森川智喜のレビュー一覧
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ネタバレいわゆる"読者への挑戦"もの。バラエティに富んだ様々なパターンの作品に触れられて面白い。
ただし、
・「少女」殺人事件
大学2年生の中国人留学生がトイレの貼り紙「うんこが流れません」を読めない、というのは納得がいかない。「won't flush」レベルがわからずにどうやって日本で生活するんだ。
また、ミステリの十戒が推理に多大に影響するなら十戒を書いておくのが筋でしょう。ミステリってそういう内輪ネタを公然と出してくるところあるよなぁ。
「必要な情報は全て読者に提示され」じゃないのか。
「アンフェアな描写も目立つ。2点。」ということか。 -
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『そのナイフでは殺せない』は、不思議な力を持つナイフを巡り、異なる信念を持つ二人の主人公が交錯する、スリリングなノワール・ミステリです。若き映画監督とシングルマザーの警部という対照的なキャラクターを通じて、物語は狂気と正義、破壊と秩序といったテーマを深く掘り下げていきます。
魅力的なキャラクターと緊張感のある物語
若き映画監督は、不思議なナイフを手に入れたことで、道徳観を見失い、殺人に手を染めます。その行動は冷徹かつ緻密でありながらも、いつしか狂気に満ちていきます。彼がなぜその道を選んだのか、その背景にある心の闇や不思議な力を手に入れた事による万能感により壊れていく過程は、読者の興味を強く引きつけます。
一方、シングルマザーの警部は、家庭と仕事の板挟みの中、正義感ゆえに孤立しながらも事件に立ち向かいます。彼女の葛藤や不器用ながらも強い意志が、現実感のあるヒューマンドラマとして物語を支える一方で、強すぎる正義感により暴走を始めます。二人の対立は、単なる善悪の対比ではなく、どちらが正しいのか、あるいはどちらも壊れていくのかという救いの無い緊張感を最後まで保っています。
ノワール・ミステリとファンタジーの融合
本作は、ミステリの要素に加えて、ノワール特有の人間の闇を描いています。特に、ナイフの「不思議な力」が現実と非現実の境界を曖昧にすることで、物語全体に独特の緊張感と不安定さを与えています。
また、結末に向けての展開は、読者の予想をことごとく裏切る巧妙さに驚かされます。
正義とは何か、狂気とは何か、そして人間の壊れやすさを問いかける物語は、単なるエンターテインメントにとどまりません。ノワールやミステリ好きの人におすすめの一冊です。 -
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ネタバレこの作者の作品、三途川探偵シリーズが面白くて、斜め上を行く話の印象だったので、書店で見かけて購入。
探偵もの…そしてオカルト…とワクワクしていたけれど、7割くらいで「なーんだ…そんなオチか」とオチが物足りずがっかり。しかしじゃあ残りの3割なにが書かれてるんだ?と思ったら衝撃の裏話が。
確かに序盤から違和感は感じていて、でもわからずにいた…その正体がわかり、ぞぞっとします。
ただこの正体がね…ホラー的なのならいいんだけど、私の苦手分野だった…ちょっと気持ちがしんどい…
読んだあと「騙されたー」って驚き半分、不快感半分かな。
最後の最後、ギャフンと言わせたくなったけど。
それは置いといて、死生観についてはとても共感出来た(父の方)。娘の方はちょっと違うんでないのと思うけど。
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ネタバレ● 感想
天使を登場させ、「言語混乱」という奇跡による特殊世界で、密室殺人事件を取り扱っている。緋山と三途川という二人の探偵が登場するが、推理合戦、多重解決があるのではなく、協力して未知なる言語、シムニャゼク語の翻訳をしたり、リルーレ語の解読をしようとする。特殊な印象のミステリである。
特に、言語に関する緋山の見解は読みごたえもある。一方で発生する密室殺人がいただけない。トリックは窓からロープを垂らしたというもの。ロープを張るためにラジコンを使ったという仕掛けはあるが、これはチープなトリック。犯人は自白し、緋山に誤った推理をさせ、殺害しようとした三途川の方が墜落するというオチ
面白くなりそうと感じさせる要素はあっただけに、密室トリックのチープさと、終盤の展開の早さにより竜頭蛇尾感が否めない。
「言語混乱」の奇跡を活かすには、もうちょっと重厚なミステリであった方が読み応えがあったように思う。惜しい作品である。★3で。
● メモ
椿という引退した起業家が、偶然、天使を目撃したために、「言語混乱」という奇跡によって、シムニャゼク語しか理解できなくなる。その原因等の捜査が、緋山燃と三途川に依頼される。
三途川がリードする形で、シムニャゼク語の解読を始めるが、「空、子ども」という言葉の翻訳ができた段階で、天使の手により、三途川にも「言語混乱」の奇跡を与える。三途川の言語の一部がリルーレ語になる。
そんな中、東浦という使用人が殺害される。東浦は、3つの点「∴」というダイイングメッセージを残す。この殺人事件、ダイイングメッセージの推理では、東浦が、未知なる言葉を使い始めていたという仮定での推理も行う。…実際は、天使達は「言語混乱」の奇跡を使っていないのだが。
東浦殺害の容疑者は20歳前後の男性の花谷とその一回りくらい年上に見える女性の塚越。外部犯の可能性は低い。
緋山は三途川との捜査の中で「レロリャ」という単語の意味が分からなくて悩む。緋山と三途川は、名詞や動詞を利用した、幼児でも共有できる話しかできない。
花谷と塚越の事情聴取を終え、緋山の推理。緋山は「言語混乱」が起こった場合の推理をするが、実際は「言語混乱」は起こっていないので無駄だった。
そんな中、緋山は、タマゴとチキン、ミルクティーといったものから「レロリャ」の意味を紐解く。「レロリャ」は不可逆性を示す言葉だと考える。
東山は密室で死んでいたが、緋山は窓からロープを垂らし、忍び込んだのではないかと推理する。建物の作りから、これを実現するには、ラジコンが必要
三途川は、ラジコンを持っていた。「∴」は三途川の三を表しているともいえる。
ここで、花谷が自分が犯人だと自白。三途川は緋山に間違った推理をさせ、さらに緋山を墜落死させるために、一芝居うち、結果、自分自身が墜落する。
小さな奇跡、「言語混乱」は1週間程度で効果が切れるという。
天使達は、「∴」はハナタニと書こうとした跡ではないかと推理して地上を去る。
天使ユニカル
語り手の天使
天使セネアル
血のように赤い髪の天使
天使ヒャヒャテル
骨のように白い肌の天使。ヒャヒャテルの「天使の愛」が足りなくなったことから、天使3人は地上に足止めされた。
椿
天使を目撃したことから、「言語混乱」の奇跡によりシムニャゼク語しか話せなくなる。
水島
使用人のリーダー。緋山燃に、椿が言語を解さなくなった事件の捜査を依頼する。
東浦
に、椿が言語を解さなくなった事件の捜査を依頼する。
緋山燃
探偵
三途川理
探偵 -
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ネタバレ【収録作品】道尾秀介「眠らない刑事と犬」/大山誠一郎「カラマーゾフの毒」/芦沢央「アイランドキッチン」/方丈貴恵「影を喰うもの」/浅倉秋成「糸の人を探して」/森川智喜「フーダニット・リセプション」
「眠らない刑事と犬」『N』所収。ペット探偵に犯行現場からいなくなった犬探しを依頼する刑事。母親の気持ちがよくわかる。
「カラマーゾフの毒」 悪役俳優鹿養大介の安楽椅子探偵もの。『カラマーゾフの兄弟』に出てくるような一族で発生した毒殺事件。家政婦が見ている前で、どうやって犯人は被害者に毒を盛ったのか。解説によると、シリーズが完結したので、来年単行本になるそうだ。
「アイランドキッチン」 引退後家を買おうと思いついた元刑事。不動産屋で紹介された物件に過去の事件現場があったことで、当時を思い出す。いやいや妻に相談もせず思いつきで家を買おうとは。それで妻孝行する気分になっているところが情けない。このおじさん本気かよ、へたすると離婚案件になっちゃうな、と別のところで気が揉める。まあ伏線なんだけど。もう一組の勘違い夫に妻はいつまで我慢できるかな。それにしても過去の事件がつらく、後味は良くない。大きな声で自信ありげに繰り返されると信じてしまう。コマーシャルならまだいいけれど、誹謗中傷はきついな。ないことを証明するのは無理だもの。「いい」人ほど生きづらいわけだ。この元刑事を主人公とする連作のアイディアがあるそうだ。
「影を喰うもの」 生き物の影を喰い、その生命を奪う影魚。それに喰いつかれたのは友人か愛犬かをロジックで解き明かす。特殊設定ものながらロジカル。そしてオチは予想がつくがやはりシュール。
「糸の人を探して」 自分を見初めたという相手を合コン相手から探す恋愛経験ゼロの主人公。コミカル。
「フーダニット・リセプション」 犯人当て推理小説の解決編にコーヒーをこぼして読めなくした高校生が、虫食いになった原稿を穴埋めする。論理パズルだと思えば面白いが、コーヒーをこぼした女子高生のキャラが苦手というか不快で斜め読みしてしまった。