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「かける数とかけられる数,どっちがどっち?」「マイナスのマイナスは…とってもマイナス?」──混乱するのは子どもだけとは限らない.ことばのしくみに原因があることも.『ちいさい言語学者の冒険』で子どもの言語習得の旅を案内した言語学者が,小学生の宿題やテストの間違いを通して,意外に深いことばと算数の関係にせまる.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.
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Posted by ブクログ
算数の時代から、立派な苦手意識があった。
それがなぜなのか知りたいと思い、本書を手に取る。
本書の途中で、著者の広瀬さん自身も同じような動機でこの研究を始めたとあり、すこしうれしくなる。
さて、著者は心理言語学者。
こどもの言語獲得がご専門。
本書は、ことばと算数の力の共通する部分と、逆にことばのありかたが算数の理解に混乱をきたしてしまうところなどを、実例に即しながら提示していく。
まず、テストに添えられた図像をどう解釈するか。
子どもの中には、文章題の中の人物の立場に自分を置き換えられなかったために誤答してしまうこともあるらしい。
あるいは、どこを「上」と捉えるかが、大人が「当たり前」だと思っているものとは違うことがある。
最初、私もなぜそんな答えが出てくるのかわからないのだが、解説を読んで、そんな理解の仕方があるのか、と膝を打つ。
階層構造の中でどう認知されやすいかと、四則演算のルールが抵触してしまう?
かける数とかけられる数。
3×5なら、3がかけられる数、5がかける数。
ところが、日本語では「3」をかける数と理解できなくもない。
むしろ言語感覚が鋭いこどもの方がドツボにはまることがある。
マイナスの数をひくと、もっとマイナスになる、という考え方。
このことは二重否定の文への理解に似ている部分があるらしい。
「すべてある」(肯定強調)という意味にも、「ないといったらないのだ」(否定強調)の意味にもとれるという、あれだ。
ある年齢まで、肯定強調として理解することが難しいという研究結果があるそうだ。
その難しさと重なるのか、と思うと、ちょっと納得する。
最終章は、こどもが計算のルールを身につけるに至るまでの推論の誤りを分析したもの。
ことばを獲得する上で、過剰一般化など推論の誤りをしながら、それでも時期が来ればきちんとルールを身につけていく。
そう思えば、計算も、ある程度は時期が来ればなんとかなるものなのかもしれないな、とふと思ったりもした。
(ただ、そのまま修正されないで大学生になってしまったようなケースを見聞きするのではあるけれど。)
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