古田徹也のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
阪東橋近くの個人書店にて購入。
言語化ブーム(もう過ぎ去ったか?)、いわゆる事象や感情を自分の豊富な語彙によって説明できることが美徳とされている現代に対して、本当に全てに言葉を当てはめることが正義なのか疑問に思い言葉をテーマにする本を探していた際、購入。
中学生向けであったが、著者の数多くの著書をなぞるようにまとめられた内容は非常にわかりやすく、入門書として最適のように思えた。
「言葉とか要らなくない?」って時々耳にするが、やはりそれは普段言葉を介してコミュニケーションをとっていて言葉が無くなった一瞬を美しいと感じているだけで、それ以外の日常や思考の中で言葉は切っても切り離せないものだと再認識させられた。また、言葉は影で無くそこに存在するものという考えや、多義語を再解釈する会話や単語を選ぶことの尊さを学んだ。
又、言葉によって感じる障壁は、障壁が言葉に反映されているに過ぎないという考えも興味深かった。言葉は思考や会話だけで無く、目の前の人との関係性をも表現(障壁という形で)できるのが面白い。
また最後のページの本紹介、めちゃくちゃ価値あるページでした。 -
Posted by ブクログ
結局のところウィトゲンシュタインの『論考』って何が言いたいの?という結論の説明。所謂、「語りえないことについては、沈黙しなければならない」の"語りえないこと"は結局何の事なのか?から、彼の簡単な素姓と『論考』を執筆するに至った流れ、論理空間、アフォリズム的な文章故に多くの人達に誤った形で『論考』が解釈されている事、独我論、観念論、"世界の限界"についてなどが簡潔に書かれています。
勿論、この1冊だけではまだまだ『論考』を完全に理解するには程遠いと著者自身が言っていて、そもそも『論考』を読むにはそれなりの下地が必要で、その下地に当たる次に読むべき一冊を巻末で何冊か紹介してくれています。親切。
要するに、入口の手前~入口の一冊ですね。ご興味ある方は是非!(すばひび好きとか) -
Posted by ブクログ
100分de名著でウィトゲンシュタインを取り上げた古田徹也さんにより執筆されています。但し、100分de名著より6年前の2020年に出版された本です。「第一章 沈黙への軌跡ー前期」「第二章 世界を見渡す方法ー後期」「第三章 鼓舞する哲学」によって構成され、100分de名著とも構成は異なるわけですが、本書では、ウィトゲンシュタインの触媒的な力、「教師」としてもつ力が、私の印象に残りました。
「彼は、あらゆる物事...は多様な見方に開かれており、無数のアスペクトをもちうる、というアプリオリな主張を行っているわけではない。むしろ彼は「ゲーム」であれ何であれ、常に特定の物事を取り上げ、それに対する別の見方を実地で具体的に提示することに徹している。それによって、その特定の物事に対して思考が硬直している者が自身の「精神的痙攣」を解く手助けをすること、それが彼の目的なのだ。...そして、その病いに冒された者、「精神的痙攣」からの自己治癒を必要とする者とは、誰よりも彼自身のことである。」(p.231)
「彼は嵐吹き荒れるこの現実の世界から目を背け、ぼんやりとした「像」のうちに逃げ込もうとする者の足をとめ、勇気を奮うよう促す。そして、嵐に翻弄される者に呼びかけ、周囲をよく見渡すように...と励まし、再び歩き出すきっかけを与えるのである」(p.308)
きっと古田さんも励まされたのでしょう。「ぼんやりとした「像」のうちに逃げ込もうと」しがちな私も、時折ウィトゲンシュタインを読む必要がありそうだと思いました。 -
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哲学史入門シリーズの4巻目で、「倫理学」を取り上げた巻。「功利主義」「正義論」「徳倫理学」「ケアの倫理」を解説している。これまでの各巻同様、各章で編者の斎藤哲也氏が基礎知識と読みどころを紹介して、指南役の研究者にインタビューするという形式。個人的に興味を持って読んだのは、「功利主義」」と「正義論」。近年テック長者」などが語る「効果的功利主義」への流れも理解しやすい。また「ケアの倫理」は耳慣れない言葉だったが、倫理学を実践に移すにはこういう考え方のほうが有効かもしれないと思わせられた。入門書として、わかりやすく、全体像が把握できる。
【目次】
序章 倫理学に入門するとは何をすることなのか(古田徹也)
第1章 現代に生きる功利主義―誰もが幸福な社会を目指して(児玉聡)
第2章 義務論から正義論へ―カントからロールズ、ヌスバウムまで(神島裕子)
第3章 徳倫理学の復興―善い生き方をいかに実現するか(立花幸司)
第4章 なぜケアの倫理が必要なのか―「土台」を問い直すダイナミックな思想(岡野八代)
特別章 「地べた」から倫理を考える(ブレイディみかこ) -
Posted by ブクログ
我々の日常に嫌でもまとわりついてくる言葉についての哲学 日本ならではのオノマトペから、カタカナの乱用による何となく化、災害時にいきなり生まれてあっという間に浸透する言葉、さらには謝罪会見で繰り広げられるその場しのぎの常套句などなど たしかに、「ロックダウン」とか誰でも知ってる言葉になったなとか、よく言う「発言を撤回する」って一回口から出たものをどうやって「なかったこと」にするんだ?とか、「◯◯◯感」がやたら多くてそもそも何が言いたいのかわからなくなったりするよね… とかとかとか
で、的を得ているなと思ったのは、「そうやって適当な言葉のやり取りをノリで行っているとき、そもそも人はなにも考えていない」ということ
確かに、業界言葉やマーケティング用語全開でドヤ顔で話しているひとって、その界隈(出た!界隈!)にいない人には子守唄にしか聞こえないですよね
言葉選びのセンスを磨ける一冊です -
Posted by ブクログ
原著を丁寧にほぐし、比喩や表も織り交ぜながら、最大限わかりやすく説明してくれている。とはいえ十分に難しく、ある程度腹落ちして「わかった」と言える部分よりそうでない部分の方がかなり多い(おそらく、「わかった」と思えている部分すら錯覚に近いとは思う)。
それでも、非常に面白かった。全体の方向性としては、言葉を弄する人間にとって「哲学」が必要なものでありながらいかにそれ自体がいわば詭弁であるのか、といった方向性を指し示していたように思う。
「語りえないことについては、沈黙しなければならない」というキラーフレーズは一見して諦めや思考停止のようにも思えるが、全てを読み切ると、究極に根源的な、「存在」への力強い肯定の表れとして受け止められる。……という感想すら、まったく筋違いの解釈であったらどうしようと少しビクビクしてしまうが、少なくとも私にとってはどことなく勇気が湧いてくる読後感だった。 -
Posted by ブクログ
『哲学史入門4』を読みました。
今回は哲学史の中でも、倫理学史や心理学に近い内容が多く扱われているのが印象的でした。確かに哲学科は女性が少ないイメージがありますが、心理学科には女性が多い印象があり、その点とも重なる話だと感じました。
ケアの倫理の説明で出てきた「ハインツのジレンマ」は特に興味深く印象に残りました。また特別章では、2024年のイギリスの「今年の言葉」に「脳腐れ」が選ばれたことや、ユーザーのプロファイリングによってSNSが質の低い内容に偏っていく問題などにも触れられており、やや強い表現を使いながら現代社会への批評も展開されている点が印象的でした。 -
Posted by ブクログ
入門書として丁寧にウィトゲンシュタインの思想を解説してくれています。そもそもの内容がとても難解と思われますが、日本語を使っての説明で、読んでいる時はそういうことかと理解できた気がします。
また、思想だけではなく、生い立ちに関する記載も多くあり、本書を読む前は勝手な人物像を描いてましたが、人間味のある面を知ることができました。
解説について、思想の解説は前期と後期に分けて展開されており、ウィトゲンシュタインの遺稿も多く引用しながら、内容を解きほぐしていく感じで、丁寧な入門書という印象です。。(それでも思想の内容自体は凡人にはすぐには理解できないものですが)