日本からブラジルまでの穴を掘るプロジェクトの広報になった男の話
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戦後から現在まで続く「秘密プロジェクト」があった。
発案者は、運輸省の若手官僚・山本清晴。
敗戦から数年たったある時、新橋の闇市でカストリを飲みながら彼は思いつく。「底のない穴を空けよう、そしてそれを国の新事業にしよう」。
かくして「日本-ブラジル間・直線ルート開発計画」が「温泉を掘る」ための技術によって、始動した。
その意志を引き継いだのは大手建設会社の子会社の広報係・鈴木一夫。
彼は来たるべき事業公表の際のプレスリリースを記すために、
この謎めいた事業の存在理由について調査を開始する。
ポーランドからの諜報員、
業員としてやってくる日系移民やアジアからの技能実習生、
ディズニーランドで待ち合わせた海外の要人、
ブラジルの広報係・ルイーザへの想い、
そしてついに穴が開通したとき、鈴木は……。
様々な人間・国の思惑が交差する中、日本社会のシステムを
戦後史とともに真顔のユーモアで描きつくす、大型新人登場。
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穴を掘るというのは何かの比喩かと思ったけど、本当に地球の裏側まで穴を掘るだった
科学的にありえない事ばかりで、終始その非科学的な事へのツッコミで中々物語が中に入ってこなかった
マントルまで到達するようなボーリングをどうやってするのだろうな?
堀った穴をどうやって維持しているのかが謎
マントルという存在や中心部の鉄を無視して岩盤で構成されていたとしても、
長年に渡るプロジェクトのようだけど、それ程の速さで掘れるわけがない
そして、最後のアレ
重力は中心に向かうにつれて弱まり、そこから先は逆にブレーキが掛かるから絶対にああはならないでしょ
そもそも、空気抵抗もあるし、穴がそんなに狭かったらところどころで壁にぶつかるだろうし
ってか、
そもそも、テストの前に開通確認しないの?
人の前に物体のみでテストしたりするし
掘ってる最中に作業員はどうやって現場まで移動してたんだろうね
そんな設定に関する疑問が満載
ショートショートや短編ならこの荒唐無稽な設定も許せるけど
この長さで科学的な考証を無視しているのは受け入れられない
一発ギャグではなく、スベってるシリアスコントを長々と見せられるような気持ちになった
ストーリーで言えば評価は1か0くらいに酷い
どんなに文章力や表現力に長けていると評価されている作品であっても、個人的に気になるところが多すぎて物語に入っていけなかったのはかなりのマイナス
ちょっとウケたのは北の国からの視察のあれこれ
明らかに金正男がディズニーランドに来てたという事件を元ネタにしてる
恐らく、鈴木一夫という男の仕事人生として、無為無謀なプロジェクトのに携わり、無意味に思える作業も誠実に向き合うというのが描かれているのだろうな
その中で、ブラジル側の広報ルイーザとの数少ない接触に反した同士意識という心の交流も
作中でも触れられているけど、人間魚雷を始めとする戦争における無謀なプロジェクトへのアンチテーゼを示しているように思った
根本が間違っていても、それでもまだましな方に舵を切った方がいいというね
当初の目的が何であれ「やる」事が決まると、「やりきる」が目標になってしまう事が多々ある
そもそも、最初から目的なんてものはない場合なんてのもある
荒唐無稽に思えるプロジェクトでも、上からの指示に愚直に従わざるを得ない主人公
その中でもできることをやるという教訓だろうか
だとしたら、もっと他に描き様があると思うんだがな
広報なのに、隠されるプロジェクト情報、上に上げても公開される見込みのない報告
情報が漏洩した際に対応する役割だが、平時はほぼ意味がない仕事
そんな立場でも矜持を持って自分の役割を果たすための仕事をするという物語なのだろうな
ただまぁ前述の通り、設定がザルすぎて私は評価しない
何かに似ているなぁと思って考えてみると
村上春樹の小説に納得いかない感覚に近い事に気づいた
意味深な事柄が何かのメタファーかのように思わせていて、結局は作中で明確にしない感じや、設定と登場人物の行動に違和感を覚えるところ