山野辺太郎のレビュー一覧

  • いつか深い穴に落ちるまで

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    いやあ面白かった。ぶっ飛んだ物語のゴール設定と、それ以外は平凡で淡々とした語り口調とのコントラストで、脳が溶けそうになった。会社、国、親子関係、そして命。様々な普遍のテーマに代入できる物語で、ワクワクしながら、そして肝を冷やしながら読み進めた。最後は水泳の飛び込み、人間魚雷というこれまでに出てきたエピソードが合流していく。正しいとか合理性とかそういうものではなく、始まったからには止まることができずに流れていく、そんな恐ろしさと高揚感を感じた。

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    2026年01月31日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    不思議なお話。これは、戦争の話なのだろうか、それとも国家の陰謀の話?それとも、一人の男の淡い恋物語?どれも当てはまるだろう。
    戦争のエピソード、『俺は、間違いだったかどうかと訊いてるんだ』…あの時、あの、特攻に行かなければならなかった人々。もう二度とその様なことが起きてはならないとおもった。

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    2026年01月19日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    ネタバレ

    これは、単にトンデモ計画に振り回される人々の話として読むか、SFとして世界観を受け入れるかでかなり印象が変わる本だと思った。
    SFであると感じた理由として、作中に登場した登場人物は皆(基礎研究者ですら)、この計画は「原理的に無理」とは言わず、「やってみないとわからない」と考えているというところにある。もし通常の世界であれば、義務教育で地球に穴を開けられないことを理解できるだろうし、こんな計画もアイデアも、初期の段階で「〜だから無理」と1人でもいえば終わっていただろう。「上がやれと言ったから」という理由ができる前(計画が走る前)ですら誰もそれを指摘しなかったのは、もしかしたら本当にやってみないと

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    2025年10月05日
  • 孤島の飛来人

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    面白かったー!
    暗くない小説が読みたいと思い、そうだ穴を掘る物語の作者だ、と閃いた私を褒めたい。大当たり。

    この作者さんの著書はまだ2冊しかないが、頭の良い人程説明が上手なように、本当に読みやすい。
    そして何より真面目なのが良い。

    風船で横浜から父島を目指す。
    こんな設定なのに不思議な説得力。
    読んでいて何故アホらしくならないのだろう。何故夢中に一気読みしてしまうのだろう。
    細かいところはツッコむ気にもならない、ツッコまないで読み進めてしまう魅力がある。

    海亀と満天の星空。
    ひっそりと暮らす緊張感と同時に混在する安らぎ。
    戦争の続きを生きている小島で閉塞感に満ちているはずが、若者は伸びや

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    2025年09月05日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    良いSFの条件は一つだけフィクションがありそれ以外はリアルなものである、と聞いたことがある。
    まさにそれだ。

    読み物してはスラスラ読めるし面白い。
    でも読後感はモヤモヤしてしまった。
    この結末から何を感じればいい?と思った

    ネタバレ解説をいくつか読んで納得。
    自分も読解力が欲しいなと思った今日この頃。

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    2025年06月29日
  • 大観音の傾き

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    東北の大きな街の丘の上にそびえ立つ、巨大な全身純白の大観音。その大観音が傾いていると言って大観音の足元を懸命に押して傾きを直そうとしている老人達。市役所に勤める新人の修司は市民の声を聞くために大観音を訪れ、様々な人達と触れ合っていく……最初は奇想天外な発想の市民たちの苦情に振り回される新人職員のお仕事小説かと思っていました。完全に笑おうと思って読み始めた物語。結果、全く違うトーンの物語でした。
    そもそもなぜ大観音が傾いていると思う人達が現れたかというと、その背景には東日本大震災があるのです。大観音を取り巻く人達の話を聞いていると、震災での辛い経験がポロポロと出てくる。皆がそれぞれ何かを抱えてい

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    2025年04月23日
  • 大観音の傾き

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    ユーモアと愛情に溢れる風変わりなお仕事小説。
    主人公の高村修司は、東北の大きな街の市役所に新入職員として採用される。彼のいる出張所の近くには、異様に大きな観音像が立っている。あの大震災をきっかけに、住民のなかに「大観音が傾いた」という者たちが現れ、その足元を押す者、爆破することを進める者が出てくる。修司はさまざまな人々に出会い、対応策に奔走する。
    大観音の傾きについて、大真面目に対応を考えるというユーモアさがベースにありつつ、震災で受けた悲しみがリアルに迫り、なんとも言えない不思議な感情になりました。作中で大観音の心の声が聞こえてきますが、東北弁の温かさの中に心中の切なさが混ざり、涙なしでは読

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    2025年04月08日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    近道だからという理由で掘ることが決定したブラジルと日本を繋ぐ穴。
    穴掘り計画の広報係となった主人公鈴木。

    ハチャメチャだけど凄く面白かった。
    穴を掘るだけの話でこうも膨らむものかと。
    最後の最後まで楽しかった。

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    2025年03月18日
  • 大観音の傾き

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    災いの降りかかった地に立って非当事者がおぼえる負い目と当事者だからこそ抱え続ける負い目。深さの違いは言うまでもないけれど、それでも僅かに重なったその部分が両者を癒していく頼りになるんじゃないだろうか。新入職員(非当事者)が仙台の人達(当事者)と触れ合い、大観音(当事者)は牛久大仏(非当事者)と会話する。そんな双方向の関係の先に暗い意味だけでは無い哀しみと共に生きていく“わたしたちの日々”は生まれるんだと思う。派手なことは起こらない。けれどこの静かな営みの中には、人が人である上で手放してはいけない心の水晶球の全き光がある。

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    2025年02月03日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    「ブラジルまで直通する穴を掘る事業に携わる人」という発想自体は突飛で、でもそれが粛々と、ときどきふわふわしながら描かれていて引き込まれた。
    「おしごと小説」なのかもしれないけれど、
    「おしごと」がもつロマンと恐ろしさが、
    誇張されずに語られていた。

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    2025年01月11日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    ネタバレ

    日本とブラジルの間に直線の穴を掘る事業に巻き込まれた男の話が淡々と続く。技術的な話はほとんどないけど、史実を織り交ぜているせいか、妙にリアリティがある。シュールなコメディ作品だと思う。

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    2024年09月24日
  • こんとんの居場所

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    ネタバレ

    2話とも人の消失の物語。他者と自分とが混ざり合って境界がなくなるのだ、しかもそれを心地良いとさえ思っている。
    平凡な日常からいつのまにか、非日常と

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    2024年02月13日
  • こんとんの居場所

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    とっっっても不思議。

    なんか不穏でなんか不思議でなんか素敵でなんか夢みたいでなんか現実的でなんな心地よかった。

    評価が極端に二極化してるのも納得。
    私は好き。どちらの話もなんか好き。

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    2023年12月11日
  • こんとんの居場所

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    なかなかにへんてこ(異色)な小説を読んだな、というかんじ。表題作はある孤島の「こんとん」という謎生物との遭遇譚。ですがその生物が現れるまでなんだか長い。ようやく「こんとん」と会うとそこには…

    天才ハッカーと世界の破滅を描く「白い霧」も面白い。

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    2023年06月20日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    ネタバレ

    彼は上司に話を持ちかけた。我が国の大地に、ブラジルへと続く、底のない穴を空けましょう、と。
    「なせ、そんな穴を?」
    「だって、近道じゃありませんか」

    戦後、闇市のやきとり屋で運輸省の官僚が思いついた、日本とブラジルを結ぶ穴を掘るという計画は、数十年の歳月を経てようやく着工されることになった。工事の請負企業に入社した鈴木一夫は、発案者の山本清晴についての取材、ポーランド人スパイとの接待温泉旅行、日本語通訳の香港人とのロマンス、外国人労働者との交流など、広報係として奔走する。そして三十数年後、ついに穴が開通する。鈴木は水着姿で穴に飛び込むのだった。

    地球を貫く穴を掘るという事業を描いた、フィク

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    2022年10月15日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    いつかのアメトークで紹介されていたので。

    内容はブラジルと日本を繋ぐ1本の穴を掘る話。

    フィクションで非現実的な設定だけど、当時の世界情勢や社会構造、行政の改変などノンフィクションな部分も多く、穴の事業は史実に基いた伝記なのか!?と思わせられました。
    もしかしたら、日本の山奥で本当にあるのかな〜と不思議な気持ちになるストーリーでした。

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    2022年04月11日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    これって史実?って思ってしまっても損はない、なんとも愉快な人生劇場。

    鈴木氏の人間の良さが滲み出ている。
    水泳がこんなところに繋がるとは(笑)

    こんな展開久しぶり、ちょっと元気になれたかも。

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    2021年12月27日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    花は、花びらが折り重なって一輪の花になる

    県大会決勝での敗退も失恋も恋愛の成就も
    変わり映えのしない毎日を綴った業務日誌も焼き鳥屋での軽い一杯も

    人生で無駄なものは何もない

    読み終わってそんな感慨を抱くような優しい作品でした

    あと、僕はDr.ペッパーという飲み物を人生で一度も飲んだ事がありません

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    2021年12月12日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    トンデモナイ発想から始まったプロジェクト。
    淡々と進んでいく話は、一見ユーモアいっぱい見えるが、同時に一貫した冷たい怖さも覚える。
    信念を持つ仕事に盲目的になること。
    疑問があっても、一度始まると止まらない国家施策。
    人はどうしようもない状況に追い込まれて、はじめて積み上げてきたものに悪いものの種がまかれていたことに思い至る。
    大切な人を思って自分が名乗り出る。その気持ちを利用する社会。
    「僕」が水着を着て、穴に飛び込むその様は、まさに「人間魚雷」そのものと感じるのは私だけでしょうか。

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    2020年05月03日
  • いつか深い穴に落ちるまで

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    ネタバレ

    「ブラジルの人聞こえますかー?」のリアルなやつ。
    ストーリーとしては荒唐無稽でばかばかしいのだが、表現として読んで楽しい。

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    2019年05月23日