関野吉記のレビュー一覧
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> 変化の時代、決断することは確かに重要だ。だが、決断に「実行」が伴わなければ、何の意味もない─この至極当然のことを理解している人は、驚くほど少ない。(監修者による序文)
> 極端に干渉や指示を避けたリーダーや経営者は、あろうことか、現場との関係性を断絶してしまった。「マイクロマネジメントをせず、現場に任せる」という意味を拡大解釈して、ほとんど丸投げ状態としてしまったのである。(監修者による序文)
本書はアップデート版『経営は実行』であり、経営と実行の乖離に対して前書よりも鋭く切り込んでいる。
> 「実行が大切だ」とわかっていながら実行に移せないのは、「勉強が必要だ」という本質から目を逸らし、相応の時間をかけて向き合っていないからだ。まず、リーダーが勉強を始める。猛烈に始める。それが実行で価値を生み出す出発点となるだろう。(活動の優先順位を入れ替える)
前作同様に、考え方、振る舞いについての記述は、一見当たり前のようだがたしかに問題の元凶となっているような事象に言及し、あらためるべき態度を明確に示している。
> 成長する人間は事業に対する情熱を持っている。忙しさを理由に、重要な細部をおろそかにすることはないし、部下とも緊密な関係を築いている。偉ぶって人の意見に耳を貸さず、学ぼうともしないということはない。新人のころとおなじように、好奇心旺盛で新しいアイデアを積極的に取り入れようとする。(おわりに) -
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イマジナというブランド支援会社のブランド=「好き」を言葉にしたもの
ブランディングの究極の目的は、相手に「好き」になってもらうことである
気になったことばは次です。
・日本企業は、せっかく実力がありながら、それをどうもきちんと伝えきれていない
・何もせずに相手が自分のことを理解してくれるということはない。誰かに「これを知らしめたい」「このことだけはわかってほしい」と思うなら、どうやったそれが伝わるか必死で考えることだ。
・中身がいいのはもはや前提で、それをどうやって伝えるかが、この時代においてより大事なことなのである。
・胸を張って自慢できるような、会社や社長に関する情報を網羅したのであれば、たくさんの人にそれを読んでもらう工夫や、読みたくなる仕掛けをつくればいい。
・自分の魅力を伝えるには、まず自分に「関心」をもってもらう必要がある。さらに、「好意」をもってくれないと、「この人の話を聞いてもいいかな」という気持ちにはならない。意中の相手を振り向かせ、なおかつ好意を抱かせる。ブランディングはここから始まるのである。
・自分たちの魅力を相手に伝えること:これはマーケティングだ。では、ブランディングとは何か。相手にこの企業やこの製品にはこういう魅力があると思ってもらうこと。大事なのは、自分たちが伝えたいことではなく、相手がどう感じ、どのようなイメージを抱くかのほうなのである。
・ブランドというものは、「自社が大事にしているもの」をきちんと伝えることである。
・要するに、広告宣伝だけでつくった、実を伴わないブランドは、真のブランドとはいえないのである。
・素晴らしい製品を売っている企業であるほど、言葉の使い方ひとつでお客さんに製品のよさが伝わらないのは、個人的にも残念でならない。
・人が人に点数をつける限り、公平になりようがない。
・信頼関係:そういう組織であるために、何が必要か。「自分たちはこういうものを大切にしています」という共通の想いなのである。
・ブランディングを行う上で、これは絶対外せないという大切な要素が3つある。
①トップが真剣であること
②すべての部門・会社の施策を一気通貫でつなげるストーリーがある
③社内にブランディングの大義を伝えるミドル社員が育っている
目次
はじめに
第1章 なぜ多くの会社が「好き」を集められていないのか
第2章 本当に「好き」を集められる会社の考え方
第3章 私はこうして「好き」を集める原理を身体で覚えた
第4章 イマジナ流「好き」を集める設計図
おわりに
ISBN:9784295403616
出版社:株式会社インプレス
発行:株式会社クロスメディア・パブリッシング
判型:新書
ページ数:192ページ
定価:1080円(本体)
発売日:2019年12月01日 -
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・会社の思いに共感していて能力も高いタイプを一番気にかけ、その能力を伸ばすための教育や努力をすべき。彼らが「今の会社には、これ以上、学べるものが何もない」と思えば、彼らはさらなる成長を求めて転職していくことも厭わない。彼らが求めるのは、自分たちの能力をさらに向上させる様々な機会やチャンスを与える環境である
・従業員満足度調査やモチベーションサーベイは社員のやる気を「会社が高めてあげるもの」という前提を強めてしまう構造になっている。しかし本来モチベーションとは、自分で高めるものだ。こうした前提が気づかぬうちに社員を受け身にし、組織を弱らせる
・学ばない人はプロではない、というのが世界の常識
・感謝の言葉を口にすることで、相手へのリスペクトとともに、自分の心の状態が”受け入れるモード”に変わる。感謝とは、学びのスイッチであり、成長を加速させるためのトリガー。素直に感謝して学ぶ姿勢がある人は「折角の機会だから吸収しよう」という態度を取る
・「作業」から「価値ある氏名」へと部下の意識を変えるために、管理職は仕事の指示をする際には、必ず、①全体観・背景、②目的・ゴール、③本人のメリットと言う③つの要素を満たして伝えなければならない。ここで抑えておきたいのは、これは単なる「丁寧な伝え方」ではなく、人の感情と認知に影響を与えるための技術だということだ
・「伝えた=伝わった」ではない。相手の行動が変わって初めて、伝わったと言えるのだ。そもそも真剣にコミュニケーションと向き合っている人は「伝わっている」「自分はできている」とは言わない。なぜなら、深く取り組めば取り組むほど、自分の未熟さや改善点が次々に見えてくるからだ
・日々の業務をこなしているうちに、部下は視野が縮み、本来立ち返るべき軸が何だったのか忘れてしまったり、わからなくなってしまったりする。だからこそリーダーは、何度でも言葉にして、なんのためにやるのかを繰り返しリマインドし続けなければならない。部下は、自分とは生まれも育ちも違う人間だ。異なる常識、異なる価値観を持ち、異なる解釈で物事を見ている。そのような相手に対して、何度も何度も、必要以上に目的とゴールを丁寧に伝えることは、決して双方にとってマイナスにはならない
・リーダーは、成果ではなく「そこに至るまでのプロセス」に目を向け、その中での努力を積極的に認めていかなければならない。努力やプロセスを認めることによって、部下はその重要性を理解し、地道に努力を積み重ねることができるようになる
・本当の発想の転換は、異なる業界や価値観に触れて視野を拡げ、それらを掛け合わせるなどの工夫をしたときにしか生まれない -
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Branding――本質から学ぶ付加価値の意味
著:関野 吉記
コロナ禍を境に、ブランディングの本質が大きく進化した。これから会社が生き残っていくには、社会に対し価値を提供するだけでは十分ではない。この会社やこの事業が、なぜ社会に必要なのかということを、社内に対しても、社外に対しても常に知らしめ、さらにそれが認知されているという事実が必要であり、それこそが付加価値だと言える。
これからの時代に効果的なブランディングとは何か、また、なぜそれが本質的な経営の武器になるのか、そして、付加価値の意味とはどういうことかについて以下の4章から成る。
①社長が変われば、会社も変わる
②武器構築で、永続企業へ
③インナーブランディングで、組織強化を
④付加価値づくりのブランドとは
ブランディングは一部の優良企業だけに必要なものでもない。形のない捉えどころのないソレはある意味、見えず、捉えどころはないものの、顧客を惹きつけ、永続的な顧客になってもらうためにはなくてはならないものでもある。
目の前にあるニーズだけを満たすわけでもなく、顧客が気づいていないものを満たし、今だけではなく、未来、永続的に企業と顧客と社会の関係性を形作るものでもある。
そしてブランディングは戦略も何もなく、積み上げられるものではなく、戦略的に対顧客だけではなく、企業内に浸透してはじめて顧客と社会に向けて発信し、効果が表れてくるものでもある。
何がしたいか、顧客・社会が何を求めているか。どのようにそれが価値を生み出すのかを考えることは並大抵の努力では成し遂げられないものの、サステナブルな経営にはサステナブルな顧客との関係性は切っても切ることができない。
本質を学ぶだけではなく、基礎的な付加価値を捉えるための一冊でもある。 -
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特定の商品に限定された結びつきを超え、時間を超えた強い感情にブランドを結びつけること―「情緒的ブランディング」の重要性は、新ブランド社会においても変わらないが、それは意味のある商品開発に取って代わるものではありえない。情緒的ブランディングとは、商品に物質的価値以上に重要な情緒的価値があることを認識させ、それによってもともと力のある商品やサービスの訴求効果を高めるだけのものなのだ。これからは、情緒的ブランディングに加えて、商品開発やマーケティングのイノベーションを一層進める努力が大切になる。どんなブランドも、ひとところに立っているだけでは生き残れない時代なのだ。
「まず最初に、ナイキには消費者に訴える強い商品があった。第二に、ちゃんと機能するビジネス・モデルがあった。第三に、クリエイティブを検討するうえで常識をわきまえていた」どんな業界のどんなブランドであろうと、アドバイスはこれに尽きる。まず、消費者が望み、売り手が利益をあげることのできる優れた商品またはサービスが存在すること。勝ち残るブランドは、けっして最初から優れたブランドを構築しようと考えて商売をはじめるわけではない。まず利益を生み出せる優れた商品またはサービスを用意し、事業を支えていける組織作りに全力を注ぐ。それを達成した上で、マーケティングに本腰を入れ、世界に向けて宣伝をはじめるのだ。ただし、マーケティング活動が作り出す需要に対処できるよう準備しておくこと。でないと、プランドは離陸する前に墜落してしまう。さらに、広告には商品やサービスの利点をくりかえし訴求する力がなくてはならない。
ブランディングとは、ありふれたものを取り上げ、それに価値や意味を高めるような改良を加えることである。
商品は顧客がエクスペリエンスを得るための単なるモノにすぎない。
■強いブランディングを育てる8カ条
1ブランドのDNAを定義し保護する
2ブランドを賢く拡張して企業を育てる
3顧客とのあいだに商品やサービスを超越した情緒的きずなを築く
4時代を超えて価値の変わらぬものの擁護者となる
5企業の大きさをマイナスでなくプラスに活かす
6企業が持つ大きな力をよい目的に役立てる
7自社のブランド価値を組織全体に浸透させる
8ブランドのよき育ての親になる
スターバックス・ブランドの中核アイデンティティは、すばらしいコーヒーを提供することよりも、むしろコーヒーとのすばらしい出合いを提供することにある。いうまでもなく、最高級のコーヒー豆を正しく挽き、清浄な水を使い、適切な温度を保ち、きちんと時間を測って淹れることは大切である。が、「ナイキ・ブランド」の本質がトーション(ねじれ)・コントロールやミッドソール・クッショニング(衝撃吸収)・システムを超えたスポーツとフィットネスの歓びにあるように、スターバックス・ブランドの本質はエイブラハム・マズロー流にいうならば「コーヒー・ゲシュタルト」、すなわちコーヒーが醸成する雰囲気にあるのだ。
このようなインサイトがまとまった結果、スターバックスは、「コーヒーとの最高の出合い」を提供する商品に的を絞ることができた。
たとえば、以前マクドナルドに勤めたことのあるマネジャーたちから240ccの「ショート」カップをやめて960ccの特大カップをメニューに加えたらどうかという提案があったとき、議論には明確な基準があった。純白のペーパーカップをハンバーガー・ショップやコンビニで使っているポリスチレン・カップに変えたらどうかという提案があったとき、われわれはこれを退けた。スターバックスにとって重要なのは、コストを下げることだけでなく、一杯のコーヒーを楽しんでもらうことなのだ。コーヒーを入れる容器は、非常に大切だ。ペーパーカップの縁の感触も、真っ白なプラスチックに小さな穴のあいた持ち帰り用の「トラベラーリッド(蓋)」も大切なのだ。妥協するわけにはいかない。
さらに重要なのは、スターバックス・ブランドの本質を読み解くことによって、いかに魅力的に見えるチャンスでもスターバックス発展のコンセプトに合致しないものには手を出さない、という原則ができたことだろう。
「バーガー・ショップは客の腹を満たす。いいコーヒーハウスは魂を満たす」
■優れたブランドは優れたモノを超える
効果的なブランド構築のためには、人間に深く根ざす感情と文化を正面からきちんととらえる努力が必要だ。人生という名の広大で複雑な環境の中で確固たる地位を築いているブランドは、意味のある差別化ができている。優れたブランドは、消費者の物質的ニーズと情緒的ニーズをともに尊重することの重要性を理解している。広範な消費者と情緒的きずなを作り上げたとしても、失敗や判断ミスがなくなるわけではない。反感は、たとえそれが小さなセグメント内の現象であったとしても、共感と同等か、それ以上の影響力を持つものだ。
最近では大企業に対するメディアの監視がますます厳しくなったおかげで、小さなミスも大きな問題になりかねない。何年もかかってやっと築いた信頼のきずなが一瞬にして崩れ去ることだってありうるのだ。いまよい関係を築けているのなら、その相手を大切にすることだ。そして、愛憎は紙一重だということを忘れないように。
どんなマーケティング手段を使おうと三大ネットワークのテレビコマーシャルであろうと、ラジオのスポットCMであろうと、自前のウェブサイトであろうと、電柱の貼紙であろう企業が顧客に提供できる最もパワフルで最も永続的なものは情緒的利益だ。物質的利益は商取引から当然に発生するものではあるが、それ自体は、どれほど優れた商品であっても、単なるモノでしかない。
優れたブランドは、優れたモノを超越する。優れたブランドは、人間や場所や商品やサービスに対する時を超えた探求を大切にする。意識するかどうかは別として、われわれは思考を刺激す経験、心を揺さぶる経験、成長を促す経験、人生を何らかの形で豊かにする経験を求めている。可能なかぎり、ブランドをそうしたプロセスの一部にしていく努力が必要だ。
1自社ブランドのDNAを探り、商品やサービス・カテゴリーの内部および周辺に存在する中核価値や経験品質を把握すること。自社ブランドの時代を超えたメッセージは何か?
2この基本的理解にもとづいて、成長戦略(商品、サービス、市場の拡大)を選択する。戦略はブランドを希釈したり断片化したりするものではなく、ブランドから内発的に発展しブランドを強化するものでなければならない。ブランドを補完する商品やサービスがあれば、ブランドのより豊かなプレゼンテーションに役立つ。スターバックスでは、エスプレッソ・マシーン、カップ、ステンレス容器など実用的で美しいキッチン用品を販売している。ナイキは、時計やMP3プレーヤーを販売するようになった。どれも、アスリートを意識商品だ。もちろん、スポーツブラも毎年新しいモデルを発表している。
3どんなビジネスでも、優れた商品とサービスがまず基本だ。そうした基本を押さえたうえで、優れたブランドは、顧客の情緒的ニーズに対応することをめざす。
コーヒーショップへやってくる客は、少し元気になりたい、少し休憩したい、と思っている。どちらにしても、いい音楽は店での経験を一層好ましいものにするはずだ。また、コーヒーハウスは、社交のニーズを満たす場でもある。スターバックスは、ほんの数分でも、立ち寄った人が気持ちのよい時間を過ごせるように努力している(わたし自身は、スターバックスを「肉体と魂を満たすエネルギー企業」と考えたい)。自社の商品やサービスが物質的・情緒的にどのような利益を提供できるかを明確にすることが大切だ。ブランド環境保護の観点からは、情緒面の蓄積が非常に大切だ。しかし何よりも、優れた商品・サービスこそがブランディングを高いレベルに引き上げ、顧客とより深く情緒的な関係を築く原動力になることを忘れてはならない。商品から目をそらさないように。
コスト削減策を考えるときは、顧客の視覚、触覚、嗅覚、聴覚に触れにくい部分から手をつけること。そして何よりも、顧客との接点すべてにおいて同一レベルを保つこと。最も弱い部分(トイレ)がすなわち実力なのだ。
■創造的能力を引き出すブリーフの極意は、三点。
1簡潔に―2ページ以内に。できれば1ページに。
2きっちりと―ビジネス(またはカテゴリー)およびブランドの現在地と目的地を明示する
3ゆるやかに―やり方は現場に任せる
■ブランドを支える七つの価値
1シンプルであること
2気長であること
3適切であること
4利用しやすいこと
5人間的であること
6広範に露出すること
7革新的であること -
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本来なら国のリーダーは、「私はこれが正解だと思うからこれを実行する。その代わり、間違えたら責任をとる」と国民に宣言するべきなのです。
(引用)社長がブランディングを知れば、会社が変わる! 付加価値の法則、著者:関野吉記、発行所:株式会社プレジデント社、2021年、59
新型コロナ感染症の最初の患者が中国の武漢で原因不明の肺炎を発症した2019年12月から、早2年半という月日が経過した。未だ終息が見えない新型コロナウイルス感染拡大は、世界を一変させた。新型コロナウイルスの蔓延とともに、50歳を過ぎた私は、自分の新人時代と比較し、働き方やトップの考え方、そして企業のあり方を変えていかないと肌で感じている。つまり、リモートワークを導入する企業が増加しているが、コミュニケーションが不足する中、これからの働き方とはどのようなものか。また、新たな環境下において、どのようにイノベーションを起こし、企業を創造していくのか。その解を模索すべく、株式会社イマジナの代表取締役社長であり、最近では地方自治体や伝統工芸にまで活躍の場を広げるブランドコンサルティングの第一人者、関野吉記氏の「付加価値の法則(株式会社プレジデント社、2021年)を拝読させていただくことにした。
著者の関野氏は、コロナ禍における世界の変容に対して、「ブランディング」という切り口で新たな時代の企業戦略を提案する。大学時代、私はマーケティングを学んできたが、「ブランディング」とは、言うまでもなく、その企業の商品やサービス、そして企業自体に対する消費者のイメージを高め、他社と差別化を図る戦略のことである。トヨタは、従来のブランドから脱して、新たに高級・革新的なレクサスブランドを立ち上げた。では、なぜ、いま「ブランディング」なのだろうか。
一気に読み終えた感想として、本書は、社長向けに書かれた書籍であるが、企業や自治体の管理職が読んでも大いに役に立つ内容だと感じた。そして、この書籍は、単なるブランド戦略のものではないと気付かされる。なぜかというと、ブランドには社内に向けた「インナーブランディング」と、社外に向けて行う「アウターブランディング」がある。インナーブランディングといえば、本書でも稲盛和夫氏のエピソードなどが登場するが、稲盛流に言えばフィロソフィー(哲学)、つまり企業の「ビジョン」「ミッション」「バリュー」を構築し、社内に浸透させることが重要であると感じた。と同時に、全員が創業の原点に立ち返ったうえで、時代と社会に沿っていることが大切であると関野氏は指摘していたことは、同感であった。
時代に即したというのは、コロナ禍において、従来のように、会議室に集まり、「声の大きい」社員の意見が通る時代は、終焉を迎えつつある。かつて私は、小学校の授業参観に訪れた際、ある先生から次のようなことを伺った。「今までは、手を挙げる子の意見で授業が進んでいました。しかし、一人1台のタブレット端末が導入されたことにより、瞬時にクラス全員の児童の意見が端末上に出てきます。これにより、手を挙げられなかった子たちの意見も把握することができて、より子どもたちの理解力を知ることができるようになりました」。
リモートワークも学校と同様であり、ただ「声の大きい」社員ではなく、「自ら価値を生まない」社員は、要らなくなる。
冒頭、リーダーのあるべき姿を引用した。失敗を恐れ、支持率が下がることばかり考えていれば、政権はもたない。コミュニケーションが取りづらく、大きな転換期を迎えた現代においては、トップの内外に向けた説明責任が重要になってくるのではないだろうか。そのためには、「ブランディング」を用い、「付加価値」作りを目指しながら、企業や自治体を進化させていく。本書の後半には、具体的なビジョンマップの作成手順も紹介されている。私は、本書にも登場する大前研一氏が指摘するように、「自分が社長であれば、この先どのように事業展開するか」といったことを踏まえながらビジョンを構築していきたいと思う。関野氏の書籍を拝読し、これからの時代は、「ブランディング」、そして「付加価値」づくりを意識した経営が求められるのだということを理解した。そして私は、日々の仕事でおざなりになりがちなブランディングについて、自社や自治体の“未来への投資”だと意識することから実践していこうと感じた。