山野辺太郎のレビュー一覧
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ネタバレ彼は上司に話を持ちかけた。我が国の大地に、ブラジルへと続く、底のない穴を空けましょう、と。
「なせ、そんな穴を?」
「だって、近道じゃありませんか」
戦後、闇市のやきとり屋で運輸省の官僚が思いついた、日本とブラジルを結ぶ穴を掘るという計画は、数十年の歳月を経てようやく着工されることになった。工事の請負企業に入社した鈴木一夫は、発案者の山本清晴についての取材、ポーランド人スパイとの接待温泉旅行、日本語通訳の香港人とのロマンス、外国人労働者との交流など、広報係として奔走する。そして三十数年後、ついに穴が開通する。鈴木は水着姿で穴に飛び込むのだった。
地球を貫く穴を掘るという事業を描いた、フィク -
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日本からブラジルまでの穴を掘るプロジェクトの広報になった男の話
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戦後から現在まで続く「秘密プロジェクト」があった。
発案者は、運輸省の若手官僚・山本清晴。
敗戦から数年たったある時、新橋の闇市でカストリを飲みながら彼は思いつく。「底のない穴を空けよう、そしてそれを国の新事業にしよう」。
かくして「日本-ブラジル間・直線ルート開発計画」が「温泉を掘る」ための技術によって、始動した。
その意志を引き継いだのは大手建設会社の子会社の広報係・鈴木一夫。
彼は来たるべき事業公表の際のプレスリリースを記すために、
この謎めいた事業の存在理由について調査を開始 -
Posted by ブクログ
日本からブラジルまで直通の穴を掘る事業の広報部・鈴木一夫の物語り。
壮大な事業の割に特に問題もなく、そこに焦点はあまり当ててなくて、中心は鈴木の心情。彼の人間性が毒っ気がなくて、何だかほのぼのします。掘り当てちゃった温泉で色々な人と会話をする彼、特に大きな仕事が任されていない広報部の彼、微妙な恋心が描かれる彼、どこを切り取っても嫌いになれないし好感です。行われている事業の大きさと余りにも掛け離れてて笑
しかも事業のきっかけは「近道だから」
ラストはシュール、こんなオチなの!?
正直なところ読み終えた直後はイマイチだったなぁ〜って感想でしたが、ジワジワときますね。振り返ってみたら面白くなっ