フランク・ミラーのレビュー一覧
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「バットマン・ダークナイト・ストライク・アゲイン」の時、レックス・ルーサーとの激闘の後でブルース・ウェインは、キャリー・ケリーにバットマンの仕事を譲って隠居状態にあった。だが宇宙怪人ブレニアックが、ボトルの中に収縮して収納したクリプトンの街の人々に異変が起きた。クリプトン人は、これ以上収縮した状態に耐えられなくなっていた。アトムは、クリプトン人をボトルから出して元の大きさに戻すが、科学力で劣る地球人をクリプトン人は支配しようとする。ブルース・ウェインは、南極のアジトで氷漬けになっていたスーパーマンを復活させ助けを頼む。スーパーマンとワンダーウーマンの娘ラーラが、クリプトン人に味方した。両者の戦いは、混迷の世界に波紋を呼ぶ。
「バットマン・ダークナイト・リターンズ」「バットマン・ダークナイト・ストライク・アゲイン」に続く「ダークナイト・ユニバース」第3作。
今回は、トランプ政権でレイシズムが過激化する世相を風刺し、クラークとラーラそしてブルース・ウェインとクラークの対立と和解そしてクリプトン人とスーパーヒーローの戦いを通して、文化や人種が異なるもの同士が理解し合うことの難しさと理解し合える可能性と希望を描いていて、フランク・ミラーがレイシズムに走る若者に届けたいメッセージが色濃くある傑作グラフィックノベル。 -
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「バットマン・ダークナイト・リターンズ」
悪徳と退廃の街ゴッサムシティから、闇の騎士バットマンが、消えて10年。55歳のブルース・ウェインは、己の魂の呼びかけに突き動かされるように、ついに復活を決意する。ゴッサムシティにはびこるギャング団ミュータントを倒し、自分の部下にし、バットマンに憧れて弟子入りしたキャリー・ケリーを相棒に、整形手術に成功するも邪悪な本性をむき出しにするトゥーフェイス、アーカム精神病院に収容され廃人寸前になっていたがバットマンと最後の対決をするべく脱獄をするジョーカー、政府に雇われて工作員に成り下がっているスーパーマンと戦う。東西冷戦の混迷の中、バットマンの復活は、様々な波紋を投げかける。
老いてなお、孤高なる戦いを続けるバットマンの姿を通して、正義、信念、男の生き様をハードボイルドに描いた名作グラフィックノベル。
老いてなお犯罪への憎しみに取り憑かれ自分の信念を貫くために、身体がボロボロになりながらも、偽善的なマスコミに非難され体制に逆らいながら貫くバットマンは、孤高のサムライを思わせる美学を感じて、心奮わせるものがあります。
ブルース・ウェインとキャリー・ケリーとの疑似親子的な師弟関係、バットマンが街のギャングを教え導き「バットマンの息子」という自警団グループを結成してゴッサムの混乱を沈めたり、犯罪者の人権ばかり大事にするマスコミや政府に対するフランク・ミラーの反感や社会に対するメッセージ性も濃く、ベインのようなゴツいミュータント団リーダーとのガチンコな肉弾戦や最狂のジョーカーや特殊アーマーを装着して挑むスーパーマンとのバトルなどスーパーヒーローとヴィラン同士またはスーパーヒーロー同士のバトル、このグラフィックノベルは、クリストファー・ノーラン監督版やザック・スナイダー監督版バットマンに大きな影響を与えました。
「バットマン・ダークナイト・ストライクス・アゲイン」
「バットマン・ダークナイト・リターンズ」のラストで、スーパーマンとの対決の後、死んだと見せかけ地下に潜伏したブルース・ウェインは、新しくロビンとなったキャリー・ケリーをリーダーにした「バットボーイズ」を結成するために基地や装備や訓練の準備に入った。それから数年後、レックス・ルーサーが、アメリカの実権を握り、スーパーマンやキャプテン・マーベルやワンダーウーマンを大事なものを人質にしてコントロールしていた。ブルース・ウェインは、潜伏していたグリーン・ランタンやフラッシュと再会し、ルーサーに縛られコントロールされているスーパーマンやキャプテン・マーベルやワンダーウーマンを解き放ち、腐敗したアメリカを立て直すために、ルーサーに立ち向かう。だがさらなる強敵が、立ち塞がる。
「バットマン・ダークナイト・リターンズ」に続く「ダークナイト・ユニバース」第2作。
犯罪への憎しみと妄執を鉄の信念に変え、ジョーカーなどのヴィランだけでなく警察や政府に立ち向かうバットマンの戦いをハードボイルドに描く作風は変わらないけど、バットマンを中心にグリーン・ランタンやフラッシュやワンダーウーマンなどが結集してルーサーに立ち向かう展開は、「「ダークナイト・リターンズ」の影響でハードになり過ぎたヒーローコミックにスーパーヒーローへの憧れや楽しさを取り戻したかった」というフランク・ミラーのインタビュー通りのスーパーヒーローの活躍を見る楽しさに溢れている傑作グラフィックノベル。 -
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アメコミ界の古典中の古典と言われる『ダークナイト・リターンズ』は、マンネリ化していたバットマンに「ダークナイト」という位置づけを与え、そして再生させた記念碑的作品と言われている。
で、機会があったので読んでみた。これは確かに傑作中の傑作。衰えたバットマンが無秩序状態のゴッサム・シティに業を煮やして大復活、すると彼の宿敵だったジョーカーも復活。アメリカとソ連は核戦争が勃発し、スーパーマンは暴走的に自警を続けるバットマンとの戦いに駆り出され……と、とにかく圧倒的スケールで物語が進んでいく。
人間の本性は変わらないよね、という作者のテーマ設定が面白く、トゥーフェイスやジョーカーを「治療した」と嘯く精神科医の愚かしさから、己の道を貫くためならスーパーマンとでも殴り合うバットマンのぶれなさなど、キャラクターの逞しさ(強さ)が読んでいてとても気持ちいい。ジョーカーのジョーカーらしさも。あのテレビ番組で皆殺しを宣言するところとか最高だった。
フランク・ミラーのアメコミの特徴なのか、小さなコマが並ぶ構成は、日本の漫画を読みなれていたら辛いかもしれないけれども、バットマンが復活するあたりでもう気にならなくなる。そして、ちゃんと見せ場は大ゴマを使ってくれる大サービス。馬に乗って、文字通りの「ダークナイト」になったバットマンの姿とか、素晴らしいアートワークだと思う。
読んでて思ったのは、1986年というレーガン政権下の不況やチェルノブイリ原発事故などが、いろいろ反映されたものになっているなぁと思った。これをもう一歩進めると『ウォッチメン』になるのかな。個人的には、あの閉塞感に満ちた時代よりも、さまざまな価値観がせめぎあい、道を見失ってしまった現在のほうが、この物語を読む価値を押し上げていると思う。
あと、ロビンが女の子になってて可愛い(ビジュアルは性別不明的だけれど) -
Posted by ブクログ
ダークナイトの映画版が大好きなのでいつか読みたいと思っていました。
老いたバットマンことブルース・ウェインの物語。
ダークナイト・ライジングではクリスチャン・ベイルがあまりに若々しくて伝わり辛かったけど、老いたヒーローを描いた映画だったのだと改めて気づかされました。
日本のマンガと違って独特のテンポがあるのがアメコミというのは理解していましたが、今まで読んだことある物と比較しても行間に色々な情報があったり、物語を理解するためにはそれなりのリテラシーが必要な作品でした。
特にこの作品が発表された頃の時代背景を調べて読み直すとその膨大な情報量に圧倒される気がします。
ただ、個人的にミミズが這ったようなタッチは苦手ですね~。
話が進めば進むほどサイケ感というか、手抜きなのかアートなのかどう受け止めて良いのか迷うキャラクターが多くて、う~む。
最近の力があるタッチのアメコミが好きなのでそこは最後まで慣れなかったです。
映画ダークナイトだけでなく、バットマンvsスーパーマンにも繋がるこの作品。
読んでみて良かったです。
一気に読むと頭がくらくらするので、また折に触れて読み返したいと思います。 -
Posted by ブクログ
バットマン引退から10年。
しかし、ゴッサムシティから犯罪が無くなったわけではなく。
カーレースや酒で焦燥感を誤魔化す老いたブルース・ウェイン。
しかし、胸の中にはまだ戦士の魂は燃え続けており。
そして、闇の騎士は帰還した。
犯罪者に、犯罪と戦うことを禁じた政府に、そしてアメリカの「象徴」に
その荒ぶる魂をぶつけるために。
老バットマンの戦いを描く名作「ダークナイト・リターンズ」、
そしてそのアナーキーな続編「ダークナイト・ストライクス・アゲイン」を
1冊に纏めた合本。
バットマンの終末を描くことで現在のバットマン像を作り上げた
「ダークナイト・リターンズ」だけでも読んで欲しい1冊。 -
Posted by ブクログ
バットマンの中でも特異なシリーズである「バットマン:ダークナイト」の15年ぶりの最新第3作(第1作はアメコミ史に残る名作であるとともに、ノーラン版映画の元ネタのひとつとしても有名)。
シリーズが通して問うのは、結局のところ自警団的な存在でしかないアメコミヒーローが、現代においてどう存在意義を見出すことができるのか、という問題。だから、86年の第1作は冷戦下で、01年の第2作は911のような混沌状況で、年老いて引退したブルース・ウェインが時代錯誤・狂人と呼ばれながらも老体に鞭打ってバットマンとして立ち上がる。
今作も、現代の状況を反映してオバマやトランプを彷彿とさせるキャラクターが出てきたり、バットマンも三たび復活したりとシリーズを受け継いではいる。しかし、スーパーマン、ワンダーウーマン、そして2人の娘ラーラが物語の中心となり、敵もスーパーマンと同じクリプトン星人になってしまったことからバットマン活躍の機会もへってしまった。このめ前2作のようにヒーローの存在意義を現代の中に位置づける試みは後景に退いてしまった。その意味では、前2作には及ばなかったと思う。
第4作も構想されているようだけど、過去作のような到達点に行けるんだろうか、ちょっと心配ではある。