勤勉だと言えるのか、仕事というものに向き合う姿勢を問う小説でもある。

    戦後から現代へ続く壮大な物語だった。

    あらすじ。
    戦後、新橋の闇市で酒を飲んでいた山本。戦争から生き残った自分には「なさねばならぬことがあるはずだ」という使命に駆られている。焼き鳥を食べながら思いついたのは、串に貫かれた肉のように「日本からブラジルまで穴を貫通させる」ということ。理由は近道だから。ブラジル側からのOKの返事、幾度も運輸省で行われた会議を通して、極秘プロジェクトとして事業化が決定したのは山本が亡くなった二ヶ月後だった。

    主人公は、新卒すぐ極秘プロジェクトの広報係としてアサインされた鈴木一夫。本作は彼の生涯をかけた長いプロジェクトの広報係に選ばれる。それから計画の前史を調べ、現在まで続く工事の進捗を記録していく。ついに「穴」が開通したとの報告を受けるが……。

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    2025年04月27日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    ある1人の男性の半生を、いろんな目線で楽しめるお話だと感じました。

    所々で視点が変わり、一つの物語、一つの人生には様々な人の想いや考え、それこそ人生が関わっていて、読者である私もこの本の中で誰かとなって生きていたんだと読んだ後に何となく感じました。

    主人公のラストは衝撃的で、すんなりと納得がいくものではありませんでした。
    でも、ある意味それは人が生きてる上で、
    誰かの期待通りには進まなくて、終わらなくて、でもたまに好きな展開もあるけれど、終わりは期待を裏切られることもある。
    つまり、人(物語)の終わりには、その後の物語を自分なりに紡げるんじゃないかって考えたんです。

    その物語の続編が気になる「おわり」が、この本にはたくさんありました。

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    2025年03月19日
  • こんとんの居場所

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    こんとんに向かっていくのが、自己から世界へと溶け込むのが、
    死ということではなくて、生きることの延長にあるのが素敵だとおもう。

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    2023年08月10日
  • こんとんの居場所

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    奇妙な三行広告の求人に応募した若者が、記者として採用され、船で南へと向かう。
    取材対象とされる「こんとん」とは、『荘子』の渾沌に由来して名づけられた不可思議な存在。
    若者はついに、こんとんの居場所へとたどり着く。そこでの体験は、生と死の境界を越えて凄絶なものだった。

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    2023年06月08日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    戦時下を生き延び、戦後に若手官僚となって大事業を発案する山本清晴。
    彼の遺志を受け継ぐように、建設会社の社員として事業の推移を記録する鈴木一夫。
    地球の裏側まで穴を掘るという壮大な営みが、勤め人の地道な日常によって支えられている。
    戦後史を貫いて事業は進み、ついに驚くべき結末へと猛スピードで突進する。

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    2022年11月13日
  • 孤島の飛来人

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    冒険的な風船飛行の果てにたどり着いた島。
    そこには知られざる国が存在し、背景には戦争の時代の傷あとがあった。
    奇想天外な出来事と、歴史的な現実の記憶が融合した小説。
    浜辺での出会いと星浴びの情景は魅惑的。

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    2022年09月27日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    ネタバレ

    誰もが一度は思う、ブラジルまで穴を掘っていけるのかと。そのバカバカしさを真面目に小説にした本書だが、最後の最後までその冗談めかしたトーンは続く。だが、穴を掘っていく過程の所々に散りばめられる実話っぽい挿話や情報。それは戦時中の人間魚雷や戦後の南米からの日系人出稼ぎの話であったり、中国からの研修生やはたまた東日本震災後の実情であったりと、必ずしも明るい話題ではないのだが、これらが事実に裏打ちされているだけに、バカバカしさが度を越さずに現実の範疇にとどまっていそうに思わせてくれる。
    それにしてもバカバカしいと思いながら読み進めさせてくれた愛すべき主人公の最後がこれって。いきなり虚無感に突き落とされた。ブラジルに行った主人公は、見事網でキャッチされる、もしくはリオ五輪に現れた安倍総理は本当に穴を通って行った、というバカ話路線をいって欲しかったのか、それともそこは現実的であって然るべきなのかわからない。とにかく、結末がとても悲しく脱力してしまった。

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    2019年03月15日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    突拍子もない設定のはちゃめちゃコメディかと思いきや誠実に誠実に書かれた小説で素晴らしかった。最後はショートショートみたいな後味。

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    2026年09月27日
  • 大観音の傾き

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    仙台には、まっしろな大観音さまがお立ちになっている
    いつかそんなことを知った。
    この本を読むまでは、観光スポットだと思っていた。
    行く前に読めば良かった。
    本当は目の前に拝みたかったけれど、青葉城跡から遠目に拝むことしか出来なかった。

    あなたはそんなお気持ちで、あそこにいらっしゃったのだろうか、。
    遠目にお見かけしたときの大観音さまと小説の観音様が重なる。今思えば。

    さぞ見晴らしがいいことだろう。

    さぞ、苦しいことだろう。
    それでも修行をつづけなければならない。
    観音さま。いつかお近くでお会いできるだろうか。

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    2026年07月16日
  • 孤島の飛来人

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     シュールな状況に放り込まれた小市民的な人物が翻弄される、不思議な感触の小説だ。囚人と看守が分かちがたく共存していたり、尋問する人される人が入れ替わったりと、ちょっとカフカっぽい設定もある一方、細部に妙なリアリティがあって、人物が放り込まれたこの状況でどう感じ行動するのかという興味で先を読ませる。たまたま出会った作家だが、小説の自由さと想像力の柔軟さを味あわせてくれる作品だ。

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    2026年07月04日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    なんとも不思議な読み味の小説だった。穴を掘るという行為自体は変わらないのに、時代の変遷とともに関わる人々の顔ぶれも、その事業の意義も予算も少しずつ変わっていく。その移ろい方に、組織や仕事そのものの儚さとしぶとさを感じた。
    主人公とブラジルの担当者との、時空を越えて積み重なっていく親しみや感情も、歯がゆさを残しながら温かく、読後にじんわり残った。

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    2026年05月26日