古田徹也のレビュー一覧
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一冊まるまる、面白かった。
中でも、娘さんの奇妙な言葉遣いから、どうしてそのような言い方になるのか、大人はそうは言わないのかを、愛おしみながら探る話が幾つかあって、とても良かった。
コロナ禍における、イメージのしにくいカタカナ語の氾濫。けれど、単純に日本語に置き換えれば良いわけでもない、難しさ。
「自粛解除」のように、言葉の意味を考えるとおかしいことが、メディアを通してまかり通っていく。
言葉は思考の枠組みを決めている。
「発言を撤回する」ことが根付く社会では、コミュニケーションの在り方もまた、変化するだろう。
「言葉を哲学する」意味の、面白さと不安が両方書かれていた。 -
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言葉にして伝えるって難しい。何気なく使っている言葉の定義や語源を十分に理解することなく、気づけば軽い気持ちでコミュニケーションをとっている自分がいる。人と会話する機会が増え、コミュニケーションがフラットになりつつある今だからこそ咀嚼するように読み直したい新書。ウィトゲンシュタインの「言語批判」をベースに、日常的に使用される言葉の側面について深く考察がなされている。
p125
ステレオタイプで話すというのは、何でこんなに楽しいんだろう。
この一文は全体を通して最も印象的だった。言われてみれば、日常生活においてカテコライズを通して物事を単純化したり、あるいは相手に伝わりやすいように比喩を用いた -
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言葉について考えることは、それが息づく生活について考えること p.37
「お父さん」や「お母さん」等々も、そして「先生」も、子どもから見た自分の立場にはほかならない。それを一人称として用いることによって、いまの自分が、子どもを保奏し、ときに教え諭す役割を担う者であることを、自ずと示しているのである。p.64
依存先が限られてしまっている」ということこそ、障害の本質にほかならない。逆に言うなら、「実は膨大なものに依存しているのに「私は何にも依存していない」と感じられる状態こそが、自立。といわれる状態」だということである。p.69
※しっくりくる言葉を吟味するということ
学部生の書く哲学・倫 -
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この本を通して得られるのは、まずウィトゲンシュタインという人物の人となりである。提唱者がどんな人間だったのか、を知ることは哲学に必要なのか?と思う人もいるかもしれないが、少なくとも私はこの本を通してウィトゲンシュタインという人がどんな人間なのかを知れたことで一層、ウィトゲンシュタインの哲学の深みが増したように感じた。浮世離れした天才ではなく、孤独で、悩む人。様々な行動も含めて俯瞰したことで、それらを経て発せられた言葉をどんなトーンで受け取ったらいいのかが少しわかった気がした。
次に得られるのがウィトゲンシュタインの哲学の骨の理解である。一つひとつの書を深く理解するための梯子になるような骨の理解 -
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哲学の書ということである程度身構えて読み始めたのだが、最も驚かされたのはそのなめらかな読み心地であった。まさに「なめらか」という言葉がぴったりくると自身で思うほどに、伝えたいことがしっかりと抑揚に乗って伝わりつつ、それでもどこか控えめで、落ち着いた論調で議論が展開されていく。加えて、小手先の言葉で惑わされたり、騙されたり、議論を飛躍させられたりするような感覚がない。非常に真摯に、眼を見つめられながら話されるように、内容が進んでいくのである。ここに著者の誠実さや真剣さを私は感じ、それ故余計にこの書の論に惹き込まれた部分があることは否定できない。あまり類を見ないような、素晴らしい読書体験であった。
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これまで読んだウィトゲンシュタインの概説書のなかでは、一番、わかりやすく、一番、面白かったかな?
といっても、いろいろ読んだ後でのことなので、本当に一番わかりやすいかどうかは、保証できないけど。。。
哲学者の本と人生を切り離して、テキスト解釈するのが主流になっている気がするけど、これはしっかりと人生とリンクした解説になっている。
ウィトゲンシュタインは、「人生とは?」みたいな問いは、「語ることはできない」というだろうけど、でも、かれの斬り付けられた表現を解読していくためには、やっぱ、その人生とか、発言とか、を突き合わせてやっと見えてくる感じだな。
この本は、「論理哲学論考」と「哲学探求 -
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私が大学生の頃、先輩方の印象深かった警句の一つに「違和感を大事にしろ」というのがある。本書で言うところの「しっくりこない」からはじめろ、それを手放すな、ということだろう。
常套句に身を委ねてしまったとき、戦争に代表される社会の破滅がやってくる。リアルな話で、歴史の教訓だ。国家だけでない。企業も組織も、あらゆる人間の集まりがそうだろう。
堕落や破滅は言葉への敏感さを失ったところにある。常に創造せよ、というわけではなく、常套句にも魂を立ち上がらせよ、と本書は言う。
哲学が衒学ではなく、言葉に溺れず、傲らず、しかし、言葉を大切に選ぶこと、待つこと。それが哲学だと。クラウスとウィトゲンシュタイン -
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哲学史入門シリーズの4巻目で、「倫理学」を取り上げた巻。「功利主義」「正義論」「徳倫理学」「ケアの倫理」を解説している。これまでの各巻同様、各章で編者の斎藤哲也氏が基礎知識と読みどころを紹介して、指南役の研究者にインタビューするという形式。個人的に興味を持って読んだのは、「功利主義」」と「正義論」。近年テック長者」などが語る「効果的功利主義」への流れも理解しやすい。また「ケアの倫理」は耳慣れない言葉だったが、倫理学を実践に移すにはこういう考え方のほうが有効かもしれないと思わせられた。入門書として、わかりやすく、全体像が把握できる。
【目次】
序章 倫理学に入門するとは何をすることなのか(古田徹 -
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我々の日常に嫌でもまとわりついてくる言葉についての哲学 日本ならではのオノマトペから、カタカナの乱用による何となく化、災害時にいきなり生まれてあっという間に浸透する言葉、さらには謝罪会見で繰り広げられるその場しのぎの常套句などなど たしかに、「ロックダウン」とか誰でも知ってる言葉になったなとか、よく言う「発言を撤回する」って一回口から出たものをどうやって「なかったこと」にするんだ?とか、「◯◯◯感」がやたら多くてそもそも何が言いたいのかわからなくなったりするよね… とかとかとか
で、的を得ているなと思ったのは、「そうやって適当な言葉のやり取りをノリで行っているとき、そもそも人はなにも考え -
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原著を丁寧にほぐし、比喩や表も織り交ぜながら、最大限わかりやすく説明してくれている。とはいえ十分に難しく、ある程度腹落ちして「わかった」と言える部分よりそうでない部分の方がかなり多い(おそらく、「わかった」と思えている部分すら錯覚に近いとは思う)。
それでも、非常に面白かった。全体の方向性としては、言葉を弄する人間にとって「哲学」が必要なものでありながらいかにそれ自体がいわば詭弁であるのか、といった方向性を指し示していたように思う。
「語りえないことについては、沈黙しなければならない」というキラーフレーズは一見して諦めや思考停止のようにも思えるが、全てを読み切ると、究極に根源的な、「存在」への -
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『哲学史入門4』を読みました。
今回は哲学史の中でも、倫理学史や心理学に近い内容が多く扱われているのが印象的でした。確かに哲学科は女性が少ないイメージがありますが、心理学科には女性が多い印象があり、その点とも重なる話だと感じました。
ケアの倫理の説明で出てきた「ハインツのジレンマ」は特に興味深く印象に残りました。また特別章では、2024年のイギリスの「今年の言葉」に「脳腐れ」が選ばれたことや、ユーザーのプロファイリングによってSNSが質の低い内容に偏っていく問題などにも触れられており、やや強い表現を使いながら現代社会への批評も展開されている点が印象的でした。