広瀬友紀のレビュー一覧
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幼いヒトが母語を獲得し、母語話者となるまでに起こる様々なことについて触れられた本。
「ちいさい言語学者の冒険」ってうまいタイトルだなあと思う。言語「学」って聞くとハードルが上がってしまうような感覚を覚えるけれど、母語を獲得していく過程の子どもたちの試行錯誤は言語学そのものの探求に他ならないし、それは「学習」「研究」というよりは「冒険」に近い。未知の世界の手触りを自分で確かめときに導かれながら切り拓いていく冒険そのもの。
文字と音声が結びつく前の段階だからこその子どもの発想が興味深かった。ひとつの単語の中で子音を入れ替えてしまうタイプの言い間違え(「ねずみ」のzとmを入れ替えて「ねむじ」と言い間 -
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自分に子どもいなしい、楽しめるかなあと思いつつ読んでみましたが、具体例を知らなくても「ありそう!」「いや、むしろそうなるわ〜」が多くてめちゃくちゃ楽しめました。電車で楽しみ過ぎて乗り過ごしを久しぶりにやらかしたくらいに夢中で読む章もありました。
ワタシ自身、子どもの頃に「外国」イコール「アメリカ」だと思ってたことを思い出しました。また、逆に?大人になってから、うちの猫(賢い!)のことを語るときには「うちのネコのヒト」って言ったりしてる。母も、犬を飼ってた頃には、よその犬を「犬」と「よその◯◯(飼ってる犬の名前)」てわ呼び分けてました。
実例、あるやん…(笑) -
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ネタバレ自分の当たり前に使っている言葉、それを自在に扱えるようになるまでにどういう旅路があるのか知ることができる1冊。
犬でも猫でも車でも「わんわん」と呼んでしまう最初の状態「過剰な一般化」からの修正をどのように進めていくのか、ちいさい言語学者がトライアンドエラーで進めていく姿はとても可愛く、時にはっとさせられる。
子供が言葉を覚えていく過程で、大人は下手に口出しをしなくても子供は自分で探求して正しい言葉遣いを身に付けていくことができる、という話は知れてよかった。
あと印象に残っているのは、「っ」 をどうやって発音するのか外国人に聞いた結果
「次の音のスタンバイをしながら、1拍おいている」という -
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言語学に関する内容です。タイトルにもあるように、著者の子どもの言い間違いや書き間違いの事例から、人間がどのように言葉を認識しているのかを紐解こうとするものです。
言語学に関する本は何冊か読んだことがありますが、ダントツで読みやすいと感じました。この手の本ですが、事例説明→実際の例の提示がひたすらに続き、読んでいて情報量がパンクしてしまうことが多々あります。(こういったことがあります→実際の例がこちらです の流れが延々と続く)
この本はそれが適切なスピード感で行われていますし、実際に子供の間違いをベースにして説明がなされるので、こういったこと確かにあったよねとイメージがとてもしやすいと思います -
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ネタバレ『「超常現象」を本気で科学する』(石川幹人)を読んでいた時に【認知科学】の文字が出現。
何だこれはと思って関連書探しヒットした『子どもに学ぶ言葉の認知科学 』(広瀬友紀)。
ホラー&オカルトとは一切関係がないものをチョイスしました。
【認知科学】とは「人間の知覚・記憶・思考などの知的機能を司るしくみに迫る研究分野」で、
心理学、言語学、計算機科学、芸術学などさまざまな視点からのアプローチが含まれるそうです。
「科学」と聞くとフラスコと試験管使って薬品グツグツ…とイメージしてしまうのですが、
調べてみたら「一定の目的・方法の下でさまざまな事象を研究する認識活動、およびそこからの体系的 -
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算数の時代から、立派な苦手意識があった。
それがなぜなのか知りたいと思い、本書を手に取る。
本書の途中で、著者の広瀬さん自身も同じような動機でこの研究を始めたとあり、すこしうれしくなる。
さて、著者は心理言語学者。
こどもの言語獲得がご専門。
本書は、ことばと算数の力の共通する部分と、逆にことばのありかたが算数の理解に混乱をきたしてしまうところなどを、実例に即しながら提示していく。
まず、テストに添えられた図像をどう解釈するか。
子どもの中には、文章題の中の人物の立場に自分を置き換えられなかったために誤答してしまうこともあるらしい。
あるいは、どこを「上」と捉えるかが、大人が「当たり前」だ