氏原英明のレビュー一覧
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全国高校野球大会、つまり甲子園大会を一人
で投げ抜いて母校を優勝に導いた投手は複数
います。
しかし現代では、もうそういう投手は現れな
いでしょう。
当然です。
投球数制限などを設けて、酷使を防ぐ仕組み
づくりなどがなされているのはご存知と思い
ます。
しかし、それでも「甲子園で勝つ」という魅
力に取り憑かれている関係者がいる限りは、
甲子園で燃え尽きてしまう選手はいなくなら
ないと著者は言います。
しかし、そんな風潮に風穴を開ける胎動とも
いうべきエピソードが起こりました。
2019年夏、岩手県地方大会で決勝戦の登板
を回避した佐々木朗希選手です。
彼の2021年のロッテでの活 -
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「甲子園至上主義」の高校野球に対して,もっと高校生らしい野球,部活動,ひいては若者の育成を行うよう,警鐘を鳴らすルポ。けっして甲子園で身体を壊した悲劇のヒーローに焦点を当てるだけではなく,現代にふさわしい監督の指導方法とは何か,文武両立に対する高校生の取り組み方はどんなものか,著者は,複数の事例を挙げながら,提唱する。
第1章では,2013年に木更津総合高校のエースだった千葉投手を紹介。高校生のがむしゃらさを止められるだけの大人の意見や環境づくりの必要性を訴えかける。千葉投手の「異常な」投球は,ネット動画にもアップロードされているので,それを見ながら本章を読むと,問題の大きさを把握しやすい -
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日本の高校野球は、甲子園で戦うという目標が大きく魅力的であり過ぎるがゆえに、多くの問題点を抱えていると筆者は主張する。
本書で取り上げられている問題点は、「特に投手の酷使による故障」「高校生のうちに結果を求める育成方法」「少し活躍すると、選手をもてはやすメディア」「目先の結果を求め、また、専門的な知識を持たないまま指導する指導者」「勝利至上主義で楽しさのない野球部」「学業や学校活動との関係」「個性が発揮できているのか」等である。
これらは、高校野球を論じる際には、ほぼ必ず出てくる論点であり、筆者によるオリジナルな視点はない。また、「甲子園の魅力と魔力を知り尽くしたジャーナリストによる甲子園改革 -
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前作に続けて、高校野球の問題点と変革への動きが色々指摘されています。
金属バットの弊害、そしてトーナメント戦の弊害が特に興味深く読みました。
金属バットは、当たりそこねでもヒットになりやすいので投手の負担が大きい事、また打者も上のレベルで苦労しがちになります。
トーナメント戦は観客にとっては面白いのですが、監督や選手達にとっては害が大きいです。必ず勝たないといけないため、いつも同じメンバーになりがちで故障でも休めない、補欠だとやる気がなくなりがちになります。
改革への動きとしては、木製バットやリーグ戦の導入が始まっています。
日本高野連の動きはいつも鈍く、新潟などの地方や、大阪府立などの公立 -
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タイトル、目次に興味惹かれ購入。
近年甲子園、高校野球のあり方が問われている中で新たな動きを模索する人達が取り上げられ、それぞれの活動(リーグ戦形式、サッカーのクラブのようなシステムなど)は大変興味深く感じた。
一方でコロナ禍で大会が中止になる中、指導の仕方を見つめ直す監督の姿というのも、外からだけでなく中から変わろうとしてる部分が見られ、こういう視点が入っているのは良いなと思う。
最後に、日ハム1位指名の達投手の言動、姿勢を見ていると今後このような意識の球児は増えていくのだろうと感じる。その中で指導する側も知識のアップデートは欠かせないだろう。 -
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高校野球を取り巻く新しいムーブメント。長い歴史の分閉鎖的、保守的な世界に起こりつつある動きを伝える一冊。
2019年夏の岩手県の夏の高校野球決勝。大船渡高校のエース投手は登板せず試合に敗れる。監督とエースの選んだ目先の甲子園より将来の無限の可能性。衝撃だった。その投手はプロ入りし2年目の今年頭角を現しつつある。千葉ロッテの佐々木朗希である。
タイブレーク、球数制限、高校球児の定番丸坊主の廃止、トラックマンやラプソードなど科学的な測定機器による理論的指導など。
野球人口の大きく減少する中で変わろうとする高校野球界の現状、コロナ禍での大会中止も踏まえて丹念に描かれている。 -
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<目次>
第1章 新潟県高野連はなぜ、球数制限導入を決断したのか
第2章 「甲子園」に取り憑かれた鬼軍曹の改心
第3章 「プロでは大成しない」甲子園強豪校の代替わり
第4章 メジャー帰りのトレーナーと進学校がタッグを組んだ理由
第5章 激戦区の公立校から始まった「球数制限」と「リーグ戦」
第6章 丸坊主を廃止した二つの私学強豪校
第7章 サッカー界「育成のカリスマ」の試みから見えるもの
第8章 テクノロジーが、選手を強くする
<内容>
本書は、大船渡高校の佐々木郎希投手(現ロッテ)が、エースでありながら、夏の甲子園の決勝戦の登板を回避し、結果負けてしまって甲子園に行けなかった -
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高校野球ファンなので興味深く読みました。
甲子園での試合は素晴らしい事に異論はないですが、勝利至上主義、投手の酷使やメディアの騒ぎ過ぎなどには以前から疑問を持っていました。
本書を読んで、指導者やメディアを初めとした周りの大人たちのエゴから問題が引き起こされていると分かりました。
特に深刻なのは指導者の問題だと思います。本書での「プロ野球選手は経験が豊富で技術はあるけど、それは能力であって指導力ではない」「指導に関する基軸がないから日本の指導者は経験論でしか語る事ができない」という指摘は重要です。
日本では現役で活躍したアスリートをすぐに監督やコーチにしてしまうケースが野球以外にも多い -
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近年、甲子園への注目はすごいものがある。
地方大会でも、注目選手がいたり、好カードであればプロ野球並みに人が入る。
そんな中、今年注目の大船渡高校の佐々木朗希投手が、地方大会の決勝でマウンドに上がらなかったことが話題になった。学校にはなぜ投げさせなかったのかと抗議の電話があったようだ。
投げさせなかったのは、その4日前の4回戦で194球、前日の準決勝で129球投げたからに他ならない。
それだけの投球数を考えたら、翌日の決勝で投げさせるわけにはいかないだろう。疲労が重なりケガにつながるかもしれないからだ。
そんなことも分からず(分かっていながらかもしれないが)投げさせろと抗議の電話をする人たちに -
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最近、甲子園野球の闇の部分が注目されている。真夏の炎天下での試合、エース投手の過剰な投球数、指導者や学校の勝利最優先主義、高野連の選手軽視などなど。高校野球とはしょせん、部活動の一つのはずなのだが、そこに甲子園というものが存在していることで、青少年教育とはかけ離れた行為が介入し、周囲もそれを異常なことだと認めなくなっている。
ベテランの高校野球記者である著者は、こうした高校野球の裏を監督側、選手側からの取材を通して明らかにする。
甲子園での優勝を目指すという理由があれば、少々のことは許されてしまうし、選手がそれを受け入れてしまう高校野球は確かに問題だ。もはや宗教に近い。
が、そもそも野球